株式会社スプリックス様 導入事例
若手技術者の育成体制強化
社内のIT部門を「ヒンシツ大学」で支援


Summary
『教育で「春」を届ける。』をコンセプトにさまざまな教育事業を展開している株式会社スプリックス様。主力の学習塾の事業を中心に、ITコンテンツ事業や検定事業など国内だけでなく海外にも展開。SHIFTでは、テストを中心とした品質向上の支援に加えて、SHIFTが培った知見を言語化し体系化した教育専門機関「ヒンシツ大学」を通した若手社員向け研修で支援しました。
若手技術者を育成するための
基礎教育と体制構築が課題
貴社が現在注力していることについて教えてください。

継続的に個別指導の「森塾」に力を入れています。これまでは首都圏が中心でしたが関西エリアへの開校を強化。また「森塾」だけでなく総合的な教育のサービスを届けるというところを引き続き展開しています。
特に海外では、国際基礎学力検定の「TOFAS(Test of Fundamental Academic Skills)」を積極的に展開しています。「TOFAS」はオンラインで受験できる基礎学力を測定・評価する国際検定です。これまで世界51ヶ国、1,200万人以上に受験いただいています。
SHIFTがご支援する以前の課題や導入いただいた経緯をお聞かせください。

私たちが働いている長岡市にある開発拠点は現在4年目になり、私は1期生として入社しました。当時はみんなゼロからのスタート。本部にIT部門があり最初は先輩エンジニアから教えてもらうというのが基本でした。ただ、彼らのほとんどは中途入社で基礎がありましたが、私たちには基礎がありません。
当時はOJTのかたちで実務の中で学んでいくということが中心。ただ、やはり基礎がしっかりしているともっと幅広い業務の選択肢があるのではないかと考えました。
そこで長岡オフィスのメンバーの能力をどのようにして底上げしようかを検討。最終的に「せっかくなので外部のサービスを使ってみよう」ということで研修を導入しました。
導入(受講)されたサービスについて教えてください。
当社が導入したのは、若手社員向け研修の「ヒンシツ大学のIT新書」です。2024年5月は6日間の講座を受講しました。具体的には「RDB/SQL演習」「テスト設計(機能テスト)」「不具合分析」「要件定義の実践」「上流工程での品質向上」「情報セキュリティ」「WBSと工数見積り」です。また、2024年10月は3日間にわたり「プロジェクトマネジメントの実践」「アジャイル・スクラム入門」「セキュリティ入門」を受講しました。
「見る」「聞く」だけではない体験と
すぐに実践で活用する意識づけを両立
実際に受講いただいていかがでしょうか?
社内でオンライン講座を視聴することができますが、やはりヒンシツ大学のような座学研修の方が「研修を受けた」という実感があります。「学んだ感」といいますか「自分たちはちゃんとこの研修を受けた」という自負が生まれます。やはり自分が受けたからにはちゃんとそれを活かさないといけないという意識がうまれました。
すごく納得感はあると思います。徹底的に話をしているので。みなさんとたくさん話せて楽しかったです。
受講したメンバーが研修後にそれぞれ新しい施策に取り組んでいたので、それがすごく嬉しかったです。
そうですね。私もそう思いました。「自分たちでやっていこう」という気持ちがみなさんから出てきていて、本当に嬉しかったですね。
「要件定義」の講座を受けたメンバーが、新規のプロジェクトが立ち上がる時に演習で使ったフォーマットでドキュメントを作っていました。1回学んだことをその通り真似してやってみようという姿勢が嬉しかったです。
守破離というやつですよね。
はい。まず守からということで。企画を担当している側から「要件定義をしたい」という依頼があります。これまでは一通り話を聞いて「一度持ち帰って考えて後日お戻しします」ということが多くて。意外と早く会議が終わったということがありました。
あるメンバーが講座で使ったドキュメントで「この課題に対してこういう対応を考えられるけれども、それは受け入れられますか?」とか「コストはどれぐらいですか?」というのを事前につくって持ち込んでいました。そこで「では一個ずつ上からいきましょう」と進めているのを見て「そんなものをつくっていたのか」と。手前味噌ながら「すごいな」と実感しました。
秋に受講した講座は、やはり「林先生の人となり」もあるというところで。講座内容も重要ですが、どのような講師に担当いただけるかがわかると安心感があります。そこで選ばせていただいたというところがあります。
「林先生の人となり」って(笑)。具体的どんな受け取りかたをされたのかお聞きしたいです。
今年新卒のメンバーが、林先生のことをすごく気に入っていて。特に「実際こういうことがあったんですよね」というエピソードなどが印象的だったようです。「実際に起きた話を聞かせてもらえるのってすごくいい体験だよね」といってくれて。
やはり自分たちからだと話せないエピソードがあると思って。経験豊富な方から実際のエピソードを聞けるというのは、個人的にもすごくありがたいことです。
私も逆に引き出されたところはありますね。「聞いてくれている」感がすごく、スポンジのようにどんどん吸収する。優秀な方をすごく採用されていて、勉強熱心な方が多いというところでしょうね。「もっと聞きたい」というオーラが伝わってきて、私もちょっと話しすぎたかもしれません(笑)。
入社して約1ヶ月の実務を経験したうえで受講したというのもあると思います。実務の中で課題に感じていたことや、正直何をやっているか正確に理解できないままやっていたことに対する答え合わせのような感覚です。
そういったことを改めて講座を受講することで確認ができるということで、高いモチベーションで取り組むことができました。「これはどうしたらいいのだろう?」と悩みながらやっていたことに、どのように対処すべきかがクリアになりました。「もっと効率的なやり方があるのでは?」「開発を進めるうえでどのポイントをおさえればいいのだろう?」など、本当にみんないろいろ課題に感じていました。課題ベースでどのような研修を受けたいか検討できました。
そういう課題があって、困っているからなんとかしたいという気持ちが現れてきたのでしょうね。納得できます。
秋の講座はいかがでしたか?
秋の研修は違う方が受けるのかと思い込んでいて、リストを見たら「あれ、全員みんな春に受講した人だ」と。急遽プログラムを変えさせていただいたのですけれども、それでおかげで5月からの振り返りができました。
私たちも入社4年目なので参加しました。受講者兼サポーター兼主催者みたいな。
私ももちろん受講者として、参加しました。
他の受講者とまったく変わらず、同じように扱いました。
コミュニケーションから生まれる一体感
「対話」と「技術」の化学反応を起こす
要望というより感想になりますが、開発拠点のメンバーとして参加してよかったというのは、守破離の「守」にあたる部分を強化できたことです。年々メンバーが増えてきて、プロジェクトごとで業務がわかれはじめてきています。そのなかでグループをつくって演習することで、ほかのメンバーと一緒に取り組んで検証後に感想を言い合って。映画を観た帰りみたいに「あそこそうだったんだね」というイメージで。ひとつのものにみんなで取り組んだという感覚があって、一体感がうまれました。
講座の内容以外で一番印象に残ったのは、すごくこちらに寄り添ってくださったところです。「そこまで対応してもらえるのだな」と思いました。自分たちのためにさまざまな調整をいただいたところが個人的にすごく印象に残りました。

明確な課題があることがわかったので提案しやすかったです。あとはみなさんの業務に合わせて週1回開催するような調整も必要だと、逆にこちらもすごく勉強になりました。
先ほども申し上げたように、受講生のみなさんの反応がすごく豊かで、吸収が速くスポンジのような印象がありました。「これがこういうときに起きたら大変だ」と具体的なケースを説明するときなどには、受講生の表情をすごく見ています。
今回はみなさんの表情を見ていて「見てくれているな」「伝わったな」と感じ取ることができました。これは講師としての醍醐味です。コミュニケーションが一方的ではなく、みなさんのなかでコミュニケーションをできたような感覚でした。受講生どうしの会話を見ていると、飾ることなく、ご自身の体験を踏まえて「これは嫌なことだ」とか「これは大変だ」と思っていることもオープンに話されている。そこにスプリックスさん特有の「対話の文化」があるのではないかと思いました。
ちょっと大げさかもしれませんが、ご自身のことを、ご自身の言葉で話されているという印象を受けました。うまく伝えられなかった時も相手の方がうまくサポートしていて思いやりを感じました。

開発拠点として成果を出していかなくてはいけないなかで、メンバーにはまず「技術が大事」と伝えています。そのような共通認識ももったたうえで入ってきてくれたメンバーが多かったです。
現在、2026年の新卒採用も動いています。そのなかで技術も大事ですが、やはり「人が好きな人」というメンバーが増えてきています。当社では「コミュニケーション・アンド・エデュケーション」という言葉をよく使います。教育の前にコミュニケーションが来ているのは意味があります。「森塾」には、学校の勉強が大変でなかなか勉強を好きになれない生徒さんが入塾します。
基本的に1人の先生が2人の生徒さんを指導するかたちになっています。そこでその先生と仲良くなって、コミュニケーションをとって、塾が楽しくなると学校の予習も楽しくなる。予習型の授業をすることで、「学校に行ったら塾でやったことだからわかるよ」「学校の授業もわかるようになって楽しいよ」と徐々に勉強に前向きになっていただくということを実践しています。
みなさんの考え方を聞いてすごく共感するところは、「教育者」を大事にするというところです。講座の企画なかでサポータートレーニングはうまくマッチングしたのかと思います。
自分たちも2人で受講して、まわりのメンバーに「どういうことを聞くか」など教えてもらう機会はあまりなかったです。新しい発見が多く取り入れているところはたくさんあります。
やはりみなさんは「教育で『春』を届ける」というコーポレートミッションでつながっているように感じました。これは私たちの価値観とすごく一致するところがあります。お互いに共感しながらみなさんにも春を届けるために、長いお付き合いをさせていただきたいなと思いました。

※掲載内容は2024年12月取材時のものです。

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