三菱UFJモルガン・スタンレー 証券
株式会社様 導入事例
変革していく証券ビジネスで
競争力をつけるために必要な
頼れるビジネスパートナー
Summary
システム開発の生産性向上が急務な中、Windows10移行に伴うアップデートサイクルの増加でテスト工数が膨らむことを懸念。SHIFTがテスト自動化の構築と実装をご支援しました。本事例以外にも、多端末検証、データ移行検証、PMO支援など様々な面で品質や生産性の向上のご支援を実施中。
求められるシステム開発の生産性向上 Windows10への移行で膨らむテスト工数を削減したい
SHIFTへ依頼する以前には、どんな課題があったのでしょうか。
本日、参加している3名とも部署や担当が異なります。私は企画側で、2人はいわゆる開発側です。中川は基盤担当で、嶋田はアプリケーションを担当していまして、それぞれの“想い”だったり“課題感”は違いますので、その辺も含めて各人からお話しします。
私の企画課では、数年前から、弊社のシステム経費を抜本的に可視化して課題を洗い出す動きがありました。そこで出てきた課題のうちの一つが“開発の生産性を上げる”というものでした。他社の証券会社と比べて、弊社のシステム開発効率がやや低下しており、その改善が急務でした。
私はWindows7から10への移行を担当しています。Windows10に移行すると半年ごとにOSがアップデートされます。サポート期間を考慮すると、1年ないし2年に1回の頻度で関連するアプリの確認が必要であり、テストの工数がかさんできます。テスト工数をどれだけ削減できるのかが課題解決の焦点となっていたとき、システム開発のテスト自動化・効率化を推進していく話が企画課にあり、ご協力いただきました。
私は信用リスク、担保管理業務に関わるシステムを担当しています。Windows10への移行に伴い、定期的なアップデートが発生し、その都度画面検証が必要になります。
テスト工数の削減を検討していたところ、昨年末頃に企画課の坂本から、自動化をSHIFTさんにお願いしたらどうかという話を受けました。実際にご提案を聞いて、短期間でスピーディーに対応いただける点に好印象をもちました。
対象システムは全部で230以上工数がかかっている上位10のシステムからアプローチ
プロジェクト進行にあたって苦労した点をお聞かせください。
実は、Windows10移行プロジェクトが立ち上がってから、基盤課が定期的に説明会を全チーム向けに実施していました。そこにSHIFTのプロジェクトメンバーの方にも入っていただき、自動化の内容や効果などについて説明していただきました。しかし、全体に向けた説明ということもあってか、賛同してくれるチームがゼロでした。
そこで、アプローチを変えました。230くらい存在するシステムのうち、工数がかかっている上位10のシステムに対して一緒にアプローチしていだきました。そのなかに嶋田が担当しているシステムもあり、直接会話してみると、やはり自動化した方がいいとなっていきました。
工数削減に加え、テスト期間の短縮やテスト品質の向上など自動化による効果は大きいと思いました。
ただ、SHIFTのプロジェクト以外にも並行案件が複数あったため、テスト環境の準備に苦労しました。並行案件と同時にテスト環境を利用できないケースもあったため、夕方以降にご対応いただいたこともありました。
アップデートによる想定工数を、テストの自動化によって約20人月から約10人月まで削減
プロジェクトの成果について期待値と比較していかがでしたか?
まず、フィジビリティスタディを挟むという進め方だったので、プロジェクトを動かすにあたって最小限に工数が抑えられる点がよかったです。
最初のフィジビリティスタディでは、自動化対象と選定したシステムの3分の2は自動化可能、一方、残りの3分の1のシステムは、例えばVisual Basicの古いバージョンでシステムが作られており、自動化の適用は難しいという結果でした。
自動化を適用できたシステムに関しては期待値以上でした。最終的な報告書をいただいて精査していますが、現状の無影響確認テストの工数を約50%削減することができました。
一方で、フィジビリティスタディの結果、自動化に向かないシステムが3分の1というのは想定より少し多いかなという印象でした。ただ、テクノロジーがどんどん進化する中で、古いテクノロジーで構築されたシステムに自動化が合わないのは、ある程度やむなしと考えています。
自動化を適用できたシステムでより良い結果が出た要因として、例えば嶋田が担当しているシステムがいい事例かと思います。プロジェクトが進むにつれて徐々にSHIFTの自動化チームのスキルが上がってきたこともあり、自動化の適用範囲を広げられるというケースがありました。嶋田が担当していたシステムは、当初は自動化を検討したテストケース全量のうち、約67%が自動化できるというフィジビリティスタディの結果でした。それが、プロジェクトが進行するにつれ、残りのテストケースも自動化できるということがわかり、結果的に嶋田のシステムの自動化の適用範囲は、90%以上まで上がりました。
多くのチームと連携するのは非常に大変だったと思いますが、そのなかでもSHIFTの方々はプロジェクトを通じてスキルアップし、そのスキルやノウハウを弊社に還元していただけて、各チームもメリットを享受できたことがとてもよかったです。
結果的に、自動化しない場合の対応工数を20人月と想定していたのに対して、テストの自動化で約10人月と、約50%削減できました。
テスト自動化していただいて、本格的に利用する機会はこれからになります。せっかく作っていただいたので、しっかり使っていきたいなと思っています。ありがとうございました。
Windows10化のプロジェクトとしても、今後のアップデート運用を見据えると今回の工数削減効果は大きかったと感じています。いざ自動化に踏み切ったら、画面キャプチャをとりながら3時間かけていた作業が、わずか10分にまで短縮できた事例もあるため、そのような効率化をより広い範囲へ展開し、標準化ができたらいいと思います。
変革していく証券ビジネスで競争力をつけるために
SHIFTへのご要望(ご期待いただいている点)をお聞かせください。
弊社は、レガシーシステムの規模をどんどん小さくしていき、俊敏型のシステムに変えていく方向へ動いています。そのための費用を捻出するには、レガシーシステムのテスト領域に御社に入っていただいて、より工数やコストを下げていきたい。レガシーシステムとはいえ品質は確保したいのですが、御社の品質も非常に高いという実績が、すでにMUFGグループにはあります。積極的にご支援をいただきたいと思っています。
また、レガシーとは真逆の方向で、いわゆるデジタルトランスフォーメーションと呼ばれるような領域においても、新しい知見をどんどん提供いただきたいとも考えています。証券のビジネスも変わってきており、かつ競争も激しいなかで、弊社のシステムの開発スタイルを変える必要性も出てきます。しかし、そこは私たちからすると未踏の領域です。他社実績なども含めて新しい知見を還元いただいて、より私たちが早くその領域へ辿り着けるようご支援いただけると嬉しいですね。
また、弊社がシステム開発の改革にチャレンジしていきたいと考えているものの、人材確保がなかなかできない状況です。その点も何か支援いただけるとありがたいです。
※掲載内容は2019年10月取材時のものです。
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