Introduction
いまやビジネスや個人の生活などあらゆる分野で、ソフトウェアはなくてはならないものです。多種多様なソフトウェアが開発され、その開発手法もさまざまなものが登場しています。
この記事では、ソフトウェア開発とは何なのか、その種類や流れ、代表的な開発モデルなどについて解説します。
目次
ソフトウェア開発とは

ソフトウェア開発とはどのようなものなのか、ソフトウェアとハードウェアの違い、企業におけるソフトウェア開発の重要性などについて解説します。
情報システムやアプリケーションソフトなどの開発を行うこと
ソフトウェアとは、コンピューター上で動作するプログラムのことであり、例として表計算ソフトのExcelや文書作成ソフトのWordなどがあります。ソフトウェア開発とは、ソフトウェアを設計、開発することです。
ソフトウェアとハードウェアの違い
ソフトウェアに対して、ハードウェアという言葉がありますが、両者は何が違うのでしょうか?
ハードウェアとは、サーバー、プリンタ、ディスプレイ、スマートフォンなど、形のある機器のことを指します。ルーターやファイアウォールなどのネットワーク機器もハードウェアです。
一方でソフトウェアは、ハードウェアのように形がなく、コンピューター上で動作するプログラムのことです。ExcelやWord以外にも、メールソフト、ウィルス対策ソフト、Outlookなど、さまざまな種類のソフトウェアが存在します。
また、WindowsやiOSなどのOS(オペレーティングシステム)、スマホに搭載されたアプリケーション、ゲームソフトなども、ソフトウェアに該当します。
企業におけるソフトウェア開発の重要性
上記でご説明したとおり、ソフトウェアには多種多様なものがあり、日々の生活やビジネスに欠かせないものとなっています。日常生活やビジネスは、デジタル技術によって革新的な変化を遂げており、それを支えているのがソフトウェア開発です。
近年はデジタル化によって、新しい価値や新しいビジネスモデルを創造する、DXの推進が進んでいます。たとえばAIの導入で天気予報や渋滞予測の精度を大幅に向上させる、顧客情報など膨大なデータをAIツールで分析し、売れ筋商品を把握してマーケティング戦略に活かすなど、新たな価値を創造できます。
ソフトウェア開発は、デジタル技術を活用したDXの推進に欠かせないものであることは間違いないでしょう。
DXについてはこちらもご覧ください。
>>DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?なぜ必要なのか、進め方もあわせて解説のページへ
生成AIについてはこちらもご覧ください。
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ソフトウェア開発の種類
ソフトウェア開発にはさまざまな種類があります。ここでは、いくつかの種類を解説します。
Webシステム開発
Webシステムとは、Webブラウザ上で利用できるシステムのことで、例としてYouTubeなどの動画視聴サイト、ECサイトのAmazonなどがあります。パソコンやスマートフォンなどにインストールして利用するソフトウェアとは異なり、ハードウェアの影響を受けません。ブラウザとインターネット環境さえあれば手軽に利用できます。
Webシステム開発とは、このようなWebシステムを開発することです。
アプリケーション開発
アプリケーションとは、表計算、画像編集、メールなど、特定の作業をスムーズに行うために開発されたソフトウェアのことです。このようなアプリケーションを開発するのが、アプリケーション開発です。複数の機能を組み合わせたアプリケーションも存在し、製品の規模や機能によって開発期間や開発費用が大きく異なります。
組込みシステム開発
組込みシステムとは、洗濯機やエアコンなどの家電製品、自動車や産業ロボットなどに組み込まれたソフトウェアのことです。たとえば最近のエアコンには、人の存在や気温、湿度などを感知して、適切な温度や風量に調節する高度な機能が備わっています。これらの機能を実現するために、エアコンに組込みシステムが内蔵されています。
このような組込みシステムを開発するのが、組込みシステム開発です。ハードウェア特有の性質や実行環境についての知識が必要であるなどの点で、ほかの開発とは性質が異なります。
ソフトウェア開発の流れ
ここではソフトウェア開発の実際の流れと、それぞれの工程における開発をスムーズに進めるコツについて解説します。
①要件定義
まずはソフトウェアを利用する顧客やユーザーにヒアリングを行い、どのような機能や使い勝手を求めているのかを調査します。詳しくヒアリングするために、あらかじめ要望をまとめておく、具体的に聞き出すなど質問の仕方を工夫する必要があります。
ヒアリング結果をもとに、開発するソフトウェアの要件を詳細に定義し、要件定義書にまとめます。ヒアリング結果以外にも、現状の問題点を分析するなどの方法で要件を詳細に分析し、業務フローや画面定義などについてドキュメント化します。
開発するソフトウェアの仕様や機能が決まるため、非常に重要な工程です。できるだけ具体的な記述で詳細に記載し、漏れや見落としがないようにする必要があります。要件定義書が完成したら、顧客や関係者にレビューしてもらうなどにより、要件漏れやミスなどを防ぐことが重要です。
要件定義についてはこちらもご覧ください。
>>要件定義とは?作成手順や前後の流れをわかりやすく解説!のページへ
②設計
要件定義書をもとにシステムの概要を設計します。システムの構造、画面やデータベースなどの入出力、処理方法などを設計します。
設計には「基本設計(外部設計)」と「詳細設計(内部設計)」があり、順番に設計を進めていくのが特徴です。ソフトウェアが外から見てどのように動くのかを決めるのが基本設計、内部でどのように実現するのかを決めるのが詳細設計です。
③実装(プログラミング)
詳細設計書をもとに、実装(プログラミング)を行います。プログラミングについての高度な知識や技術、経験が必要とされます。既存の部品やフレームワーク、テンプレートなどを駆使すると、品質の高いソフトウェアを効率よく実装することが可能です。
④テスト
テスト工程には、単体テスト、結合テスト、システムテスト、受け入れテストという複数の工程があり、順番に実施していきます。単体テストでは各モジュールのテストを、結合テストでモジュール同士を結合させたテストを行うなど、それぞれのテストで観点が異なるのが特徴です。
システムテストでは、システム全体の機能テストや性能テストなどを行い、受け入れテストで最終的な確認をして、すべてのテストを問題なく終えたらリリース作業に移ります。
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>>コンポーネントテスト(単体テスト、ユニットテスト)とは?実施方法や重要性をわかりやすく解説のページへ
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⑤リリース
完成したシステムを顧客へリリースします。システムの運用を開始できるように、仕様書類や運用マニュアルなども顧客へ受け渡します。
⑥運用・保守
運用・保守フェーズに入ると、システムを安定稼働させるために、定期的なメンテナンス作業や監視作業などを行います。また顧客からの問い合わせ対応、トラブル発生時の対応、システム改修などの作業が発生する場合もあります。
代表的なソフトウェア開発のモデル

ここでは、代表的なソフトウェア開発のモデルについてご説明します。
ウォーターフォール開発
ウォーターフォール開発とは、要件定義、設計、実装、テスト、リリースまでのプロジェクト全体の計画を最初に行い、リリースまでを一度に行う開発手法です。ウォーターフォールとは「滝」ですが、後戻りできない滝のように前工程に戻ることがないことが名前の由来となっています。
最初にすべてを計画してしまうため、計画を立てやすいというメリットがあります。しかし、開発途中にバグや顧客からの仕様変更が発生した際に手戻りが大きいです。開発が一度はじまってしまうと、柔軟に変更に対応ができないのがデメリットといえます。
ウォーターフォール開発についてはこちらもご覧ください。
>>ウォーターフォールモデルとは?メリット・デメリット・特徴をわかりやすく解説のページへ
アジャイル開発
ウォーターフォール開発には、後戻りや変更がしづらく、顧客からの要望を開発中に取り入れにくいというデメリットがありました。そこで、ウォーターフォール開発の弱点を克服するために、設計、製造、テストという短い開発を繰り返して完成に近づけるアジャイル開発が登場しました。
短いスパンの開発サイクルを繰り返す際に、顧客からの要望に柔軟に対応しやすいのがメリットです。
アジャイル開発についてはこちらもご覧ください。
>>アジャイル開発とは?概要や進め方、ウォーターフォール型開発との違いやスクラムについて解説のページへ
関連サービスについて
スパイラル開発
スパイラル開発とは、要件定義、設計、プログラミング、テスト、評価という工程を繰り返す開発手法のことです。それぞれの開発をスパイラルと呼びますが、各スパイラルの最後でリスク評価やプロジェクトの評価を行います。
アジャイル開発のサイクルが1~4週なのに対して、スパイラルモデルでは1サイクルに数ヶ月以上かかるという違いがあります。スパイラルの途中でリリースすることはなく、すべての機能がそろってからリリースします。
プロトタイプ開発
プロトタイプ開発では、試作品であるプロトタイプを作成して顧客や関係者にいちはやく使用感を試してもらうことを目的としています。そうすることで、早期に要件を明確にすることが可能です。
ソフトウェア開発に関わる職種の例
ソフトウェア開発に関わる職種についていくつかご説明します。
システムエンジニア
システムエンジニア(SE)は、要件定義から設計、リリースまでのソフトウェア開発全体に関わります。主に要件定義、設計という上流工程に携わり、品質管理やプロジェクト全体の進捗管理、課題管理なども担当します。
プログラマー
ソフトウェアのプログラミングに特化した職種です。設計書をもとにプログラミングを行い、テストも担当します。
デザイナー
ソフトウェアの画面やロゴ、アイテムなどのデザインを行います。見た目が美しいデザインだけでなく、ユーザーが使いやすいUI/UXデザインについても考慮し、画像ソフトや動画ソフトなどを用いてデザインします。
営業
ソフトウェア開発において、営業担当は、顧客やユーザーと開発担当者をつなぐ役割をもっています。顧客からソフトウェアに求める要件や機能をヒアリングして開発担当者に伝える、ソフトウェアの細かい仕様や使い方などを顧客に伝えるなどの業務を行います。
また新規顧客の開拓や、既存顧客へのサポートなども重要な業務です。
プロジェクトマネージャー
プロジェクト全体を管理するプロジェクト責任者です。プロジェクト内の課題管理や進捗管理、メンバーの育成や関係者との間に入って各種調整などを行い、プロジェクト全体を管理します。
関連サービスについて
まとめ
ソフトウェアとは、コンピューター上で動作するプログラムのことであり、例として表計算ソフトのExcelや文書作成ソフトのWordなどがあります。ソフトウェア開発とは、ソフトウェアを設計、開発することです。
ソフトウェア開発の手法にはさまざまな種類があり、近年は顧客やユーザーからの要望に柔軟に対応できる、アジャイル開発が採用されることが増えています。
アジャイル開発を導入して、顧客のニーズや仕様変更に柔軟に対応できる開発を行いたい場合は、SHIFTのアジャイル開発支援(SHIFT 1LINE)をご活用ください。お客様のアジャイル内製開発体制の構築とプロジェクト推進において、開発・ITガバナンス・プロダクトデザインなど、すべての局面で強力にサポートいたします。
継続的なプロダクト開発に伴走する、SHIFTのアジャイル開発支援
「顧客の要望を迅速にとり入れられるアジャイル開発の手法を導入したい」「アジャイル開発手法を導入して顧客満足度の高い製品を開発したい」「アジャイル開発を導入したいが、社内にノウハウがない」などの悩みを抱えている企業様は多いかもしれません。
アジャイル開発は比較的新しい開発手法です。短いスパンの開発を繰り返すため、機能変更や機能追加に柔軟に対応できるというメリットがあります。しかしアジャイル開発をスムーズに進めるためには、豊富な専門知識や経験、ノウハウが必要です。アジャイル開発に関する知識やノウハウがない状態で、アジャイル開発にシフトするのはむずかしいでしょう。
そこで、SHIFTのアジャイル開発支援(SHIFT 1LINE)をご活用いただければ、お客様のアジャイル内製開発体制の構築とプロジェクト推進において、開発・ITガバナンス・プロダクトデザインなど、すべての局面で強力にサポートいたします。
短期的な人材確保や長期的な人材育成など、お客様のニーズにあわせて対応し、お客様のシステム開発に柔軟性とスピードをもたらします。

監修
永井 敏隆
大手IT会社にて、17年間ソフトウェア製品の開発に従事し、ソフトウェアエンジニアリングを深耕。SE支援部門に移り、システム開発の標準化を担当し、IPAのITスペシャリスト委員として活動。また100を超えるお客様の現場の支援を通して、品質向上活動の様々な側面を経験。その後、人材育成に従事し、4年に渡り開発者を技術とマインドの両面から指導。2019年、ヒンシツ大学の講師としてSHIFTに参画。
担当講座
・コンポーネントテスト講座
・テスト自動化実践講座
・DevOpsテスト入門講座
・テスト戦略講座
・設計品質ワークショップ
など多数
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ヒンシツ大学とは、ソフトウェアの品質保証サービスを主力事業とする株式会社SHIFTが展開する教育専門機関です。
SHIFTが事業運営において培ったノウハウを言語化・体系化し、講座として提供しており、品質に対する意識の向上、さらには実践的な方法論の習得など、講座を通して、お客様の品質課題の解決を支援しています。
https://service.shiftinc.jp/softwaretest/hinshitsu-univ/
https://www.hinshitsu-univ.jp/
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