RNNとは? LSTMやGRUとの違い、特徴、活用事例をわかりやすく解説

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RNNとは? LSTMやGRUとの違い、特徴、活用事例をわかりやすく解説
株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

Introduction

ニューラルネットワークとは、人間の脳の働きに似た方法で、データを処理する機械学習プログラムです。近年、AIの技術は目覚ましい進化を遂げ、ニューラルネットワークにおいても、次々と新しい技術が生まれています。

そのなかでもRNN(回帰的なニューラルネットワーク)は、株価の予測や自然言語処理などの時系列データを扱うことが得意なモデルです。そして、ニューラルネットワークは日々進化しており、RNNが改良されたLSTMやGRUなどのモデルも登場しています。

この記事では、RNNについて、LSTMやGRUとの違い、活用事例や構成要素などを解説します。

目次

RNNとは?

RNNとは

RNNとは、「Recurrent Neural Network」の略で、「回帰的なニューラルネットワーク」と訳されます。通常のニューラルネットワークでは、入力されてから出力する方向へと一方向にデータが流れていきます。しかしRNNでは、このようなデータの流れが回帰的・循環的になることで、時系列データや自然言語などの連続的なデータを扱うことを得意としています。

ニューラルネットワークとは、人間の脳の神経細胞であるニューロンと、その神経回路網を数式的なモデルで表現したものです。ニューラルネットワークは、入力層、出力層、隠れ層という複数の層で構成されています。複数の層のそれぞれで計算された情報が次の層へと引き継がれることで、複雑な処理を実現できます。

これまでのニューラルネットワークでは、入力データと出力データはそれぞれ独立している、という考え方が一般的とされていました。しかし、より人間の脳に近い予測能力を備えるためにはそれでは不十分です。

そこで、RNNでは、ある中間層で計算されたデータをもう一度中間層に入力して繰り返し処理を行います。このような回帰的な仕組みを導入することで、RNNは時系列データや自然言語などの連続性をもつデータを扱うことが可能です。

LSTMとの違い

「記憶セル」「ゲート」という仕組みを追加することで「記憶」をもたせられるよう、RNNを改良したものです。

LSTMが登場する以前のニューラルネットワークでは、長い文章のデータを学習することに課題がありました。LSTMは「長・短期記憶」という名前のとおり、長く短い期間のデータの「記憶」をもてるモデルです。LSTMを活用することで、人間が扱う言語や株価の動向などの時系列データを分析、予測する精度が高まりました。

また、LSTMはRNNとは異なり「記憶セル」「ゲート」と呼ばれる仕組みをもっています。RNNには記憶セルがないため、ニューラルネットワーク内の各層で計算が行われる過程で「勾配問題」と呼ばれる問題を抱えていました。

しかし、LSTMでは記憶セルがあることで、入力された情報を保った状態で、機械学習を行うことが可能です。また、ゲートという仕組みにより、不要な情報を忘れるという機能も備えています。

つまり、LSTMは時間の経過によって重要な情報を忘れず、一方で不要な情報は忘れるように設計されているのです。そのため、時間の経過で変わっていく時系列データの予測において、高い性能を発揮します。

上記のとおりLSTMとRNNはそれぞれアルゴリズムが異なります。LSTMはRNNが苦手としていた、時間的な依存性が長いデータの処理能力が高いという性質をもっているのが特徴です。

GRUとの違い

GRUとは、LSTMと似た性質をもつニューラルネットワークのひとつです。「Gated Recurrent Unit」の略で、訳すと「ゲート付き回帰型ユニット」になります。

上記で、LSTMは記憶セルとゲートという仕組みをもつとご説明しましたが、GRUではゲートの仕組みのみを用いて情報を保持するのが特徴です。GRU は、LSTMよりも構造がシンプルなため、高速で動作する場合があります。

上記のとおり、RNN、LSTM、GRUはそれぞれのアルゴリズムや特徴が異なることがわかります。

RNNの活用事例

RNNは、時系列データや自然言語の扱いを得意としており、さまざまな分野で活用されています。

ここでは、RNNが実際にどのような場面で活用されているのかについて、ご説明します。

文章の解析や生成

RNNはさまざまな自然言語で書かれた文章の解析を得意としています。たとえば、文章データを入力すると、政治やスポーツ、エンタメなどどのようなジャンルの文章なのかを分類することも可能です。また、質問文を入力すると適切な回答を返してくれます。この機能を活用してチャットボットの開発にも応用されています。

新たな文章を生成することも可能です。膨大な学習データをRNNに学習させることで、文章のパターンをモデル化し、特定の単語の次に続く可能性が高い単語を予測できるようになります。この仕組みを活用することで、まるで人間が書いたかのような文章を生成することが可能です。

機械翻訳

上記でご説明したとおりRNNは自然言語処理の能力が高いですが、その能力は機械翻訳にも活かされています。

膨大な量の文章を学習することで、状況に応じて自然に翻訳された文章を生成できます。また、ビジネス向けのフォーマルな翻訳や話し言葉のカジュアルな翻訳など、翻訳のスタイルを選ぶことも可能です。

自然言語処理についてはこちらもご覧ください。
>>自然言語処理(NLP)とは?仕組みやできること、活用事例、課題について解説のページへ

画像解析

RNNは画像データの解析も得意です。画像データは「点」のデータ、つまり、ピクセルデータの集まりなので、文章を解析する場合と同様に連続データとして処理できるためです。

画像データを解析することで、何が表示されているのかを認識する、画像に記された文字を認識するなどが可能です。この技術を応用して、画像内の手書き文字の読み取り、画像にキャプションを自動生成するなど、さまざまな使い方ができます。

RNNを改良したLSTMの仕組みとは

RNNを改良したLSTMの仕組みとは

LSTMはRNNを改良したモデルであるとご説明しましたが、その仕組みはどのようになっているのでしょうか?

LSTMでは「記憶セル」「ゲート」と呼ばれる仕組みを用いて、重要な情報を保持する、不要な情報は忘れるという処理を行い、情報の流れを調節します。

ここでは、ゲートを用いたLSTMの仕組みについて、簡単にご説明します。

忘却ゲート

まずは、忘却ゲートで記憶セルに保持されているデータをどれだけ忘れるかを決めます。たとえば、保持していた情報よりも日付の新しい情報が登場した場合は、古い情報を忘れて新しい情報を使うようになります。

入力ゲート

入力された情報のうち、新しく記憶セルに保持する情報を決めます。

出力ゲート

最終的に出力する情報を決めます。ここまでに処理された情報の重要度に応じて、重みづけを行った結果、どのデータを出力するかを計算して決めます。

LSTMの課題を改善したTransformerモデル

LSTMは時系列データの扱いに強みをもち、長い文章の学習を得意としています。RNNの長期記憶が苦手という問題を解決し、長い文章の翻訳や時系列データの分析などを高い精度で処理できるようになりました。

しかし、その結果モデルが複雑になり、計算リソースが膨大になるという新たな問題が生じました。モデルが複雑になったため処理が遅くなり、並列処理を行うことがむずかしいという問題が発生したのです。

このようなLSTMの課題を克服したのが、Transformerの仕組みです。TransformerはEncoder-Decoderモデルという構造であり、エンコーダーが処理したあとにデコーダーが出力を行います。ここで、Attentionと呼ばれる仕組みが効率的に処理を行っています。

Attentionは、ある単語がほかの単語とどれくらい関連しているかを計算して、重みづけする手法です。これにより、TransformerはRNNやLSTMの仕組みを使うことなく、効率的に処理を行えるようになっています。

まとめ

ニューラルネットワークとは人間の脳の神経細胞であるニューロンと、その神経回路網を数式的なモデルで表現したものです。ニューラルネットワークの仕組みは日々進化をつづけ、次々と新しい技術が登場しています。

ニューラルネットワークの一種であるRNNは、株価の予測や自然言語処理などの時系列データを扱うことを得意としています。そのRNNが改良されたものがLSTMです。

LSTMが登場する以前のニューラルネットワークでは、長い文章のデータを学習することに課題がありました。しかし、LSTMにより、人間が扱う言語や株価の動向などの時系列データを予測する精度が高まりました。

一方で、LSTMは、その処理の複雑さから処理速度が遅くなる、並列処理がむずかしいなどの課題を抱えています。このような課題を解決するために、Transformerという仕組みが登場しています。このように、AIの技術は日々進化しているため、つねに新しい技術をとり入れていくことが重要です。

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