コラム

  • 2021.08.31
  • 開発
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新規ゲーム開発。その流れと重要視するべき2つのポイントとは

効率よくゲームを開発し、運用するためには、どうすれば良いでしょうか?
そのためには全体像を把握し、プロデューサーなどが判断する業務と、実際に開発現場が作業として「手を動かす」業務にわけて、スケジュール作成、チームビルディングをする必要があります。

今回は新規にゲームを開発する場合の流れを振り返りながら、ゲーム開発を成功に導くために重視するポイントを紹介いたします。

企画/仕様書作成

主にプロデューサーを中心にニーズを分析・調査し、コンセプトやゲームの概要を決めていきます。あわせてプロジェクトの開始準備として、スケジュールを作成し、予算や工数の見積もり、具体的な数値目標を設定していきます。この際、作り手側の熱意だけではなく「きちんとユーザーから認められるものにできるのか」という視点で考える必要があるため、市場調査やマーケティング会議などを通して、複数の視点から「プロダクトとして成功するゲーム」になるよう概要を決めていきます。

市場調査

ユーザーのニーズや市場動向などを徹底的に研究します。この段階で行われる調査として、製品のコンセプトや価格などを消費者に検証する「受容性調査」や、どんなコンセプトにするのか、事前に複数のコンセプトを提示し、対象となる消費者がどんな反応を示すか調査する「コンセプト調査」、販売金額や販売数量といった市場規模に関する定量的な情報の他、市場環境や製品トレンド、競合の参入傾向を定性的な情報で把握する「市場規模調査」などがあります。この段階で得た情報はゲーム開発だけではなくマーケティング戦略、プロモーションなどにも活用することがあります。

コンセプト/ゲーム概要の決定

市場調査を参考に、ゲームの概要となるコンセプトを決定します。コンセプトとは、ゲーム内で表現したい概念や視点のことであり、これを固めたうえで、そのコンセプトにマッチするユーザーのペルソナやプラットフォームなどを肉付けしていき、リリースするゲームの概要を決定していきます。

マーケティング/企画会議

社長や関係役員とともに会議を開き、開発への承認を得ます。企画のコンセプトや売上の予想計画のもと、開発予定のゲームの面白さを判断し、それが万人にも伝わる内容であることを主にマーケティング的視点で審査します。そこで、承認を受けるとコンセプトをどのように表現していくのか、ゲームの売りは何なのかなど、企画会議を通して具体的に内容を決めています。

開発環境構築

ゲームに取り入れる技術、ゲームエンジン、ミドルウェアなどを検証し、開発環境を構築します。ミドルウェアとは、コンピュータの基本的な制御に使うOSと、各種業務処理を行うアプリとの間に入るソフトウェアのことです。進化するゲームエンジンに対し、ミドルウェアの選定は欠かせないものとなっています。

仕様書作成

プロデューサーやディレクター、プランナー、プログラマーなど多くの職種が携わるゲームの開発を滞りなく進めるため、スケジュールとともにゲームの挙動や設定を記載した資料である仕様書を作成します。この仕様書に抜け漏れがあると、開発のやり直しが発生することがあるため、起こりうる全ての挙動を書ききることが求められます。

プロト版作成

仕様書をもとにプロトタイプ版を作成します。主な作業としては、メイン部分の制作、ゲームのビジュアルやサウンドの作成です。会社によっては、社内承認が得られていない開発企画の時点で少人数メンバーによるプロトタイプ版製作を行い、開発の承認を得るという流れとなる場合もあります。

プログラム設計/コーディング

実際にゲーム機上で動くようプログラムを作成します。多くの機能を持つゲームのプログラムは、巨大で複雑になりがちです。また、コードの保守、機能追加などの工程には複数のプログラマーが関わることになります。そのため、ゲームのプログラムには「わかりやすいコード」と「効率よく機能を追加できる設計」が求められます。

シナリオ/パラメータ作成

シナリオの作成や、操作キャラクターや敵キャラの強さなどのパラメータを調整していきます。ゲームバランスやゲームコンセプトを崩さずに、作成することが求められます。

原画作成/UIデザイン

キャラクターやその動き、背景から、魔法や煙などの効果(エフェクト)、ボタンやメニュー画面などを作成していきます。昔からゲーム業界ではユーザーがすぐに遊べるようUIデザインに力を入れていましたが、昨今ではスマホゲームが増えてきたこともあり、小さい画面でも求める情報がわかるように設計することも多くなっています。

音楽作曲/音声収録

ゲーム内で使用するBGM、効果音などの制作や、キャラクターの音声を収録していきます。

商標チェックなどの法務作業

この時点でゲーム全体の雰囲気や世界観、操作感の大枠を確定させ、実際にどんなゲームになっていくかを確定しながら、そのゲームの商標や著作権が違反していないか、また違反していない場合の外部との契約回りなどを、法務部門とやり取りすることもあります。

レビュー

プロト版が完成した段階でレビューを実施します。たいていは社内の限られたメンバーでプロト版をプレイし、ゲームコンセプトとの乖離がないか、不具合がないかを確認していきます。

製品版作成

プロト版のレビューが終わると、その評価をもとに製品版を作成していきます。最終的な製品版までにゲームソフトの開発段階で、プロト版を含めいくつかのバージョンが存在します。その代表的なものがα版、β版です。その都度レビューを繰り返しながら完成を目指していきます。

α版の作成

α版は、性能を評価するためのデバッガーや開発者向けのバージョンです。また、企画会議と同様に経営層もしくはパブリッシャー側がゲーム内容を評価するためにα版を作成することもあります。その場合、経営層もしくはパブリッシャー側の判断結果により、ゲーム開発が中止となるかβ版に進められるかの重要な指標になります。

このような段階なので、ゲームのメイン部分以外は機能が実装されてなかったり、細かな仕様が抜けていたりするため、動作に不安定な箇所が多数存在します。基本的に外部に公開されることはありません。

β版の作成

α版で出た問題点や不具合をテストプレイやデバッグを通して改善し、β版を作成していきます。既に必要な機能は全て組み込まれ大部分は完成しているため、ゲームとしては最後までプレイできるようになっています。この段階からユーザーが使用可能な状態となるため、一般の目にも触れることになります。
β版は、特定の人々に限定して配布し、限定されたユーザーにのみテストプレイしてもらうクローズドβと、β版を一般公開して不特定多数の多くの人々に試用してもらうオープンβの二つに分かれます。

流れとしてはクローズドβで不具合修正を行った後に、オープンβに移行するという流れになるので、一般的にクローズドβの方が不具合は多いといえます。
このβ版を発売前に先行してユーザーにゲームをプレイしてもらうことで、話題性を高めたり、この際に得られた貴重な意見を頼りに、不具合の修正やさらなる機能向上へつなげたりしていきます。

ユーザーとの接触があるため、この辺りからカスタマーサポートなど開発部署以外とも連携することがあります。

製品版完成へ

α版とβ版を経て、製品版(最終版)が完成します。別名マスターアップ版ともいいます。
少しでも快適なゲームプレイができるように最適化とバランス調整を行い、ユーザーが快適にプレイできるゲーム環境を整えます。

しかし製品版が完成しても、実は深刻な不具合が残っていたということが充分にありえるため、発売が延期にならないためにも、しっかりとこの段階でもデバッグ作業を行います。

サービスの運営/維持/マネタイズ

製品版は完成してから1~2ヵ月後に市場に出回るようになりますが、ネットワーク対応のゲームやソーシャルゲームはリリース後も運営と開発、調整を続ける必要があります。
タイトルによっては、このサービス維持の努力が開発以上の売上に直結するケースもあるため、慎重に行っていきます。

不具合修正/対応

リリース後のユーザーの反応から、改善すべき点を洗い出します。不具合があればすぐに対応し、ユーザーにとって快適なゲーム環境を維持・運営していきます。

追加要素やイベントの開発

ユーザーの継続率向上や、新規ユーザー獲得のためにコンテンツやイベントなどの追加要素を開発します。またプロモーション戦略として期間限定のキャンペーンの企画などを実施します。

KPIへの対応

KPIとは重要業績評価指標のことで、目標に対してプロセスが適切かどうかを計測する指標となっています。ユーザーのイベント参加率などを分析し、問題点があれば改善して次につなげていきます。

ローカライズ

現在ゲーム市場は、グローバルなものとなっています。そのため、国内市場だけではなく、海外市場にむけた対応も求められます。この際、言語だけではく、その市場に合わせて、絵、UIデザインなどといった仕様そのものが関わることもあります。

新規ゲーム開発で重要視するべき2つのポイントとは

ゲーム開発は長期的なプロジェクトになることがほとんどです。2015年にCEDECで実施された「ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査」では、一つのタイトルに平均16か月を要するとまとめられています。

そのような長期的なプロジェクトの中で、重要視する点はどこなのか?

ゲームプロデュースにおける将来の展望や、さまざまな課題・解決策など、実践的なナレッジを交換できる場として、SHIFTが実施したウェビナー「SHIFT Game Producer Meetup」で発言された内容をもとに、プロデューサーたちが実際に重視しているポイントについてご紹介します。
(※ご紹介する登壇者の役職はすべてセミナー開催当時のものです)

「少数精鋭のチーム」であること

株式会社WFStudio本部 Studio1部 副部長である栗山 知也 氏は、ウェビナー内で「各メンバーがプロフェッショナルであることを前提としつつ、小回りがきくチームにしておくことが大事」と大事であると語っています。株式会社WFStudioでは、「新しい驚きを世界中に届ける」というミッションのもと、ロジックを超えてオリジナルタイトルに挑戦しつづける、という意思があるため研究開発フェーズが重要であり、そのようなフェーズにおいては、運営タイトルとの兼務も含めてチームは数名体制とのこと。少数精鋭のメンバーでスタートし、意思決定のスピードを保っているそうです。

ゲーム開発は多くのメンバーが関わるものですが、実際に人手が必要なのは、企画段階ではなく、開発段階における実作業の部分です。作業を「企画」と「作業」に分離し、必要な人員で開発にあたることは「ゲーム開発」における重要視するべきポイントといえます。

「リリース後の運用フロー」が大切

「オンラインゲームの運用フェーズで起きる問題にどのように解決するか」という質問に対して、弊社のエンターテインメントビジネスユニット BU長 清水恭兵はデバッグ、QAの立場から、「運営後に、どういうフローで仕様書を直し、それをQA側に連携するのか。またそれを修正した場合に誰に連携するのか、運用のフローをしっかりと決めておいた方がいいと思っています」と語っています。

オンラインゲームはリリースだけではなく、サービスを安定して運用することが重要です。
QA側としても、テスト項目のどこを直したらいいのか、仕様と紐づくのでそこさえ決めておけば、手戻りが多発せずに修正することができます。

将来的なブランドの信用にも関わるため、ゲーム開発時には、リリース後のことまで念頭に入れて開発スケジュールを立てていくことも重要視するポイントだといえます。

まとめ

ゲーム開発、そして運用についての一連の流れをご紹介しました。ゲーム開発は多くの人員と時間が必要なプロジェクトであるといえます。そのため、適切なプロジェクト管理が不可欠です。各フェーズの中で必要な工程をきちんと見極め、進捗状況を可視化し、チームメンバーが面白いゲームを生み出す本来の仕事に集中できるようにすることが、ゲーム開発成功の近道であるといえるでしょう。

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