自治体DXとは?メリットや推進事例、成功させるためのポイントを解説

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自治体DXとは?メリットや推進事例、成功させるためのポイントを解説
株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

Introduction

近年、幅広い業界にDX化の波が広がっていて、民間企業だけではなく、行政サービスにも影響を与えています。行政サービスにおけるDXは、自治体DXと呼ばれています。

自治体DXは、少子高齢化や人口減少、財政難などの問題解決に加え、自治体サービスの向上や効率化を達成するために必要不可欠なものです。ここでは、自治体DXのメリットや具体的な事例、自治体DXを成功させるためのポイントなどについて解説します。

目次

自治体DXとは?

自治体DXとは

自治体DXとは、地方自治体が推進するDXのことですが、具体的にどのようなものなのでしょうか。ここでは、自治体DXについて詳しく解説します。

DXについてはこちらもご覧ください。
>>DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?なぜ必要なのか、進め方もあわせて解説のページへ

行政手続きのデジタル化やデータ連携により、住民の利便性向上と業務効率化を図ること

自治体DXとは、地方自治体がIT技術を活用して、行政手続きのデジタル化やデータ連携などによる業務の効率化を進めることを指します。その結果、住民の利便性の向上や行政サービスの質の向上が期待できます。

総務省の公式サイト『地域におけるデジタル・トランスフォーメーション』によると、以下のように記載されていました。

自治体DX

自治体DXとは、行政手続のデジタル化や行政内部のデータ連携などを通じて、住民の利便性向上と業務効率化を図るものです。

自治体DXを推進することで、公共サービスの利便性の向上・情報公開の迅速化・多言語対応、災害時の情報収集や伝達の迅速化などを実現可能です。

たとえば、行政サービスの各種申請を紙ベースの申請書ではなくWeb申請にすれば、24時間、どこからでも申請できるようになります。マイナンバーカードで申請できるサービスや連携できるデータが増え、住民がより便利に生活できるようになるでしょう。

さらに、自治体が保有する膨大な人口動態・人流データ・アンケートデータなどを活用すれば、新たなニーズを見つけ、新しいサービスを創出することも可能です。

自治体DXが必要とされている理由

団塊ジュニア世代が65歳以上になり、現役世代が激減することで起きる「2040年問題」が危惧されています。少子高齢化が進み、労働力不足が深刻化しているため、高い水準の行政サービスを維持することは非常に困難です。

このような状況下にあっても、自治体によるインフラの維持管理・福祉・公共交通などの行政サービスは、維持しつづける必要があります。そのため、限られた人数の自治体職員が業務を効率よく行える仕組みづくりは、急務の課題といえるでしょう。

デジタル技術を自治体業務に導入し、効率化・デジタル化することが求められています。また、既存業務を改善するだけではなく、自治体DXにより新たな価値を創造していくことも重要です。

 

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自治体DXを実現するメリット

ここでは、自治体DXを実現することで得られるメリットについて説明します。

住民の多様なニーズに対応できる

自治体DXの実現により、多様化する住民のニーズに対応することが可能です。

たとえば、営業時間内に自治体の施設を利用できない場合に、行政手続きをオンライン化することで場所や時間に制限なく利用できるようになります。これは、高齢者や障がいのある人など、外出が困難な住民にとっても大きなメリットになるでしょう。

また、自治体サービスを多言語化すれば、外国人の旅行者や住民も利用しやすくなります。加えて、情報をデジタル化することで情報公開が迅速に行われるようになれば、多くの住民がより快適なサービスを受けられます。

自治体の業務効率化や働き方改革につながる

自治体DXは、自治体の職員の業務効率化や働き方改革にも役立ちます。紙ベースの申請書やデータによる業務は非効率なため、デジタル化することで業務の効率化が進みます。その結果、サービスの質を落とさずに、自治体職員の長時間労働を是正することが可能です。

コスト削減につながる

自治体DXを活用している地域のなかには、GPSセンサーによる地域児童の登下校時の見守りサービス、河川の水位データや積雪データなどによる防災システムなど、人員コストを抑えながら行っている業務もあります。

自治体には、人口の動態・人流データ・アンケートデータなど、膨大なデータが蓄積されています。このような個人情報を含まないデータを活用することで、コストの削減だけでなく、新たな価値を創造することが可能です。

自治体DXの事例

実際に自治体DXが行われることで、どのようなことを実現できるのか、具体例を交えながら紹介します。

行政サービスのオンライン化

住民が行政サービスを利用する際に、役所などの窓口に申請書を提出しなければいけないのは非常に不便です。

そこで、Web申請や照会などができるシステムを導入して行政サービスをオンライン化すると、24時間どこからでも利用することが可能です。その結果、住民の利便性は大幅に高まり、高齢者や障がいのある人など、外出が困難な人たちも利用しやすくなります。

バックオフィス業務のデジタル化

伝票処理や経費精算など、自治体のバックオフィス業務がデジタル化されると、伝票や帳簿などが紙ベースだったときよりも業務効率が大幅に向上し、サービス提供までの時間を短縮できます。

これは、自治体職員にとっても住民にとっても、大きなメリットといえるでしょう。

AIやRPAの活用

AI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)など、新たな技術の活用も進んでいます。AIを搭載したチャットボットやRPAツールを活用して、行政サービスの問いあわせに対応することが可能です。

これらの技術の導入が進めば、対応時間外の問いあわせが可能になり、窓口での待ち時間が軽減されるでしょう。新しい技術の活用により、業務の迅速化や正確性の向上が期待できます。

▽あわせて読みたい▽
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情報システムの標準化・共通化

従来の自治体では、自治体ごとに異なるシステムやカスタマイズされたシステムが使われていました。そのため、自治体間のデータのやりとりや、クラウドシステムを活用した共同利用がしにくい状況でした。

自治体DXを推進するなかで、情報システムの標準化や共通化を進めることで、各自治体が効率よく情報を管理でき、ほかの自治体と連携しやすくなります。その結果、自治体をまたいだサービスの提供、災害時の情報共有のスピードアップなどが期待できます。

自治体における情報システムの標準化、共通化の取り組みは、現在も進められています。

テレワークの推進

自治体で働く職員のテレワークを推進することで、子育てや介護などを担う職員が働きやすい環境を整えられます。自治体職員の人手不足が進む昨今は、働き方改革を積極的に行い、人員を確保する必要があります。

自治体DXを進めるうえでの課題

自治体DXを進めるうえでの課題

ここでは、自治体DXを進めるうえで解決すべき課題について解説します。

予算や人材不足の問題

少子高齢化で労働人口の減少が進んでいくと、納税額も減少していくでしょう。そのため、自治体の予算が縮小し、自治体DXのための財源確保が困難になっていきます。

また、総務省がまとめた『地方公共団体の職員数の推移』によると、令和5年の職員の総数は、ピーク時の平成6年と比較すると約48万人と約15%も減少しました。そして、今後も少子高齢化により、地方公務員が不足する状況はつづくと予想されています。

自治体DXを推進するためには、予算や人材不足の問題を解決していく必要があります。

既存システムのブラックボックス化の問題

既存システムの老朽化や複雑化が進み、内部の構造や機能を把握できないブラックボックス化が進んでいるという問題もあります。

現在はほとんど使われていない古いプログラミング言語でシステムが構築されている場合、維持運用を担ってきた担当者が退職してしまっていることが多く、プログラムの内容を解析するのが困難な状況です。

ブラックボックス化されたシステムを調査・解析し、新しいシステムに移行することは、自治体DX推進の大きな課題となっています。

組織文化や従業員の意識の問題

自治体の組織内で、いまだに紙の申請書や帳簿などを重視するアナログ文化が根強く残っています。デジタル技術の導入を検討する際に、現場からの反発が大きいことも、自治体DXが進まない要因です。

デジタルデバイドの問題

デジタルデバイド問題とは、デジタル化が進むなかで、デジタル機器やインターネットなどを利用できる層と利用できない層で、受けられるサービスの格差が生まれる問題です。そのため、システムをわかりやすくしたり、教育やサポートを行ったりするなど、デジタル化にとり残される住民を出さないための対策が必要です。

セキュリティリスクの問題

デジタル化が進むと、セキュリティのリスクが高まります。自治体システムがネットワークにつながることで、サイバー攻撃の脅威にさらされることになるため、セキュリティ対策の強化が必要です。

自治体DXを成功させるポイント

ここでは、自治体DXを成功させるために重要なポイントを紹介します。

目的を明確にし、戦略的な計画を策定する

目的を明確にせず、やみくもにデジタル化を進めても、何も達成できない可能性が高いです。何を実現したいのかを具体的にし、戦略的な計画を策定することで、成果を得られる可能性が高まります。具体的な目的を明確にして職員や住民に共有できるビジョンを策定すること、また、現状把握と課題の洗い出しを行って改革のための具体的な計画を策定することが重要です。

DX人材の育成、確保とデジタル基盤の整備

デジタル技術に関する専門知識が豊富で、DX化の経験をもつ人材を確保する必要があります。自治体内の職員をDX人材として育成していくとともに、外部企業の協力を得てDX人材の育成や確保を行うことも重要です。そのうえで、デジタル基盤の整備、クラウドシステムの導入、セキュリティの強化、マイナンバーカード対応のインフラ構築などの技術的な基盤整備に取り組んでいかなければなりません。

先進事例から学ぶ

過去に、ほかの自治体が取り組んだ事例を参考にすることも重要です。具体的にどのようなことを実現できるのか、効果はどれくらいあったのか、失敗はあったのかなどを参考にしながら、積極的に導入を進めていく姿勢が求められています。

官民連携の強化と断続的改善の実施

自治体職員だけでDXを推進するのは困難なため、DXに関する知識や経験をもつ民間企業と連携することが重要です。とくに、実際に自治体のDX化をサポートした経験がある民間企業に依頼すれば、先進事例に基づいたフォローアップが期待できます。さらに、官民連携を一度行うだけではなく、連携した結果を分析して改善を繰り返していくことで、よりよい結果につなげていけるでしょう。

SHIFTの公共事例集

中央省庁様の感染対策システムのプロジェクト立ち上げ~品質改善支援。独立行政法人様のDX推進におけるRPAの開発と定着化など、各プロジェクトの課題や背景、ご支援体制、実現したことなど、事例の一部をまとめています。
官公庁でDXを進めるにあたっての豊富な経験から、多数のご支援を進めておりますので、お困りごとなどありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

自治体DXとは、地方自治体がIT技術を活用して、行政手続きをデジタル化することです。加えて、データ連携などを行えば、業務を効率化したり、生産性を向上させたりといった効果が期待できます。

各自治体で自治体DXを実現したい場合には、SHIFTの官公庁向けサービスをご活用ください。それぞれのニーズやシステム環境にあった対応を行い、行政のDX推進をサポートいたします。

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「自治体DXを推進して、業務効率を改善したい」「行政システムのDX化は難易度が高く対応に手間がかかる」「AIやビッグデータ活用のノウハウがなく、DXに対応できる人材がいない」などの悩みをもつケースも多いでしょう。

この記事でもご紹介したとおり、各自治体でDXの取り組みが進んでいます。新しい技術を業務に活用してDXを推進できれば、業務の効率化や生産性の向上につながり、自治体の人材不足の問題も解決できるでしょう。

しかし、自治体のシステム更改や変更を行うためには、専門的な知識や技術、ノウハウが必要です。IT人材が不足しており、AIの仕組みやビッグデータを活用できるシステムを導入するのがむずかしい、というケースも多いかもしれません。

SHIFTの官公庁向けサービスをご活用いただければ、行政のDX推進に関する課題を解決いたします。SHIFTがもつ行政システムの専門家や官公庁出身者の知見、課題解決に必要な技術を活かしてお客様の課題解決を支援いたします。

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この記事を書いた人

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