プロンプトとは
AIに質問や指示を行うと、まるで人間と会話しているかのような回答や結果が得られます。このとき、AIに対して出す質問や指示がプロンプトです。
ここでは、生成AIを利用する際に必要なプロンプトについて解説します。
生成AIに対してユーザーが入力する指示や質問のこと
プロンプトとは、生成AIに対して、ユーザーが入力する指示や質問のことを指します。
プロンプトの元の意味は「促す」「刺激する」で、コンピューターの世界では、命令の入力待ちの状態を表す記号やメッセージのことを指します。コンピューターに入力する命令文は「コマンドプロンプト」と呼ばれ、AIが結果を生成するための指示文は「AIプロンプト」と呼ばれます。AIの分野で「プロンプト」といえば「AIプロンプト」のことです。
たとえば、画像生成AIに「雪が積もった富士山を描いて」というプロンプトを入力すると、指示通りの画像を生成してくれます。生成AIを活用するためには、入力するプロンプトの作成の仕方が非常に重要です。
生成AIの活用におけるプロンプトの重要性
なぜ、生成AIを活用する際にプロンプトが重要なのでしょうか?それは、AIに与えるプロンプトの内容次第で回答が大きく変わるためです。
生成AIからの回答の精度を高めるためには、適切な質問や指示を与えなければなりません。曖昧な質問や指示をしても、回答の候補が多すぎて、求める回答を得られないでしょう。
たとえば「おすすめのレストランを教えて」などと質問しても、質問が曖昧すぎて、どのジャンルのレストランなのか、どのエリアで探しているのかなどがわかりません。「〇〇駅周辺の中華料理店で、一人5,000円程度でランチを楽しめるおすすめの店を教えて」などと具体的に指示すれば、求める回答を得られる可能性が高まります。
このように、生成AIはプロンプトの指示に従って結果を生成するため、プロンプトの重要性は非常に高いことがわかります。
プロンプトの活用例
ここでは、具体的にどのようなケースでプロンプトを活用するのかをご紹介します。
・企業サイトに掲載する画像や動画などのコンテンツを作成する
企業サイトに掲載する画像や動画を、実際に人物や背景を用意してスタジオなど作成すると、多くのコストがかかります 。そこで、生成AIにプロンプトで細かく指示を出して生成することで、コンテンツ作成のコスト削減が可能です。
・報告書や議事録などを作成する
業務に必要な報告書や議事録などを作成する際に、必要な情報を集めてプロンプトで指示を出すことで、求める資料を作成することも可能です。人間が時間を割いて資料を作成するよりも、簡単に資料を作成できるでしょう。
・プログラムコードの作成や修正
生成AIは、プログラムコードの作成や修正も得意です。どのようなプログラムが必要なのか、修正の内容などをプロンプトで指示することにより、求めるプログラムコードを得られます。
プロンプトを書く際のポイント
プロンプトを適切に作成して生成AIに質問や指示を行えば、求める結果を得られる可能性が高まります。しかし、具体的にどのようにプロンプトを書けばよいか、わからないという人も多いでしょう。
そこで、ここではプロンプトを書く際のポイントをまとめました。生成AIの仕組みを業務に導入しようと考えている場合は、ぜひ参考にしてみてください。
目的にあったプロンプトの種類を選ぶ
プロンプトには、主に以下のような3種類があります。それぞれ目的が異なるため、目的にあったプロンプトを選ぶことで、求める結果を得やすくなります。
・命令
AIに何をしてほしいかを伝えるプロンプトです。「〇〇について教えて」「〇〇の画像を作成して」など、具体的に指示を出す方法です。
・補完
ユーザーが途中まで作成した情報を提示し、その情報にもとづき、推測してもらうプロンプトです。途中まで入力した文章の先を、AIが補完してくれるものです。
・実演
ユーザーが例を提示し、その例をもとに推測してもらうプロンプトです。「〇〇はおいしい、△△はおいしくない、では××は?」と質問すると、AIは事前に入力した例から推測して、結果を返してくれます。
要求を具体的に示す
曖昧な質問や指示を行うのではなく、要求を具体的に伝えることが重要です。
例:「〇〇の商品を使用する際に注意すべきポイントを教えてください」
→「〇〇の商品を使用する際に、安全を確保するために注意すべきポイントを教えてください」
どのような注意点を知りたいかを明確にすることで、目的にあった回答が得られます。
形式や条件を指定する
AIが回答をする際の形式や条件を指定することで、求める回答を得やすくなります。たとえば「300字以内で」「箇条書きで」「小学生でもわかるように」など、回答の形式や条件を指定することで、求める回答に近づけることが可能です。
参考となる情報を提供する
特定の分野に関する情報を得たい場合は、参考情報をあらかじめ与えておくと、回答の精度が高まります。たとえば、自社の商品に関する資料を作成したい場合は、商品情報を提供することで、精度の高い回答を得られます。
何度も追加で質問する
1回の質問や指示で、求める結果が得られるとは限りません。何度も追加で質問し、必要に応じて質問の内容を追加していくことで、精度の高い回答に近づけることが可能です。
代表的なプロンプトの型と書き方
プロンプトの作成の仕方には、いくつかの方法があります。
ここでは、生成AIのなかでも、もっとも一般ユーザーにとって親しみのあるChatGPTを例に、代表的なプロンプトの作成の仕方について解説します。
質問型プロンプト
もっとも基本的な質問を行う方法です。
【プロンプトの例】
・小説〇〇のあらすじを教えてください。
・現在のアメリカの大統領は誰か教えてください。
・「インボイス制度」についてわかりやすく教えてください。
指示型プロンプト
ChatGPTに対して、具体的に指示を行う方法です。たとえば「この文章を要約して」「この文章を翻訳して」「ソースコードを生成して」などと指示を行います。
【プロンプトの例】
・小学生でもわかるようにこの文章を要約してください。
・この箇条書きのメモからメールの文章を作成してください。
シナリオ型(話題設定型)プロンプト
ChatGPTに対して特定のテーマについて質問し、意見を生成してもらう方法です。
【プロンプトの例】
・AIを活用して業務改善するメリットとデメリットについて論じてください。
・〇〇という商品に対して、顧客からどのような問い合わせや質問がくると考えられますか?
深津式プロンプト(役割を指定する)
Note株式会社のCXO深津貴之氏による方法です。最初にChatGPTに対して「あなたは〇〇です」と役割を指定します。
【プロンプトの例】
#命令
あなたは「優秀なデータサイエンティスト」です。
以下の条件と入力文をもとに、出力をしてください。
#条件:
文字数は600文字程度
小学生でもわかる簡単な文章で
#入力文:
「AIを活用した業務改善に関する重要なポイントを教えてください。」
#出力文:
ReActプロンプト(推論・行動・観察の3段階で質問する)
ReActプロンプトとは「推論」「行動」「観察」という段階を踏んでいくことで、回答の精度をあげる方法です。まず推論を行う、次に必要な行動をとる、それを観察するという流れを行うことで深い考察を行うことが可能になり、回答の精度が高まります。
【プロンプトの例】
「AIを活用した業務改善のための方法を教えてください。」
Thought :
Action :
Observation :
このあと、ChatGPTは推論・行動・観察の3段階で回答することにより、精度の高い回答を引き出せます。
ゴールシークプロンプト(目標にあったプロンプトをAIにつくってもらう)
ゴールシーク式とは、目的にあったプロンプトをChatGPTに作成してもらう方法です。目的を達成するための質問をChatGPTがしてくるので、それに答えていくことにより、改善されたプロンプトを得られます。
【プロンプトの例】
ChatGPTへのプロンプトを一緒に考えてください。
以下のプロセスに従ってください。
1.最初に、何についてのプロンプトであるかを私に確認してください。
私が質問の答えを提供するので、次のステップを経て、継続的な反復を通じて改善してください。
2.私の入力に対して、プロンプトを作成してください。
3.プロンプトを作成したあとに私が追加の情報を提供するので、プロンプトを改善してください。
私が「完了」というまで継続してください。
このあと、ChatGPTがプロンプトを作成するための質問をしてくるので、それに回答していくことにより、目的のプロンプトを得られます。
まとめ
プロンプトは、生成AIを利用する際に非常に重要な要素です。具体的な情報を盛り込んだプロンプトを作成することで、生成AIはより高い精度の回答を生成してくれます。そのため、生成AIを業務に導入して、業務の効率化や生産性の向上に役立てたい場合は、プロンプトの作成について学ぶ必要があるでしょう。
AIツールを活用してビジネスに役立てたい、業務効率化に活用したいなどの場合には、SHIFTのDXサービス開発をご活用ください。それぞれのニーズやシステム環境にあった対応を行い、お客様のDX推進を強力にサポートいたします。
ご相談はこちらから。
>>お問い合わせ
>>料金について
AIを活用したDXサービス開発なら、SHIFTにご相談を!
この記事でもご紹介したとおり、生成AIをうまく活用できれば、業務効率の改善や生産性の向上などが期待できます。生成AIに質問や指示を行う際のプロンプトを適切に作成することで、AIツールを最大限に活用することが可能です。
しかし、AIツールを適切に構築して運用するには、プロンプトを適切に作成するための知識やAIに関する技術、ノウハウが必要です。IT人材が不足しており、新しいAIの仕組みやツールを導入するのはむずかしいという企業様も多いかもしれません。
そこで、SHIFTのDXサービス開発をご活用いただければ、そのようなお客様の課題を解決いたします。DX支援に豊富な実績があります。独自のノウハウでお客様に最適なソリューションをご提案します。
ご相談はこちらから。
>>お問い合わせ
>>料金について
監修
株式会社SHIFT
「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト
林 栄一
組織活性化や人材開発において豊富な経験を持つ専門家として、人材と組織開発のリーダーを務め、その後、生成AIを中心にスキルを再構築し、現在新人研修プログラムや生成AI講座開発を担当している。2008年にスクラムマスター資格を取得し、コミュニティーを通じてアジャイルの普及に貢献。勉強会やカンファレンス、最近では生成AI関連のイベントに多数登壇している。チームワークの価値を重んじ、社会にチームでの喜びを広める使命をもつ。