Introduction
UIテストとは、ユーザーからの見え方や、使い勝手のよさなどに関するテストです。どれだけ高機能で優れた製品やサービスでも、ユーザーが使いにくいと感じれば、そのよさが損なわれてしまいます。そのためUIテストは、機能テストや性能テストなどと並び、重要なテストです。
この記事では、UIテストの確認内容やメリット、進め方についてなどを詳しく解説します。
目次
UIテストとは?
UIテストとはどのようなテストなのか、そもそもUIとは何なのかなどについて、詳しくご説明します。
サービスのUIに関する重要な品質に対して行われるテストのこと
SHIFTでは、UIテストを以下のように定義しています。
UIテスト
UIテストとは、アクセシビリティやユーザビリティなど、サービスのUIに関する重要な品質に対してテストを行うサービス
ソフトウェアやITシステムなどの機能や性能がどれだけ優れていても、画面がわかりづらく操作しづらい場合は、よい製品といえません。ユーザーがわかりやすいか、使いやすいかをテストするのが、UIテストです。
そもそもUIとは?
UIとは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略です。インターフェースとは、顔(フェース)同士(インター)からきている言葉で、接触面、接点という意味です。この場合では、ユーザーとITシステム間の情報のやりとりを指しています。
たとえば、ユーザーがシステムを操作する際には、マウスやキーボードなどを操作して画面上でボタンを押す、文字を入力するなどします。音声入力を行う場合もあるでしょう。その結果、テキストや画像、動画、音声などの形で情報が表示されます。このような、ユーザーとシステム間の情報のやりとり部分がUIです。
UIとUXの違い
UIとよく似た言葉にUX「User Experience(ユーザー エクスペリエンス)」があります。UXとは、ユーザーが製品やサービスから得られる体験のことを指しています。たとえば、システムを利用して仕事をするとしたら、システムを使っているときの操作性がUI、仕事の結果としての満足感がUXということになります。
仕事の結果として評価されるのはUXですが、UIに問題があれば、仕事に手間どるなどの問題が出ます。UIが優れていれば、ユーザーが良質なUXを得ることにつながるでしょう。UIとは、UXを高めるためのひとつの要素といえます。
UIの歴史
1990年頃まで、業務で使われるPCの画面はいまのPowerShellやコマンドプロンプトのように、文字だけで構成され、入力方法もキーボードだけでした。その後急速にウィンドウシステムがPCにとり入れられ、複数の画面を切り替えながら作業をしたり、マウスでファイルなどのアイテムが操作したりできるようになります。当時はこれをGUI(グラフィカル ユーザー インターフェース)と呼んでいました。さらに2008年に出現したスマートフォンでは、マウスを使わずタッチパネル上で、指で操作できるようになります。
GUIとともに、画面で操作できる部品もさまざま提供され、画面がスクロールしたり、選択肢から選んだりするのは当たり前になっています。現在はGUIとわざわざ断らなくても、このような部品を満載した画面を設計するのは当たり前となっています。しかし一方で、キーボードで文字を入力することも依然として有効な入力手段であり、GUI部品ばかりに目をやると、操作の効率性が落ちてしまうというケースもあります。
UIテストの重要性
ユーザーによる操作性やわかりやすさに関するUIテストは、非常に重要性の高いテストです。
たとえば、ECサイトを利用する際に、膨大な商品に関するテキスト情報や画像などにうもれて、肝心の購入ボタンが見つからなかったらどうでしょうか。大事なボタンが小さすぎて見つからないため、買い物をやめてしまうユーザーもいるかもしれません。
このように、使い勝手のよさやわかりやすさは、ソフトウェアやITシステムにとって重要な要素といえます。
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UIテストで確認すること
UIテストでは、具体的にどのようなことを確認するのかをご説明します。
統一・一貫性
システム全体を通して、場合によっては関連するシステムを含めて、操作が統一されて画面設計が一貫していることを確認します。文字のサイズや色の使い方も確認します。
認識・可視性
業務の状態やシステムの状態を認識できることを確認します。利用者が業務上何かの行動を起こさなければならない場合に、それが利用者に確実に伝わることを確認します。
操作・習得性
利用者が何か行動しようとしたときに、どのように操作すればよいかを認識し、容易に操作できることを確認します。システムに慣れるとさらに作業が効率化できることを確認します。
エラー認識性
システム上で何らかの問題が生じたときに、それが容易に認識できることを確認します。たとえば、どの項目で入力の矛盾があってエラーになったかということを利用者が確認できることが必要です。
ヘルプの充実性
利用者がシステム操作に困ったときに、FAQ、手順書、マニュアルなどで正しい手順を把握できることを確認します。
UIテストを行うメリット
UIテストは、テスト工程のなかでも重要なテストであり、ユーザーの使いやすさの向上につながる点でメリットがあります。UIテストを行うと、具体的にどのようなメリットを得られるのかをご説明します。
アクセシビリティ、ユーザビリティの向上につながる
アクセシビリティやユーザビリティに問題がないかをUIテストで確認することで、より使いやすく、わかりやすい製品を世のなかに送り出すことが可能です。
どれだけ素晴らしい機能をもつソフトウェアやITシステムでも、ユーザーが使いにくいと感じれば意味がありません。そこで求められるのが、誰が見てもわかりやすく、操作しやすい製品です。たとえば、パッと見てこのボタンを押せば次に進めることがわかる、このタブを選べば求める情報を得られるなどです。
UIテストを行い、より使いやすい製品をユーザーに提供することで、アクセシビリティやユーザビリティの向上につながります。
トラブルを未然に防げる
UIテストを実施し、UIに統一性をもたせることで、トラブルを予防することが可能です。システムに重大なバグや欠陥がなくても、UIの悪さからトラブルが起こるケースもあります。
たとえば、ECサイトで商品選択→商品決定→決済情報入力→内容確認→取引完了という流れで操作が進むことがあります。「前の画面に戻る」「キャンセル」など操作をやめるボタンと、「決定」「次へ進む」「購入」など次に進むボタンが配置されていることが多いでしょう。このシステムでは途中まで、操作をやめるボタンは左側に、次に進むボタンは右側に配置されているとしましょう。
しかし、突然それまでの画面の流れに反して「購入」ボタンが左側に配置されていたら、どうなるでしょうか。いままで「戻るボタンは左、進むボタンは右」と思って操作していたのに、急に流れが変わって戸惑うユーザーも多いでしょう。前に戻りたかったのに、間違えて買うつもりのない商品を購入してしまうなどのトラブルが起こる可能性も高いです。
このように、UIに統一性がないシステムは、ユーザーにとって非常に使いにくいといえます。
UIテストのやり方
UIテストを行う際は、事前に適切な計画や準備を行ってからテストを実施することで、効果的なテストができます。ここでは、UIテストの進め方についてご説明します。
①テストの計画
まずは、テストの計画を立てることが重要です。
テストの目的、テスト対象の洗い出し、過去の懸案や問題の整理などを行い、テスト計画に必要な情報を収集します。その後、集めた情報からテストの方向性やボリュームを検討し、テスト計画を立てます。
②ペルソナの準備・テスト内容の明確化
UIテストの内容を検討する際に重要なのが、テストするソフトウェアやITシステムを利用するユーザー像、つまりペルソナです。製品やサービスのターゲットとなるユーザーがどのような人物なのか、具体的な人物像を明らかにします。年齢、性別、嗜好や、普段どのような製品やサービスを利用しているかなどを細かく分析していきます。
このペルソナを明確にしないと、どのようなユーザーに向けた使いやすさやわかりやすさを確認すべきなのかがわかりません。ペルソナが明確になったら、そのユーザーの見た目の好みや使い方などにあったUIになっているかのテストを行います。また、ペルソナがそのシステムを操作しているときの、目的や状況も設定しておきましょう。
ペルソナが明らかになれば、テストの確認観点や方向性が明確になるので、それをもとにテスト内容を明確化していくことが可能です。
③テストの実施
テスト内容が明らかになったら、テストを実施します。UIテストの場合は、ペルソナに合致するメンバーがいない場合は、外部の人にテストを依頼したり、またテストの評価のためにUIの専門家を招いたりする場合もあります。
④分析・フィードバック
UIテストは、テストを実施すれば結果がOKかNGか、すぐにわかるテスト内容ばかりではありません。問題なく動作するかなどのテストなら、仕様や設計どおりに動作したことを確認すればよいでしょう。しかし、この画面や動作で「使いやすいか」「わかりやすいか」という確認観点の場合、テスト結果を分析して判断しなければなりません。
テストの準備段階で明確にしたペルソナやテストの方向性などをもとに、テスト結果が問題ないのか、それとも改善が必要なのかを分析します。改善が必要な場合には、開発担当者にその内容をフィードバックしていきます。
UIテストは自動化するべきか?
本稿では、UIテストとは、システムのユーザーからの見え方や、使い勝手のよさなどに関するテストとして位置づけています。
UIテストでは、専門的な知識に従って、画面や操作内容がわかりやすいか、使い勝手がよいかなどを目視でテストします。人間がシステムとどのようにインターフェースをとっているかを確認するテストであるために、人間が操作しながら確認することが必要になります。
UIテストと、UIを使った機能テスト
UIテストを自動化するといっている人は、UIテストという言葉を別の定義で使っています。彼らは、UIを使って、システムの機能テストを行うことをUIテストといっています。
人とシステムのインターフェースであるUIを確認したいのではなく、UIを通してシステムの機能を確認するのであれば、機械が画面を操作しても問題ないので、テストを自動化することができます。
UIを使った機能テストの自動化のメリット
UIを使った機能テストでは、ソフトウェアやシステムのすべての画面をテストすることもあり、作業量が膨大になりがちです。また、毎回同じ観点での繰り返しのテストになることも多く、自動化するとテスト効率が大幅にアップします。
システム開発において、UIを使った機能テスト、またリグレッションテストに非常に多くの工数を必要とするために、真のUIテストが十分にできていないという声をよく聞きます。システムによってはUIテストをまったく考えていない場合もあるようです。
しかし、機能的な問題がなくても、UIに問題があれば、業務の効率があがらなかったり、ユーザーに使ってもらえなかったりして、システムとしての価値が発揮できません。UIを使った機能テストを自動化することによって、人間が真のUIテストにとり組んでいくことが、いまのシステムには求められているのです。
SHIFTのUIテストについて
SHIFTのUIテストは、どのようなテストなのかをご説明します。
独自のUI品質ガイドラインに基づいたテスト
SHIFTでは、過去の実績や豊富な知識、UIテストに関する文献やガイドラインをもとに、独自のUI品質ガイドラインを保有しています。このガイドラインにより、感覚的なUIテストではなく、第三者検証としての無駄、漏れ、ばらつきのない評価が可能です。
UX検定合格者によるテスト
SHIFTでは、SHIFT独自のUX専門家のみがUIテストを担当します。UX検定を合格しており、UX講座を受講した専門知識が豊富な担当者が、UI、UXのテストを行います。
UXの専門家によるサポート体制
UXの専門家がUIテストを行うだけでなく、必要に応じてテスト結果を評価します。結果の評価を受けて、UIやUXの改善のためのご提案も可能です。
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まとめ
この記事では、UIテストの確認内容やメリット、進め方などを詳しく解説しました。
UIテストを行うためには、周到な準備とUIやUXに関する高度な専門知識や自動化のノウハウが必要です。高品質なUIテストを行いたいが、ノウハウがないなどの場合には、ぜひSHIFTにご相談ください。豊富なノウハウと専門知識をもつ担当者が、強力にサポートいたします。
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監修
株式会社SHIFT
永井 敏隆
大手IT会社にて、17年間ソフトウェア製品の開発に従事し、ソフトウェアエンジニアリングを深耕。SE支援部門に移り、システム開発の標準化を担当し、IPAのITスペシャリスト委員として活動。また100を超えるお客様の現場の支援を通して、品質向上活動の様々な側面を経験。その後、人材育成に従事し、4年に渡り開発者を技術とマインドの両面から指導。2019年、ヒンシツ大学の講師としてSHIFTに参画。
担当講座
・コンポーネントテスト講座
・テスト自動化実践講座
・DevOpsテスト入門講座
・テスト戦略講座
・設計品質ワークショップ
など多数
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ヒンシツ大学とは、ソフトウェアの品質保証サービスを主力事業とする株式会社SHIFTが展開する教育専門機関です。
SHIFTが事業運営において培ったノウハウを言語化・体系化し、講座として提供しており、品質に対する意識の向上、さらには実践的な方法論の習得など、講座を通して、お客様の品質課題の解決を支援しています。
https://service.shiftinc.jp/softwaretest/hinshitsu-univ/
https://www.hinshitsu-univ.jp/
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