画像生成AIとは?
画像生成AIとは、プロンプトで指示されたとおりに画像を生成する、生成AIの一種です。
ここでは、画像生成AIとは何かについて解説します。
人間が指示を与えるだけで、自動的に画像を生成できるAIツール
画像生成AIとは、プロンプトで指示を与えると、指示どおりに画像を生成するAIのことです。たとえば「寝ている犬」というプロンプトを入力すると、そのとおりの画像を生成してくれます。
画像生成AIには「Image to image」と呼ばれるラフイメージを読み込ませると、完成度の高い画像を生成するタイプと、「Text to image」と呼ばれるプロンプトを入力すると、指示に従って画像を生成するタイプがあります。プロンプトを入力して生成した画像を再度読み込ませて、完成度を高めるなどの使い方も可能です。
画像が大量に必要な場合に画像生成AIを活用することで、画像作成を外注するコストや、自社で作成する手間を削減できる可能性があります。
ビジネスにおける画像生成AIの活用事例
ビジネスシーンでは、画像生成AIをどのように活用できるのでしょうか?ここでは、画像生成AIの活用事例をご紹介します。ビジネスで画像生成AIを活用したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
エンタメ
漫画、ゲームなどのエンタメコンテンツを制作する際に、画像生成AIは活躍します。
たとえばゲームを製作する際は、ゲーム内に登場するキャラクターや背景、建物など、デザインすべきものがたくさんあります。これらすべてのデザインや制作を人間が行うのではなく、画像生成AIを活用することで、制作の手間やコストを削減できるでしょう。
広告・マーケティング
WebサイトやSNSなどに広告を掲載する、マーケティング活動を行う企業は多いでしょう。広告制作やマーケティング活動を行うためには、ターゲットとなるユーザーの選定、広告コンテンツの制作やデザインなどを行う必要があります。
そこで画像生成AIを活用すれば、デザインを自動生成して、ターゲットユーザーの嗜好にあったコンテンツを制作することが可能です。
医療
画像生成AIは、医療の分野での活躍も期待されています。
たとえば、複数の患者の患部の画像をAIに学習させることで、病状の進行パターンに関するデータを蓄積することが可能です。学習したデータは、患部の診断や病状の進行のシミュレーションなどに役立ちます。これにより、多くの患者を診断した経験豊富な医師しかできなかった診断を、画像生成AIの活用により実現できる可能性が高いです。
ただし、患者の画像を学習させる際には、患者のプライバシーを保護する対応を行う必要があるなどの課題をクリアする必要もあります。
メディア
CM制作、商品やサービスなどの画像作成など、メディアにおけるプロモーション活動にも画像生成AIを活用できます。
たとえば、商品の写真を撮影する際に、従来は撮影セットやカメラマンを用意する必要があり、手間やコストがかかっていたとします。そこで、画像生成AIにより商品画像を生成すれば、手間やコストをかけずに必要な商品の画像を手に入れられます。また、季節ごとに画像を変更する、顧客のニーズにあったパターンに使いわけるなど、画像の調整も可能です。
実際に広告やCM制作の現場では、すでに画像生成AIの活用が行われています。
画像生成AIを利用する際の注意点
ここまでご説明したとおり、画像生成AIを活用すると、画像コンテンツの作成や変更、調整などを自由に行うことが可能です。そのため、画像コンテンツが必要なビジネスシーンで役立ちます。
しかし画像生成AIを活用する際には、商用利用や著作権、肖像権など注意すべき点もあります。そのため、ビジネスで画像生成AIを活用する際には、これらをあらかじめ理解しておくことが重要です。
ここでは、画像生成AIを利用する際に注意すべきことについて解説します。
商用利用ができない場合がある
ビジネスで活用する際には、商用利用が可能かどうかを必ず確認しましょう。ほとんどの画像生成AIサービスでは、利用規約で生成された画像の扱いを定めています。この規約をよく読み、規約に違反していないかを確認しましょう。
商用利用できないケースには、たとえば以下のようなものがあります。
・無料プランで生成した画像を商用利用できないケース
多くの場合、画像を商用利用するためには、有料プランへの加入が必要です。利用するプランの商用利用の可否を必ず確認しましょう。
・個人利用や研究目的のためのサービスなどで商用利用できないケース
もともと商用利用を目的としていないサービスもあるため、注意が必要です。
・ベータ版で正式運用がはじまっていないケース
正式運用がはじまっていないベータ版で、試験的に運用を開始しているサービスでは、商用利用を認めていないことが多いです。
このように、そもそも商用利用できない場合もあるため、利用規約は必ず事前に確認しましょう。
著作権や肖像権を侵害するリスクがある
生成元の画像の著作権や肖像権を侵害してしまうリスクもあるため、画像生成AIにデータを読み込ませる際には十分に注意する必要があります。特に著作権については、既存のキャラクターの画像など画像生成AIに誰かの著作物を学習させる場合、状況によっては著作権侵害になることがあるため注意が必要です。
原則として日本では、生成AIのAI開発・学習段階における著作物の複製または改変に関しては、「著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」(いわゆる「非享受目的利用」)においては、著作権者の許諾がなくても著作物の利用が認められています(著作権法第30条の4)。
ただし、著作権法第30条の4には、以下のような「ただし書き」があります。
「ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」
不当性の有無については著作権者の著作物の利用市場と衝突するか、将来における著作物の潜在市場を阻害するか、といった観点から判断されることになりますが、画像生成AIの利用方法によっては、著作権侵害で訴えられる可能性があるということです。画像生成AIを利用する場合には、このような法的なリスクを考慮して、慎重に対応する必要があるでしょう。
なお、このコラムは、その公表時点における執筆者の見解を述べるものであり、筆者が所属する団体の見解を述べるものではありません。また、見解自体が法的な拘束力を有するものではなく、現時点で存在する特定の生成 AI やこれに関する技術について、確定的な法的評価を行うものではないことをご留意ください。
フェイク画像が拡散し、悪用されるリスクがある
画像生成AIを活用すれば、プロンプトを適切に入力するだけで、自由に画像を生成できます。しかし、フェイク画像を生成して拡散することで、第三者に悪用される、見た人を混乱させるなどのリスクもあります。
たとえば、実在する建物で大火災が起きている画像、有名人が病気を患っていることがわかる画像などを生成した場合です。実際には起きていないことでも、画像生成AIによってリアルな画像を生成してSNSやネットで拡散すると、混乱を招いてしまうでしょう。
このようなフェイク画像により、特定の企業の株価が暴落する、企業に問い合わせが殺到するなどの実害が起こる場合もあります。
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画像生成AIの代表的なモデル
具体的な画像生成AIのモデルには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的なモデルをいくつかご紹介します。
DALL-E
Midjourney
テキストを入力すると、イラストを生成できる画像生成AIモデルで、2022年7月にベータ版が公開されています。テキストを入力することで簡単にイラスト生成でき、生成されたイラストが写実的、芸術的であると評価されています。ピカソ風、油絵風、彫刻風など、イラストのテイスト変更も可能です。また、生成画像のクオリティの高さだけではなく、生成速度のはやさも評価されています。
StyleGAN2
高解像度の画像を生成できる画像生成AIモデルです。生成された画像は実写と見わけがつかず、StyleGAN2の登場により、写真が証拠にならなくなったともいわれています。StyleGANのノイズや不自然な箇所があるという問題を改善したのが、StyleGAN2です。
まとめ
この記事では、画像生成AIについて、活用事例や利用時の注意点、代表的なモデルなどを解説しました。
画像生成AIを使えば、簡単に必要なイラストや写真などの画像を生成できます。WebサイトやSNSに掲載するコンテンツの制作、社内資料に添付する画像の作成などに役立つでしょう。うまく活用すれば、業務の効率化に役立てることも可能です。
しかし画像生成AIを利用する際には、商用利用できない場合がある、著作権や肖像権を侵害するリスクがあるなど、注意すべきこともあります。
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画像生成AIサービスを業務に導入すれば、WebサイトやSNSなどを活用した広告、マーケティング戦略などに役立てることが可能です。AIツールを導入すれば、業務の効率化やコストの削減などのメリットを得られることもあります。
しかし、そのためには、AIを活用するノウハウやAIに関する知識や技術などが必要です。また、AIは新しい仕組みのため、法律面や倫理面などの問題にも対処しなければなりません。具体的には、画像生成AIサービスの商用利用の可否や、著作権・肖像権の侵害が起こっていないかなどの確認が必要です。
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