野村不動産パートナーズ株式会社 様 導入事例
現場起点で挑むDXへの道。
外部ベンダーとのやり取りで
支える伴走型支援


Summary
2021年、ビル管理業務のDX推進を目的として「ビルDX推進部」を発足した野村不動産パートナーズ様。現場起点のDXを進めるなかで、専門領域や立場の違いによる認識のずれに直面しました。
SHIFTが発注者と開発側の間に立ち、認識整理や判断材料の可視化を行うことで、三者の共通理解が深まり、プロジェクト推進に寄与しました。
現場のプロ集団が直面した壁。「ビルDX推進部」の発足背景とミッション
ビルDX推進部立ち上げの背景を教えてください。

発足は2021年10月です。背景には、ビル管理業界全体が抱える「人手不足」と「少子高齢化」という課題があり、従来の方法では増加する管理物件に対応できなくなっていました。特に、管理業務は日々の点検や設備管理の記録など、いまだ手作業が多く、確認作業に多くの時間を要しています。そこで、システムを活用して業務を自動化・合理化し、より多くの物件を効率的に管理できる体制を構築することを目的に、ビルDX推進部を立ち上げました。
どのようなメンバー構成でスタートされたのでしょうか。
集められたのは、長年ビル管理の現場で経験を積んできたメンバーです。「DXに取り組むぞ」という号令はありましたが、ITに関する知見は十分ではありませんでした。一方で、現場では「ここが面倒だ」「もっとこうしたい」といった具体的な課題意識をもっていました。その感覚こそが、システムに落とし込むべき本質だと考え、まずは現場を知り尽くしたメンバーでスタートしたのです。
現場経験者ならではの強みはありましたか。
現場経験者の強みは、時間を要する作業や属人化した業務など、業務課題をリアルに把握している点です。そうした課題を具体的に把握しているからこそ、システムに落とし込む価値のある要素を的確に抽出できたのだと思います。当初は3名でスタートしましたが、役割や課題の拡大に伴い体制を強化し、現在は13名になっています。
立場や専門性の違いが生んだギャップ。開発現場で直面したコミュニケーションのむずかしさ
実際にシステム開発を進めるなかで、どのような点にむずかしさを感じましたか。

一番の課題は、開発ベンダーさんとの間で認識を一致させることでした。私たちが「こういう機能が欲しい」と伝えても、専門用語や前提条件の違いから話がかみ合わず、意図が伝わらないことが頻繁にありました。同じ議題について話し合っていても、理解がずれてしまうのです。
私も最初はITの知見がなく、「何をしていいのかすらわからない」という状態でした。スケジュール管理ひとつをとっても、いつまでに何をすべきかが見えず、ただ時間だけが過ぎていく。気付けば期限が迫っていて焦りだけが残る―その繰り返しでした。
また、ベンダーさん側では「ここまで共有されているだろう」という前提で話が進むことがあり、その前提がそろっていないことに後から気づく場面が多々ありました。「それはそちらでやる仕事ですよ」といわれ、初めて認識のずれに気付くこともありました。こうした経験から、認識の確認を怠ると、小さな齟齬が大きな手戻りに繋がることを痛感しました。
「システム一式」の分解。 現場業務とシステム開発で異なるコストの捉え方
業務側とシステム開発側で感覚の違いを感じたことはありますか。
はい、特に印象的だったのはコスト感覚の違いです。私たち業務側では200円の電球1個でも正確に1点単位でコスト計算をしていました。一方で、システム開発では「一式いくら」という見積もりが一般的で、少し予算が前後することも想定の範囲として扱われることがあります。これは業務の性質の違いによるもので、優劣の問題ではありません。

一式見積もりだと、全体の妥当性を判断するのが少しむずかしく感じる場面もありますね。
そうなんです。社内で「この金額は妥当か」と議論したくても、根拠が一目でわからず、慎重にならざるを得ませんでした。立場や視点の違いを理解しながら、投資判断の感覚をすり合わせていくことに時間を要しました。
プロジェクトを正常化へ導いた「翻訳」と「透明化」。ブラックボックス化した見積もりの精査
そこで第三者視点としてSHIFTが参画することになったのですね。
特に見積もりの精査では大きな助けになりました。見積もりの内訳を分解・可視化することで、社内で建設的な議論ができるようになりました。
提案内容から工数や人数を分析し、「ここは妥当だが、ここは説明が必要」と整理していきました。さらに、相場感や生産性の観点も補足し、社内で議論できる材料として提供しました。
そのおかげで、社内でも建設的な議論が可能になりました。「なぜこの金額なのか」が腑に落ちるようになったのは非常に大きかったです。
進捗管理の面での支援はどのようなものでしたか。
現場では「何をどう進めればいいかわからない」という課題がありました。そこで、タスクを具体的に分解・可視化し、データ移行についても、「どのデータを抜き取り、どう加工してベンダーに渡すか」を整理しました。また、現場と一緒に手を動かすことで、実務理解を深めました。

「次に何をすべきなのか」が明確になり、目の前の作業に集中できました。UAT(受入テスト)でもSHIFTさんの視点からアドバイスをもらい、品質向上に繋がりました。
SHIFTはどのような存在ですか。
SHIFTさんは通訳の役割を担っていました。ベンダーの専門用語をわかりやすく説明してくれるだけでなく、現場の要望を的確に開発側に伝え、「やるべきこと」「妥協すべきこと」の判断材料も提供してくれました。タスクや進捗管理も具体的に示してくれたことで、現場は安心して作業に向き合えるようになりました。
ベンダーと直接やり取りする場合も、発注者の意図が正しく伝わることを最優先しました。データ移行やアカウント管理など地道な作業も、現場と一緒に手を動かしながら整理し、お客様の業務に即した具体的な手順に落とし込みました。

開発ベンダーのみなさんもプロジェクトを一緒に遂行する仲間です。参画当初は翻訳が必要な場面がよく見受けられました。SHIFTが潤滑油として間に入ることで、徐々に共通認識をもって同じゴールに向かえるような、いい関係になってきたと感じています。エンジニア経験を活かし、開発ベンダーと発注者の両者に寄り添って、協力し合える関係性づくりを意識していました。

SHIFTさんには絶大な信頼を置いています。何かを決める際に、「これで合っているか」を答え合わせできる存在です。ただ、何でもすぐに答えを聞くのではなく、まずは自分たちで考えてから相談する。そのやり取りを重ねるなかで、議論のレベルも自然と上がってきたと感じています。
コミュニケーション面では、「こう受け止めたけど、この認識で合っていますか?」というキャッチボールができるようになり、ニュアンスも正確に共有できるようになりました。
私が参画した当初は、データ移行をはじめ、みなさまにとって未経験の領域が多く、「何から着手すべきかわからない」という状況でした。そこでプロジェクト前半では、特に手厚く伴走しながら、タスクの整理や進め方を共に検討してきました。その過程で、社内での議論が徐々に活発になり、意思決定の質が高まっていく様子を間近で感じることができました。
現在では、プロジェクト全体を見据えた進捗管理や役割分担も円滑に行われており、現場の自走力が着実に向上しています。そのため、全面的な支援を続けるのではなく、あえてお任せするフェーズへと移行しています。
SHIFTさんの交通整理により、やりたいことを全部詰め込んでコストが膨らむリスクも回避できました。「ここはやるべき」「ここは再検討するべき」という客観的な判断補助があったことで、プロジェクトは現実的な路線に乗りました。

鈴木には、単なる進捗管理ではなく、「いつ支え、いつ任せるか」という判断を一貫して担ってもらいました。プロジェクトが停滞せず、ビルDX推進部のみなさまが自走できるようになった要因の一つです。
進捗管理によってプロジェクト状況を可視化することは前提であり、そのうえで、可視化された状況に対して「いつ・どこに・どのような手を打つべきか」を先回りして判断し、実際に行動に移すことこそが、プロジェクトマネジメントの本質だと考えています。
例えば、未経験領域で「どのように進めればよいか」がイメージしにくい場合には、これまでの知見をもとに、計画策定の段階から伴走型で支援を行います。一方で、計画策定後のタスク遂行について自走が可能と判断できれば、まずはお客様主体で推進いただき、必要に応じて随時相談に応じる支援へとシフトします。
また、推進過程でつまずきが生じそうな場合には、早期に軌道修正できるよう、踏み込んだ形で迅速に手を打ちます。このように、プロジェクトの状況や相手の成熟度に応じて、「いつ支えるか」「いつ任せるか」を見極めながら行動することを常に意識していました。
プロとの「答え合わせ」が育んだ組織の自走力
SHIFTとの関わりを通じて、組織やメンバーにはどのような変化が生まれましたか。
支援を続けるなかで、ビルDX推進部のみなさまの変化を強く感じています。最初は「何をすればいいかわからない」という状態でしたが、最近では社内で一度議論してから相談いただくことが増えました。
以前は「どうすればいいですか?」と答えを求めていましたが、いまは「我々はこうしたいと考えているが、この方向性で合っているか?」へ、質問の質が変化しました。いわば判断の裏付けのためのやり取りです。
自分たちで考えたプランに対して、プロの視点から「その考え方で合っています」とか「ここにリスクがあります」といってもらえることで、自信をもって進められるようになりました。この裏付けを得るプロセスが、私たちの自走力を育ててくれたのだと思います。
プロジェクトの進行に合わせた支援体制について、どのように感じられていますか。
SHIFTさんの支援体制の柔軟さにも感謝しています。プロジェクトのフェーズによって必要なスキルは変わりますが、その時々の課題に合わせて、最適なスキルをもった方をアサインしていただきました。

ありがとうございます。同じメンバーで固定するのではなく、フェーズごとにいま、お客様に必要なスキルは何かを考え、PMOのような動きが必要な時期、テスト設計が必要な時期など、状況に応じてメンバーを入れ替えて支援させていただきました。
ここが足りないというタイミングで、ドンピシャな人材が入ってきてスッとサポートしてくれる。このスピード感と適材適所の配置は、プロジェクトを停滞させないために非常に重要でした。
プロジェクトの進行にあたっては、すべてを一度に完璧に進めようとしないことを意識していました。初めて取り組む作業については丁寧にフォローし、慣れてきた領域については、あえてお任せする。フェーズごとに関与の濃淡を調整することで、無理なく自走いただける状態を目指しました。
SHIFTの支援体制について、率直に感じたことはありますか。
スキルだけでなくメンバーとの相性のむずかしさもあると思います。ただ、こちらの状況を見ながら「今、足りないところ」に人をアサインしてもらえる。困ったタイミングでスッと支えてくれる、そのスピード感と柔軟さが本当にありがたいです。
リリースに向けた現在地と次なるフェーズへの展望。全社展開への道のり
現在はリリースの山場とお伺いしました。今後の展望についてお聞かせください。
以前は、ベンダーさんに何をどう伝えるのが最適なのか知見がなく、意図と違うかたちで伝わってしまうこともありました。しかし、SHIFTさんが間に入ってくれたことでベンダーさんとの会話もスムーズになり、いまでは同じ方向を向いて進められていると実感しています。
一部先行リリースを経て、フェーズ1・2の統合リリースと全社展開を控えています。AI活用も視野に入れたフェーズ3構想も進行中です。IT未経験だった当初とは異なり、自ら判断しベンダーさんと議論できる組織に成長しました。
ベンダーさん、SHIFTさん、そして我々が、立場を超えて認識の確認を丁寧に積み重ねられるようになりました。手戻りも減りましたし、何よりひとつのチームとして同じゴールを目指せている感覚があります。
SHIFTさんは単なる外注先ではなく、一緒に悩んでくれるパートナーです。失敗しそうなときは先回りして支えてくれます。逆に成長のために、あえて任せて見守ってくれる場面もあります。そうした関わり合いがあったからこそ、IT未経験だった私たちもここまで来ることができました。
システムリリース後も活用や進化まで含めて伴走させていただきます。
プロとの答え合わせを通じ、組織としてさらに成長していきたいです。

※掲載内容は2026年1月取材時のものです。
野村不動産パートナーズ株式会社






