BERTとは?Googleの自然言語処理モデルがもつメリット、活用例を解説

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BERTとは?Googleの自然言語処理モデルがもつメリット、活用例を解説

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

お役立ち資料

Introduction

質問に対して、まるで人間が対応しているように回答してくれるAIチャットツールといえば、ChatGPTが有名です。ChatGPTは、OpenAI社が開発した生成AIツールであり、GPTという言語モデルを使用しています。

このような言語モデルはOpenAI社のGPT以外にも存在し、Google社が開発したBERTも優秀な言語モデルです。しかし、BERTとはどのようなモデルなのかわからない、具体的にどのような場面で役立つのか知りたいという人も多いでしょう。

この記事では、BERTについて、導入のメリットや活用例を解説します。

目次

BERTとは?

BERTとは

BERTとは、Google社が開発した自然言語処理モデルです。ここではBERTについて、自然言語処理とは何かからご説明します。

Googleが提供している自然言語処理モデル

BERTとは「Bidirectional Encoder Representations from Transformers」の略で、Googleが開発した自然言語処理モデルです。BERTは文章の文脈を理解できるため、質疑応答、翻訳、文書の分類などのタスクを高精度で行えます。

BERTのもっとも大きな特徴は、文章の前後を考慮して文脈を理解できる点です。また、従来の言語モデルと比べて汎用性が高いことから、ビジネスや医療、政治の分野などで幅広く活用が進んでいます。

自然言語処理(NLP)とは?

自然言語処理とは、人間が発する言葉をコンピューターが分析し、処理するための技術のことです。

自然言語処理を行う際は、まず入力された文章を名詞や助詞などに分解します。バラバラに分解された単語の意味を抽出し、単語同士の関連性を解析して意味や文脈を理解したあと、コンピューターが理解できる数値に変換します。

このような仕組みにより、コンピューターは人間の言葉や文章を理解し、処理を行っているのです。

BERTが導入された背景

BERTは、2019年にGoogle検索エンジンに組み込むアルゴリズムに採用されたことで、話題になりました。BERTが検索エンジンに採用されたのは、文章の文脈理解に優れているためです。BERTが導入されたことで、検索ワードから検索された意図を把握する正確性が高まりました。

また、iPhoneのSiriなどAIアシスタントの利用が増え、「電気をつけて」「明日の天気を教えて」などの自然言語の音声検索が増加しました。そのため、文脈理解に優れた自然言語処理モデルである、BERTの導入が進んだといわれています。

BERTのメリット

BERTを導入すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか?ここでは、BERTがもつ特徴から、BERTを導入するメリットについて解説します。

高精度な言語処理ができる

BERTが登場する以前にも、GPT、ELMoなどの言語モデルが存在しています。どちらも優れた言語モデルですが、BERTのように文脈を読むことはむずかしいといわれています。

人間同士の会話では、多少言葉足らずな部分があっても、文脈を読めば意図が伝わるというケースも多いです。しかし、コンピューターに文章を理解させる場合、文脈を読んで理解してもらうのはむずかしいとされています。

対してBERTは、単語同士の関連性や前後の単語などから文脈を読みとれるため、より人間に近い高度な言語処理ができます。

汎用性が高い

BERTには、汎用性が高いというメリットもあります。

従来のモデルは、特定のタスクだけに対応するものが多く、汎用性に欠けていました。特定のタスクに対応させるためには、モデルの構造を修正する必要があります。しかしBERTなら、モデル構造の修正などは必要ありません。既存のモデルの前にファインチューニングをすることで、簡単に自然言語処理の精度を高めることが可能です。

データ不足を克服しやすい

言語モデルの精度を高めるためには、大量の学習データが必要です。従来のモデルでは、ラベルづけされたデータセットが必要ですが、ラベルづけされた大量データを得ることはむずかしく、学習を進めることが困難でした。

しかしBERTなら、ラベルづけされていないデータから学習することも可能です。ラベルづけされていないデータを得ることは比較的容易なため、データ不足を克服しやすいのは大きなメリットです。

BERTのデメリット・注意点

BERTは、精度の高い言語理解が可能な優れた言語モデルですが、一方でモデルが巨大すぎるというデメリットもあります。

具体的には、計算する際のパラメーターが多すぎるため学習に時間がかかる、必要なメモリ量が多いという点が問題です。なお、この課題を解決するために、BERTの軽量版である「ALBERT」が開発されています。

BERTの活用シーン

BERTの活用シーン

BERTは、さまざまな分野に活用が広がっています。ここでは、BERTが活用されているサービスについて解説します。

音声検索

BERTは、話し言葉のようなあいまいな言葉でも文脈の理解が可能なため、人間が発する音声から検索を行う、音声検索の分野に強みがあります。

iPhoneのSiriなどの音声サービスには「明日の天気を教えて」「トイレットペーパーを注文して」など、人間の話し言葉の意味を理解する言語モデルが必要です。このような場面において、文脈理解に優れたBERTが適しています。

今後も、AIを搭載したスマートスピーカーの利用者が増えていくことが予想されるため、BERTのニーズは高まっていくでしょう。

文章の要約

BERTは、文章の要約や分類なども得意としています。

ビジネスシーンでは、業務に必要な大量の文書を理解しなければならないなど、文章の要約が必要な場面が多いでしょう。そのような場合に、BERTを活用して文書の要約や分類を行うことで、大量の文書を扱う作業の効率化をはかれます。

また英語の文書だけでなく、日本語を含めた多言語の文書を扱うことも可能です。

翻訳

BERTは文章の文脈を読みとることが可能なため、より自然な翻訳を得意としています。そのため、BERTが組み込まれた言語翻訳ツールは、精度の高い自然な翻訳が可能です。

チャットボット

BERTは、問い合わせ対応などによく使われるチャットボットでも活用されています。AIが組み込まれたチャットボットは、商品やサービスなどに関する情報を与えることで自動応答が可能です。企業サイトなどにAIチャットボットを導入すれば、ユーザーから商品やサービスに関する質問を受けつけて、適切な回答をしてくれます。

一般的に、チャットボットの回答生成を自動化するためには、回答ロジックの設定などが必要なため、導入までにある程度の時間や手間が必要でした。しかしBERTは、過去の問い合わせ履歴をもとにチャットボットを構築できるため、導入までがスムーズです。

FAQデータ作成

企業サイトや商品・サービスのサイトなどに、FAQのページが用意されていることがあります。よくある質問とその回答がまとめられており、ユーザーが知りたいことをすばやく調べる際に役立ちます。

従来のFAQは、質問内容の分類ごとに質問を探していく、キーワードで検索して似たような質問を探すなどの使い方が一般的でした。しかしこの方法は、求めるFAQを探しづらいという難点があります。

そこでBERTの仕組みを組み込むことで、ユーザーが知りたいことに関連しそうなタグが提示できるようになります。ユーザーは自分が知りたいことに近いタグを選んでいくことで、目的のFAQにたどり着くことが可能です。

BERTの変遷・今後の 展望

Googleは、2019年にGoogle検索エンジンにBERTを導入し、現在は日本語を含む70以上の言語に展開されています。また、日本企業による文書分類アプリにBERTが組み込まれ、世界的に導入が進んでいます。

上記でご説明したとおり、チャットボットやスマートスピーカーの音声検索などにも、BERTの技術が活かされているのが特徴です。これらの技術のニーズは、今後ますます高まっていくことが予想されます。

BERTの研究は盛んに行われており、中国語向けの改良版なども開発が進んでいます。人間のような言葉のやりとりを行うまでには至っていませんが、自然言語処理が苦手としていた文章要約の技術も、大幅に進化しました。

このように、BERTの技術は今後もますます進化していくことが期待されています。企業はAI技術の進化に注目しつつ、ビジネスへの活用方法をつねに模索していく必要があるでしょう。

まとめ

この記事では、BERTについて導入のメリットや活用例を解説しました。

ここまでご説明したとおり、BERTは文章の文脈理解が得意な言語モデルであり、高精度な言語理解が可能です。そのため、より人間に近い高度な文章のやりとりを行えることが特徴です。

BERTは、Google検索エンジンに組み込まれており、音声検索やチャットボット、翻訳、文章要約などの幅広い分野で活用されています。

自然処理言語モデルといえばOpenAI GPTが有名ですが、他社のモデルであるBERTにも強みがあります。今後、どのようなAI技術が進化していくのか、着目しつづける必要があるでしょう。

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