二値分類モデル

二値分類モデルとは?

二値分類モデルとは、与えられたデータが二つのカテゴリーのうちどちらに属するかを予測するAIモデルのことです。例えば、メールが「スパム」か「非スパム」か、顧客が「購入する」か「購入しない」か、といった予測を行います。このモデルは、AI技術のなかでも基本的ながら非常に重要な位置を占めており、さまざまな分野で活用されています。

二値分類モデルの仕組みと種類

二値分類モデルは、入力されたデータの特徴量をもとに、そのデータがどちらのカテゴリーに属するかの確率を計算します。この確率が一定の閾値(例えば0.5)を超えれば一方のカテゴリー、下回ればもう一方のカテゴリーに分類されます。

二値分類モデルにはさまざまな種類があり、データの特性や目的に応じて使い分けられます。代表的なものとしては、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン(SVM)、決定木、ランダムフォレスト、ニューラルネットワークなどがあります。ロジスティック回帰は、比較的単純なモデルで、計算が速く解釈が容易なため、最初に試すモデルとして適しています。SVMは、高次元のデータに対して高い性能を発揮し、複雑な分類境界を学習できます。決定木は、データの構造を理解しやすく、視覚的に表現できるため、結果の説明が求められる場合に有効です。ランダムフォレストは、決定木を複数組み合わせることで、より高い予測精度を実現します。ニューラルネットワークは、非常に複雑なパターンを学習できるため、画像認識自然言語処理などの分野で広く利用されています。

二値分類モデルの構築と評価

二値分類モデルを構築する際には、まず適切な学習データを用意する必要があります。学習データは、モデルが学習するためのデータで、各データがどのカテゴリーに属するかの正解ラベルを含んでいる必要があります。次に、用意した学習データを用いてモデルを学習させます。学習が終わったら、モデルの性能を評価するために、テストデータを使用します。テストデータは、学習に使用していないデータで、モデルが未知のデータに対してどれだけ正確に予測できるかを評価するために使用します。

モデルの評価には、さまざまな指標が用いられます。代表的なものとしては、正解率(Accuracy)、適合率(Precision)、再現率(Recall)、F1スコアなどがあります。正解率は、全体のデータのなかで正しく分類できたデータの割合を示します。適合率は、モデルが positive と予測したデータのうち、実際に positive であったデータの割合を示します。再現率は、実際に positive なデータのうち、モデルが positive と予測できたデータの割合を示します。F1スコアは、適合率と再現率の調和平均で、モデルの総合的な性能を評価するために使用されます。これらの指標を総合的に判断し、モデルの改善を行います。

二値分類モデルの活用事例

二値分類モデルは、さまざまな分野で活用されています。例えば、医療分野では、患者のデータから病気の有無を予測したり、金融分野では、顧客の信用情報からローンの返済能力を予測したり、マーケティング分野では、顧客の購買履歴から商品を購入するかどうかを予測したりします。また、製造業では、製品の品質データから不良品を検出したり、セキュリティ分野では、ネットワークのトラフィックデータから不正アクセスを検知したりします。これらの事例からもわかるように、二値分類モデルは、さまざまな問題解決に役立つ強力なツールです。

 

監修

株式会社SHIFT「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト
林 栄一

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