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Summary

物流業界の2024年問題に対応するため、2018年に日野自動車の子会社として設立されたNEXT Logistics Japan株式会社様。ダブル連結トラックによる効率的な幹線輸送を実現し、荷主や物流事業者と連携して物流の効率化事業を拡大しています。同社の物流最適化システム「NeLOSS」をプロダクト化するにあたり、SHIFTはAWSを活用しクラウドネイティブな設計とアジャイルでの効率的な開発を行うことで、プロダクトのコスト優位性と拡張性を実現しました。

物流業界の2024年問題に対応するべく
物流最適化ソリューションを開発

貴社の事業について教えてください。

NeLOSS事業本部 開発・保守Div 佐藤 雄宇様(以下、佐藤様)

「NEXT Logistics Japan(以下、NLJ)」は、トラックドライバーの残業規制による担い手不足の問題、いわゆる「物流業界の2024年問題」をはじめとする物流領域にまつわる社会課題の解決を目的として、日野自動車の子会社として2018年に設立されました。

はじめに着手した事業は、ダブル連結トラックによる効率的な幹線輸送の実現です。ドライバー1人あたりが運べるキャパシティを増やし、荷物の効率的な積み付けを行うことで、物流の効率化を目指しました。

現在は、社長を筆頭に経営企画のメンバーが中心となり、荷主や物流事業者などのパートナーと連携しながら事業を拡大しています。主要な事業としては、ダブル連結トラックの運行管理と、輸送のコーディネートを担当する輸送コーディネート部門です。

NLJには輸送を効率化するもの、物流に寄与するソリューションであれば何にでも取り組むというカルチャーがあります。私の所属するNeLOSS事業本部は、そうしたカルチャーのなかで生まれた、物流を最適化するシステム「NeLOSS」の開発・提供を行っており、私はPMとして開発・運用、刷新などの責任を担っています。

「NeLOSS」とはどのようなシステムなのでしょうか?

佐藤様

「NeLOSS」は、トラックにどの荷物を入れるのか、荷室内のどの位置に荷物を入れるべきかを、量子力学の原理を応用した技術を用いて最適化する物流最適化ソリューションです。人の手で2時間以上かかっていた、配車と荷物の組み合わせを割り出す業務について、Inspired 量子技術等を活用することで、数十秒~数分間で自動的に最適解を提示することが可能です。

NEXT Logistics Japan株式会社様

属人的だった輸送計画をシステムで効率化
要望に応え、「AWSベースのSaaS」として
プロダクト化に着手

「NeLOSS」が生まれた背景について教えてください。

佐藤様

「物流業界の2024年問題」の解決に向け、NLJはダブル連結トラックと異業種の混載を活用して輸送効率の向上を目指してきました。設立当初は手動で輸送計画を立てていましたが、荷主や台数の増加に伴い、手動計画の限界が見えてきたのです。

そもそも、輸送計画を立てるには積荷のテクニックや積載の荷重制限、軸重制限など、さまざまな制約条件をすべて頭の中に入れて考える必要があり、熟練したノウハウが必要になります。そこで、輸送計画の脱属人化・効率化を目指し、まずはExcelベースのマクロを作成して改善を行いました。

運用を重ねていくうちに積み付け要件も見えてくるようになり、親会社である日野自動車の協力のもとシステム化を進めました。システム化することで、経験の有無によらず、誰でも輸送計画を組めるような環境をつくりたかったのです。

システムによる積み付けの自動化の取り組みを社外に発信すると「一般化して使えるようにしてほしい」というお声を多くいただくようになりました。NLJとしても、物流を効率化する手法を提案したいという思いがあり、「NeLOSS」としてプロダクト化することを決めました。

AWSのマネージドサービスを活用し
プロダクトの成長にあわせて
スケールする基盤を構築

SHIFTにお声がけいただいた経緯について教えてください。

佐藤様

「NeLOSS」を社内システムとして開発した際、NLJの輸送ソリューションを全国的に広げ、様々な拠点で物流計画を立てることを想定し、高いセキュリティを担保したクラウドベースでの開発が適当であると考え、AWSベースのシステムとして構築していました。プロダクト化にあたり、さまざまな企業に広く使っていただくにはSaaSとしての提供をすべきだと考えており、「NeLOSS」をAWSベースのSaaSとして構築し、提供したいという思いがありました。

そのような経緯から、今回、AWSに精通したスペシャリストの方々が在籍し、かつアジャイル・SaaS開発の実績を多数おもちのSHIFTさんにお声がけさせていただきました。

NEXT Logistics Japan株式会社様
株式会社SHIFT AWSセキュリティコンサルタント 大瀧 広宣(以下、SHIFT 大瀧)

SHIFTにはAWSや開発に携わるエンジニアが多数在籍していて層が厚いので、当初お声がけいただいたときから「満足いただけるサービスを提供できるのではないか」という自負があり、社内の有識者を集めて今回のプロジェクトの対応をさせていただくことになりました。「AWSベースのSaaSモデルのプロダクトをつくりたい」という大方針だけでなく、NLJ様からのさまざまなご要望を臨機応変に取り入れられるように、マルチテナントやシングルテナントを含めた構成で、柔軟にシステムを構成していけるような形を取らせていただきました。

また、プロダクトを新たにスクラッチで開発するということだったので、なるべく最新の技術動向を抑え、コスト優位性と拡張性のあるクラウドネイティブなサービスを使って、プロダクトを立ち上げていくということを前提に設計させていただきました。

株式会社SHIFT シニアクラウドアーキテクト 寅野 理司(以下、SHIFT 寅野)

クラウドネイティブな設計を進めるにあたり、以下のシステム構成(概要)に示すようにAWSのマネージドサービスを積極的に活用しました。

NEXT Logistics Japan株式会社様
NEXT Logistics Japan株式会社様

マネージドサービスでは、利用量に応じて基盤側が自動的にスケールをしていくので、「実際の利用量にそぐわない規模の基盤を設計してしまう」という事態を避けることが可能です。また、AWSの管理する運用基盤で提供されているため、通常のインフラ設計で必要となるハードウェアやミドルウェアの設計工程の大部分を省略することができます。

そのため、「NeLOSS」のように急成長するプロダクトの場合、プロダクトの成長に応じて適切にコストが変動していく、AWSのマネージドサービスを活用するのが最適だと考えました。

NEXT Logistics Japan株式会社様

柔軟なインフラ設計×アジャイルで
スピード感のある開発を実現

クラウドネイティブな設計を行った効果は、実際に感じられましたか?

佐藤様

弊社側で期待していた期限に沿う形で、アジャイル開発の手法を取り入れてスピード感のあるプロダクト開発をいただけたというところが一番大きいですね。また、完全に新規で提供開始するプロダクトだったこともあり、最初はミニマムで設計して、段々とスケールしていくというやり方を取らざるを得なかったのですが、こちらの思想をしなやかに取り入れて形にしていただけたように思います。

AWSのマネージドサービスを取り入れて、プロダクトのスケールに適応しやすいインフラ設計にしていただいたおかげもあり、今後のプロダクト展開もこのまま柔軟に進めていけるのではないかと感じています。

SHIFT 寅野

クラウドを利用せず、同等の仕組みを従来型のインフラ設計とウォーターフォール型開発を組み合わせてゼロから構築する場合、開発期間は3年ぐらい必要になってきます。

今回はアジャイルで開発させていただいたこともあり、プロダクトに求められていたアジリティやスピード感のある開発、コスト優位性の実現といったニーズにお応えできたのではないかと考えています。

SHIFTのプロジェクトメンバーから見て、今回のプロジェクトにはどのような魅力がありましたか?

SHIFT 大瀧

今回、最新のアーキテクチャを利用したSaaSモデルのシステムを構築させていただきました。SaaSモデルはAWSのなかでもトレンドの技術になっているので、このような機会をいただけたことに弊社としても感謝しています。

また、今回マルチテナントモデルを採用するにあたり、プロジェクトメンバーが最新の情報を学びながら、セキュアなアーキテクチャ設計をさせていただきました。非常にやりがいがあり、よい経験になったと感じています。

SHIFT 寅野

プロダクトをスクラッチで構築させていただいたのに加え、量子コンピューターや他社のAWSとの連携、セキュリティ管理、統制関連の仕組み導入などもお任せいただき、インフラエンジニア、クラウドアーキテクトとしてとてもやりがいのあるプロジェクトでした。さらに社会問題を解決するためのシステムに携われたという点においても、大変貴重な経験をさせていただけたと感じています。

「物流計画を事前にすべて最適化できる
プロダクト」をめざし規模拡大と機能拡張を進める

「NeLOSS」の今後の展望を教えてください。

佐藤様

今回リリースした「NeLOSS 1.0」については、まずは加速的にユーザーを増やしていくことが、第一の目標です。そのためにはマルチテナントでのシステムの構築と提供というところがマストになってくるため、今後もSHIFTさんのお力をおおいにお借りしたいと考えています。

また、今後の機能拡張も予定しています。「NeLOSS 1.0」では「車両に対する最適化」をコンセプトとしていますが、1.3では「車両と荷物と動線の最適化」を目指しています。ざっくりいうと、出発地からのリソースで経由地、往路の輸送までをロスなく行うにはどう計画を立てるべきか、それを「NeLOSS」でコーディネートできるようにしたいという構想です。

ゆくゆくは、ドライバーや会社に対するコンプライアンス遵守の可視化や効率化、物流業界が避けられない天変地異の影響による計画変更などにも対応でき、物流計画を事前にすべて最適化できるプロダクトにしていきたいですね。

今後、SHIFTに期待することはありますか?

佐藤様

プロダクト規模の拡大と機能拡張を見据えて、すべてのサービスを基本的にはSaaSとして提供したいという思いがあります。SHIFTさんには今後とも先進的なソリューション提供のための最新トレンドを取り入れたシステム構築やご支援を期待しています。

NEXT Logistics Japan株式会社様

※掲載内容は2025年2月取材時のものです。

NEXT Logistics Japan株式会社様

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