リバースエンジニアリングとは?メリットや活用目的などについて解説

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リバースエンジニアリングとは?メリットや活用目的などについて解説

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

お役立ち資料

Introduction

リバースエンジニアリングとは、製品そのものを解析して、その仕組みや仕様、設計などを明らかにする手法です。
リバースエンジニアリングをうまく活用することで、開発作業の短縮やコストの削減につながります。
この記事では、リバースエンジニアリングの定義や活用するメリット、活用目的、手法などについて解説します。

目次

リバースエンジニアリングとは?

リバースエンジニアリングとは

リバースエンジニアリングとは、製品から製造方法、仕様などを解析して、設計図やソースコードなどを明らかにする手法のことです。身近なもので例えるならば、おもちゃを分解し、その構造を把握したうえでもう一度組み立てるようなことです。

ここでは、リバースエンジニアリングの定義について解説します。

既存製品を調査・解析して、その構造や技術を明らかにすること

リバースエンジニアリングとは、既存製品を調査・解析して、その構造や技術を明らかにする手法です。

公正取引委員会の『第6章 法運用の透明性の確保と独占禁止法違反行為の未然防止』では次のように定義されています。

リバースエンジニアリング

既存の製品を調査・解析してその構造や製造方法などの技術を探知すること

リバースエンジニアリングを行う目的はさまざまですが、もっとも多いのは開発プロセスを短縮する目的で行われるケースです。

要件定義し仕様を固めて設計し、製造やテストまでを行うといった一からの開発はとても手間がかかります。

対して、他社が開発した製品を分解して分析すれば、仕様や設計などがすでにわかった状態ではじめることになります。

それらをもとに開発を進めることで、設計方針や製造方法などの情報も簡単に手に入れることが可能です。

また、自社製品をリバースエンジニアリングすることで、簡単に技術が盗まれないように対策したり、脆弱性対策を行ったりすることもあります。

リバースエンジニアリングを活用するメリット

リバースエンジニアリングを開発に活用することで得られるメリットについて解説します。

開発にかかる時間・コストを削減できる

リバースエンジニアリングを行うことで、その製品の開発手法や設計を流用することが可能です。その結果、開発手法や設計を検討する時間やコストを削減できます。

技術開発ができる人員が不足している場合、一から開発を検討する時間やコストが不足している場合などに有効です。

設計書を入手できない場合でも復元できる

製品は存在するのに仕様書や設計書がないというケースもあります。過去に開発された製品の仕様書や設計書などのドキュメントが失われてしまうのはよくあることです。リバースエンジニアリングを行うことで、仕様書や設計書を復元できます。

古い製品で当時のドキュメント類が失われている場合や、当時の担当者がすでに在籍していない場合などに役立ちます。

より高品質な製品を開発できる

高度な技術を用いてつくられた製品や高品質、高機能な製品をもとにリバースエンジニアリングすることで、よりよい製品を開発できます。自社にはない設計や製造の技術をもつ企業がつくった製品から、高度な技術を得られる可能性があります。

セキュリティリスクや流出リスクを低減できる

自社製品をリバースエンジニアリングすることで、簡単に自社の技術が盗まれないように対策することもあります。

たとえば、プログラムやソフトウェアなどのソースコードが解析されないような対策をする、脆弱性の対策をするなどです。これにより、自社製品の弱点をカバーし、他社に知られたくない情報を守ることが可能です。

リバースエンジニアリングの活用 目的

ここでは、リバースエンジニアリングに活用目的について解説します。

マニュアルの作成

過去に自社で開発した商品のマニュアルや仕様書、設計書などが失われてしまうことは、よくあります。当時の開発担当者などもすでに在籍しておらずドキュメント類が失われており、どのような仕様なのか設計なのかがまったくわからなくなっているケースです。

このような場合、その製品をリバースエンジニアリングすることでマニュアルなどのドキュメントを書き起こす作業を行う場合があります。

レガシーシステムの刷新

過去に開発したレガシーシステムを刷新する際に、その仕様や設計を見直すためにリバースエンジニアリングを行うことがあります。

レガシーシステムは開発されてから長い年月が経過しており、老朽化が進んでいます。使われているプログラミング言語がとても古い、ドキュメント類が失われているなどの理由で、ブラックボックス化してしまっているケースが非常に多いです。そのため、プログラムから機能や仕様などを解明する必要があります。

そこでリバースエンジニアリングを行うことで、レガシーシステムを解明し、システムの刷新に役立てられます。

自社製品の改良

自社製品をリバースエンジニアリングすることで、製品の改良を行うこともあります。

具体的には、ほかの製品との互換性を確保する、脆弱性の有無を確認するなどです。とくに後者については、自社製品に脆弱性が潜んでいるとサイバー攻撃の被害につながるため、ソフトウェア開発を行う際に重要となります。

リバースエンジニアリングの手法

リバースエンジニアリングの手法には、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、ハードウェアとソフトウェアそれぞれのリバースエンジニアリングの手法についてご説明します。

ハードウェアの場合

ハードウェアの場合には、製品を分解して調べたり、スキャナーで内部構造を調べたりします。ここでは、製品を分解せずに調べるための具体的な方法について簡単に解説します。

・CTスキャン
物体にX線を照射しその吸収率の違いから内部構造を撮影する装置です。製品を分解することなく内部構造を調べることが可能です。

・CMMマシン
縦・横・高さの3つの座標軸から物体の寸法を測定する装置です。材質などを問わずに製品の寸法や構造の位置関係などを正確に測定できます。

・3Dスキャナー
物体にレーザーを照射して形状を把握し3Dデータを取得できる装置です。図面や仕様書などがなくても3Dデータを取得できるため、設計図が存在しない製品を復元するために役立ちます。

・CAD化リバースソフト
3Dスキャナーなどで得たデータをCADデータに変換するソフトです。CADデータを得ることで図面を作成することが可能になります。

ソフトウェアの場合

ソフトウェアは人間がつくったソースコードを、コンピュータが解釈しやすいオブジェクトコードにコンパイルすることで稼働します。コンパイルが不要なスクリプト言語でつくられたものならすぐにソースコードを確認できますが、コンパイルが必要な言語でつくられた場合は、実行するためにコンパイルが必要です。

コンパイル言語でつくられたコードを解析するためにはひと手間必要になります。ここでは、その手法について解説します。

・逆アセンブル
逆アセンブルとは、コンピュータが理解しやすい機械語に変換されたものを、人間が理解しやすいアセンブリ言語に変換することです。完全にもとのソースコードに戻せるわけではありませんが、ソースコードの内容をある程度知ることが可能です。

・逆コンパイル
ソフトウェアはコンパイルされたオブジェクトコードで動いています。このコードを逆コンパイルすることで、もとのソースコードに変換します。ソースコード内の関数名や変数名などの情報は失われてしまいますが、コードの内容や構造は確認できます。そこからソフトウェアの仕様や設計を確認します。

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ソフトウェアのリバースエンジニアリングで実現できることとは

ソフトウェアのリバースエンジニアリングで実現できることとは

上記でご説明したとおり、ハードウェアだけでなくソフトウェアのリバースエンジニアリングも可能です。ソフトウェアをリバースエンジニアリングすることでオブジェクトからソースコードを再現する、ソースコードから開発ドキュメントや仕様を再現するなどができます。

ドキュメントなどが整備されていない開発現場ではシステムがブラックボックス化、複雑化することで、以下のような弊害が起こりがちです。

・開発効率が下がる
・バグが混入しやすくなる
・作業が属人化し、開発者・運用担当者の育成が遅れる
・仕様が不明確のためアウトソーシングできない
・新システムへの移行ができない
・ドキュメント不足でISOなどの各種規格に適合しない

このような問題を解決するために、リバースエンジニアリングは非常に有効です。リソースを割いてドキュメントを再作成することも可能ですが、リバースエンジニアリングを行えば効率よくドキュメントを再現できます。

ここでは、ソフトウェアのリバースエンジニアリングによって具体的に何が実現できるかをご説明します。

失われた開発ドキュメントの再現

古くから運用されているシステムやソフトウェアなどの場合、稼働しているのに開発ドキュメントがない、ということがよくあります。開発された当時は紙媒体のドキュメントでいつのまにか破棄された、途中からドキュメントのメンテナンスがされなくなり古いまま放置されたなどのケースです。

だいぶ昔に開発されたシステムやソフトウェアはソースコードしか残っておらず、ソース内のコメントも不十分で誰も仕様を知らないという状態になりがちです。担当者の誰も詳細を把握していない状態で稼働しているというケースは意外と多いのではないでしょうか。この状態を放置するのはよくないということはわかっていても、誰も仕様を知らないためつくり直すこともできず放置するしかないという状態がつづいてしまいます。

そこでリバースエンジニアリングを行えば、ソースコードやオブジェクトから設計書などのドキュメントを再現することが可能です。ドキュメントがあればメンテナンスしやすくなりますし、ドキュメントをもとにシステムのつくり直しをすることもできます。

古くから稼働していてドキュメント類が失われたレガシーシステムを運用している現場では、役に立つでしょう。

担当者不在のシステムの仕様解明

開発当時の開発者や運用担当者がいなくなってしまい、システムの仕様を誰も知らないという場合もあります。このような場合、意味不明のコードが配置されており、このコードを削除するとなぜかシステムが落ちるなどの不可解な現象が起きることもあるでしょう。

また、昔から引き継がれてきた運用マニュアルには無駄な作業が多いものの、詳細を知っている担当者がいないので改善できないなどのケースもあります。改善しようにも手がつけられない、下手に手を出すとエラーが発生するなどの場合、どうしようもありません。

そこでリバースエンジニアリングを行うことで、当時の担当者がいなくてもドキュメントを再現でき仕様が明確になります。

ブラックボックス化、複雑化したシステムの解明

開発当時の担当者がいてドキュメントが残っていたとしても、機能追加を何度も重ねることでシステムがブラックボックス化、複雑化するのはよくあることです。システムがブラックボックス化・複雑化すると、機能追加を行うごとに既存バグが表面化する、バグをつくり込んでしまうなどの弊害が起こりやすくなります。

システムの仕様をわかりやすくするためには、リバースエンジニアリングを行うのが有効です。リバースエンジニアリングによって仕様が明確になり、わかりやすいドキュメントを手に入れることが可能です。機能追加やメンテナンスがしやすくなるため開発効率が向上するほか、新システムへの移行、運用担当者の育成などがしやすくなるでしょう。

ドキュメントの整備

開発現場でISOなどの規格に適合した各種ドキュメントが必要になる場合もあります。事業を欧州に展開する際などに、各種規格に沿った正式なドキュメントが必要になります。

ドキュメントが機能追加ごとにバージョンアップされていても、規格にあったドキュメントが整備されているとは限りません。その場合、リソースを割いてドキュメントづくりをする必要があります。

しかし、リバースエンジニアリングを活用すれば、規格に適合したドキュメントを生成することも可能です。

SHIFTの「AIドキュメントリバースサービス 」について

SHIFTでは生成AIによるリバースエンジニアリングツール、AIドキュメントリバースサービスを提供しています。本サービスにより、レガシーシステムからの脱却、運用・保守作業における属人性の排除、失われた技術やノウハウの確保などが可能です。生成AIの技術を活用し、エンジニアの知見や技術力に左右されずにコードを解析できます。

本サービスにより、以下のような機能を活用できます。

①日本語に特化したドキュメントの作成

ソフトウェア開発やシステム開発の分野では、フローチャートやシーケンス図などがよく使われています。しかし、このような図表ではその内容や意図を読みとりづらいという難点があります。

そこで、SHIFTのAIドキュメントリバースサービスを活用すれば、人の手を介する必要がなく自然な日本語のドキュメントを作成できます。フローチャートやシーケンス図などを日本語のドキュメントに変換することでわかりやすいドキュメントを得られるでしょう。

②多様なプログラミング言語に対応

SHIFTのAIドキュメントリバースサービスは以下のような多様な言語に対応しています。そのため、幅広いソフトウェアやシステムに対応可能です。

・HTML
・C
・C++
・JCL
・COBOL
・Python
・ASM
・.NET
・C#
・SQL
・Java
・Go
・PHP
・TypeScript
・VB
・JavaScript
・Rust
・Ruby

など全26言語に対応

③プログラムを高い精度のクラス図やシーケンス図などに再現

SHIFTのAIドキュメントリバースサービスは、複雑なプログラムもシンプルでわかりやすいドキュメントに可視化できます。これにより、開発作業や保守対応の現場でさまざまな問題を可視化でき、作業品質を高めることが可能です。

AIドキュメントリバースサービスのご案内

SHIFTのAIドキュメントリバースサービスについてご案内します。生成AIによるSHIFT独自のリバースエンジニアリングツールを用いた、マイグレーション支援サービスです。ぜひ資料をご覧ください。

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まとめ

この記事では、リバースエンジニアリングの定義や活用するメリット、活用目的、手法などについて解説しました。

リバースエンジニアリングは製品そのものを分解や調査をして解析することで、仕組みや仕様、設計を明らかにする手法です。リバースエンジニアリングをうまく活用することで、開発効率の向上やコスト削減につながります。

SHIFTでは、生成AIによるAIドキュメントリバースサービスを提供しています。生成AIを活用することで、日本語ドキュメントの生成やプログラムの精度の高い再現などを可能としています。精度の高いリバースエンジニアリングを実現したい場合は、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

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著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

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