株式会社アデランス様 導入事例
お客様と現場の
満足度を一挙に解決した
新POSシステムの性能改善
テストだけではない、
SHIFTのマルチな活用方法とは
Summary
トータルヘアソリューションの確固たるブランドとして、日本国内のみならず、世界20の国と地域、67のグループ企業を通してグローバルビジネスを展開する株式会社アデランス様。POSシステムの品質テストから性能改善、さらには情報システム部門の課題解決まで、SHIFTとSHIFTグループのAiritechがご支援しています。
POSの処理速度に現場からクレームが続出。原因究明から解決方法までSHIFTグループがスピード対応。
SHIFTにご相談いただくきっかけとなった課題や経緯を教えてください。
2019年10月に、全国約160店舗のアデランスサロンでお客様の会計時に利用しているPOSシステムを刷新しました。老朽化を機に、もともと基幹システムと一体で稼働していたPOS機能を切り出しました。
サロンはお客様同士が対面しないよう、プライバシーに配慮した環境になっています。会計に利用するこのPOSシステムにも、お客様をお待たせせず、スムーズな処理が求められていましたが、サロンのスタッフから「動作が遅い」「お会計に時間がかかりすぎる」といった声が届くようになりました。
新システムはマルチベンダーで構築していたのですが、この性能問題はベンダー間でも発生原因が特定できず、困っていたところ、テストを支援いただいていたSHIFTさんから、性能分析を得意とするSHIFTグループの企業であるAiritech(エアリテック)さんを紹介してもらいました。
実際に、どのような調査、分析を行って原因を究明したのでしょうか。
今回、Airitechが推奨するInstanaを適用して、リクエストを受けてから応答するまでの時間を調査しました。その結果、プログラムや通信ではなく、処理の大半を占めているデータベースが原因であることが即座に判明しました。
さらに分析したところ、データベースに関する4つの問題点が明らかになりました。この4つはそれぞれ異なるベンダーが構築したシステムによるものですが、今回の可視化によって、最も影響が出ている原因とそのシステムを突き止めることができました。
さらに、データベースが遅い原因を調査しました。
1つがトランザクション制御に関連するもので、処理回数に応じて処理時間が増えているという状況でした。1回20秒かかるものもあれば、40秒を超える処理もあり、繁忙時間帯の遅延が顕著に出ていました。
プログラムの中身も調査したところ、全ての処理が終わるまで後続の処理が行えないという状況でした。これは、同時に複数の店舗のPOSで処理をした場合、応答を得られていたのが、1/160店舗のみだったということが言えます。
もう1つの原因が高い頻度でのログ出力です。システムの動作状況をデータベースに書き込む処理に相当な時間を要しており、処理回数を削減することで解決できると判断しました。
システム性能分析、改善の重要なポイントはどのようなところですか。
今回のケースは、改善ポイントがパッケージ製品の内部に存在していたことから、解決を困難にしていましたが、システム性能を細かく可視化することで原因を究明できました。
このような障害発生から分析、解決には以下3つのポイントがあると考えています。
・システム性能の可視化が重要、解決までの時間が短縮される
・目的に応じた可視化項目の検討(障害の発見用、切り分け用、可視化用)
・必要に応じてプロフェッショナルサービスを活用。特に、システム構築段階や障害発生時の依頼が効果的
CPUやメモリの使用率といったレベルで測定、可視化をするシステムは多いのですが、それだけでは不十分です。
情報をプロセスやコンポーネント、機能レベルで細かく見ることにより、問題を正しく切り分け、原因分析と特定、対策を打つことが可能になります。
3ヶ月で分析、原因究明~修正へ。応答時間が5倍高速化、全体で数万倍の性能改善。
分析結果、原因の特定から改善、その結果や成果について教えてください。
今回、分析ツールによる調査から原因を究明、修正まで約3ヶ月でしたが、問題点は1日で判明しました。原因と対策の説明に対し、ベンダー側の釈明はありましたが、調査結果のエビデンスを提示して、調査、修正をしていただきました。改善の効果として、POSを操作してからの応答が40秒台から数秒となり、応答時間全体でも5倍程度の高速化を実現しました。
サロンの現場スタッフの反応はいかがでしたか?
悪いニュースは入ってきますが、良いニュースは入ってきませんね(笑)。それまできていた「遅い」というサポートへの連絡がぱったりと止まったので、効果があったのではと考えています。
困った時にいつでも相談できる「かかりつけ医」として常に頼れる存在であってほしい。
今後のAiritechへの期待をお聞かせください。
今回のPOSの障害対応に関しては、スピードも求められており、急病を緊急外来で診てもらったような感覚です。対応してくださった方が思いのほか名医だったので(笑)、今後はいつでも相談できるアデランスの「かかりつけ医」として、常に状況を見守ってもらいながら、頼れる存在でいてほしいと思っています。
受入テストから始まり、PMO、横断的なプロジェクトの品質管理で組織強化を支援。
SHIFTは、性能分析以前から品質課題に対する支援をさせていただいていますが、最初にお声がけいただいたきっかけを教えてください。
アデランスに入社後、ちょうど消費税増税と軽減税率、POSの更新など、短期間で、かつリリースをずらせないリスクの高いプロジェクトがあり、テストフェーズの負荷を予測していました。実は、前職でSHIFTさんと一緒に仕事をしていて、品質問題を解決、改善してもらった経験があったので、当プロジェクトのテストをSHIFTさんにお願いしたんです。
2019年当初は最少人数の体制による参画で、はじめてのご支援だったため、プロジェクトそのものや業務理解に努めました。要件や設計まわりの確認のため、ベンダーとの打ち合わせにも同席させていただきました。それにより、プロジェクトの進め方における課題が見受けられ、SHIFTから課題提起、改善を促す形で取り組んだ結果、受入テストの計画、準備は順調に進み、課題を解消することができました。
しかし、実際は障害が多発、プロダクトの品質に影響が出てしまい、ベンダー側で品質を担保すべきところはやってもらうように、さらにプロセス改善の課題を提起、改善をお願いしました。初回のリリースに全機能は取り込めなかったものの、リプランに意見し3段階でリリースした結果、幸い、プロセスの改善も重なり、障害率も減少、品質も向上しました。
その後、テストだけではなくどのような課題にSHIFTを活用いただいたのでしょうか。
情報システム部門の組織課題においても、SHIFTさんの支援をいただきました。社内メンバーのプロジェクトマネジメントスキル不足による失敗プロジェクトが頻発する状況で、まず1名のPMOをお願いし、ビジネス部門主管のプロジェクトを担当してもらいました。さらに、もう1名参画してもらい、部署全体のプロジェクトをカバーしてもらうようになりました。結果、期待通りというか、期待以上に活躍いただいています。PMOとしての活動だけではなく、プロジェクト運営の標準化をしていただいたことで、失敗するケースが激減し、プロジェクト状況の可視化も実現することができました。
情報システム部門全体の支援をさせていただいたことがきっかけで、業務やプロジェクト課題全般が見えるようになり、よきパートナーとして寄り添いながら改善提案、活動ができていると自負しています。個別プロジェクトのご支援だけではなく、横断プロジェクトの課題提起や解決に向けたマルチサポート的な支援が、さまざまな形でできるようになりました。
SHIFTからの受入テストだけではない支援に対する現場の評価はいかがでしょうか
自動化、RPAの提案から導入、支援もしていただいています。デグレが非常に多かったPOSに自動化を適用したことで、修正リリースの度に必要だったテストを効率化させることができ、結果として品質も向上したという評価をもらっています。RPAも、数十時間の手作業が削減でき、現場部門から感謝されています。
さらに強い情報システム部門をSHIFTと作り上げ、担当領域を拡大へ。
アデランスの情報システム部門における今後の展望やSHIFTのマルチ支援に関して印象をお聞かせください。
何もかも、全てSHIFTさんに頼ってしまうのは理想的な姿ではないと思っています。既にサポートいただいていますが、社内PMOの育成や社内のテストスキルの向上など、プロジェクトには山谷があるので、足りない部分を積極的にSHIFTさんに支援いただきながら、双方Win-Winの関係を築いていけたら良いと考えています。
いままでは「テストのSHIFT」という認識でしたが、これまでの支援範囲のほかにも、セキュリティ分野など、多岐にわたるさまざまなサポートをいただいています。今後も、課題があったらまずはSHIFTさんに相談し、協力関係をつづけていきたいと思います。
※掲載内容は2021年11月時のものです。
株式会社アデランス様