生成AIとは?できることや種類、活用事例、リスクについて解説

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生成AIとは?できることや種類、活用事例、リスクについて解説

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

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Introduction

近年、生成AIの技術が進歩し、ChatGPTや画像生成ツール、自動音声によるニュースの読みあげなど、身近なところで見られるようになりました。しかし、便利な技術である一方、生成AIで生み出されたコンテンツの品質に問題があるケースや、著作権、倫理面での問題などについても考慮が必要です。

この記事では、生成AIで実現できること、生成AIモデルの種類、生成AIを利用するメリット・デメリットなどについて解説します。

目次

生成AIとは?

生成AIとは

近年、生成AIの技術が著しく進化し、人々の生活に身近に感じるようになりました。しかし、生成AIとは具体的に何をできるものなのか、どのようなものがあるのか、実はよくわかっていないという人も多いでしょう。

ここでは、生成AIとは何か、その定義から解説していきます。

学習データからさまざまな新しいコンテンツを生成できるAIのこと

生成AIとは、機械学習や深層学習の技術で大量のデータを学習させることにより、テキストや画像、音楽、映像などのコンテンツを自動生成する技術です。

生成AIがなぜ人が生み出すようなコンテンツをつくれるのかというと、大量のデータを学習し、それを活用するからです。たとえば、大量の画像を学習させれば、そのデータをもとにパターンを学習し、新しい画像を生み出すことが可能です。

生成AIが活躍できる分野は広がっています。たとえば、プログラムの生成、ニュース記事の作成、広告の制作など、すでに身近で使われているものもあります。今後も生成AIの技術は進化し、活躍の場を広げていくでしょう。

従来のAI(識別系AI)との違い

生成AIと従来のAIは、実現できることやその仕組みがまったく異なります。ここでは、従来のAIを生成AIと区別するために、識別系AIと呼ぶことにしましょう。生成AIと識別系AIは、どちらも大量のデータを学習して、何かをアウトプットするという点では同じです。

生成AIは、大量のデータのパターンや関係性を学習し、新たなものを創造します。一方で、識別系AIは、大量のデータを整理・分類して予測を行い、決められた作業を自動化するにすぎません。

生成AIは新たな創造を行うのに対し、識別系AIは単に作業の自動化を行うだけです。このように、従来のAIと生成AIは一見似ているように思われますが、やっていることはまったく異なります。

生成AIができること

生成AIが実現できることは多く、今後も活躍の場は広がっていくでしょう。ここでは、具体的にどのようなことができるのか、その簡単な仕組みや活用事例について解説します。

テキスト生成

テキスト生成とは、質問をテキストで入力すると、その答えが返ってくるものです。Web上の情報を学習し、質問に対して回答を生成して答える仕組みのものが多い傾向にあります。

近年、注目されているのが「ChatGPT」です。たとえば「○○という商品はどんなもの?」と質問をすると、製造年やメーカー、商品の内容などを答えてくれます。「○○ができるプログラムを○○言語で作成して」などのお願いをすると、動くプログラムを返してくれるなどの使い方もできます。このような機能を無料で使えるため、爆発的に広まりました。

画像生成

画像を生成してくれる生成AIもあります。たとえば「エキゾチックな雰囲気の女性」と入力すると、異国風の衣装を身にまとった女性の画像が返ってくるなどです。

画像生成もテキスト生成と同様に、Web上の画像データなどを学習して、オリジナル画像を生成してくれます。ただし、インプット情報を誤認識したり、学習データが偏っていたりすると、見当違いの画像を返してくる点に注意が必要です。

有名な画像生成サービスに「Stable Diffusion」があります。ほしい画像のイメージをテキストで入力すると、イメージにあった画像を返してくれます。

動画生成

画像生成の進化版として、動画生成AIも存在します。画像生成と同様に、イメージをテキストで入力すると動画を返してくれたり、入力した動画を新しくつくり変えてくれたりするものです。

具体的な動画生成サービスとしては「Make-A-Video」や「Phenaki」などがあります。

音声生成

音声データを入力すると、その音声を使った新しい音声データを生成してくれる音声生成AIもあります。Microsoft社の「VALL-E」は、たった3秒間の音声サンプルがあれば、その音声による声を忠実に再現してくれます。

具体的には、ニュースの読みあげや、すでに亡くなった俳優や声優による音声の再現などが可能です。

代表的な4種類の生成AIモデル

生成AIにはいくつかのモデルがあり、実現したいことにあったモデルを採用します。ここでは、代表的なモデルを4種類ご紹介します。

GPT-3、GPT-4

GPT-3はテキストデータを学習し、まるで人と対話しているかのような文章を生成できる仕組みです。その仕組みは、以下のとおりです。

1.質問を受けとる
2.質問内容を解析して回答を導き出す
3.回答を出力する

OpenAIが開発したChatGPTが、この仕組みを活用しています。長文の要約や新たなアイデアの創出などに役立っています。

さらに進化したGPT-4は、GPT-3よりもはるかに高い性能で、高精度なテキストをアウトプットすることが可能です。GPT-3では、テキストの正確性を担保できない部分もありましたが、GPT-4の精度は非常に高いです。

GPT-4を活用すれば、ビジネスメールの生成や業務マニュアル作成、ドキュメントのレビューの実施などが可能です。

VAE

VAEは学習用データから特徴を学び、それをもとに、学習用データに似た新しいコンテンツを生成するモデルです。画像生成に使われることが多いです。

1.学習用データから特徴を学ぶ

2.特徴から新しいコンテンツを生成する

上記の仕組みから、特定の傾向をもつ作品を学ばせて、その作風に似た作品を生み出すのに向いています。たとえば、似たような作風の作家による画像データを学習させることで、その作風の新たな作品を生み出したいときなどに役立ちます。

GAN

GANは、VAEとはまったく異なる仕組みの画像生成モデルです。「Generator」というランダムに作成されたデータと、「Discriminator」という学習用の正しいデータを活用します。

1.ランダムなノイズをもとにGeneratorを生成する
2.正しいデータのDiscriminatorとGeneratorを比較する
3.比較結果からGeneratorを判定する
4.1~3を繰り返してGeneratorの精度を高めていく
5.精度が高まったら画像として出力する

解像度の低い画像から解像度の高い画像を生成する、テキストをもとに新しい画像を生成するなどの作業に向いています。

拡散モデル

拡散モデルは「Stable Diffusion」や「DALL-E2」などの画像生成AIに使われるモデルです。学習用に画像にノイズを追加し、そこからノイズを除去していくことで、画像を復元するという工程を繰り返していく仕組みです。

1.学習用画像にノイズを追加する
2.追加したノイズを除去していく
3.ノイズの除去を繰り返して画像を復元する
4.1~3を繰り返し、精度の高い画像を生成する

拡散モデルは、上記でご説明したGANの発展形です。

生成AIを利用するメリット

生成AIを利用するメリット

生成AIを利用することで、得られるメリットについてご説明します。

業務効率化ができる

もっとも大きなメリットとして、業務の効率化があります。生成AIを活用すれば、人間による作業を省くことが可能です。

たとえば、コールセンター業務の負荷を削減するために、生成AIによるチャットツールを活用することがあります。単なる質問なら、チャットツールに質問することで解決することも多く、コールセンターの対応を減らすことが可能です。

コンテンツ制作にかかるコストを削減できる

画像や映像、テキスト情報などのコンテンツ制作のコスト削減も可能です。

人間が一からコンテンツを制作するのではなく、生成AIを活用して自動生成し、それに手を加えることでコストを削減できるでしょう。

アイデアの創出につながる

画像や映像、テキスト情報の構想を一から生み出すのはむずかしく、時間がかかることですが、生成AIを活用すればすぐにアウトプットしてくれます。そこからアイデアをもらうことで、構想を生み出しやすいというメリットもあります。

プロトタイプを迅速に作成できる

プロトタイプ(試作品)をつくることで、はやめに問題を洗い出せる、構造や仕様を検討できるなどのメリットがあります。しかし、プロトタイプを作成するのも手間がかかります。そこで、生成AIを活用してプロトタイプを作成すれば、作成の手間を省くことが可能です。

たとえば、生成AIでプログラムのプロトタイプを作成し、それをたたき台にして問題を洗い出すなどの活用の仕方があります。

豊富なバリエーションのなかから最適な選択ができる

コンテンツを生み出す際に、人がたくさんの案を出すのは、手間やコストがかかるものです。そこで生成AIを活用すれば、多くのバリエーションの案を簡単に生み出せるため、そこから最適な選択ができるでしょう。

顧客対応力を強化できる

問い合わせ対応時に、生成AIによるチャット対応を行うことで、簡単な質問や問い合わせに対応することが可能です。その結果、担当者による問い合わせ対応の負荷が減り、顧客対応力の強化につながるでしょう。

生成AIを利用するデメリット

生成AIにはメリットが多い一方で、デメリットがあることも忘れてはいけません。ここでは、生成AIを利用するデメリットについて解説します。

誤ったコンテンツが作成される可能性がある

生成AIで生み出されたコンテンツは、人が目を通しておらず、誤ったコンテンツが作成される可能性も十分にあります。生成AIが情報を誤って認識している、学習用データがそもそも間違っているなどの可能性もあるためです。

その妥当性の検証が困難な場合も多く、使用時には注意が必要です。

数値にもとづかない予測がむずかしい

生成AIは、データをもとにして新たなコンテンツを生み出す仕組みなので、人の感情や直感、道徳の概念などをもとにした意思決定がむずかしいです。そのような判断を必要とする場合には、従来どおり人が判断する必要があるでしょう。

著作権や倫理面の問題に発展する可能性がある

作家によるイラストなど、著作権が発生するコンテンツを商用流用することで、著作権の侵害が発生する場合があります。また、人の音声や映像を活用して、実際にはいっていないことをいわせるなど、倫理面の問題が発生するケースもあるでしょう。

生成AIはいままでにない新しい技術のため、このような新たな問題への対処が必要です。

セキュリティ上のリスクが存在する

企業内の担当者の音声を悪用して、社内に潜り込むなどのセキュリティ上のリスクが存在します。情報漏えいやサーバー攻撃などのために、企業内に侵入する手段として悪用されることもあります。

運用開始後に性能が劣化する場合がある

運用を開始した後に、新たな技術が別に登場することで、その技術と比べると性能が劣る場合もあります。生成AIは新しい技術であり、次から次へと優れた技術が登場します。そのため、つねに新しい情報にアンテナを張っておく必要があるでしょう。

人間の仕事を奪ってしまう場合がある

生成AIは、人間と同等、またはそれ以上の精度のコンテンツを生み出せる技術です。そのため、人間の仕事を奪ってしまう可能性も十分にあります。

生成AIを安全に活用するためのポイント

生成AIを安全に活用するために、押さえておきたいポイントについてご説明します。

指示内容を変えながら、回答の精度を高める

生成AIは、与えるインプットが非常に重要です。質問内容が悪いと、それなりの回答しか返ってきません。指示内容を変えていくことで、回答の精度を高めていきましょう。

人力での検証・編集作業をはさむ

すべてを生成AIに任せるのではなく、アウトプットを人の目で検証し、編集することで精度を高めることも重要です。

生成AIを使ったシステム開発では品質保証を行う

生成AIを使ってシステム開発を行う場合は、品質保証作業が欠かせません。人の手による作業に対する品質保証以上の、質の高い検証が必要です。

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まとめ

この記事では、生成AIで実現できること、生成AIモデルの種類、生成AIを利用するメリット・デメリットなどについて解説しました。

生成AIは非常に便利で、業務の効率化に欠かせない技術ですが、一方で品質面や倫理面などで注意して活用する必要があります。

SHIFTでは、AIシステムに特化した品質保証フレームワークの導入を行い、安全性の高いシステム開発を一気通貫で支援しています。AIシステムによる品質面の担保が課題、AIを安全に使いたいという場合は、SHIFTにお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

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著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

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