Introduction
社内インフラは、企業活動を支える重要な経営基盤です。デバイス(PC・周辺機器)やサーバー、ネットワークといった設備はもちろん、業務システムやセキュリティ、運用ルールまで含めて適切に整備することで、業務効率の向上や情報漏えいリスクの低減、柔軟な働き方の実現に繋がります。
一方で、目的が曖昧なまま導入を進めると、過剰な投資をしてしまったり、現場で使われない仕組みになったりすることも考えられます。
この記事では、社内インフラの基本的な考え方から構成要素、整備の進め方、注意点、外部パートナー活用のポイントまでを解説します。
目次
社内インフラの意味と範囲

社内インフラとは、社員が日々の業務を円滑に進めるための「ITの基盤」全体を指します。具体的にはデバイス(PC・周辺機器)やサーバー、ネットワーク、各種業務ソフト、さらにはそれらを安全に運用するための仕組みまでを含んだ、いわば「会社の土台」です。
「社内インフラ=ネットワークやサーバー」と限定されたイメージをもたれがちですが、実際にはそれだけではありません。社員が業務で使うPCや周辺機器、データを保存・共有する仕組み、社内外と繋がる通信環境、そしてセキュリティ対策や運用ルールまで含めて、社内インフラと考える必要があります。
近年では、クラウドサービスの普及やリモートワークの拡大により、社内インフラの考え方も大きく変化しています。「社内に機器があるかどうか」よりも、「どこからでも安全に業務ができるか」「変化に柔軟に対応できるか」が重要になってきています。
社内インフラとは単なるIT設備ではなく、企業の生産性や成長スピード、リスク管理力を左右する経営基盤そのものだといえるでしょう。
社内インフラの適切な整備が企業にもたらすメリット
社内インフラを適切に整備することで、企業はさまざまなメリットを得られます。ここでは、企業にとって特に重要なポイントを整理します。
・業務効率の向上
動作の遅いPCや不安定なネットワーク環境などでは、社員は本来の業務以外に無駄な時間を取られてしまいます。インフラが整うことで業務がスムーズに進み、生産性の向上につながります。
・情報セキュリティの強化
社内インフラが古いまま放置されていると、ウイルス感染や情報漏えいのリスクが高まります。適切な設計と運用により情報セキュリティを強化することで、企業の信用を守る体制を構築できます。
・働き方の柔軟性を高められる
リモートワークやハイブリッド勤務に対応したインフラがあれば、優秀な人材の確保や定着にも好影響を与えます。このような柔軟な働き方を実現できる点は、人手不足が深刻化するなかで経営戦略上の大きな強みとなります。
・将来の事業拡大や変化への対応力が高まる
事業の成長にあわせて拡張しやすいインフラを整えておくことで、新規事業や組織拡大にも柔軟に対応できます。
このように社内インフラの整備は、単なるIT投資ではなく、企業価値を高めるための重要な経営判断といえるでしょう。
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社内インフラの主な構成要素
社内インフラは、複数の要素が組み合わさって成り立っています。ここでは、おさえておくべき主要な構成要素について解説します。
デバイス(PC・周辺機器)
デバイスとは、社員が直接操作する機器のことです。
代表的なものとして、PC(デスクトップ・ノート)、モニター、キーボード、マウス、プリンターなどがあげられます。
デバイスは、社員の生産性に直結する要素です。処理能力が不足していたり、老朽化した機器を使い続けたりすると、作業の遅延やストレスの原因になります。また、部署や役職ごとに必要な性能が異なる点も考慮が必要です。
そのため、「最低限のスペックをそろえる」だけでなく、業務内容に見合ったデバイスを適切に配備できているかを確認することが重要です。
サーバー・ストレージ
サーバーやストレージは、社内データを保管・管理する中核的な存在です。業務システムや顧客情報、売上データ、業務資料など、企業活動に欠かせない情報はすべてここに集約されます。
近年では、社内に物理的なサーバーを置く「オンプレミス型」だけでなく、インターネット経由で利用する「クラウド型」を採用する企業が増えています。
クラウドを活用することで初期投資を抑えやすく、事業規模に応じて柔軟に容量を増減できる点が大きなメリットです。一方で、コスト管理やセキュリティポリシーの整理が必要になるため、自社にあった形を選ぶことが重要です。
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ネットワーク(有線・無線LAN/インターネット回線)
ネットワークは、社内外を繋ぐ「血管」のような役割を果たします。社内LAN(有線・無線)、Wi-Fi環境、インターネット回線がこれに該当します。
ネットワークが不安定だと、メール送受信やWeb会議、クラウドサービスの利用に支障が出ます。特にリモートワークを導入している企業では、社外から安全にアクセスできる仕組みが不可欠です。
そのため、「繋がっているか」だけでなく、通信速度・安定性・セキュリティのバランスが取れているかを確認する視点が求められます。
OS(オペレーティングシステム)
OS(オペレーティングシステム)は、PCやサーバーを動かすための基本ソフトです。WindowsやmacOS、Linuxなどが代表例です。
OSが古いままだと、セキュリティ更新が受けられなくなり、ウイルス感染や不正アクセスのリスクが高まります。また、最新の業務ソフトが動作しないといった問題も起こります。
そのため、OSは「導入して終わり」ではなく、定期的な更新とサポート期限の管理をすることが重要な管理ポイントとなります。
ミドルウェア
ミドルウェアとは、OSと業務アプリケーションの中間に位置するソフトウェアです。データベース管理ソフトやWebサーバーソフトなどがこれに当たります。
直接目に触れることは少ないものの、業務システムを安定して動かすためには欠かせない存在です。設定やバージョン管理が適切でないと、システム全体の不具合につながる可能性があります。
そのため、企業としては、専門担当者や外部パートナーが適切に管理できているかを把握しておくことが重要です。
アプリケーション・業務ソフト
アプリケーション・業務ソフトは、社員が日常業務で直接利用するツールです。会計ソフト、人事・労務管理、営業支援(SFA)、顧客管理(CRM)などが代表例です。
これらのソフトが社内インフラと適切に連携しているかどうかで、業務効率やデータ活用の質は大きく変わります。また部門ごとに個別のツールを導入しすぎると、管理コストが増えたり、データが分断されたりする恐れがあります。そのため、全社視点での統一性と拡張性を意識した選定が重要です。
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社内インフラ整備の流れ

社内インフラの整備は、やみくもに機器やサービスを導入しても成功しません。目的を明確にし、段階的に進めることが重要です。ここでは、一般的な社内インフラ整備の流れを6つのステップにわけて解説します。
STEP1:目的の整理とインフラ整備計画の策定
最初に行うべきことは、なぜ社内インフラを整備するのか、という目的を明確にすることです。たとえば「業務効率をあげたい」「リモートワークに対応したい」「セキュリティを強化したい」など、経営課題とインフラ整備の目的を確認し、整理します。
この段階で重要なのは、IT部門任せにせず、経営層が方向性を示すことです。目的が曖昧なままだと、過剰投資や現場にあわない仕組みになってしまうでしょう。
目的が定まったら、スケジュールや予算感を含めたインフラ整備計画を策定します。
STEP2:要件定義・インフラ設計
次に、目的を実現するために必要な要件を具体化します。これを「要件定義」と呼びます。たとえば、「何人が同時に利用するのか」「どの業務システムと連携するのか」「セキュリティレベルはどこまで求めるのか」などの点を整理します。
そのうえで、サーバー構成やネットワーク設計、クラウド活用の有無など、全体像を設計していきます。この工程は専門性が高いため、外部の専門業者と協力しながら進めるケースも多いです。
インフラ設計、要件定義についてはこちらもご覧ください。
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STEP3:構築・設定作業
設計が固まったら、実際の構築・設定作業に入ります。サーバーの構築、ネットワーク機器の設置、PCや業務ソフトの初期設定などを行います。
この段階では、設計通りに構築されているかどうかを確認しながら進めることが重要です。後工程での手戻りを防ぐためにも、進捗管理と品質確認が欠かせません。
STEP4:動作確認・テスト
構築が完了したら、すぐに本番利用をはじめるのではなく、必ず動作確認やテストを実施します。実際の業務を想定し、「問題なく使えるか」「処理速度に支障はないか」「セキュリティ上の不備はないか」を確認します。
この工程を省略すると、運用開始後にトラブルが多発する原因となります。
STEP5:運用開始・保守管理
テストをクリアした後、正式に運用を開始します。
しかし、社内インフラは「導入したら終わり」ではありません。日常的な監視やトラブル対応、ソフトウェアの更新、セキュリティ対策など、継続的な保守管理が必要です。運用体制を社内で担うのか、外部業者に委託するのかも、この段階で明確にしておく必要があります。
STEP6:利用者からのフィードバックをもとに改善
運用をはじめると、現場からさまざまな意見や要望が出てきます。それらを定期的に収集し、改善につなげることで、社内インフラはより使いやすくなっていきます。
環境や働き方はつねに変化するため、一度作ったら終わりではなく、改善を繰り返す姿勢が重要です。
社内インフラを設計・構築する際の注意点
社内インフラは、企業活動の土台となる重要な仕組みです。そのため、設計や構築の段階での判断ミスは、後々の業務効率低下やコスト増大、リスクの拡大につながります。
ここでは、おさえておくべき注意点についてご説明します。
構築前の要件整理に過不足はないか
社内インフラ整備で最も多い失敗の一つが、要件整理が不十分なまま進めてしまうことです。「何を実現したいのか」「どこまでをインフラでカバーするのか」が曖昧だと、必要以上に高機能な構成になったり、逆に業務に必要な機能が不足したりします。
そのため、以下のような観点で要件が整理されているかを確認することが重要です。
・現在の業務課題
・将来的に想定される事業規模
・必須要件と、あれば望ましい要件
業務システムとの相性・互換性は問題ないか
社内インフラは、既存の業務システムと連携してこそ意味を持ちます。新しいインフラを導入した結果、「今まで使っていた業務ソフトが動かない」「追加の改修コストが発生した」というケースも少なくありません。
特に注意したいのは、OSやクラウド環境の変更に伴う互換性の問題です。業務システム全体を俯瞰して確認する視点が欠かせません。
従業員が使いやすい運用設計か
どれほど高度なインフラでも、現場の社員が使いこなせなければ意味がありません。
ログイン方法が複雑すぎないか、リモートワーク時もストレスなく利用できるかなど、利用者目線での運用設計が重要です。
また、本格導入前に一部の部署で試験運用を行うことで、トラブルや改善点を事前に洗い出すことができます。導入テストを行っているかどうかは、成功率を大きく左右するポイントです。
セキュリティ対策は万全か
社内インフラの整備において、セキュリティ対策は避けて通れないテーマです。
ウイルス対策や不正アクセス防止だけでなく、「誰が、どの情報にアクセスできるのか」というアクセス権限管理が明確に定められているかが重要です。
また、技術的な対策だけでなく、社内ルールや運用基準が文書化されているかという点も、経営層として確認すべきポイントです。
障害時のリスク管理やBCP対策が充実しているか
システム障害や災害は、いつ発生するか予測できません。そのため、トラブル発生時に業務を止めない仕組みが求められます。
サーバーやネットワークの冗長化、データのバックアップ、クラウドサービスの活用など、事業継続(BCP)を意識した設計になっているかが重要です。
業務拡大や将来のバージョンアップを見据えた設計になっているか
現在の業務だけを前提にインフラを構築すると、数年後に再構築が必要になるケースがあります。社員数の増加、新規拠点の開設、新しい業務システムの導入など、将来の変化をある程度見据えた設計が求められます。
拡張性や柔軟性が確保されているかは、長期的なコスト最適化にも直結します。
IT担当者のリソース確保と社内教育のノウハウは万全か
社内インフラは、運用する人材がいてはじめて機能します。
IT担当者に過度な負荷がかかっていないか、属人化していないかは重要なチェックポイントです。また、社員向けの操作説明やルール共有など、社内教育の仕組みが整っているかも確認が必要です。必要に応じて外部パートナーの力を借りる判断も求められます。
社内インフラ整備を成功させるためのパートナー選びのポイント
社内インフラの整備は専門性が高く、すべてを自社だけで完結させるのはむずかしい場合もあるでしょう。その場合には、信頼できる外部パートナーを選ぶ必要があります。設計・構築・運用のどの段階においても専門知識が求められますが、経験の浅い業者に依頼すると、表面的には問題がなくても後からトラブルが頻発するケースがあるため注意が必要です。
ここでは、自社にあったパートナーを選定するためのポイントを解説します。業者選定の際には、以下の点を確認することが重要です。
・同規模・同業種での対応実績があるか
・社内インフラ全体を俯瞰して提案できるか
外部業者に依頼する場合でも、すべてを任せきりにする「丸投げ」は避けるべきです。業者は技術の専門家ですが、自社の業務内容や経営方針を最も理解しているのは社内の担当者です。そのため、経営層や担当部門が適切に関与しながら、共同で設計を進める必要があります。
また、インフラ整備は、構築して終わりではありません。運用開始後のトラブル対応や定期的な保守、改善提案まで対応できる業者かどうかが重要です。
具体的には、
・障害発生時の連絡体制は明確か
・対応時間やサポート範囲は十分か
・定期的な点検や改善提案があるか
などの点を事前に確認しておくことで、長期的な安心につながります。
さらに、インフラ整備後に定期的な棚卸しと改善をしていくことも大事です。企業を取り巻く環境や業務内容は、時間とともに変化していきます。そのため、社内インフラも定期的な見直しが必要です。
優れたパートナーは、定期的な現状確認や改善提案を通じて、インフラの最適化を継続的に支援してくれます。単なる「作業委託先」ではなく、中長期的に伴走できるパートナーかどうかが、選定時の大きな判断基準となるでしょう。
まとめ
社内インフラの整備とは、単なるIT設備の更新ではなく、企業の成長や競争力を支える経営基盤の強化そのものです。
デバイス(PC・周辺機器)やサーバー、ネットワーク、各種業務ソフトなどだけでなく、それらのセキュリティ、運用ルールまで含まれての「社内インフラ」です。これらが適切に連携することで、業務効率の向上、情報セキュリティの強化、柔軟な働き方の実現といった効果が期待できます。
社内リソースだけで社内インフラを整備することがむずかしい場合は、信頼できる外部パートナーの力を借りることも有効です。その際には、企業にとって重要な基盤である社内インフラを任せられる、信頼できるパートナーを選定する必要があるでしょう。
企業のDX推進を支える、SHIFTのインフラの設計・構築
社内インフラの整備から運用までを信頼できるパートナーに任せたい、という場合には、SHIFTにお任せください。
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監修
株式会社SHIFT
「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト
永井 敏隆
大手IT会社にて、17年間ソフトウェア製品の開発に従事し、ソフトウェアエンジニアリングを深耕。SE支援部門に移り、システム開発の標準化を担当し、IPAのITスペシャリスト委員として活動。また100を超えるお客様の現場の支援を通して、品質向上活動の様々な側面を経験。その後、人材育成に従事し、4年に渡り開発者を技術とマインドの両面から指導。2019年、ヒンシツ大学の講師としてSHIFTに参画。
担当講座
・コンポーネントテスト講座
・テスト自動化実践講座
・DevOpsテスト入門講座
・テスト戦略講座
・設計品質ワークショップ
など多数
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ヒンシツ大学とは、ソフトウェアの品質保証サービスを主力事業とする株式会社SHIFTが展開する教育専門機関です。
SHIFTが事業運営において培ったノウハウを言語化・体系化し、講座として提供しており、品質に対する意識の向上、さらには実践的な方法論の習得など、講座を通して、お客様の品質課題の解決を支援しています。
https://service.shiftinc.jp/softwaretest/hinshitsu-univ/
https://www.hinshitsu-univ.jp/
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