VPN接続とは?仕組みやメリット・デメリット、安全に使うためのセキュリティ対策を解説

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VPN接続とは?仕組みやメリット・デメリット、安全に使うためのセキュリティ対策を解説

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

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Introduction

VPN接続は、広く活用されているネットワークの仕組みです。しかし、実はよくわかっていないという人も意外と多いのではないでしょうか?どのような種類があり、どれを選べばよいのかなどを知っておくことで、企業内のネットワーク環境のセキュリティレベルを高めることも可能です。

この記事では、VPN接続の定義、種類、VPN接続を安全に利用するためのポイントについて解説します。

目次

VPN接続とは?

VPN接続とは

VPNとは、インターネットの接続方法のひとつで、仮想専用通信網を使うものです。

ここでは、VPN接続の定義や、専用線を用いた接続との違いなどについて解説します。

認証技術や暗号化などで保護された、仮想的な専用ネットワークをつくる仕組み

VPNとは、Virtual Private Networkの略で、仮想専用通信網のことです。インターネット接続の際に物理的に独立した専用線を引けば、外部から通信を傍受されるなどのリスクがなくなり、安全です。しかし、個別に専用線を敷設する必要があり、費用面で現実的とはいえません。

VPN接続とは、物理的には共用の回線を使いながら、独立した専用回線のように使用できる接続方法です。認証技術や暗号化技術などにより通信が保護されており、一定のセキュリティレベルを保つことが可能です。

総務省の『テレワークセキュリティガイドライン第4版』によると、以下のように定義されています。

VPN接続

インターネット等の公衆回線網上で、認証技術や暗号化等の技術を利用し、保護された仮想的な専用線環境を構築する仕組み

VPNによる仮想的な専用回線を実現する技術は「トンネリング」と呼ばれます。VPN接続では、通信を行う2つの拠点の間を仮想的なトンネルで外部と隔絶し、クローズドなネットワーク通信を行えます。

また、仮想トンネル内を行き交うデータはパッケージ化されていますが、これをカプセル化することで外部から隠すことが可能です。

専用の仮想トンネルの出入り口には、認証システムが設けられています。二段階認証になっており、厳重に守られているのが特徴です。

そして、VPN接続でやりとりされるデータは暗号化され、たとえ認証が破られてデータが漏えいしても、データを解読できないようになっています。

このように、さまざまな仕組みでセキュリティレベルが高められています。

専用線との違い

専用線は、物理的に専用の回線が敷設されているものです。たとえば、企業の本社と支社を専用線で結ぶなど、部分的に採用されることが多いでしょう。

一方、VPN接続では、物理的に独立した専用回線を使用するわけではありません。共用の回線を使用しながら、上記でご説明したような技術を採用することで、セキュリティレベルが保たれています。

専用線とVPN接続は、物理的な回線の仕組みがそもそもまったく異なります。

VPNが必要とされている背景

インターネットを利用する際にもっとも気になることは、セキュリティ面でしょう。外部から盗聴されないか、データを盗まれることはないかなどを検討しなければなりません。

専用線を引いて物理的に外部から隔絶すれば、セキュリティのリスクを防ぐことが可能です。しかし、費用の面で現実的ではありません。そこで、VPN接続を利用すれば、共用回線を使って費用面の問題を解決でき、ある程度のセキュリティレベルを維持できます。

近年はサイバー攻撃が激増し、その手法は高度化しています。そのため、インターネット接続のセキュリティレベルを高めるために、VPN接続が幅広く利用されるようになりました。

VPNの種類

VPNには、いくつかの種類があります。ここでは、それぞれの仕組みやどのようなケースに適しているかを解説します。

インターネットVPN

既存のインターネット回線をそのまま活用する方法です。普通にインターネットに接続するだけで利用できるので、コストを抑えたい場合に適しています。ただし、通信速度などの品質は、回線環境によって左右されてしまうというデメリットもあります。

エントリーVPN

利用するのはインターネットではなく、安価な光ブロードバンド回線と閉域網を使います。セキュリティレベルがある程度高く、コストが低いのがメリットです。一定以上のセキュリティレベルが必要で、さらに低コストで運用したい場合に向いています。

IP-VPN

大手通信事業者が提供する閉域網を利用します。利用者だけがアクセスできる仕組みになっているため、暗号化は不要でセキュアな通信を利用することが可能です。ある程度のコストをかけられて、安定的に安全な通信網を利用したい場合に適しています。

広域イーサネット

カスタマイズ性の高いレイヤ2のレベルで提供される、自由度の高い通信方法です。企業や組織の要望や環境にあったネットワーク構成にカスタマイズしたい場合に適しています。ただし、コストが高く、利用できる回線の自由度が低い、利用できる帯域の範囲が狭いなどのデメリットがあります。

VPN接続を利用するメリット

VPN接続を利用するメリットについて解説します。

通信の安全性が向上する

VPN接続では、カプセル化、認証、暗号化などの技術により通信が守られています。そのため、一定のセキュリティレベルを維持でき、安全性を確保しやすいというメリットがあります。

リモート環境でも社内ネットワークにアクセスできる

VPN接続なら、リモート環境からでもアクセスしやすいというメリットがあります。近年、自宅やサテライトオフィス、外出先などからのリモートワークをする機会が増えました。そのため、リモート環境からアクセスしやすいVPN接続を利用することは、メリットが大きいといえるでしょう。

低コストで運用できる

既存インターネットを利用する方式を利用すれば、低コストで運用できます。低コストなのに、ある程度のセキュリティレベルを維持できるのは、大きなメリットといえるでしょう。

VPN接続のデメリット ・注意点

VPN接続にはメリットが多い一方で、デメリットもあります。ここでは、VPN接続を利用する際のデメリットや注意点について、ご説明します。

セキュリティリスクが存在する

VPN接続には、暗号化やカプセル化、認証などのセキュリティを高める仕組みが採用されています。しかし、あくまでも仮想的な専用回線なので、実際の専用回線ほどのセキュリティレベルは見込めません。サイバー攻撃を受ける可能性は十分にあり、セキュリティリスクが存在します。

通信速度が低下する場合がある

とくに、インターネットVPNやエントリーVPNの場合は公衆回線を使うため、通信品質の保証はされません。休日や夜間などのピークタイムには回線の利用者が多く、通信速度が落ちる場合もあります。

コストを重視しすぎると通信品質が落ち、業務に支障が出るレベルの通信速度の低下が発生することもあるため、注意が必要です。

製品によってはコストがかさむ場合がある

VPN接続のなかでも、IP-VPNや広域イーサネットVPNを利用することで、通信品質もセキュリティレベルも落とすことなく運用できます。しかし、その場合、相応のコストがかかることを頭に置いておく必要があるでしょう。

通信品質が落ちるがコストを安くしたい場合には、インターネットVPNやエントリーVPNを選ぶことをおすすめします。また、コストがかかっても通信品質を落としたくない場合には、IP-VPNや広域イーサネットVPNを選ぶなど、使いわけが必要です。

VPN接続におけるセキュリティリスクについて

VPN接続におけるセキュリティリスクについて

VPN接続を利用する際には、セキュリティリスクが存在することに注意しなければなりません。ここでは、VPN接続におけるセキュリティリスクについてご説明します。

VPN接続で注意すべきセキュリティリスク

VPN接続を利用すると、データが暗号化され、安全であるとご説明しました。しかし、なかには暗号化されていない安価なVPNサービスもあり、通信を傍受されると情報が漏えいする危険があります。

また、VPN機器などに脆弱性存在する場合、そこが狙われてサイバー攻撃にあうこともあります。脆弱性を突いてマルウェアをしかけられ、ランサムウェアに感染するなどです。

さらに、ひとつの拠点がランサムウェアなどに感染すると、VPN接続経由でほかの拠点に感染が広がってしまうこともあります。VPN接続を介してネットワーク全体にウイルス感染が広がるリスクもあるため、つねにセキュリティ監視を行い、リアルタイムで対策できる体制を整えておく必要があるでしょう。

VPNの種類別のセキュリティ強度

VPNの種類には、インターネットVPN、エントリーVPN、IP-VPN、広域イーサネットがあり、それぞれセキュリティ強度が異なります。

インターネットVPNは、オープンネットワークを利用するためセキュリティリスクが高く、利用者が多いことで通信品質も落ちます。そのかわり、低いコストで運用することが可能です。

一方、エントリーVPNは光ブロードバント回線を、IP-VPNと広域イーサネットは専用のクローズドネットワークを使用するため、セキュリティレベルが高いです。特定のユーザーしか使えない仕様になっているため、一定のセキュリティレベルを維持できます。

エントリーVPNは、価格が安い光ブロードバンド回線を使うためコストを抑えられますが、その分通信品質が低いというデメリットがあります。IP-VPN、広域イーサネットは専用のクローズとネットワークを使うため通信品質が高いですが、コストは高いです。

このように、VPN接続は使用する回線の種類によって、セキュリティや通信品質、コストが異なるため、用途にあった種類を選ぶ必要があります。

VPNが狙われた攻撃事例

実際に、VPNがサイバー攻撃を受けた事例をご紹介します。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、外部から組織内のネットワークに接続するために、VPN接続を使用していました。しかし、脆弱性を突かれて、不正アクセスによる内部侵入を許してしまいました。その結果、機密情報が外部に流出するインシデントが起こっています。

VPN接続を安全に利用するためのポイント

VPN接続を安全に利用するために、気をつけたいポイントについて解説します。

ほかのセキュリティソリューションと併用する

VPN接続を利用する際には、ほかのセキュリティソリューションを併用する必要があります。ウイルスソフトやネットワーク監視システムなどを導入して併用することで、セキュリティレベルを高めることが可能です。

サーバーの認証方式やパスワードを強化する

VPN接続する際の認証方式やパスワードを強化することで、不正アクセスなどのサイバー攻撃を防ぐことが可能です。二段階認証方式を導入する、パスワードを長くして文字種を増やして定期的に変更するなどの対策が有効です。

つねに最新の状態を保つ

脆弱性を突いたサイバー攻撃を防ぐため、VPN機器やソフトウェアなどのアップデートを定期的に行い、最新の状態を保つことも必要です。

公衆Wi-Fiの使用を禁止する

誰でも利用できる店舗や施設などに備えつけられている公衆Wi-Fiの使用は、禁止する必要があります。セキュリティを高めるための認証や暗号化などの対策がとられていないため、危険です。

従業員へのセキュリティ教育を実施する

利用する従業員のセキュリティ教育を定期的に実施して、情報リテラシーを高めることも大事です。どれだけセキュリティ対策を講じても、従業員のVPNの情報リテラシーが低いと、パスワードを人に教えてしまうこともあるかもしれません。それでは意味がないため、社内でセキュリティ研修などを定期的に実施する必要があるでしょう。

ゼロトラストネットワークへの移行も検討しよう

ゼロトラストネットワークとは、ゼロトラストの考え方をもとにしたネットワークの仕組みです。ゼロトラストとは、社内のネットワークなら安全などの考え方を捨て、ネットワークの内部、外部を問わず、厳密にアクセスを制御する考え方です。

ゼロトラストネットワークをとり入れることで、よりセキュリティを高められるでしょう。

▽あわせて読みたい▽
>>ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)とは?VPNから移行する必要性、注意点について解説のページへ

まとめ

この記事では、VPN接続の定義、種類、VPN接続を安全に利用するためのポイントについて解説しました。VPN接続はセキュアな通信方法ですが、サイバー攻撃を受ける場合もあるため、十分なセキュリティ対策が必要です。

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