Introduction
AIの技術はあらゆる分野に浸透しており、日常生活やビジネスシーンでなくてはならないものとなりました。AI技術のなかでも、機械学習やディープラーニングの分野の進化は目覚ましく、さまざまなアルゴリズムが登場しています。
そのなかでも、人間の脳神経を模したニューラルネットワークの一つであるCNN(畳み込みニューラルネットワーク)は、高度な画像認識が可能です。CNNの技術は、自動運転技術や医療の現場など、幅広い分野で役立っています。
この記事では、CNNとは何か、その構造や具体的な活用事例などについて解説します。
目次
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)とは

ここでは、CNNとは何か、ほかの機械学習との違いなどについて解説します。
ニューラルネットワークを用いてコンピューターに機械学習させる方法
CNN(Convolutional Neural Network、畳み込みニューラルネットワーク)とは、人間の脳神経を模したニューラルネットワークの一種です。
CNNは「入力層」「出力層」「隠れ層」という3つの部分から成り立っています。隠れ層は複数あり、それぞれがデータの特徴を見つけて学習する役割を担っています。
主な隠れ層には以下のようなものがあります。
・畳み込み層
・活性化層(ReLU層)
・プーリング層
CNNにはこのように複数の隠れ層が存在することで、これらの層が協力して画像の特徴を段階的に学習していく仕組みになっています。
CNNは、主に画像認識、動画データの認識や分類などに使用されます。具体的には、自動運転技術や、医療の現場におけるレントゲンやCTスキャンといった画像診断などに活用されています。
ニューラルネットワークについてはこちらもご覧ください。
>>ニューラルネットワークとは?仕組みや種類、活用事例について解説のページへ
画像認識についてはこちらもご覧ください。
>>画像認識とは?AIを活用する仕組みやメリット、今後の課題について解説のページへ
ほかの機械学習との違い
CNNは、ほかの機械学習と何が違うのでしょうか?
CNNはディープラーニングの一種ですが、ディープラーニングは機械学習をより発展させたものです。つまり機械学習のなかにディープラーニングが含まれており、CNNはディープラーニングのなかの一つの手法になります。
ディープラーニングについてはこちらもご覧ください。
>>ディープラーニングとは?機械学習との違いやできること、活用事例を解説のページへ
機械学習についてはこちらもご覧ください。
>>機械学習とは?AIやディープラーニングとの違い、活用事例などを解説のページへ
DNNとの違い
CNNのほかにもDNN(Deep Neural Network)というニューラルネットワークが存在しますが、何が違うのでしょうか?
そもそもCNNはDNNの一種で、そのなかでも画像認識に特化しているという特徴があります。どちらもニューラルネットワークに該当しますが、DNNの方はより汎用的な使われ方をするという点に違いがあります。
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)の構造
ニューラルネットワークでは、入力されたデータを複数の層を通すことで処理を行い、求める結果を出力します。
CNNは前述の通り「入力層」「出力層」「隠れ層」という構造に分けられます。その中でも重要となる「隠れ層」は複数の層で構成されており、数十、数百と繰り返し処理が行われる過程で学習をしていく層でもあります。ここでは、CNNのコアともいえる隠れ層の代表的な種類について解説します。
畳み込み層
畳み込み層では、入力画像を一連の畳み込みフィルターに通します。そうすることで、それぞれのフィルターが特定の画像の特徴の活性化を行い、画像内の局部的な特徴を抽出します。
活性化層(ReLU層)
活性化層(ReLU層)では、負の値をゼロにマッピングして正の値を維持します。これにより不要な情報を取り除き、より速く効果的な学習を行えるようにしています。活性化された特徴だけが次の層に引き継がれるため、「活性化層」と呼ばれます。
プーリング層
非線形ダウンサンプリングによって出力を単純化し、学習が必要なパラメーターの数を減らします。これにより、重要な特徴を保ちながら計算を軽くすることが可能です。
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)の活用例
CNNは主に画像の処理が得意ですが、実際どのような分野で活用されているのでしょうか?ここでは、各業界における具体的な活用事例について解説します。
製造業
製造業では、製品の不良品検知や異常検知を行う際に、製造ラインを監視カメラで撮影した画像をAIで分析して検知します。CNNの高度な画像認識技術を活かして不良品や異常を検知することで、従来は人間が目視で行っていた作業を自動化することが可能になりました。
その結果、製造ラインの24時間稼働なども実現可能になり、人手不足の解消、業務の効率化、生産性の向上などに役立っています。
自動車業界
自動運転技術では、センサーカメラで道路や標識、人や車などの障害物などを的確に認識することが非常に重要です。そこで高度な画像認識が得意なCNNが活かされ、道路、信号、車両、人、障害物などの物体を確実に認識することで、自動運転技術の実現を可能にしています。
安全な自動運転技術を確立するためには、センサーカメラの認識精度を高める必要があります。CNN技術を活かすことで、完全無人運転の実現に向けて一歩一歩確実に開発が進んでいます。
医療
医療の現場では、レントゲンやCTスキャンなどで患部の状況を診断する際にCNNの技術が役立っています。大量のレントゲンやCTスキャン画像を学習して認識精度をあげることで、経験豊富な医師が行うレベルの診断が可能です。これにより、医師不足が発生している医療現場でも高いレベルの診断を受けられるようになります。
その結果、乳がんや糖尿病網膜症などの早期診断も可能になり、今後多くの患者の命を救うことになるでしょう。また、経験豊富な医師でなくても一定レベルの画像診断が可能になり、医師不足が深刻な過疎地域でも高度な医療行為を受けられるなどのメリットにもつながります。
防犯・セキュリティ
防犯対策として監視カメラを街中や家のまわりなどに設置し侵入者や犯罪者を検知する際や、オフィスのゲートなどで使われる顔認証技術にもCNNの技術が活用されています。街中を通る多くの人の顔を認識して、そのなかから犯罪者を検出するためには高度な画像認識技術が必要であり、そこにCNNの技術が活かされているのです。
その結果、人間による防犯カメラの監視なども不要になり、人手不足問題の解消にもつながるでしょう。
顔認証についてはこちらもご覧ください。
>>顔認証システムとは?仕組みや導入するメリット・注意点、活用事例を解説のページへ
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)導入時に気をつけたいポイント

CNNの導入時に気をつけたいポイントについてまとめました。
開発コストと社内体制を確認する
CNNを現場で活用するためには、用途にあわせた開発、カスタマイズ、データの準備などが必要です。高度な分析や予測のためには膨大なデータを学習させなければならず、高性能な専用マシンなども必要になります。さらに、経験豊富なデータサイエンティストなどのIT人材も集めなければならないでしょう。
開発コストや人材などを用意する必要があるため、社内でそのような体制を整えられるかを確認する必要があります。また、それだけのコストをかける価値があるのかも事前に検討しなければなりません。
学習データの量が担保されているか確認する
CNNの技術を用いて高度な分析や予測を行うためには、大量の学習データが必要です。また、データ量が十分だったとしてもデータにノイズが生じる場合もあり、必要に応じてデータの修正なども行わなければなりません。
目的を達成するために必要な学習データが用意されているか、学習データの質は保たれているかを事前に確認する必要があるでしょう
AIを過信せず、つねに問題がないか確認する
AIをビジネスに活用する際は、AIが間違えることもあるという前提に立って対応する必要があります。AI技術はまだ発展途上であり、ハルシネーションというAI特有の誤りが発生することもあります。
学習データの不足や偏りなどによってAIが間違った結果を出す、AIが情報を誤って認識することなども十分起こります。そのため、高度な性能を有するCNN技術であっても過信することなく、テストを繰り返す、結果が間違いないか確認するなどの対応が必要です。
AIが間違いを起こす可能性があることを前提にした運用方法を、あらかじめ決めておかなければなりません。
ハルシネーションについてはこちらもご覧ください。
>>ハルシネーションとは?発生する原因や改善方法、トラブル防止のための対策を解説のページへ
まとめ
CNN(Convolutional Neural Network、畳み込みニューラルネットワーク)とは、人間の脳神経を模したニューラルネットワークの一種です。CNNは「入力層」「出力層」「隠れ層」という3つの部分から成り立っており、さらに隠れ層自体も複数の層で構築されています。このような複雑な構造をもつことで、高度な性能を実現しているのです。
膨大なデータをAIに学習させることで、高度な認識、分析、予測などが可能な機械学習はより進化して、ディープラーニングと呼ばれる分野が生まれました。さらに、人間の脳に模した構造をもつニューラルネットワークも登場し、さまざまな高性能モデルが生まれています。
このような高度な処理が可能なニューラルネットワークをビジネスに活用することで、新しい価値やビジネスを生み出すことが可能です。高性能なAIツールをビジネスに導入すれば、業務の効率化、生産性の向上、コストの削減、顧客満足度の向上などにつながります。AIツールをうまく活用すれば、企業競争力の向上にも役立つでしょう。
社内のAI活用を推進する「天才くん」
この記事でご説明した画像解析に特化したニューラルネットワークCNNのように、高度なAIの技術が次々と登場しています。AIの技術開発は盛んに行われ、自動化が進む製造業や自動運転、医療分野などの特定の分野だけではなく、一般企業でも導入されることが増えてきました。
AIは、いまやビジネスに欠かせないツールであり、業務の効率化や生産性の向上、コストの削減などに役立ちます。しかしAIツールを社内に導入してもなかなか浸透しない、効果があがらないなどの悩みをおもちの企業様も多いでしょう。
実際、高度なAIツールを社内に導入するためには、ある程度AIに関する知識や技術が必要です。たとえば生成AIを活用して報告書などの文書を作成する際は、社内向けにAIツールをカスタマイズしたり、プロンプトをうまく書いてAIに指示したりする必要があります。
このようなAIツールをうまく活用するために必要な知識や技術、ノウハウが不足し、社内にAIツールを導入してもなかなか全社的に浸透しない、効果を得られないなどの悩みを抱えるケースも多いようです。
AIツールの導入にお悩みの場合には、SHIFT社のノープロンプト生成AIツール「天才くん」をぜひご活用ください。「天才くん」をオフィス導入すると、自社の業務に適したAIを簡単に作成でき、質問や業務内容を入力するだけで必要な結果が生成されます。
たとえば、営業メール、報告書、SNS投稿、書類チェックなど、地味に手間だった業務を誰でも簡単に効率化することが可能です。
このように「天才くん」を業務に活用することで、誰でも簡単にAIを用いて業務の効率化を実現できます。導入から運用までを専任スタッフがフルサポートし、プロンプトの書き方から課題解決までを支援いたしますので、お気軽にご相談ください。

監修
林 栄一
組織活性化や人材開発において豊富な経験を持つ専門家として、人材と組織開発のリーダーを務め、その後、生成AIを中心にスキルを再構築し、現在新人研修プログラムや生成AI講座開発を担当している。2008年にスクラムマスター資格を取得し、コミュニティーを通じてアジャイルの普及に貢献。勉強会やカンファレンス、最近では生成AI関連のイベントに多数登壇している。チームワークの価値を重んじ、社会にチームでの喜びを広める使命をもつ。
――――――――――
ヒンシツ大学とは、ソフトウェアの品質保証サービスを主力事業とする株式会社SHIFTが展開する教育専門機関です。
SHIFTが事業運営において培ったノウハウを言語化・体系化し、講座として提供しており、品質に対する意識の向上、さらには実践的な方法論の習得など、講座を通して、お客様の品質課題の解決を支援しています。
https://service.shiftinc.jp/softwaretest/hinshitsu-univ/
https://www.hinshitsu-univ.jp/
――――――――――