音声認識とは?AIを活用する仕組み、導入するメリット・注意点を解説

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音声認識とは?AIを活用する仕組み、導入するメリット・注意点を解説

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

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Introduction

音声認識技術とはどのようなもので、どういった場面で活躍しているのでしょうか?

スマホで何かを調べる際に文字入力をするのではなく、「イタリアンレストラン」などと話しかけることで、近場のおいしいレストランの情報を検索できるツールがあります。このツールには、音声認識技術が使われています。

音声認識技術の開発がはじまったのは意外と古く、1960年代です。しかし、当時はそこまで爆発的に広まることはなく、広範囲に広まったのは、2000年代にAI技術と結びついてからです。AI技術と音声認識技術は非常に親和性が高く、そこから急速に発展しました。

この記事では、音声認識の定義、動作する仕組み、どのような分野で音声認識技術が活用されているか、メリットや注意点について解説します。

目次

音声認識とは

音声認識とは

音声認識とは、コンピューターによる自動音声認識、音声テキスト化などの技術のことです。

ここでは、音声認識の定義や歴史、活用事例について解説します。

入力された音声を文字に変換する技術のこと

音声認識とは、自動音声認識または音声テキスト化のことです。プログラムによって、人が発する音声を文書形式に変換する技術のことを指しています。

たとえば、スマートフォンでネット検索をする際に、文字を入力するのではなく、検索したい内容を話しかけることで音声認識し、検索できます。Amazon社のアレクサ、Google社のGoogleアシスタント、アップル社のSiriなどが有名です。

これらの音声認識技術は幅広い分野で実用化されており、また新しい技術が次々と生まれています。音声認識技術が急速に広まったのは、AI技術と結びついたころからです。大量の音声データや辞書データを学習することで、音声認識技術の精度が大幅に向上しました。

音声認識技術の歴史

音声認識技術の歴史は意外と古く、最初に開発がはじめられたのは1960年代でした。音声認識技術の歴史を、簡単に以下にまとめました。

・1960年代:アメリカで開発がはじまる
・1970年代:本格的な開発が行われはじめる
・1975年:IBM社が民間企業としてはじめて研究をはじめる
・1990年代:音声認識技術がゲーム業界で実用化される
・2000年代:AI技術と結びつき急速に広まる
・2011年:アップル社がiPhoneにSiriを搭載する
・2022年:スマートフォンでの利用が急増する

音声認識技術が急速に広まったのは、2000年代にAI技術と結びついたからといわれています。音声認識技術単体ではそこまで注目されるものではありませんでしたが、AI技術と組み合わさることで、大量のデータをもとに認識の精度が大幅に向上しました。

ビジネスにおける音声認識の活用事例

ビジネスシーンにおける音声認識技術の活用事例について、見てみましょう。

・議事録の自動作成
・録音データの文字起こし
・自動通訳機能
・コールセンターの音声認識サービス
・音声入力が可能な電子カルテ

このように、ビジネスのシーンで活躍の場を広げていることがわかります。

音声認識が動作する仕組み

音声認識が動作する際は、どのような仕組みになっているのかをご説明します。

音声をデータ化する(音響分析)

まずは音源を音響分析し、データ化します。音声を定量的に分析して「特徴量」という数値に変換し、アナログデータをデジタルデータに変換していきます。

音声データから音素を抽出する(音響モデル)

音響分析で得られた「特徴量」が、どのような「音素」に近いかを分析します。「音素」とは、日本語でいうと母音、子音、撥音のことです。これまでの学習パターンから、もっとも近い音素を特定して当てはめていきます。

音素をデータベースに紐づける(発音辞書)

アルファベットの状態で音声が抽出されたら、発音辞書を用いて日本語に変換します。発音辞書とは、音と単語が登録されたデータベースのことです。発音辞書と音素をマッチングさせることで、意味のある単語を特定します。

テキストを組み立てて出力する(言語モデル)

上記で得た単語を、言語モデルを用いて自然な日本語にして出力します。言語モデルは、日本語情報を統計処理してつくられており、その単語の出現頻度を調べ、よく使われる文章を組み立てて自然な文章にします。

現代の音声認識にはAIが活用されている

現代の音声認識にはAIが活用されている

現代で使われている音声認識では、AI(人工知能)が活用されています。ここでは、AIを音声認識技術に活かす仕組みとメリットについて、解説します。

AIを活用した音声認識の仕組み

AI、人工知能とは、人間の脳に近い働きができるコンピューターのことで、人間による判断や知性を再現できます。そして、AIの技術を用いて、大量のデータを学習するディープラーニングの技術が生まれました。大量のデータから、自動的にルールや特徴を抽出することで、人間のようにものごとを認識することが可能です。

音声認識技術でも、ディープラーニングの技術が活かされています。大量の言語データをディープラーニングすることで、たとえば日本語にはどのような単語があり、どれがよく利用されているのかなどの言語モデルを生成することが可能です。言語モデルは、人が言語を操る際に、無意識に使っているルールや特徴などを学習します。この言語モデルを活用して、音声を自然な文章に変換できるのです。

このように、AI技術によって、音声認識技術が飛躍的に発展できたことがわかります。

AI搭載型の音声認識を活用するメリット

音声認識にAIを活用すると、次のようなメリットを得られます。

業務効率化ができる

音声認識にAIを搭載すると、より高度な音声認識技術を活用できます。大量の言語データをもとに言語モデルを作成し、より幅広い認識が可能になることで、高機能な音声認識ができるようになるためです。

高度な音声認識技術を用いれば、高機能な翻訳アプリや音声認識ツールなども実現できます。高度な翻訳が可能なツールがあれば、翻訳のための人員を雇う必要がなくなり、音声認識ツールがあれば、わざわざデータを手で入力する必要もないでしょう。これらの高度な音声認識の仕組みが活かされたツールをビジネスに活用すれば、業務効率が大幅にアップします。

専門知識がなくても操作ができる

専門知識がなくても、音声入力で高機能なツールやソフトウェアなどを操作できようにすることも可能です。

たとえば、コマンド入力やボタン操作などがむずかしい場合、高齢者や子どもなどのITリテラシーが低い人は操作できないかもしれません。しかし、音声で指示できる機能を搭載すれば、誰でも簡単に操作できるようになります。コマンド入力や種類が多く、複雑なボタンの羅列のなかから適切なボタンを選ぶなどがむずかしいケースも、言葉で伝えるだけで操作が可能です。

このような音声認識技術を実現するためには、多くの言語データをもとに、AI技術を駆使して言語モデルを確立する必要があります。AIを搭載した音声認識技術により、高度な機能を簡単に利用できるようになるでしょう。

ヒューマンエラーを防止できる

AI技術を搭載した高度な音声認識技術があれば、音声データを文書化する際などに、ヒューマンエラーを防止できます。

大量の音声データを人が聞きとって文書化する場合、聞き間違い、入力ミスなどのヒューマンエラーを防ぐことは不可能です。人の手を介すると、どうしてもミスが起こってしまいます。

しかし、AI技術を搭載した高度な音声認識技術を用いて、音声データを認識して文書化すれば、ヒューマンエラーを防げます。大量の言語データをもとにディープラーニングを行っているため、精度の高い音声認識が可能です。そのため、ミスを極力抑えて、音声データの文書化ができるでしょう。

もちろん、AI技術を搭載した高度な音声認識技術であっても、ミスが混入することはあります。そのため、音声認識技術で文書化したテキストを人間がダブルチェックすることで、より精度を高められるでしょう。文書化やチェックを人が行うと2倍の労力がかかりますが、文書化は音声認識ツール、チェックは人またはツールが行えば、労力を減らすことが可能です。

顧客満足度の向上につながる

AIを搭載した高度な音声認識技術を活かすことにより、顧客満足度の向上につながるケースもあります。

たとえば、コールセンターに寄せられた声を、音声認識技術で文書化することが可能です。そして、問い合わせ内容を収集、分析することで、商品、サービスの品質やオペレーターの対応品質の向上につなげられます。問い合わせやクレームが多い商品やサービスには問題が潜んでいることが多いので、どのような点が問題なのかを開発担当が調べることで、品質向上のためのアクションが可能です。

また、問い合わせ対応の内容を分析することにより、オペレーター対応の改善点や、対応に時間がかかっている箇所の特定などにつながります。

このように、AI技術を使って音声をデータ化することで、情報を収集・分析でき、顧客満足度の向上に直結させることが可能です。

AI搭載型の音声認識についての注意点

AI搭載型の音声認識技術は、非常に高度でメリットも多いですが、使用する際の注意点もあります。AIが搭載されているからといって、過度に信頼しすぎるのも禁物です。

ここでは、AI搭載型の音声認識の注意点について解説します。

方言やスラングには対応しきれない場合がある

人間の言葉には、方言やスラング、若者言葉、業界用語など、住んでいる地域や年齢層、男女差などによって、同じ意味でも異なる言葉が存在します。このような独自の言葉遣いの言語に対して、現在のAI技術は対応しきれていません。

その地方に住んでいる人が理解できる言語でも、データがないと音声認識ができないのです。方言やスラングはサンプル数が少ないため、十分なデータ量が集まりません。その方言やスラングの精度の高い言語モデルを生成するのは、非常にむずかしいです。

方言やスラング、若者言葉、業界用語など、サンプルが少ない独自の言葉遣いに対応していくためには、音声認識技術の発展が必要です。サンプル数を増やすか、新たな技術が登場しなければ、通常の言語の音声認識技術のレベルを実現することはむずかしいでしょう。

発言者の識別がむずかしい

音声自体を識別する技術はAIにより格段に向上しましたが、発信者を識別することはむずかしいといわれています。

発信者を識別するためには、事前に登録した音声の生体データをもとに解析を行うか、音声処理アルゴリズムで判断するか、二つの方法が考えられます。しかし、前者の方法は、音声データがある人しか識別できず、実用的とはいえません。全世界の人類の音声データを取得し、学習するのは現実的とはいえないでしょう。そのため、後者の音声処理アルゴリズムによって判断するための技術開発が、現在進められているところです。

音声処理アルゴリズムで発信者を識別する技術は、今後新しく登場する可能性が十分にあります。しかし、実用化されサービスが導入されるのは、まだ先のことでしょう。

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まとめ

この記事では、音声認識の定義、動作する仕組み、どのような分野で音声認識技術が活用されているか、メリットや注意点について解説しました。

音声認識技術の歴史は意外と古く、開発がはじまったのは1960年代ですが、急激に発展したのはAI技術と結びついた2000年代からです。音声データや言語データをAIがディープラーニングすることで、発音辞書や言語モデルを作成することが可能になりました。その仕組みを活かして、より人が話す形に近い音声認識が可能になっています。

近年は、音声データの文書化や音声入力による機械操作などが可能になり、幅広い分野で音声認識技術が活かされています。

しかし、いくらAI技術が発展したとはいえ、AIは万能ではありません。間違うこともあり、音声データを文書化した結果にミスが混入することもありえます。そのため、AIの品質保証を行うことが非常に重要です。

SHIFTでは、AIシステムに特化した品質保証フレームワークを導入し、安全性の高いシステム開発を支援します。AIによる開発の品質向上にお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

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