AutoMLとは?対応範囲やメリット・デメリット、おすすめツールを解説

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AutoMLとは?対応範囲やメリット・デメリット、おすすめツールを解説
株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

Introduction

近年、ビジネスの分野において、機械学習の技術が幅広く活用されるようになりました。しかし、機械学習モデルを構築するには、目的にあったデータを収集して適切な設定を行い、機械学習を繰り返す必要があります。そのため、機械学習に関する高度なスキルや経験が求められます。

そこで注目されているのが「自動化された機械学習」のAutoMLです。この記事では、AutoMLについて詳しくご説明したうえで、そのメリットや注意点、具体的な活用例なども解説します。

目次

AutoMLとは?

AutoMLとは

AutoMLとは、機械学習のプロセスを自動化するツールのことです。

ここでは、AutoMLについて詳しく解説します。

機械学習のプロセスを自動化する技術のこと

AutoMLとは、Automated Machine Learningの略です。「自動化された機械学習」と訳され、機械学習のプロセスを自動化するツールのことを指します。

AutoML ツールを活用することで、機械学習モデルの構築作業におけるデータの収集や加工、特徴量エンジニアリング、モデルの構築などの作業を自動化できます。 

これらの作業を行うためには、データサイエンティストとしての高度なスキルが必要ですが、AutoMLツールがあれば専門的なスキルがなくても、機械学習の活用が可能です。また、機械学習にかかる時間や工数を削減できるというメリットも得られます。

機械学習についてはこちらもご覧ください。
機械学習とは?AIやディープラーニングとの違い、活用事例などを解説のページへ

AutoMLで自動化できる範囲

機械学習の流れを簡単にご説明すると、以下のとおりです。

・解決すべき問題の定義
・仮説の定義
・データの選定・収集・加工
・特徴量エンジニアリング
・モデルの構築(アルゴリズムの選定・ハイパーパラメータのチューニング・アンサンブル学習)
・モデルの解釈・運用

AutoMLツールは、上記のプロセスにおけるデータの選定・収集・加工から、モデルの構築までを自動化します。なお、特徴量エンジニアリングとは、いま存在するデータ(特徴量)を組み合わせて、新しい特徴量を生成する作業です。

AutoMLツールを利用しない場合は、これらの作業をすべて人の手で行うため、高度なデータサイエンスの知識や技術、経験が必要でした。さらに、これらの作業は非常に地道で、時間がかかるものです。しかし、AutoMLツールを活用することで、高度なスキルがなくても、機械学習モデルを構築することが可能になりました。

AutoMLが注目されている理由

AutoMLツールを導入することで、以下のようなメリットを得られます。

・機械学習に関する専門的なスキルがなくても、機械学習を活用できる
・機械学習モデルの構築に必要な時間や工数を削減できる

そのため、AutoMLツールの導入により、機械学習モデルをビジネスに活用しやすくなります。機械学習の技術を活用して、市場の変化にすばやく対応できることから、AutoMLツールへの注目度が高まっています。

AutoMLを導入するメリット

AutoMLを導入するメリットは、以下のとおりです。

・機械学習の自動化による作業効率の向上
AutoMLツールの導入で、機械学習プロセスの一部を自動化し、作業効率を向上できます。

・機械学習モデル構築の迅速化
機械学習モデルを構築する作業の一部を自動化できるため、作業を迅速に行うことが可能です。これにより、市場や顧客のニーズにあわせた対応などをスピーディーに行えるようになります。

・作業負担の軽減
AutoMLツールの導入により、専門的なスキルをもつデータサイエンティストでなくても、ある程度の作業を行うことが可能になります。その結果、作業を担当するデータサイエンティストの作業負担を減らすことが可能です。

AutoMLの導入にあたっての注意点

AutoMLを導入すると、機械学習モデル構築作業の効率化、迅速化、作業負担の軽減など多くのメリットを得られます。一方で、機械学習モデルの構築作業の一部が自動化されることは、その作業がブラックボックス化されることでもあるため、注意が必要です。

従来は、データサイエンティストが直接データを収集して、加工やモデルのハイパーパラメータの設定などを行うため、作業の内部が見えていました。しかし、AutoMLツールでこれらの作業が自動化されると、内部で何が起こっているかがわかりません。そのため、構築したモデルがうまく動かなかった場合、どこをどう直せばうまくいくかがわからなくなる可能性が高いです。

また、機械学習を活用するビジネスの分野や特性によっては、利用したモデルやデータ、アルゴリズムの中身をはっきりさせる必要があるケースもあります。たとえば、ビジネスにおけるリスク分析を行うモデルを構築する場合、モデルの構築プロセスや中身を説明できない状態では、そのリスク分析の信ぴょう性が疑われてしまいます。

そのため、活用するAutoMLツールの仕様について、事前に確認しておく必要があるでしょう。

AutoMLの活用例

ここでは、具体的なAutoMLの活用例についてご紹介します。

小売業

小売業では、店舗の売上データから今後の売上を予測するために、機械学習の活用が進んでいます。その際は、つねに新しい売上データを収集して再学習を行い、モデルを調整していく必要があります。このような継続的な再学習と調整の作業を行うために、AutoMLツールが役立つのです。

製造業

製造業においては、工場設備の故障予測を行うために、機械学習が活かされています。しかし、センサーデータや作業記録などの膨大なデータを継続的に再学習し、モデルの精度を高めていく必要があります。そこでAutoMLツールを活用することにより、このような作業負担を抑えることが可能です。

主要なAutoMLツール

主要なAutoMLツール

ここでは、主要なAutoMLツールについてご紹介します。

Vertex AI|Google

GoogleのVertex AIとは、機械学習のフルマネージド型のプラットフォームです。機械学習サービスの構築や運用に必要なツールが一通りそろっており、そこにAutoML TablesというAutoMLツールも含まれています。データの前処理や分類、問題発生時の抽出などの自動化が可能です。

以前は、AutoML Tablesという製品が独立して存在していましたが、現在はVertex AIに組み込まれています。

GoogleのVertex AIには、わかりやすいマニュアルが整備されているため、使いやすいでしょう。

Vertex AIについてはこちらもご覧ください。
>>Vertex AIとは?利用するメリットや主な機能、使い方について解説のページへ

Automated ML(Azure Machine Learning)|Microsoft

MicrosoftのAzure Machine Learningは、クラウド上で利用できる機械学習ツールで、ここにAutomated MLというAutoMLツールが含まれています。データの前処理や分類などの自動化が可能です。

上記でご説明したGoogleのAutoML Tablesに次いで、認知度の高いAutoMLツールです。日本語のマニュアルや仕様書なども多く、使いやすいでしょう。

AutoAI(Watson Studio)|IBM

IBMのWatson Studioは、クラウド上で機械学習モデル開発を行うための統合環境です。ここに、AutoAIというAutoMLツールが含まれています。データの前処理、特徴量エンジニアリング、ハイパーパラメータの最適化などの自動化が可能です。

Prediction One|Sony

Prediction Oneは、Sonyが提供するAI予測分析ツールです。機械学習の知識やプログラミング技術などがなくても、視覚的な操作でAIによる予測分析を実現できます。操作時の見た目がわかりやすく、操作しやすいというメリットがあります。

SageMaker Autopilot|Amazon

Amazon のSageMaker Autopilotは、機械学習モデルの構築からデプロイまでを自動化可能なツールです。データ分析と前処理、モデルの選択、ハイパーパラメータの最適化、モデルのトレーニングと評価、デプロイなどを自動化します。

まとめ

AutoMLとは、Automated Machine Learningの略です。「自動化された機械学習」と訳され、機械学習のプロセスを自動化するツールのことを指します。

AutoMLを導入すると、機械学習モデル構築作業の効率化、迅速化、作業負担の軽減などの多くのメリットを得られます。一方で、機械学習モデルの構築作業の一部が自動化されることは、その作業がブラックボックス化されることでもあり、注意が必要です。

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AutoMLツールを活用すれば、機械学習モデルの構築作業を効率化でき、ビジネスに活用しやすくなります。

しかし、AutoMLツールによる自動化で、機械学習モデル構築作業がブラックボックス化するという問題もあります。また、IT人材が不足しているため、AI ツールの導入やシステム連携を自社内で行うのはむずかしいと、お悩みの企業様も多いかもしれません。

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林 栄一

 

監修

株式会社SHIFT
「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト
林 栄一

組織活性化や人材開発において豊富な経験を持つ専門家として、人材と組織開発のリーダーを務め、その後、生成AIを中心にスキルを再構築し、現在新人研修プログラムや生成AI講座開発を担当している。2008年にスクラムマスター資格を取得し、コミュニティーを通じてアジャイルの普及に貢献。勉強会やカンファレンス、最近では生成AI関連のイベントに多数登壇している。チームワークの価値を重んじ、社会にチームでの喜びを広める使命をもつ。

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ヒンシツ大学とは、ソフトウェアの品質保証サービスを主力事業とする株式会社SHIFTが展開する教育専門機関です。
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この記事を書いた人

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著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

SHIFTは「売れるサービスづくり」を得意とし、お客様の事業成長を全力で支援します。無駄のないスマートな社会の実現に向けて、ITの総合ソリューションを提供する会社です。

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