コールセンターにおけるDXとは何?メリットや重要なシステムなどを解説

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コールセンターにおけるDXとは何?メリットや重要なシステムなどを解説
株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

Introduction

人材不足や顧客ニーズの多様化が進んでおり、コールセンターは従来の運営方法だけでは限界を迎えつつあります。こうした課題を解決する手段として注目されているのが「コールセンターDX」です。
DXとは単なるIT導入ではなく、顧客体験の向上と業務効率化を両立させ、コールセンターを企業価値創出の拠点へと進化させる取り組みです。
この記事では、コールセンターDXの基本的な考え方から、導入によるメリット、重要なシステム、具体的な進め方や成功のポイントまでを、経営層向けにわかりやすく解説します。

目次

コールセンターにおけるDXとは

コールセンターにおけるDXとは

近年、多くの企業で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が重要な経営テーマとして注目されています。コールセンターも例外ではなく、顧客接点の最前線としてDXの推進が求められている分野のひとつです。

コールセンターDXとは、単にコールセンター業務に最新のITツールを導入することだけではありません。電話・メール・チャットなどの顧客対応業務にデジタル技術をとり入れ、業務プロセスや組織のあり方そのものを見直し、顧客体験(CX)と業務効率を同時に高めていく取り組みを指します。

これまでのコールセンターは、「電話対応をいかに早く、正確に処理するか」が主な役割でした。しかし現在は、顧客ニーズの多様化や人材不足、問い合わせ内容の高度化により、従来型の運営では限界が見えはじめています。このような状況のなかでDXの取り組みは、コールセンターを「問い合わせ対応の場」から「価値創出のための拠点」へと進化させる鍵となっているのです。

DXの定義とコールセンターにおける役割

DXとは、デジタル技術を活用して業務を効率化することにとどまらず、企業の競争力を高めるためにビジネスモデルや組織文化を変革することを意味します。

コールセンターにおいてDXが果たす役割は、主に次の3点に集約されます。

・顧客体験の向上
デジタル技術の導入により、コールセンターでの問い合わせ対応が迅速になり、顧客の待ち時間が短縮されます。またチャットボットやFAQサイトの活用により、顧客は待ち時間なく自己解決できるようになります。さらにオペレーターが顧客情報や過去履歴を即座に把握できることで、より的確で満足度の高い対応が可能になります。

・業務の効率化と生産性向上
音声認識や自動応答(IVR)などを活用することで、オペレーターの負荷を軽減し、限られた人員でも安定した運営が実現できます。これにより、人材不足という経営課題への対応力も高まります。

音声認識についてはこちらもご覧ください。
>>音声認識とは?AIを活用する仕組み、導入するメリット・注意点を解説のページへ

・経営判断に活かせるデータの蓄積と活用
問い合わせ内容や顧客の声をデータとして蓄積・分析することで、商品改善やサービス品質向上につなげることができます。DXの取り組みによりコールセンターは、「問い合わせ対応の場」から「顧客の本音が集まる戦略拠点」へと変わっていくのです。

このように、コールセンターDXは現場改善にとどまらず、企業全体の成長戦略を支える重要な取り組みだといえるでしょう。

コールセンターでDX化をするメリット

前述の通り、コールセンターのDX化は顧客満足度の向上だけでなく、企業経営や現場運営にも大きな効果をもたらします。ここでは、「顧客側」と「企業・現場側」の両面から、そのメリットを整理して解説します。

顧客側のメリット

コールセンターのDX化は、顧客にとっての利便性や満足度を大きく高めます。主なメリットは以下のとおりです。

・待ち時間の削減
チャットボットやIVR(自動音声応答)を活用することで、簡単な問い合わせはオペレーターを介さずに即時対応できます。これにより、電話がつながらないストレスが大幅に軽減されます。

・24時間365日の問い合わせ対応
FAQサイトやチャットボットを整備すれば、営業時間外でも顧客は必要な情報を得られます。顧客の生活スタイルに合わせた柔軟な対応は、企業への信頼感向上につながるでしょう。

・回答品質の安定化
ナレッジや顧客情報をシステムで一元管理することで、担当者による回答のばらつきが減り、誰が対応しても一定水準のサービスを提供できます。

・自己解決手段の充実
顧客の自己解決手段の充実は、「問い合わせる手間そのもの」を減らします。これは顧客満足度を高めるだけでなく、コールセンターの負荷軽減にもつながる好循環を生み出します。

チャットボットについてはこちらもご覧ください。
>>チャットボットとは?仕組みや活用例、導入するメリットについて解説のページへ

企業・現場側のメリット

DX化は、企業やコールセンター現場にとっても多くの経営的メリットがあります。主なポイントは以下のとおりです。

・業務効率化による生産性向上
問い合わせの自動振りわけや、音声認識による記録自動化により、オペレーターは本来注力すべき対応に集中できます。結果として、少人数でも安定した運営が可能になります。

・オペレーターの負荷軽減と定着率向上
単純な問い合わせが減ることで精神的負担が軽くなり、離職率の低下にもつながります。これは人材確保がむずかしい現状において、非常に重要な効果です。

・人材不足・教育コストの軽減
ナレッジや対応履歴がシステム化されていれば、新人でも短期間で一定水準の対応が可能になります。

・運営コストの最適化
業務の自動化や効率化により、運営コストの最適化が実現します。また人件費の抑制だけでなく、対応品質の向上によるクレーム削減など、間接的なコスト削減効果も期待できます。

・データ活用による経営判断の高度化
コールセンターで蓄積されるデータを活用することで、商品改善やサービス戦略に活かせる経営資源が得られます。DX化されたコールセンターは、現場部門であると同時に、経営を支える情報基盤としての役割を果たします。

コールセンターのDX化で重要なシステム・ツール

コールセンターのDX化で重要なシステム・ツール

コールセンターDXを進めるうえで欠かせないのが、各種システムやツールの活用です。これらは大きく、顧客と直接やりとりする「フロント系システム」と、データ活用や運営を支える「バックエンド系システム」にわけられます。

ここでは、それぞれの役割と代表的なツールについて解説します。

フロント系システム

フロント系システムとは、顧客との接点となる領域で活用されるシステムです。顧客体験の質を左右する重要な要素であり、DXの効果を実感しやすい分野でもあります。

具体的には、以下のようなシステムがあります。

・CTI(Computer Telephony Integration)
CTIは、電話とコンピューターを連携させる仕組みです。着信と同時に顧客情報を画面に表示できるため、オペレーターは状況をすぐに把握したうえで対応できます。これにより、対応時間の短縮や顧客満足度の向上が期待できます。

・ACD(自動着信振りわけ)
ACDは、かかってきた電話を適切なオペレーターへ自動で振りわけるシステムです。問い合わせ内容やスキルに応じた振りわけが可能となり、一次対応での解決率向上につながります。

・IVR(自動音声応答システム)
IVRは、音声ガイダンスにより顧客を案内する仕組みです。簡単な手続きや問い合わせを自動化できるため、オペレーター対応件数を減らし、待ち時間の削減に寄与します。

・チャットボット
チャットボットは、Webサイトやアプリ上で顧客の質問に自動応答するツールです。24時間対応が可能で、問い合わせの自己解決を促進します。近年は、テキストだけでなく、音声対応型も増えています。

・音声認識システム
顧客とオペレーターの会話をリアルタイムで文字起こしする技術です。対応履歴の自動記録や、オペレーター支援、後続のデータ分析に活用されます。

・FAQ・ヘルプサイト
顧客が自ら疑問を解決できる仕組みです。検索性を高めることで、問い合わせ件数そのものを減らす効果があります。チャットボットと連携させることで、より高い利便性を実現できます。

バックエンド系システム

バックエンド系システムは、コールセンターの運営やデータ活用を支える基盤です。DXを「一時的な改善」で終わらせないために不可欠な存在です。

具体的には、以下のようなシステムがあります。

・CRM(顧客関係管理)
CRMは、顧客情報や問い合わせ履歴を一元管理するシステムです。過去のやりとりを踏まえた対応が可能となり、顧客満足度の向上と対応品質の標準化を実現します。

・SFA(営業支援システム)
SFAは、営業活動を可視化・効率化するための仕組みです。コールセンターで得られた顧客情報を営業部門と共有することで、営業力の強化につなげることができます。

・音声認識・テキスト分析
通話内容をデータ化し、問い合わせ傾向や顧客の不満点を分析します。これにより商品改善やFAQ強化など、全社的な改善施策に活用できます。

・品質モニタリングツール
オペレーターの対応品質を客観的に評価するためのツールです。教育や評価制度と連動させることで、組織全体の対応レベル向上につながります。

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コールセンターDXの進め方

コールセンターDXは、ツールを導入すれば完了するようなものではありません。現状を正しく把握し、段階的に進めることではじめて成果につながります。

ここでは、基本的な進め方を6つのステップで解説します。

STEP1:現状把握と課題の棚卸し

最初に行うべきは、コールセンターの現状を正確に把握することです。たとえば問い合わせ件数、対応時間、待ち時間、離職率などの定量データに加え、現場の声も含めて課題を洗い出します。

この段階では、「人が足りない」「忙しい」といった抽象的な課題ではなく、「どの業務にどれだけ時間がかかっているのか」「どの問い合わせが負担になっているのか」を具体化することが重要です。

STEP2:顧客体験・業務フローの可視化

次に、顧客が問い合わせに至るまでの流れや、オペレーターの業務フローを可視化します。顧客視点で「どこに不便さがあるのか」を整理することで、DXの目的が明確になります。

業務フローを図や文章で整理することで、ムダな作業や属人化している業務が浮き彫りになり、改善ポイントが見えてきます。

STEP3:DXテーマと優先順位の決定

課題が明確になったら、解決すべきテーマと優先順位を決めます。すべてを一度に変えようとすると現場の混乱を招くため、優先順位の高い課題から対応を行うことが大事です。

「待ち時間削減」「問い合わせ件数削減」「オペレーター負荷軽減」など、経営インパクトが大きく、効果が見えやすいテーマから着手することが成功のポイントとなるでしょう。

STEP4:ツール選定と試験導入

テーマが明確になったら、課題の解決に適したツールを選定します。その際には機能の多さだけでなく、既存システムとの連携や現場での使いやすさも重視すべきでしょう。

また、いきなり全社導入するのではなく、特定の業務や拠点で試験導入(PoC)を行い、効果や課題を検証することが大事です。

PoCについてはこちらもご覧ください。
>>PoCとは?意味や検証内容、実施するメリット・デメリットを解説のページへ

STEP5:本格導入・教育・運用定着化

試験導入で効果が確認できたら、本格導入へ進みます。同時に、オペレーターや管理者への教育を行い、ツールが日常業務に定着するよう支援します。現場が「使わされている」と感じないよう、目的や効果を丁寧に共有することが重要です。

STEP6:データに基づく継続的な改善サイクル

DXは一度導入して終わりではありません。蓄積されたデータをもとに、改善を繰り返すことで価値が高まります。定期的に指標を確認し、顧客体験や業務効率がどのように変化したかを検証することで、コールセンターDXを持続的な経営基盤へと育てていきます。

コールセンターDXを成功させるポイント

コールセンターDXは、適切な進め方を理解していても、推進体制や考え方を誤ると期待した成果が得られません。ここでは、コールセンターDXを成功に導くための重要なポイントについて解説します。

現場を巻き込んだDX推進体制づくりを進める

DXは経営主導で進めるべき取り組みですが、実際に業務を担うのは現場のオペレーターです。現場の理解や協力が得られなければ、システムは形骸化してしまいます。

そのため、企画段階から現場メンバーを巻き込み、「なぜDXを進めるのか」「現場にどのようなメリットがあるのか」を丁寧に共有することが重要です。現場の意見をとり入れることで、実運用に即した仕組みづくりが可能になります。

「業務効率化」だけでなく顧客体験の向上をゴールに掲げる

DXの目的を「コスト削減」や「省人化」だけに設定すると、顧客満足度の低下を招く恐れがあります。重要なのは、顧客体験(CX)の向上を最終ゴールに据えることです。

顧客にとって使いやすく、安心できる問い合わせ体験を実現することで、結果的に業務効率化やコスト最適化が実現します。短期的な効率だけでなく、中長期的な企業価値向上の視点を持つことが求められます。

システム選定時にチェックすべき3つの項目を念頭に置く

DXを支えるシステム選定では、次の3点を特に重視する必要があります。

・チャネルの拡張性・他システムとの連携性
電話、チャット、メールなど複数チャネルを一元管理できるか、既存のCRMやSFAと連携できるかを確認します。将来的な拡張を見据えることが重要です。

・使いやすさ・運用のしやすさ
いくら高機能でも操作が複雑だったり使い勝手が悪かったりすると現場に定着しません。オペレーターや管理者が直感的に使えるかどうかを重視しましょう。

・セキュリティ・サポート体制
顧客情報を扱うため、セキュリティ対策は不可欠です。また、導入後のサポート体制が整っているかも、長期運用の成否を左右します。

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まとめ

コールセンターにおけるDXは、単なる業務効率化やIT化ではなく、顧客体験と企業価値を同時に高めるための経営施策です。人材不足や問い合わせの高度化といった課題が深刻化するなか、従来の運営方法をつづけるだけでは持続的な成長は望めません。

DXを通じて、待ち時間の削減や24時間対応といった顧客利便性の向上が実現できるだけでなく、オペレーターの負荷軽減や運営コストの最適化といった経営面での効果も期待できます。さらに、コールセンターに集まる顧客の声をデータとして活用することで、商品やサービスの改善にも役立ちます。

DXを通じてコールセンターを進化させることは、顧客満足度の向上だけでなく、企業全体の競争力強化につながります。今後の成長戦略の一環として、コールセンターDXに取り組む意義はますます高まっていくでしょう。

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DAAEとは、デザイン(Design)、迅速性(Agility)、組み合わせ(Assembly)、経済品質(Economic quality)の頭文字をとったSHIFTオリジナルの開発コンセプトです。旧来の開発技術や方法論から脱却し競合サービスとの差別化を図るためのフレームワークとして、SHIFTが提唱しました。アジャイル的開発手法をベースに、企画・試作・検証を繰り返すことで、スピーディかつリーズナブルなコストで「売れるサービス」をお客様と共創します。

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永井 敏隆

監修

株式会社SHIFT
「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト
永井 敏隆

大手IT会社にて、17年間ソフトウェア製品の開発に従事し、ソフトウェアエンジニアリングを深耕。SE支援部門に移り、システム開発の標準化を担当し、IPAのITスペシャリスト委員として活動。また100を超えるお客様の現場の支援を通して、品質向上活動の様々な側面を経験。その後、人材育成に従事し、4年に渡り開発者を技術とマインドの両面から指導。2019年、ヒンシツ大学の講師としてSHIFTに参画。

担当講座

・コンポーネントテスト講座
・テスト自動化実践講座
・DevOpsテスト入門講座
・テスト戦略講座
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ヒンシツ大学とは、ソフトウェアの品質保証サービスを主力事業とする株式会社SHIFTが展開する教育専門機関です。
SHIFTが事業運営において培ったノウハウを言語化・体系化し、講座として提供しており、品質に対する意識の向上、さらには実践的な方法論の習得など、講座を通して、お客様の品質課題の解決を支援しています。
https://service.shiftinc.jp/softwaretest/hinshitsu-univ/
https://www.hinshitsu-univ.jp/
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この記事を書いた人

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

SHIFTは「売れるサービスづくり」を得意とし、お客様の事業成長を全力で支援します。無駄のないスマートな社会の実現に向けて、ITの総合ソリューションを提供する会社です。

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