AI開発とは?基礎知識から導入、運用までの流れまでわかりやすく解説

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AI開発とは?基礎知識から導入、運用までの流れまでわかりやすく解説
株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

Introduction

AI(人工知能)は、業務効率化や人手不足対策、競争力強化の手段として、多くの企業から注目を集めています。しかし一方で、「AI開発とは何をするのか」「自社に本当に必要なのか」といった疑問をもつ経営層の方もいるのではないでしょうか。

AI開発は、単なる最新技術の導入ではなく、経営課題を解決するための仕組みづくりです。ただし闇雲に着手したり目的設定を誤ったりすると、コストだけがかかり成果につながらないケースもあります。

そこで、この記事では、AI開発の基本的な考え方から、必要となる要素、開発の全体像、失敗しないための注意点、さらに内製・外注を含めた判断ポイントまでをわかりやすく解説します。

目次

AI開発とは

AI開発とは

まずは、AI開発の基本的な考え方、AIの主な種類と技術要素について解説します。

AIを構築し、特定のタスクを実行できるようにするためのプロセス

AI開発とは、人工知能(AI)を構築し、特定の業務や課題を自動化・高度化するための仕組みをつくりあげるプロセス全体を指します。

AI開発は、単にAIツールを導入すること、AIモデルをつくることがゴールではありません。AIに「何を判断させたいのか」「どの業務を支援させたいのか」といったタスクを明確にし、それを実行できる状態にするまでの一連の流れが重要です。

具体的には、以下のようなプロセスがあります。

・課題の整理
・データの収集・整備
・AIモデルの構築
・テスト・評価
・実際の業務への組み込み
・業務での性能評価
・再トレーニング・モデルの更新

これらを通じて、AIは単なる技術ではなく、業務を支える仕組みとして機能します。AI開発を「ITプロジェクト」ではなく、「業務改革や経営課題解決の手段」として捉えることが成功のポイントとなります。

近年、AIは業務効率化や人手不足対策、競争力強化の手段として注目されています。たとえば、需要予測による在庫管理の最適化、顧客データを活用したマーケティングの高度化、画像やログデータを用いた異常検知など、さまざまな分野で実用化が進んでいます。

一方で、目的が曖昧なままAI開発を進めてしまうと、「精度は高いが使われない」「投資に見合う効果が出ない」といった失敗につながることもあります。そのため、AI開発を成功させるためには、経営層がAI開発の本質を理解することが重要です。

AIモデルについてはこちらもご覧ください。
>>AIモデルとは?学習方法ごとに分類やつくり方、課題について解説のページへ

AIの主な種類と技術要素

AI開発を理解するうえで、AIの代表的な種類と技術要素を把握しておくことも重要です。AIと一口にいっても、その中身はさまざまで、用途や目的によって使われる技術が異なります。

ここでは、AIのなかでも代表的な機械学習と深層学習についてご説明します。

機械学習(マシンラーニング)

機械学習とは、規則性やパターンを学習し、予測や分類を行う技術です。代表的な手法には、正解データをもとに学ぶ「教師あり学習」、データの構造を自動的に見つける「教師なし学習」、試行錯誤を通じて最適な行動を学ぶ「強化学習」があります。

需要予測、顧客分類、不正検知、異常検知など、ビジネスで活用されているAIの多くはこの機械学習を基盤としています。また扱う課題や手法によって必要なデータ量は異なり、必ずしも大量のデータが必要とは限りません。比較的導入しやすく、業務改善に直結しやすい点が特徴です。

深層学習(ディープラーニング)

深層学習は機械学習の一種で、人間の脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」を多層構造にした技術です。大量のデータと高い計算能力を必要としますが、その分画像・音声・自然言語といった複雑な情報を高精度に処理できます。

代表的な手法には畳み込みニューラルネットワーク(CNN)再帰型ニューラルネットワーク(RNN)などがあり、加えて現在ではトランスフォーマーモデルも挙げられます。

画像認識による検品自動化、音声認識によるコールセンター支援、文章解析による問い合わせ対応の自動化などに活用されています。近年注目されている生成AIも、この深層学習技術を基盤としています。

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>>CNN(畳み込みニューラルネットワーク)とは?構造や活用例をわかりやすく解説のページへ
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AI開発で必要となる要素

AI開発を成功させるためには、単に「AIに詳しい人がいればよい」というわけではありません。技術、データ、計算資源、そしてそれらを活用する体制がバランスよくそろって、はじめて実務で使えるAIが実現します。ここでは、AI開発において特に重要となる代表的な要素を、経営層の視点で整理します。

プログラミング言語スキル

AI開発では、主にプログラミング言語を使ってデータ処理やAIモデルの実装を行います。なかでも代表的なのがPythonです。Pythonは文法が比較的わかりやすく、AI開発向けのライブラリが豊富なため、世界的に標準言語として利用されています。

また、データを扱うためにSQLが使われることも多く、Webシステムや業務システムと連携する場合にはJavaScriptなどが必要になるケースもあります。

ライブラリ・フレームワークの知識

AI開発では、ゼロからすべてをつくることはほとんどありません。機械学習深層学習の処理を効率よく行うために、専用のライブラリやフレームワークが活用されます。これらは、AIの学習や予測処理を簡単に実装できる「部品集」のようなものです。

代表的なライブラリを使うことで開発スピードを高め、品質を安定させることができます。一方で、適切なライブラリを選定できないと開発が長期化したり、将来的な保守がむずかしくなったりするリスクもあります。そのため、技術選定の判断力もAI開発には欠かせない要素です。

ハードウェア(計算資源)

AI、特に深層学習を用いる場合には、大量の計算処理が必要になります。そのため、GPUやNPUなどの高性能な計算資源を確保することが大事です。これらはAIの学習時間を大幅に短縮し、実用レベルの開発を可能にします。

計算資源の調達方法としては、自社でサーバーを保有するオンプレミス型と、必要な分だけ利用できるクラウド型があります。初期投資を抑え、状況に応じて柔軟に対応したい場合にはクラウドが選ばれることが多い一方、セキュリティやコストの観点からオンプレミスを選択する企業もあります。経営判断として、自社の状況にあった選択が求められるでしょう。

AI開発の全体像

AI開発の全体像

AI開発は「一度開発したら終わり」というものではありません。構想から運用・改善までを一つの流れとして捉え、段階的に進めることが重要です。ここでは、AI開発の全体像を4つのステップにわけて説明します。

STEP1:構想(解消したい課題の明確化)

最初のステップは、AIを使って何を解決したいのかを明確にすることです。ここが曖昧なままでは、その後どれだけ高度なAIをつくっても経営成果にはつながりません。

具体的には、「現状、業務のどこに課題があるのか」「その課題はAIで解決できるのか」を整理します。同時に、AIが本当に必要なのか、既存のシステム改善や業務ルールの見直しで対応できないか、といったことも検討します。この段階では、AI適用の可否判断やプロジェクト体制(特に社内主導か外部パートナー活用か)を決めることが重要です。

STEP2:データ収集・PoC

次に行うのが、データの収集とPoC(概念実証)です。AIはデータをもとに学習するため、どのようなデータがどれくらいあるのかが成否を大きく左右します。社内に蓄積されたデータの整理や、不足している場合の追加収集、アノテーション(正解ラベル付け)などを行います。

PoCとは、「AIで本当に目的を達成できそうか」を小規模に検証するための取り組みです。本格開発に入る前に、精度の目安や課題点を把握することで、無駄な投資を防ぐ役割があります。

この段階で継続判断やスケジュール感を見極めることが重要です。

STEP3:AIモデル選択・実装・開発

PoCの結果を踏まえ、本格的なAIモデルの選択と開発に進みます。課題に適したAI手法を選び、業務システムと連携できる形で実装します。

この段階では、AIそのものの開発だけでなく、既存システムとの連携、テスト、評価といったシステム開発の要素も重要になります。

また実運用を見据えて、処理速度や安定性、保守性なども考慮する必要があります。単に精度が高いだけでなく、「業務で使えるAI」であるかどうかが問われるフェーズです。

STEP4:運用・改善

AI開発の最終ステップは、運用と改善です。AIを実際の業務に組み込み、KPIを設定して効果測定を行います。導入当初は期待どおりの成果が出ないこともありますが、運用しながらデータを蓄積し、再学習やチューニングを行うことで精度や効果を高めていきましょう。

重要なのは、AIは環境やデータの変化に影響を受けるため、継続的な改善が前提であるという点です。運用フェーズまで含めて設計・投資することで、AI開発は一過性の施策ではなく、企業の持続的な競争力強化につながります。

AI開発で失敗しないための注意点

AI開発は適切に進めれば大きな成果を生みますが、進め方を誤ると「期待した効果が出ない」「投資だけが先行する」といった失敗につながりやすい分野でもあります。注意すべきポイントを理解していないと現場任せになり、判断が後手に回る恐れもあるでしょう。

ここでは、AI開発でよくある失敗を避けるための注意点について解説します。

目的が曖昧なまま開発をはじめない

AI開発で最も多い失敗要因が、「AIを導入すること自体」が目的になってしまうケースです。「他社がやっているから」「流行しているから」といった理由だけではじめると、開発途中で方向性がぶれ、最終的に使われないAIになる可能性が高まります。

重要なのは、「どの経営課題を解決したいのか」「AIによってどの指標を改善したいのか」を事前に明確にすることです。目的が明確であれば、技術選定や投資判断も一貫したものになり、成果につながりやすくなります。

想定しているAIモデルに合ったデータ量・データ品質を確保する

AIはデータから学習する技術であり、データの量と質が成果を大きく左右します。どれだけ優れたAIモデルを使っても、学習に使うデータが不足していたり、内容がばらついていたりすると、十分な精度は得られません。

そのため、開発初期の段階で「どのデータを、どれくらい確保できるか」を確認することが不可欠です。データが十分にそろっていない場合でも、PoC段階では小規模データで検証を行ったり、外部データや公開データを活用したりすることで、可能性を見極めることができます。いきなり本格開発に進まない判断も、経営層に求められる重要な役割です。

運用・改善フェーズを前提に設計する

AIは導入した時点で完成ではありません。実際に業務で使いはじめてから、環境の変化やデータの偏りによって精度が低下することもあります。そのため、運用しながら改善していくことを前提に、最初から設計しておく必要があります。

具体的には誰がAIの運用を担うのか、再学習や調整をどのタイミングで行うのか、といった体制やルールを明確にしておくことが重要です。運用を想定せずに開発すると、現場で扱いきれず、形骸化するリスクが高まります。

精度だけを追い求めない

AI開発では「精度」が注目されがちですが、精度が高ければ必ずしもビジネス価値が高いとは限りません。わずかな精度向上のために、開発コストや運用負荷が大きくなるケースもあります。

そのため、「どの程度の精度であれば業務改善につながるのか」「コストに見合った効果が出ているか」を重視することが大切です。完璧を目指すよりも、実用レベルで使いつづけられるAIを構築する方が、結果的に価値を生みやすくなるでしょう。

セキュリティ・ガバナンスへの配慮を忘れない

AI開発では、顧客情報や業務データなど、重要な情報を扱うケースが多くあります。そのため、情報漏えいや不正利用を防ぐためのセキュリティ対策、データの取り扱いルールなどのガバナンスの整備が欠かせません。

特に外部サービスやクラウドを利用する場合は、データの管理責任や利用範囲を明確にしておく必要があります。AI開発を進める際には、技術面だけでなく、リスク管理の視点をもつことが、経営層に求められます。

企業がAI開発に取り組むにあたっての判断ポイント

AI開発は技術的な関心だけで進めるものではなく、経営判断として取り組むべきテーマです。導入の是非や進め方を誤ると、コストばかりがかかり、期待した成果が得られないリスクがあります。

ここでは、企業がAI開発に取り組む際に押さえておくべき主な判断ポイントについて解説します。

AI開発・導入にかかるコストとROIの評価

AI開発には、初期開発費用だけでなく、運用・保守にかかる継続的なコストが発生します。具体的にはAIモデルの開発費、データ整備費、クラウド利用料、運用人材の人件費などが挙げられます。

重要なのは、これらのコストに対して、どの程度の効果が見込めるのかを事前に評価することです。業務時間の削減、売上向上、ミスやリスクの低減など、定量・定性の両面からROI(投資対効果)を検討することで、AI開発を「コスト」ではなく「投資」として判断できるようになります。

AI開発を成功させるのに必要な人材・社内体制

AI開発を進めるには、AIエンジニアだけでなく、業務内容を理解する現場担当者や、全体を統括するプロジェクト管理人材が必要です。しかし、多くの企業ではAI人材が不足しており、採用や育成が大きな課題となっています。

そのため、すべてを内製で完結させようとせず、外部パートナーの活用を含めた体制づくりが現実的な選択肢となります。経営層としては、「どこまでを自社で担い、どこを外部に任せるのか」を見極めることが重要です。

AI開発を内製するメリット・デメリット

AI開発を内製する最大のメリットは、自社業務に深く即したAIを構築できる点です。ノウハウが社内に蓄積され、長期的には柔軟な改善や他業務への展開がしやすくなります。

一方で、専門人材の確保や育成に時間とコストがかかる点はデメリットです。特に初期段階ではノウハウの関係で開発スピードが遅くなったり、品質が安定しなかったりするリスクもあります。自社の規模や戦略に応じて、内製が適しているかを慎重に判断する必要があります。

外部AI開発会社に発注するメリット・デメリット

外部のAI開発会社に発注する場合、専門知識や実績を活用できるため、比較的短期間で成果を出しやすい点がメリットです。最新技術や成功事例を取り入れやすく、PoCから本格開発までスムーズに進められることも多くあります。

一方で、開発を完全に任せきりにすると社内にノウハウが残らず、将来的な改善や追加開発でコストが膨らむ可能性があります。そのため外注する場合でも、社内に一定の理解者や担当者を置き、主体性をもって進めることが重要です。

まとめ

AI開発とは、単に先進的な技術を導入することではなく、企業が抱える課題を解決し、競争力を高めるための経営施策の一つです。重要なのは、「AIで何ができるか」ではなく、「AIを使って何を実現したいのか」を明確にしたうえで取り組むことです。

AI開発は、構想、データ収集・PoC、開発、運用・改善という段階的なプロセスで進みます。それぞれの段階で適切な判断を行い、無理のないスケジュールと投資計画を立てることが、失敗を防ぐポイントとなります。

さらに、AIは導入して終わりではなく、運用しながら改善をつづけることではじめて価値を発揮します。精度だけを追い求めるのではなく、業務で使われ、成果につながるかどうかを重視する視点が求められます。あわせてセキュリティやガバナンスへの配慮も、経営層が主導して取り組むべき重要なテーマです。

AI開発を内製するのか、外部パートナーを活用するのかは、企業の状況や戦略によって最適解が異なります。自社の強みやリソースを見極め、現実的な体制を構築することが成功への近道となるでしょう。

ビジネスで最新のAIを活用したい方は、SHIFTへお気軽にご相談ください。

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林 栄一

監修

株式会社SHIFT
「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト
林 栄一

組織活性化や人材開発において豊富な経験を持つ専門家として、人材と組織開発のリーダーを務め、その後、生成AIを中心にスキルを再構築し、現在新人研修プログラムや生成AI講座開発を担当している。2008年にスクラムマスター資格を取得し、コミュニティーを通じてアジャイルの普及に貢献。勉強会やカンファレンス、最近では生成AI関連のイベントに多数登壇している。チームワークの価値を重んじ、社会にチームでの喜びを広める使命をもつ。

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この記事を書いた人

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

SHIFTは「売れるサービスづくり」を得意とし、お客様の事業成長を全力で支援します。無駄のないスマートな社会の実現に向けて、ITの総合ソリューションを提供する会社です。

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