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    チャットボット生成AIオペレーション品質向上

様々な業界の課題解決をPDFにまとめました

いくつかの導入事例をまとめたファイルをご用意しております。
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Summary

「共創」をキーワードに「あまがさき共創 DX プラン」を策定・実行している尼崎市様。市の方針として、公営企業局が市に先駆けて先進的なICTサービスやソリューションをPoC事業で導入し検証を実施。投資対効果を評価され、令和7年度には生成AIが庁内へ展開されています 。

「共創」をキーワードに
ニーズを起点としたDXを推進

DXの取り組みについて教えてください。

尼崎市様
尼崎市 総務局行政マネジメント部情報システム担当 課長 岡本 央様(以下、岡本様)

令和5年にCIO補佐官として杉原デジタル政策監が着任し、そこから『あまがさき共創DXプラン』を策定しています。「共創」をキーワードに市民、職員のニーズを起点としたしくみづくりを目指して、市民向け、職員向けに合計6本の柱で推進しています。

●市民向け
 ・広くニーズを集め 活かす仕組みづくり:広聴機会の拡大、データ活用
 ・行政手続のスマート化:市民・事業者等ニーズを反映した メリハリあるサービスづくり
 ・情報発信・協働:誰もが必要な情報を得て 活動参画できる仕組みづくり

●職員向け
 ・多様な働き方推進:スマートワーク推進と 支える組織風土の改革 (エンゲージメント向上)
 ・業務効率化:デジタルを活用したプロセス改革 データ活用(EBPM)
 ・人材育成:DX人材育成・セキュリティ強化

SHIFTが提供しているサービスについて教えてください。

岡本様

ひとつはチャットボットを使用した、市民向けの問い合わせサービスです。もうひとつは職員向けに生成AIを利用した企画・アイデア出し、文書の素案作成・要約、庁内ルールの検索効率化、本市ドキュメントデータ(例規類集など)を参照とした質問に対する回答を作成するサービスを導入しています。

市民のみなさまの利便性と対応品質向上を
目指しチャットボットを導入

チャットボット導入を検討した経緯について教えてください。

尼崎市様
尼崎市 公営企業局上下水道部料金担当 藤井 嵩士様(以下、藤井様)

これまで市民のみなさまからの問い合わせは平日の昼間に電話での受付がメインで、問い合わせのすべてには対応ができず、市民の方の満足度が低下する状態でした。そこで「容易に問い合わせできるようにする」「時間的な制約を取り除く」という課題の解決とすべての市民のみなさまからの問い合わせにお答えする方法を検討することになりました。また、職員は電話受付センターでは回答が困難なケースへの対応や、市民の方からの改善要望などに対応するため、その負荷を軽減する目的もありました。

今回の導入部署である上下水道部では、例年3月から4月にかけての転入転出が増加する時期に、水道の開始及び中止に関する問い合わせが全体の80%を占めるという特性があります。特にお客さまから水道申込に必要な「お客様番号、水道番号がわからない」といった同一内容の問い合わせが多い傾向があります。そこで、問い合わせの多い項目から容易に回答を得られ、24時間問い合わせを受け付けることができるチャットボットの導入を検討しました。

SHIFTの参画を決めた経緯を教えてください。

藤井様

機能やサポート体制といった点から、プロポーザル方式で選定をさせていただきました。選定委員が重要なポイントとして考えていたのはチャットボットの操作性とバックアップ体制です。あとは将来的にチャットボット以外への発展も考えたうえで選ばせていただきました。

尼崎市様
SHIFT 成澤

まずは、どのような課題をおもちなのか深掘りして、本質的な問題を特定し解決策を提案させていただきました。また、一時的な解決ではなくコールセンターへの問い合わせ内容(ログ)を分析。解決するためにホームページの検索のしやすさや説明方法の改善などについてもご提案しました。月次の定例報告を通じてチャットボットの利用状況をご説明し、将来を見据えた提案をさせていただいています。

開発は約3ヶ月間を想定し、2023年12月末に開始し、2024年3月末に完了するというスケジュールで対応しました。同年4月からは本稼働を開始し、現在は通常の運用に入っています。弊社は運用保守のフェーズも担当させていただいています。

開発時の感想を教えてください。

藤井様

当初想定した質問と回答をチャットボットに搭載する際に、紙やデータなど形式によってはうまく取り込めなかったものがありました。そこで「これは違う方法で取り込もう」と、ホームページ内のデータを引用するなどの解決策を提案していただき試行錯誤しながら進めました。

SHIFT 成澤

チャットボットの開発・運用経験が豊富なメンバーから、問い合わせの傾向から回答精度を向上できるようさまざまな解決策を提案させていただきました。

自治体は「正確な情報をわかりやすく市民に提供する」というミッションをおもちです。それに叶うように、問題に対する解決策を提示したうえで、対応方法を双方で協議し最適な案をご採用いただきました。

導入後の感想を教えてください。

藤井様

導入して約1年が経ちますが、オペレーターの業務がどのくらい減ったかは現時点でまだ調べきれていないところがあります。ただ、昨年と今年の同時期を比較すると、Webでの問い合わせが非常に伸びているという事実はあります。また、チャットボットの案内履歴を見ていると「Webでの手続きはどうしたらいいのか?」という質問が多いです。まだ定量的な成果の分析はできていませんが、問い合わせの手段が電話からWebに移ってきている点において効果は出ていると思います。

尼崎市様
公営企業局上下水道部料金担当 係長 岡田 慎一様(以下、岡田様)

導入と運用をはじめたのが、水道の開栓・閉栓の申し込みが集中する繁忙期でした。従来Web経由の問い合わせは、オンラインによる申し込みに関する内容が常に上位にあるという傾向がありましたので、チャットボットの導入によりお客さまが少しでもわかりやすく、オンラインでの申し込みができる環境を、構築していく必要がありました。

また、電話受付センターにお電話をいただいた際に流れる音声ガイダンスにて「ホームページでの受付もできます」という案内を入れて誘導し、ホームページ画面を展開したときにチャットボットでの案内を補足的に入れています。そうすることでホームページ内での手続きを多く完了させることで、電話受付センターへの問い合わせ件数の抑制に効果がでるものと見込んでおります。この4月で運用から1年になり比較できる具体的な数字はまだ検証中ですが、総合的に見て効果が出ているというのは認識しています。

今後の展開について教えてください。

岡田様

御社のチャットボットは継続して運用していきたいと考えています。また、当初からご提案いただいている、電話受付センターへの問い合わせ内容を分析するサービス「Voice Mill」などの導入も検討していきたいと考えています。やはり、チャットボット単体ではなく、ホームページとセットで市民のみなさまに対するサービスを向上することが狙いでもあります。

まずはチャットボットで電話受付センターの対応を減らすことで、オペレーターの応対品質をより充実させたいです。今後は「Voice Mill」を活用することでオペレーターのやりとりを解析して、問題点を特定しオペレーターやチャットボットの回答品質を向上させることで必要な情報をよりわかりやすくご案内する仕組みを構築し、総合的な応対品質向上を目指していかなければならないと考えております。今後もお客さまが便利でかんたんにお手続きができるよう環境整備を進めていきます。

尼崎市様

知識やノウハウを継承しながら
業務の効率化を目指し生成AIを導入

SHIFTの参画を決めた経緯を教えてください。

岡本様

生成AIを利用したサービスを導入したのは公営企業局になります。まず、少子高齢化の影響で職員の不足や世代ギャップが生じています。これまで職員間で知識やノウハウが継承されてきましたが、引き継がれた情報が古く使えない状態になっていることがあるという状態が発生していました。

そこで、AIを活用した業務内容やノウハウのナレッジ化推進を検討することになりました。具体的には、業務改革のなかで過去の膨大なデータや情報をナレッジとして蓄積し、RAG(Retrieval Augmented Generation)を利用した検索機能を使うことで、正確な情報を提供するとともに職員のナレッジが失われていくのを防ぎたいという狙いです。

まず、手順、マニュアル、簿冊など過去の資料をRAGで検索し、正確な情報を出力することで作業効率を向上させたいという考えが大前提にありました。公営企業局でもっているこれらのデータを得るために、前任者に電話をかけて聞いたり経験者を探したりするのではなく、RAGで検索することにより新任職員でも必要な情報を素早くかつ正確に得られる仕組みをつくりたいと思い、検討しました。

令和5年度にPoC事業として公募したのですが、プロポーザルで業者を選定する時点(2023年9月頃)ではRAGは先進市で実証が始まったところで、どのように活用すれば自治体の業務で効果が出るのか、まだ摸索していたと認識しています。実際に、数社から生成AIを利用したサービスを提案いただきましたが、そのなかで、先に述べた公営企業局の現状を理解して、こちらの求めているものをどのように解決できるかを具体的に提案いただいたのがSHIFTさんでした。

実際の業務について教えてください。

岡本様

外部に公開している条例、規則、市議会の会議録など、公開しているデータと内部のガイドライン、マニュアルなど前年度までのデータが対象になります。それらをすべてダウンロードして提供しました。高精度な回答をえるためにできる限り全量データに近いボリュームのデータを揃えました。1,000件近くのデータを1件ずつダウンロードするのは大変でした。

GTP-4(2024年3月時点)ではデータの種別により回答精度が変わりました。手順やマニュアルにおける図や表での表現は、人には容易に理解できる情報ですが、図における矢印の意味や、項目が並んでいる順番、表における行と列の関係性などは暗黙知となっており、そのままではAI適用に適していないことがわかりました。そのうえで、データの加工やプロンプトチューニングをする中で更問を繰り返して精度を検証するなど、ほぼ毎日のようにSHIFTさんと会議をしながら、結果として回答精度を上げていくということを進めました。また利用者からの要望をアンケート形式で収集しています。利用ログを分析し、回答精度の悪いものに対して対応策を提示いただくとともに、職員への教育や動画配布などの施策を通じて、最適な利用方法を職員が理解することによりよい循環に入れたと認識しております。それらの支援もあり本当に順調な運用ができていると思っています。

SHIFT 成澤

マニュアル類を使って日常業務を行う場合、知見をもっている方であれば「どのマニュアルを見ればよい」「これは使えるが、これは現在仕様が変わっていて使えない」などの暗黙知も理解していて簡単に対処できると思います。しかし、経験の浅い方などは知見がなく、いちから調べないといけない。さらに調べる際にも勘どころがあって、どこを見ればいいのかすぐわかる人とわからない人がいました。

条例などは何千ページにもわたるものもあり、内容もむずかしくそれ自体を正確に理解し読むだけでも大変です。さらに、それをどのように解釈し適用するのか判断するのも、知見が少ない若手職員や新任職員の方にとっては大変なことです。RAGを利用することによって迅速に情報を見つけ、過去の資料から判断を得やすくなったように思います。

また、特に入庁したばかりの方は行政用語がわからない場合、「生成AIを活用することで、自身で書いた文章を行政用語に変換できるので重宝している」というお声もいただきました。「情報を調べ、判断に活かす」という目的以外にもお役立ていただいています。

当社のサービスをご利用いただいた感想を教えてください。

岡本様

入庁したばかりの方や、入庁後1~2年の方が内部で決裁文書を起案するときに生成AIに添削をしてもらい、文書作成時間が大幅に短縮できたという話を聞いています。

SHIFTさんから月例で使用状況などを報告いただき、どこの部局・課がどのくらい使っているかは把握できています。今度、全課・所管課に向けて「どのくらい便利になりましたか?」というアンケートを取る予定です。

尼崎市様
公営企業局企画管理課 係長 藤山 政利様

実際の使用感ですが、導入時から標準仕様が改良されていてどんどん使いやすくなっていると思います。例えば、質問を投げたときに出典名だけが回答されていたので、出典となっているドキュメントの中身も確認できるようにしたいという話がありました。当初はなかなかむずかしいという話でしたが、今は中身を確認できるようになっています。また、「こういうところからも引用しているのか」というのが見られてとても便利になりました。庁内にあるマニュアルの原本を見に行くだけでもとても役立っています。

毎月実施しているアンケートでも「得たい結果が得られた」という回答が70%くらいあるので、活用されているのではないかと思います。まだRAGの部分は、やはり答えがバシッとはまらないこともありますが、情報が増えて便利になっていると思います。

研修の内容を検討する際に新しいアイディアを出してくれて、それを実際に研修に盛り込んでいます。資格取得の助成制度のポスターを作成する際にもキャッチコピーを考えてもらいました。そういった面でもさまざまな部署で役立っているのだろうと感じています。

岡本様

庁内のイントラで定期的に発信しているDXに関する情報のなかで、生成AIのことや使い方の例などを案内しています。あとは、情報を最新化したときも「例規情報を最新にしました」「議会の議事録を追加しました」という案内を発信して職員の目につくようにしています。こちらから情報を発信することで使っている人も安定的に増えてきていると思います。

さきほどお伝えしたとおり「どの部署が使っている」という情報は把握していますが、ほかの部署で自分たちが知らない使い方をしているという話を耳にすることもあります。その際は、実際にどのような使い方をしているのかなどのヒアリングをして情報を蓄積しています。1回も使ったことがない部門はほぼない状況です。

2024年6月に初めて全庁向けに展開した時は利用率が一気に伸びました。そこから年末にかけて少しずつ伸びている状態です。なにが理由か考えてみたところ、おそらく議会がはじまる時期で答弁案をつくるのに使っているようです。過去のデータをすべて参照して、議会で出た質問に対して答弁案をつくるというかたちです。

今後の展望について教えてください。

岡本様

市民向けに提供しているチャットボットをAI化することはできないか検討したいです。一般向けに公開するのは少し時間がかかりそうですが、市としてチャットボットが答える情報が確かなものだという保証ができるのでしたら、AI化したほうがよいのではないかと思います。

例えば、市のホームページに出ている情報をすべて集めて、そこから回答を作成してくれるAIチャットボットというかたちです。そうするとFAQなどをつくる必要がなくなります。ホームページにさえデータがあれば、そこからすべての答えをつくってくれるようになればと考えてはいます。

尼崎市様

※掲載内容は2025年3月取材時のものです。

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