コラム

  • 2021.09.16
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迫る「2025年の崖」 レガシーシステムとマイグレーション成功における3つのポイント

ビジネスの世界で聞かない日がないほど浸透しつつある「DX」。経済産業省が発行した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』では「DX化の遅れにより2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と述べ、企業の早急な「DX」化を促しています。

今回は「DX」化の遅れの原因の一つとして取り上げられる「レガシーシステム」について解説しながら、その解決策の一つであるマイグレーション成功に向けた3つのポイントを紹介いたします。

レガシーシステムとは

レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みを使用して構築された、最新技術が適用しにくいシステムを指す言葉です。メインフレーム(汎用コンピューター)やオフィスコンピューターを使って構築された企業のレガシーシステムは、何十年も前に自社の業務に沿って、独自の仕様で開発をしたものが多く、技術面における老朽化が発生しています。そこに対し、さらに追加のカスタマイズや新たなシステム構築などを行う影響で、システムの複雑化や肥大化、担当者に依存してしまうといった状況を招き、ブラックボックス化が進行することでDXの足かせになっていると言われています。

レガシーシステムの問題点

コストの増加

レガシーシステムは、古い技術やシステムを利用しているため、最新の技術をうまく適用できなかったり、多様な技術を取り入れながら刷新することがむずかしかったりするという問題があります。またシステムの保守・運用の際に、小さな改修であっても変更時の影響調査を一から行うことでリリースするまでにリソースが必要であったり、求められている処理能力を満たせないことでシステム障害を引き起こしたりと、そのまま運用すること自体にさまざまなリスクをもたらします。さらにシステム障害が起きれば、その対応に増大なコストが発生することが考えられます。

パフォーマンスの低下

アップデートやカスタマイズが数多く行われてきたレガシーシステムを使用しつづけると、ソースがブラックボックス化していきます。
これによりシステム改修の難易度が上がり、特にシステムのパフォーマンス改善が難しくなることがあります。 結果としてユーザーのために繰り返しアップデートをしたにもかかわらず、ユーザビリティが低下するということにもつながります。

IT人材の不足

レガシーシステムを使用しつづけている企業では、古い技術に詳しい技術者やそのシステムに詳しい有識者の高齢化や退職などもリスクとなります。実際、「退職者が長年属人的に対応していたレガシーシステムのノウハウが、ドキュメント整備が不十分なために失われ、結果としてそのシステムを長年改修せずに使いつづけている」といったケースも少なくないでしょう。また、システム改修においても、古い技術に対応できる人材の確保にリソースが割かれるといった新たな問題も発生します。

ビジネス上の障害

スピード感が求められる現在のビジネスの世界では、求められる機能や要件の変化に合わせて、追加のカスタマイズやアップデートが日々要求されます。そのため、レガシーシステムのままではそのスピードに柔軟に対応できず、ビジネスチャンスを逃し、結果として損失につながるリスクも考えられます。

2025年の崖とSAPの「2027年問題」

「2025年の崖」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。これは、経済産業省のデジタルトランスフォーメーションに向けた研究会のDXレポートにて、2025年までにレガシーシステムの刷新ができなければ、DXが実現できないだけでなく、2025年以降、年間に最大12兆円の経済損失が生じる可能性について言及しているものになります。DXレポートではレガシーシステムになり得る可能性の高い21年以上運用されている基幹系のシステムが、2015年では約2割だったのに対して、2025年には約6割程度になると報告されています。

そのため、この問題を放置してしまうと、以下のような状態になると懸念されています。

・データを活用しきれず、DXを実現できないため、市場の変化に対して、ビジネスモデルを柔軟・迅速に変更することがむずかしくなる
・システムの維持管理費が高額化し、業務基盤そのものの維持・継承が困難な技術的負債を抱えることになる
・サイバーセキュリティや事故、災害によるシステムトラブルやデータ失滅/流出などに対する高いリスクを背負うことになる
・技術的負債における保守や運用に膨大なリソースを割くことにつながり、最先端のデジタル技術を担う人材確保に対する投資がむずかしくなる
・レガシーシステムサポートに伴う人月商売の受託型業務から脱却できず、新たなビジネスチャンスに対応できなくなる
・結果としてクラウドベースのサービス開発および提供という世界基準に乗り遅れることになる

参考:「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(簡易版)」21ページ目
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_02.pdf

また合わせて「2025年の崖」に技術面で大きな影響を与えるものとしてSAPの「2025年問題」があげられていました。これは国内で数多くの企業が導入している「SAP ERP」のサポートが2025年末に終了されるため、SAPを導入している企業が何かしらの対応に迫られるという問題です。実際は2025年末に終了とされていたサポートが2027年末まで延長するという発表があったことで延命処置が行われ、いま現在はSAPの「2027年問題」として扱われていますが、SAPを導入している各企業は2027年末までに何かしらの対応を迫られる状況となっています。

レガシーシステムとマイグレーション

マイグレーションとは

マイグレーションとは既存のシステムの要件は変更しないで基幹システムやソフトウェア、データを別の環境に移動したり、新たな環境を構築し切り替えたりすることの意味合いで使われます。ブラックボックス化などによって企業の問題となってしまっているレガシーシステムを、新たな環境に移行することをレガシーマイグレーションといい、これはレガシーシステムへの対策として有効です。

リプレイス・モダナイゼーションとの違いについて

マイグレーションとよく混合されることが多い言葉に「リプレイス」と「モダナイゼーション」という言葉があります。

・リプレイス
リプレイスは既存で使用しているシステムや、故障や破損などしてしまったシステムを、仕様や資産を移行するのではなく、業務の要件を見直し新たなシステムに入れ替えることをいいます。

・モダナイゼーション
モダナイゼーションは、今まで企業が蓄えてきた資産であるデータなどを活かし、現在の技術や状況に合わせてレガシーシステムの構造を変えることをいいます。
マイグレーションはあくまで既存のシステム要件は変更せずに環境のみを移行するのに対し、リプレイスは業務の要件などを見直しつつ、新たにシステムを入れ替えるという点で、モダナイゼーションは企業が蓄えてきたデータは活かしつつ、新しい技術に対応できるようにするという点で違いがあります。

マイグレーションを行うメリット

マイグレーションを行うと3つのメリットがあります。

開発者の獲得

使用する言語をCOBOLからJavaへ書き換えるなど、マイグレーション時にオープン環境へ移行することで、採用できる開発者が増えます。これまで人的リソースの制約によってできなかったスピード感のあるシステム改修ができるようになります。

セキュリティリスクの回避

保守が切れたサービスは脆弱性が見つかっても対処がなされず、大切な情報資産が外部に流出する危険性があります。マイグレーションを機に各サービスのバージョンを最新化することで、セキュリティリスクを回避することができます。

コスト削減

長い間利用しつづけているオンブレミス環境を、マイグレーションのタイミングを合わせて自社サーバーからクラウドに移行することで、利用する際に必要な分を料金として支払うことが可能になり、サーバー自体の運用費や運用にかかる人件費を大幅に削減可能になります。

マイグレーション成功への3つのポイント

マイグレーションを成功させる際のポイントとはどんなことが考えられるでしょうか。ここでは、3つ具体的なポイントについてふれていきます。

ポイント1 移行時のシステム改修は必要最低限で行う

移行するタイミングでシステムをつくり直す際に、あれもこれもとやりたいことを要件に乗せてしまうことがよくあります。結果として、旧環境・新環境を比較しても何が正しい動きかがわからなくなり、システムを刷新したにも関わらず、またレガシーシステム化してしまう危険性を残してしまいます。そのため、大がかりな改修は控え、目的を絞った対応をするのがポイントとなります

ポイント2 移行対象資産の適切な洗い出し

外部システムと連携しているデータはなにか、業務で利用しているアウトプットはなにかなど、移行対象の資産はしっかりと洗い出す必要があります。洗い出しが不十分だと、プロジェクトの後工程でコストの大幅増となる可能性があります。そのため、年に数回だけ動くバッチ処理などがないか、日次・週次・月次・四半期・年次などの単位でシステムのログや業務の流れをしっかりと確認することがポイントとなります。

ポイント3 切り戻し手順の明確化

新環境をリリースした後、想定していなかった問題が起きた場合に、旧環境に切り戻しをするのか否かしっかりと方針を決めておく必要があります。もし切り戻しをするのであれば、手順を明確にし、本当にその手順が正しいかリハーサルまで行うことが重要になります。これができていないと切り戻しが上手くいかずに業務が継続することができないという問題が起こりかねないため、しっかりと準備しておくことがポイントとなります。

まとめ

今回はDXの足かせになっていると言われている「レガシーシステム」とその有効な対策である「マイグレーション」についてご紹介いたしました。
「2025年の崖」と呼ばれている問題が指し示すように、DXを推進するうえで、企業にとってレガシーシステムを刷新することは重要です。レガシーシステムの刷新には莫大なコストと多くの時間がかかります。そのため、なるべく早い段階からレガシーシステムの解消に向けて動き出すことが大切です。

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