大域最適解

大域最適解とは?

大域最適解とは、ある問題において、考えられるすべての選択肢の中でもっともよい解のことです。AIの分野、特に機械学習や深層学習(ディープラーニング)モデルの訓練において、モデルの性能を最大化するために重要な概念となります。

大域最適解とは何か

まず、最適解とは、ある目的を達成するためにもっとも適した解のことです。例えば、ある商品の価格をいくらに設定すれば利益が最大になるか、という問題を考えたとき、もっとも利益が大きくなる価格が最適解となります。しかし、問題によっては、複数の「よい解」が存在することがあります。そのなかでも、もっともよい解、つまり「全体の中で一番よい解」が大域最適解です。一方、局所最適解というものも存在します。これは、ある限られた範囲内ではもっともよい解ですが、全体で見ると必ずしも一番よい解ではない、というものです。

AIにおける大域最適解

AI、特にニューラルネットワークの学習では、モデルのパラメーターを調整することで、予測精度を高めることを目指します。このとき、予測誤差(損失関数)を最小化することが目標となります。しかし、ニューラルネットワークの学習は複雑な最適化問題であり、局所最適解に陥りやすいという課題があります。つまり、学習が進むにつれて、一時的に予測誤差が小さくなるものの、それが全体としてもっともよい状態ではない、ということが起こりえます。大域最適解に到達するためには、さまざまな工夫が必要です。例えば、初期値の与え方を工夫したり、学習率を調整したり、さまざまな最適化アルゴリズム(例えば、AdamやSGDなど)を試したりします。

大域最適解を見つけるためのアプローチ

大域最適解を見つけることは非常に難しい問題ですが、いくつかのアプローチが存在します。

– 最適化アルゴリズムの選択:確率的勾配降下法(SGD)やAdamなど、さまざまな最適化アルゴリズムがあります。それぞれに特徴があり、問題に応じて適切なアルゴリズムを選択することが重要です。例えば、Adamは学習率の自動調整機能があり、比較的安定して学習が進むため、多くの問題で利用されています。

– 初期値の工夫:ニューラルネットワークの学習は、初期値に大きく影響されます。適切な初期値を設定することで、よりよい解にたどり着きやすくなります。He初期化やXavier初期化など、さまざまな初期値設定方法があります。

– 正則化:正則化は、モデルの複雑さを抑え、過学習を防ぐためのテクニックです。L1正則化やL2正則化などがあります。正則化によって、局所最適解に陥りにくくなり、大域最適解に近づける可能性があります。

アンサンブル学習:複数のモデルを組み合わせて、よりよい予測を行う手法です。それぞれのモデルが異なる局所最適解に陥ったとしても、それらを組み合わせることで、より大域最適解に近い予測を得ることができます。

 

監修

株式会社SHIFT「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト
林 栄一

>>ヒンシツ大学のページへ

AI用語集一覧に戻る

お役立ち資料

お役立ち資料をもっと見る

関連コラム

コラムをもっと見る

Top