トークン化
トークン化とは?
トークン化とは、テキストデータを自然言語処理(NLP)や機械学習で扱いやすいように、意味のある最小単位である「トークン」に分割する処理のことです。トークンは、単語、句読点、記号など、テキストを構成する要素であり、トークン化することで、コンピューターがテキストの構造や意味を理解しやすくなります。
トークン化の基本的なプロセスは、テキストを空白や句読点などの区切り文字で分割することです。例えば、「私はAIについて勉強しています。」という文をトークン化すると、「私」「は」「AI」「について」「勉強」「し」「て」「い」「ます」「。」というトークンに分割されます。しかし、実際には、言語の特性や処理の目的に応じて、より高度なトークン化手法が用いられます。
トークン化は、自然言語処理の最初のステップとして非常に重要です。なぜなら、トークン化されたデータは、その後のテキスト分析、感情分析、機械翻訳、情報検索などのさまざまなタスクで利用されるからです。例えば、感情分析では、文章をトークン化し、各トークンの感情価を分析することで、文章全体の感情を判断します。
トークン化の手法は、大きく分けて「単語分割」と「形態素解析」の2種類があります。単語分割は、空白や記号を区切り文字として、テキストを単語に分割するもっとも基本的な手法です。英語のような単語が空白で区切られている言語では、比較的容易に実装できます。一方、日本語のように単語の区切りが明確でない言語では、単語分割は難しい場合があります。形態素解析は、単語分割よりも高度な手法で、言語の文法的な構造を考慮してテキストをトークンに分割します。形態素解析では、単語の品詞や活用形などの情報も付与されるため、より詳細なテキスト分析が可能になります。
トークン化を行う際には、いくつかの課題があります。例えば、英語では、「don’t」のような短縮形や、「New York」のような複合語をどのようにトークン化するかが問題となります。また、日本語では、未知語や造語をどのように扱うかが課題となります。これらの課題を解決するために、さまざまなトークン化アルゴリズムやツールが開発されています。
トークン化は、テキストデータを機械学習モデルに入力する際の重要な前処理です。トークン化されたテキストデータは、数値ベクトルに変換され、機械学習モデルで学習できるようになります。この数値ベクトル化の手法としては、Bag of Words、TF-IDF、Word2Vecなどがあります。これらの手法を用いることで、テキストデータを機械学習モデルで効率的に処理できるようになります。
トークン化技術は日々進化しており、より高度な自然言語処理タスクを可能にしています。近年では、Transformerモデルで使用されるWordPieceやByte Pair Encoding(BPE)といったサブワードトークン化が主流となっています。これらの手法は、未知語への対応や、より柔軟なテキスト表現を可能にします。まとめとして、トークン化は、テキストデータを自然言語処理や機械学習で扱うための基本的な処理であり、テキストを意味のある最小単位であるトークンに分割することで、コンピューターがテキストの構造や意味を理解しやすくします。
トークン化の手法は、言語の特性や処理の目的に応じて選択され、その後のテキスト分析、感情分析、機械翻訳、情報検索などのさまざまなタスクで利用されます。より高度な自然言語処理タスクを実現するために、トークン化技術は日々進化しています。
監修
林 栄一
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