イタミアート株式会社 導入事例
第三者の目でリスクを可視化。
商売繁盛を支える内製システムの
セキュリティ強化

Summary
ITとものづくりを掛け合わせ、顧客の商売繁盛を支援するイタミアート様。事業の成長とともに内製システムを高度化させてきましたが、上場準備を機に「守り」であるセキュリティの課題に直面しました。今回、SHIFTが参画し第三者の視点を取り入れることで内製システムの脆弱性を可視化。社内の意識改革まで成し遂げたプロジェクトについてイタミアート様にお伺いしました。
IT×ものづくりでお客様を支える
内製システムのこだわり
まずは、御社の事業概要と強みについてお聞かせください。
弊社は、のぼり旗や幕、冊子、パネルといった販促物や印刷物をお客様にご提案・販売している企業です。ただの広告業や印刷業ではなく、ITとものづくりを掛け合わせることで、全国のお客様の「商売繁盛」をお手伝いすることをビジョンとして掲げています。社内では自らを「商売繁盛応援企業」と位置づけています。
最大の強みは、お客様の入り口となるサイトの構築から、マーケティング、営業、データ処理、そして実際の製造・出荷に至るまでを一貫体制で行っている点です。製造工程やシステム開発を外部に委託せず内製化することで、コストを抑えながら高い納期パフォーマンスを実現し、「安く、早く、最適な商品」をご提供できる体制を構築しています。
どのようなお客様に利用されているのでしょうか?
飲食店や小売業のお客様はもちろん、お店の集客支援に活用いただくケースも多くあります。一方で、工事現場向けの「現場シートキング」や、イベント・同人活動向けの「ノベルティキング」など、用途ごとに専門サイトを展開しており、幅広い業界・業種のお客様にご利用いただいています。
既存パッケージの枠を超え、
自社でサイトを構築する理由
ECパッケージを利用せず、自社でサイトを構築している理由を教えてください。
結論から申し上げますと、「拡張性の高さ」を確保するためです。 既存のECパッケージやモール型のサイトを利用すれば、確かに立ち上げは楽かもしれません。しかし、パッケージの枠組みに縛られてしまうと、私たちがお客様に提供できるサービスの幅が狭まってしまいます。
例えばどのようなケースでしょうか?
例えば、弊社が扱う「幕」は、決まったサイズの既製品を販売するだけでなく、お客様の設置場所に合わせて自由なサイズでお受けすることがあります。また、「こういう見た目にしたい」というデザイン制作のご要望にお応えすることもあります。 つまり、単に完成品をカートに入れて買う仕組みではなく、商品の仕様を細かく選び、デザインをすり合わせ、それに適した形でお届けする仕組みが必要です。こうした柔軟な対応は、既存のパッケージシステムでは到底まかないきれません。お客様の細かなニーズに寄り添ったサービスを提供するためには、どうしても自社で拡張性をもたせたシステムを開発する必要があったのです。
多数のサイトと膨大な顧客情報を一元管理する「DREAM-PACK」
そうした事業を支える基幹システム「DREAM-PACK」について教えてください。
はい。「DREAM-PACK」は、弊社が展開している「のぼりキング」や「横断幕・懸垂幕キング」といった、多様なサイト群の受注や顧客情報を一元管理するためのシステムです。開発ベンダーさんと共同で構築し、2009年頃から運用しています。 表向きにはさまざまな専門サイトが分かれていますが、裏側ではすべてDREAM-PACKに注文やお客様の情報が集約される仕組みになっています。
DREAM-PACKによって、どのような価値を実現されているのでしょうか?
情報が分散しないため、「このお客様はのぼりキングで商品をご購入いただいた後、横断幕キングでもご注文いただいている」といったリピート状況や購買傾向をすぐに把握できます。お客様ごとの案件を一元的に管理できるため、最適なご提案やスムーズな顧客対応につながっています。実は、以前はメールベースで管理していました。サイト経由で届く注文メールをもとに手作業で対応していましたが、事業の拡大とともに管理が難しくなってきました。そこで、受注や顧客情報を効率的に管理するためにDREAM-PACKを開発し、現在の運用体制へ移行しました。
上場準備で浮き彫りになった
セキュリティ課題とパートナー選定
SHIFTに脆弱性診断をご依頼いただいた背景と、パートナー選定で重視されたポイントを教えてください。
最大の転換点は、弊社が「上場準備」に入ったことです。社内体制を整えるなかで、「システムのセキュリティも第三者の視点で確認すべきではないか」という声があがりました。
DREAM-PACKには膨大なお客様情報が集約されています。万が一、サイバー攻撃による情報漏洩が発生した場合、お客様にご迷惑をおかけするだけでなく、企業としての信頼にも大きな影響を与えかねません。そのため、セキュリティ対策の重要性を改めて認識するようになりました。それまでもセキュリティ対策は実施していましたが、主にシステム開発を担当するベンダーと連携しながら進めていました。一方で、上場準備を進めるなかで、より客観的な視点からシステムの安全性を確認し、ガバナンスを強化していく必要性を感じるようになり、専門家による第三者検証を実施することを決定しました。
パートナー選定では、「予算と品質のバランス」を重視していました。セキュリティや脆弱性診断は直接利益を生む領域ではないため、無尽蔵に費用をかけることはできません。しかし、費用を抑えすぎて重大なリスクを見逃してしまっては本末転倒です。限られた予算のなかで、どれだけ網羅的かつ精度高くシステムの安全性を確認していただけるかが重要な判断基準でした。
その点で、SHIFTの提案はいかがでしたか?
当時、ご予算の枠組みのなかでどこまで確認できるかという切実なご相談をいただきました。弊社としては、単に安価なパッケージをご提案するのではなく、お客様のシステムの特性や守るべき情報の重要度を踏まえ、独自の診断基準に基づいた複数のプランをご提示しました。コストを抑えながらも、重大なリスクを確実に見つけ出せる現実的なアプローチをご評価いただけたのではないかと思います。
SHIFTを選定いただいた決め手を教えてください。
大きな決め手のひとつは、アウトプットの分かりやすさでした。社内にはセキュリティの専門家がいるわけではないため、診断結果を私自身が理解し、さらに経営層へ説明する必要があります。SHIFTの診断結果は非常に整理されており、どの脆弱性がどの程度危険なのか、明確な判定基準が設けられていました。専門知識がなくてもリスクの全容を把握しやすく、上層部への報告やベンダーへの修正依頼をスムーズに進められると感じました。そうした点が、最終的な決め手になりました。
第三者の視点で見えたリスク
開発側だけでは見つけにくい脆弱性を可視化
実際に指摘内容をご覧になって、特に印象的だったことはありますか?
最初の診断結果を見たときは大変驚きました。予想以上に点数が低く、今まで気付けていなかった脆弱性が数多く指摘されたからです。やはり、自社と開発ベンダーだけでシステムを見ていると、「いかに便利にするか」「いかに機能を実現するか」といった開発者視点に偏りがちです。開発のプロであっても、悪意のある攻撃者の視点でシステムを見る機会は多くありません。
今回、第三者の立場から客観的に診断いただいたことで、開発側の視点だけでは気付きにくいリスクを可視化できたことは大きな収穫でした。また、ご提供いただいた分かりやすい報告内容をもとに、社内のシステム担当者や開発ベンダーと連携しながら、一つひとつ修正を進めることができました。特に印象に残っているのは、診断結果の報告だけで終わらず、修正後の再診断まで実施していただけたことです。専門家の視点で対策状況を再確認していただけたことで、大きな安心感につながりました。
診断プロジェクトを進めるなかで、SHIFTとして大切にしていたことを教えてください。
私たちが最も大切にしているのは、お客様に最後までやりきっていただくことです。脆弱性診断はリスクを発見することがゴールではありません。修正し、再診断を行い、安全な状態を確認して初めて価値が生まれると考えています。
セキュリティは直接的な利益を生む領域ではないため、途中で対応が止まってしまうケースも少なくありません。しかしイタミアート様は、指摘事項に真摯に向き合い、ベンダー様とも連携しながら再診断までしっかりとやりきってくださいました。外部パートナーとして伴走しがいのある、非常に理想的なお取り組みだったと感じています。
自社だけではリソースや専門知識に限界があります。外部パートナーとして伴走いただき、時間をかけて丁寧に確認していただけたからこそ、最後までやりきることができたのだと思います。
診断を経て、社内にはどのような変化がありましたか?
以前からセキュリティの重要性は認識していましたが、事業成長やシステム開発など優先すべきテーマが多くあるなかで、どこまで投資すべきか判断が難しい側面もありました。しかし、SHIFTさんからいただいた診断結果をもとに、リスクや対策内容を可視化して経営層へ報告できたことで、社内での理解が深まったと感じています。現在では継続的に脆弱性診断を実施する体制が定着し、診断実施のための稟議もスムーズに承認されるようになりました。社内からは「もっと短いスパンで実施した方がよいのではないか」といった前向きな意見も出ています。単に脆弱性を発見・修正しただけでなく、会社全体で継続的にセキュリティを見直していく文化づくりにつながったことが、今回の取り組みの大きな成果だったと感じています。
AI活用の「攻め」と
それを支えるセキュリティの「守り」
最後に、今後の展望についてお聞かせください。
現在、社内ではAI活用が大きなテーマになっています。お客様への提供価値向上や業務効率化といった「攻め」の施策として、AIの活用は今後ますます重要になると考えています。
一方で、AI活用の拡大に伴い、新たなリスクへの対応も欠かせません。重要なのは、AIそのものではなく、人がどのようなルールのもとで安全に活用するかです。今後はWebシステムの脆弱性対策に加え、AI活用に伴うリスクにも目を向けながら、システム面だけでなく運用ルールや社内体制の整備にも取り組んでいきたいと考えています。
おっしゃる通りです。SHIFTでも、AIを活用したシステム開発や、それに伴うセキュリティリスクへの対応を積極的にご支援しています。また、24時間365日稼働する自動テストの仕組みやドキュメント整備など、お客様が継続的に品質を担保できる体制づくりもご支援しています。新たな技術を安心して活用いただけるよう、今後もセキュリティと品質の両面から伴走していきたいと考えています。
ありがとうございます。私たちが目指しているのは、お客様の「商売繁盛」です。そのためには、安心してサービスをご利用いただける環境づくりが欠かせません。今後も新しい技術を積極的に取り入れながら、その土台となるシステムの安全性をしっかり確保し、お客様のビジネスを支え続けていきたいと思います。
※掲載内容は2026年7月取材時のものです。
イタミアート株式会社







