Introduction
近年、SaaSのサービスが増え、個人や企業などの多くの方が利用するようになりました。どのサービスを導入しようか検討している企業の方も、多いのではないでしょうか?
しかし「種類が多すぎてどれを選べばよいのかわからない」「SaaSを導入するメリットを知りたい」という方も多いかもしれません。
この記事では、SaaSについて、そのメリットやデメリット、注意点、サービスを選ぶ際のポイントなどを解説します。
目次
SaaSとは?
SaaSは「Software as a Service」の略称で、サースと読みます。クラウドサービスの一種で、サービス提供事業者が提供するアプリケーションを、インターネットなどを経由して利用できるサービスのことです。
インターネット経由でアプリケーション機能を提供する仕組みのこと
SaaSとは、インターネットを経由して、アプリケーションを提供する仕組みのことです。ユーザーの端末にアプリケーションをインストールする必要がなく、ネット経由で利用することが可能です。そのため、ネット環境さえあれば、どこからでも利用できるというメリットがあります。
SaaSについては、経済産業省『SaaS 向け SLA ガイドライン』によると、以下のように定義されています。
SaaS
SaaS とは「インターネット経由でアプリケーション機能を提供するサービスの形態」を指す。
また、中小企業基盤整備機構 経営支援情報センター『中小企業の SaaS 活用実態調査~SaaS 活用 500 社アンケート調査より~』によると、以下のように定義されています。
SaaS
特定及び不特定ユーザーが必要とするシステム機能を、ネットワークを通じて提供するサービス、あるいはサービスを提供するビジネスモデルのこと
たとえば、GoogleスプレッドシートなどはSaaSの一種です。Googleスプレッドシートを活用すれば、ブラウザ上で表計算ソフトを利用できます。ユーザーはExcelのようにソフトウェアをインストールしたり、バージョンの違いを気にしたりする必要がありません。これは、サービス提供者が提供しているサービスを、インターネットを経由して使っているためです。
SaaSの特徴
SaaSの特徴について解説します。
①どこからでもインターネットを経由してアクセスできる
インターネット経由で利用するという性質から、ネット環境さえあれば、どこからでもアクセスして利用できるのが大きな特徴です。それぞれのユーザーがアカウントをもつことで、会社からだけではなく、自宅や出先からでもネットを経由して利用できます。
②複数ユーザーでデータを共有できる
ファイル共有機能やドキュメント編集機能を提供するSaaSのサービスを利用すれば、ファイルストレージ機能やドキュメント編集機能が搭載されているため、複数のユーザーがデータやファイルを共有できます。なかにはGoogleスプレッドシートのように、複数人の担当者が同時編集できるサービスもあります。そのため、チームで仕事をする場合などに非常に役立つでしょう。
SaaS・PaaS・IaaSの違い
SaaSとよく似たものにPaaS、IaaSがありますが、何が違うのでしょうか?どれもクラウドサービスの一種であるという点では同じですが、提供するサービスの範囲が以下のように異なります。
【提供するサービスの範囲の違い】
|
SaaS |
PaaS |
IaaS |
アプリケーション |
〇 |
× |
× |
データ |
〇 |
× |
× |
ランタイム |
〇 |
〇 |
× |
ミドルウェア |
〇 |
〇 |
× |
OS |
〇 |
〇 |
〇 |
仮想化 |
〇 |
〇 |
〇 |
サーバー |
〇 |
〇 |
〇 |
ストレージ |
〇 |
〇 |
〇 |
ネットワーク |
〇 |
〇 |
〇 |
SaaSの例
SaaSには、以下のようにビジネスに役立つ、さまざまなサービスが存在します。
・ビジネスチャット:Slack、LINE WORKS、Chatwork、Microsoft Teamsなど
・Web会議システム:Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなど
・オンラインストレージ:Box、OneDrive、Dropboxなど
・ERP:SAP S/4HANA、NetSuite、SuperStream-NXなど
・SFA・CRM:Salesforce Sales Cloud、Microsoft Dynamics 365、kintoneなど
SaaSを活用するメリット
SaaSを活用すると、コストを抑えられる、運用管理の手間を軽減できるなどの多くのメリットがあります。ここでは、それらのメリットについて解説します。
スタートアップコストを抑えられる
SaaSを活用すれば、自前でアプリケーションやシステム環境を用意する必要がなく、すでにできあがっているシステムを利用できます。そのため、自社内でハードの購入やサーバー構築などを行う必要がありません。このように導入コストが安いため、スタートアップコストを抑えられるというメリットがあります。
保守・管理・アップデートの手間が軽減される
SaaSを活用することで、自社でシステム環境を保守・管理する必要がなく、管理の手間を軽減できます。
自前でアプリケーションやシステム環境を用意する場合、システムのアップデートやセキュリティ対策、障害発生時の対応などを行う必要があります。一方、SaaSならすでに用意された環境やアプリケーションを利用するだけのため、保守管理の手間は不要です。
つねに最新の機能を利用できる
SaaSのサービスやシステム環境は、サービス提供事業者が保守管理を行っており、つねに最新の状態に保たれています。
一方、自前でアプリケーションやOS、ミドルウェアなどを用意する場合、新しいバージョンが出たら、その都度購入やバージョンアップを行う必要があります。その点、SaaSを利用すれば、つねに最新の状態でサービスを利用できるのが大きなメリットです。
SaaSのデメリット・注意点
SaaSを導入する際には、デメリットや注意点も知っておく必要があります。ここでは、SaaSのデメリットと注意点について解説します。
カスタマイズできる範囲が限られる
SaaSのサービスは多くの人が使うため、汎用性が重視されており、個々にカスタマイズできる範囲が限られています。自社の業務やシステムに適した形にカスタマイズしたい場合は、コストをかけて自社専用のサービスを構築する必要があります。コストをかけたくない場合には、自社が求める機能や設定になっているサービスを選びましょう。
インターネット経由で利用するためセキュリティ面で留意が必要
インターネットを介してデータやアプリケーションなどにアクセスするため、不正アクセスなどのセキュリティ面での留意が必要です。
SaaSサービス自体は、事業者が高度なセキュリティ対策を施していることがほとんどです。しかし、インターネットを介しているため、利用者側の設定や使い方によっては、内部犯行による情報漏えい、データやIDなどのとり扱いのミスによる不正アクセスなどが起こる可能性もあります。
そのため、万全なセキュリティ対策を講じているサービスを選ぶと同時に、利用者側もセキュリティ対策を十分に行う必要があるでしょう。
障害発生時に利用できなくなる
SaaS側で通信回線の遮断やシステム障害などが起きたとき、メンテナンス作業が行われているなどの際には、利用が制限されます。この場合、利用者は復旧作業やメンテナンス作業が終わるまで、待つしかありません。
そのため、SaaSサービスを選ぶ際には、障害発生時の対応が充実しているサービスを選ぶ必要があります。
複数のSaaSサービスを契約していると契約状況を管理しきれない
複数のSaaSサービスを契約している場合、契約内容や社内の担当者との紐づけ管理などの状況を管理しきれなくなる場合があります。たとえば、サービスの導入を担当した社員が退職した、サービスを長期間使用していないなどの場合には、契約状況を把握できなくなることもあります。
そのため、複数のSaaSサービスを利用する場合には、契約状況を一元管理する必要があるでしょう。
SaaSサービスの費用状況を把握できない
SaaSサービスはサービス内容や利用状況などに応じて、月額や年額で費用が発生することが多いです。どれくらいの費用がかかっているのかを把握できるようにしておかないと、サービスへのアクセス数が急増して費用が大幅に増えてしまうなどのケースも考えられます。複数のSaaSサービスを契約している場合には、とくに注意が必要です。
そのため、SaaSサービスの費用状況を正しく把握できる体制を整える必要があります。
関連サービスについて
失敗しないSaaSの選び方
SaaSのサービスにはさまざまな種類があり、そのなかから自社にあったサービスを選ぶ必要があります。ここでは、失敗しないSaaSの選び方をご説明します。
ポイント① 自社が必要とする機能が備わっているか
同じサービスでも搭載されている機能が異なるため、自社に必要な機能が備わっているサービスを選びましょう。
たとえば、自社の従業員数や使い方にあったユーザー管理機能になっているか、操作がわかりやすいかなどです。具体的に何を実現したいか、どのような機能を求めるかを検討して選ぶことをおすすめします。
ポイント② 同業他社での導入実績が豊富か
同業他社が導入しているサービスを選ぶと、必要な機能やサポート、セキュリティなどの面である程度の実績があります。また、導入実績が少ないサービスは、突然サービスが終了してしまうリスクもあります。そのため、導入実績が豊富であり、とくに同業他社の導入実績があるサービスを選ぶのがおすすめです。
ポイント③ セキュリティ体制が万全か
SaaSのサービスを選ぶ際に、セキュリティ面は非常に重要なポイントです。どのようなセキュリティ対策を講じているか、セキュリティレベルの高さに問題はないか、過去に大きなセキュリティインシデントが起きていないかなどを必ず確認しましょう。
ポイント④ サポート体制が充実しているか
運営会社によるサポート体制も重要です。導入サポートはあるか、問題が発生した際にサポートをスムーズに受けられるかなどを確認しましょう。また、問い合わせ対応が可能な時間帯や対応方法、海外製品の場合はサポートデスクが日本語対応しているかなども、確認するとよいでしょう。
ポイント⑤ 価格が見あっているか
上記のような内容を確認したうえで、価格が見あっているかも確認する必要があります。
同様のサービスを比較して、価格が高すぎないかを確認しましょう。逆に、安すぎる場合には十分なサポートを受けられない、セキュリティ対策が不十分などの可能性もあるので、注意が必要です。
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手間のかかる企業のIT資産管理を効率化し、コストカット、セキュリティ強化を実現する「ワスレナイ」の紹介資料です。
企業が契約するSaaSは年々増加しており、その管理業務も煩雑化。小規模な体制が多い情報システム部門をサポートし、コストや作業のムダを減らすことで、企業のさらなるパフォーマンス向上へとつなげていきます。
無料で利用できるすべての機能や、他社との比較表も紹介していますので、まずは使ってみたい、既存ツールからリプレイスを検討している方はぜひご覧ください。
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まとめ
この記事では、SaaSについて、そのメリットやデメリット、注意点、サービスを選ぶ際のポイントなどを解説しました。
ファイル共有サービスやコミュニケーションツールなど、業務に必要なアプリケーションやソフトウェアは非常に多いです。しかし、そのすべてを自社内でまかなうのはコストの面でむずかしいため、SaaSを活用することをおすすめします。
自社にあったSaaSを導入して、業務の効率化やコストカットを進めたい場合は、SHIFT のSaaSに関する豊富な専門知識をお役立てください。
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「業務に必要なツールやシステム導入のコストを抑えたい」「SaaSを導入したいが自社にあったサービスはどれなのか知りたい」などの悩みを抱えている企業様は多いでしょう。自社にあったSaaSサービスを導入すれば、コストを抑えて業務効率を向上させることが可能です。
しかし、導入したサービスが多すぎて、管理しきれないなどのケースも増えてきました。SaaSを導入したところ、かえって管理作業の手間が増えてしまった、セキュリティ対策に手が回らなくなってきたなど、解決すべき課題は多いでしょう。業務効率を改善するためにSaaSを導入したのに、かえって作業の手間が増えてしまうのは大きな問題です。
そこで、SHIFTのSaaS・IT資産の一元管理ツール「ワスレナイ」をご導入いただければ、SaaS活用の課題を解決いたします。企業様の情報システム部門に寄り添い、お客様のSaaS管理の手間やコスト、セキュリティリスクを大幅に軽減します。
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監修
永井 敏隆
大手IT会社にて、17年間ソフトウェア製品の開発に従事し、ソフトウェアエンジニアリングを深耕。SE支援部門に移り、システム開発の標準化を担当し、IPAのITスペシャリスト委員として活動。また100を超えるお客様の現場の支援を通して、品質向上活動の様々な側面を経験。その後、人材育成に従事し、4年に渡り開発者を技術とマインドの両面から指導。2019年、ヒンシツ大学の講師としてSHIFTに参画。
担当講座
・コンポーネントテスト講座
・テスト自動化実践講座
・DevOpsテスト入門講座
・テスト戦略講座
・設計品質ワークショップ
など多数
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ヒンシツ大学とは、ソフトウェアの品質保証サービスを主力事業とする株式会社SHIFTが展開する教育専門機関です。
SHIFTが事業運営において培ったノウハウを言語化・体系化し、講座として提供しており、品質に対する意識の向上、さらには実践的な方法論の習得など、講座を通して、お客様の品質課題の解決を支援しています。
https://service.shiftinc.jp/softwaretest/hinshitsu-univ/
https://www.hinshitsu-univ.jp/
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