プロダクトライフサイクルとは?各段階の特徴・戦略、注意点について解説

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プロダクトライフサイクルとは?各段階の特徴・戦略、注意点について解説
株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

Introduction

製品の売上高の推移を4つのステージにわけて考える「プロダクトライフサイクル」という用語をご存じでしょうか?プロダクトライフサイクルとは、製品の売上のステージを、導入期、成長期、成熟期、衰退期にわける考え方です。それぞれのステージには特色があり、正しく理解することで、適切な販売戦略を講じることが可能です。

この記事では、プロダクトライフサイクルについて、各段階の特徴、戦略、注意点などを解説します。

目次

プロダクトライフサイクル(PLC)とは

プロダクトライフサイクル(PLC)とは

プロダクトライフサイクルとは何なのか、活用するメリットについて解説します。

業界の進展や変化を見るフレームワーク

プロダクトライフサイクルとは、製品の売上のステージを、導入期、成長期、成熟期、衰退期にわける考え方です。それぞれのステージで、変化していくニーズやトレンドなどに応じて、異なる戦略が求められます。各ステージの特徴を把握しておくことで、適切に管理することが可能です。

総務省の『世界的なグローバルマネジメント戦略論について』によると、以下のように説明されています。

プロダクトライフサイクル
プロダクトライフサイクルとは、業界の進展や変化を見るフレームワークである。
プロダクトライフサイクルを利用し、業界全体がどのように進展、変化するのかを把握する。

たとえば、製品を市場に投入したばかりの導入期は、広告費や人件費がかかる、製品の知名度が高くないなどの状態にあります。そのため、積極的に顧客とコミュニケーションをとり、製品をアピールしていくことが重要です。

そのあと、成長期になると売上が伸び、成熟期では市場の成長が緩やかになります。成熟期のフェーズでは、製品の差別化が重要になるでしょう。そして、衰退期に入ると顧客ニーズが減るため、モデルチェンジや新しい市場の開拓などが求められます。

このように、それぞれのサイクルにおける市場の特徴は大きく異なるため、つねに同じような販売戦略や製造管理を行っていても、売上の向上は見込めないでしょう。そのため、プロダクトライフサイクルの考え方を活用して、それぞれの段階にあった適切な対応をしていく必要があります。

プロダクトライフサイクルを活用するメリットとは?

プロダクトライフサイクルを把握しておくことは、マーケティングにおいて非常に重要な意味があります。企業が製品を製造・販売する際に、プロダクトライフサイクルを踏まえて対応できるかどうかは、販売戦略が成功するか否かに大きくかかわります。

プロダクトライフサイクルを活用するメリットは、以下のとおりです。

・市場における自社の製品の位置づけを把握できる
・各フェーズで適したマーケティング戦略を講じられる
・利益増加のための対応ができる
・コストの削減につながる

自社製品のプロダクトライフサイクルを正しく認識することで、各フェーズで効果的なマーケティング戦略を講じることが可能です。その結果、利益増加やコストの削減なども見込めるでしょう。

プロダクトライフサイクルの4つの段階

プロダクトライフサイクルの導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階について、それぞれの特徴や戦略、国内のテレビ製品が当てはまるフェーズについて、例をあげて解説します。

導入期

導入期とは、製品を売り出してすぐの時期であり、消費者からの認知度が低い状態です。この時期には、利益を出すことよりも、製品の認知度をあげることを重要視する必要があります。積極的に宣伝して広告を出すことが、導入期フェーズの重要な戦略です。利益が少ない時期ですが、市場のシェアを獲得するため、大胆に投資するべきでしょう。

たとえば、具体的にはテレビやラジオへのCM、チラシによる広告宣伝、試供品やサンプルの配布、展示会に出展するなどの施策があります。

国内のテレビを例にあげると、少し前ですが、日本では2020年3月にソニーが8Kテレビを発売しました。そのため、数年前は8Kテレビが導入期にあったということになります。

成長期

成長期には、製品の認知度が高まると同時に、競合の参入が激化する時期でもあります。そのため、他社製品との差別化アピールが重要になります。この時期にターゲットとなるのは、流行の最先端を追う「アーリーアダプター」と呼ばれる層です。この層に届く施策としては、インフルエンサーによる宣伝戦略などが効果的になるでしょう。

たとえば、製品の独自機能のアピールによる差別化、消費者からのニーズに対応した製品の改良、インフルエンサーマーケティング、販路や製造ラインの拡大などがあげられます。

国内テレビの例だと、少し前に導入期にあった8Kテレビは、成長期に入っています。消費者からのニーズに対応した機能の追加や改良、他社製品との差別化などが求められるでしょう。

成熟期

成熟期に入ると利益が安定し、大幅に売上が伸びていた状態と比べると、上げ幅は緩やかになっています。導入期や成長期に行っていた広告宣伝施策をそのままつづけると、コスト負担が大きくなってしまうでしょう。また、ターゲット層も移り変わり、製品の目新しさや独自性を求めるよりは、信頼感や安心感などを求める層に移行していくのが特徴です。

たとえば、製品の性能や信頼性をアピールする、新たな価値をユーザーアンケートなどで引き出す、ブランディング戦略をもう一度行う、メディアで引きつづきPRするなどの施策が適しています。

国内テレビの例でいうと、大型液晶テレビや4Kテレビはすでに多くの家庭に普及しており、成熟期を迎えています。そのため、故障しにくい、サポートが手厚い、動画アプリなどの新機能に対応しているなど、アピールポイントを変えていく必要があるでしょう。

なお、一般的に成熟期のあとは衰退期に入りますが、この間に飽和期を入れる場合もあります。飽和期とは、売上と利益が頭打ちになった時期のことです。市場が飽和状態に近づいているため成長の見込みが少なく、製品の差別化を行っても効果が薄くなります。しかし、潜在ニーズを掘り起こす、新しい市場を開拓するなどの対策によって、競合に差をつけられる可能性もあります。

衰退期

製品の代替品、上位互換などが現れて、市場が衰退する時期です。売上や利益が減少し、需要が減ります。衰退期に入ると、製品への投資を抑える、モデルチェンジや新しい市場開拓を計画するなどが必要です。

国内テレビの例でいうと、白黒テレビやプラズマテレビなどは、すでに衰退期に入っています。生産がすでに中止されている製品もあり、アフターサポートのみのフェーズに入っている場合もあるでしょう。

プロダクトライフサイクルの理解において重要な「イノベーター理論」

プロダクトライフサイクルを考える際に重要な「イノベーター理論」というものがあります。これは、1962年に米スタンフォード大学の教授である、エベレット・M・ロジャース氏が提唱した理論です。

価値観や行動などにより消費者を5つのタイプに分類し、市場に新製品や新サービスが浸透するプロセスを表しています。ここでは消費者の5つのタイプについて、簡単にご説明します。

・イノベーター
最初に製品を利用する層で、全体の約2.5%を占める。情報感度が高く、つねに新しいものを求める。

・アーリーアダプター
イノベーターほどではないが、新製品に敏感で、全体の約13.5%を占める。

・アーリーマジョリティ
新しいものを受け入れることに対して、やや慎重ではあるものの、関心は高い。全体の約34%を占め、市場に新製品を浸透させる重要な層である。

・レイトマジョリティ
新製品に対して慎重な層で、全体の約34%を占める。

・ラガード
全体のなかでもっとも保守的な層で、全体の約16%を占める。新製品に懐疑的で、文化的に浸透したレベルではじめて、購入の検討をはじめる層。

イノベーターやアーリーアダプターは導入期に、アーリーマジョリティは成長期に、レイトマジョリティは成熟期に、ラガードは衰退期にそれぞれ貢献する層です。「イノベーターとアーリーアダプター」「アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガード」の間には大きな溝があり、ここを乗り越えることが重要といわれています。この理論は「キャズム理論」と呼ばれます。

新製品を販売する際は、自社製品において、上記のそれぞれの層はどこにいるのか、導入期から成長期に突入するためにはどうすればよいのか、検討する必要があるでしょう。

プロダクトライフサイクルを活用する際の注意点

プロダクトライフサイクルを活用する際の注意点

プロダクトライフサイクルを活用する際に、注意すべき点について解説します。

サイクルに当てはまらない製品もある

すべての製品に、プロダクトライフサイクルが当てはまるとは限りません。たとえば、生活必需品は長い期間需要が高く、頻繁なモデルチェンジが求められない場合もあります。また、季節商品や独自性の強い商品などは、ライフサイクルが大きく異なります。

あらゆる製品でプロダクトライフサイクルの短期化が進んでいる

近年は、消費者のニーズの多様化が進んでおり、あらゆる製品において、プロダクトライフサイクルの短期化が進んでいます。同様の製品がいままでは売れる期間が長かったとしても、今後はそうとは限らないため注意が必要です。

あくまで判断基準のひとつとして活用する

プロダクトライフサイクルは、あくまで判断基準のひとつであり、過信しすぎるべきではありません。理論上で、市場の成長具合を判断しているにすぎず、実際は予想外の動きをする場合もあります。

そのため、あくまで判断基準のひとつととらえ、実際の売上や顧客層の情報、世間の流行などをもとに、適切に分析や判断を行う必要があります。

まとめ

プロダクトライフサイクルとは、製品の売上のステージを、導入期、成長期、成熟期、衰退期にわける考え方です。それぞれのステージで、変化していくニーズやトレンドなどに応じて、異なる戦略が求められます。各ステージの特徴を把握しておくことで、適切に管理することが可能です。

現在では、さまざまな製品がソフトウェアと連動しており、組み込みソフトウェアだけでなくスマホアプリやWebサイトと連携している製品が数多く存在します。このような高度な機能をもつ製品のプロダクトライフサイクルは動きが非常にはやいため、スピーディーな開発が求められます。

このような動きがはやい製品の開発に適している開発手法が、アジャイル開発です。アジャイル開発とは、設計、開発、テストというサイクルを短いスパンで繰り返すことで、開発を進める手法です。各サイクルで顧客からの要望を柔軟に取り入れやすいため、ライフサイクルが目まぐるしい製品の開発に適しています。

継続的なプロダクト開発に伴走する、SHIFTのアジャイル開発支援

「品質の高いシステム開発ができる外注先を探している」「新しい開発手法を導入して生産性の向上や顧客満足度の向上につなげたい」「アジャイル開発を導入したいが、社内に対応できるIT人材がおらずノウハウもない」などの悩みを抱えている企業様は多いかもしれません。

アジャイル開発は、比較的新しい開発手法です。短いスパンの開発を繰り返すため、機能変更や機能追加に柔軟に対応できるというメリットがあります。しかし、アジャイル開発をスムーズに進めるためには、豊富な専門知識や経験、ノウハウが必要です。アジャイル開発に関する知識やノウハウがない状態で、アジャイル開発に移行するのはむずかしいでしょう。

そこで、SHIFTのアジャイル開発支援(SHIFT 1LINE)をご活用いただければ、お客様のアジャイル内製開発体制の構築とプロジェクト推進において、開発・ITガバナンス・プロダクトデザインなど、すべての局面で強力にサポートいたします。

短期的な人材確保や長期的な人材育成など、お客様のニーズにあわせて対応し、お客様のシステム開発に柔軟性とスピードをもたらします。

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永井 敏隆

 

監修

株式会社SHIFT
「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト
永井 敏隆

大手IT会社にて、17年間ソフトウェア製品の開発に従事し、ソフトウェアエンジニアリングを深耕。SE支援部門に移り、システム開発の標準化を担当し、IPAのITスペシャリスト委員として活動。また100を超えるお客様の現場の支援を通して、品質向上活動の様々な側面を経験。その後、人材育成に従事し、4年に渡り開発者を技術とマインドの両面から指導。2019年、ヒンシツ大学の講師としてSHIFTに参画。

担当講座

・コンポーネントテスト講座
・テスト自動化実践講座
・DevOpsテスト入門講座
・テスト戦略講座
・設計品質ワークショップ
など多数

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ヒンシツ大学とは、ソフトウェアの品質保証サービスを主力事業とする株式会社SHIFTが展開する教育専門機関です。
SHIFTが事業運営において培ったノウハウを言語化・体系化し、講座として提供しており、品質に対する意識の向上、さらには実践的な方法論の習得など、講座を通して、お客様の品質課題の解決を支援しています。
https://service.shiftinc.jp/softwaretest/hinshitsu-univ/
https://www.hinshitsu-univ.jp/
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SHIFTは「売れるサービスづくり」を得意とし、お客様の事業成長を全力で支援します。無駄のないスマートな社会の実現に向けて、ITの総合ソリューションを提供する会社です。

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