開発の現場でUI/UXは「あたりまえ」
SHIFTでは毎年「UX開発の実態調査」を行っています。この調査は開発従事者への調査であり、マーケティングや企画の調査とは異なっており、開発にフォーカスを充てた調査です。SHIFTでは開発プロセスにおけるUI/UX支援を行っているから、という理由はもちろんありますが、それ以前に「開発にこそUI/UXが必要である」と考えているからです。そして、同じように開発従事者のみなさまも「開発にUI/UXが必要である」といった声が非常に増えてきています。
以前のコラムでも記載しましたが、開発プロセスのなかでUXに取り組んでいる企業は毎年少しずつ増加しており、実に50%を超えている状況です。UXに取り組んでいる方々からはUXに取り組む理由として、このような声があがっています。
「従来の開発手法では顧客要件が満たせないためUXが必要だから」
「成熟期を迎えた成熟期を迎えたサービスにおける戦略の一つとしてUXが必要」
「近年の開発ではUXが必要」
現状は昔と比べて、よいUI/UXのサービスが増えてきました。それはB2Cのみならず、B2Bサービスや社内システムでも同様です。要件のなかにUI/UXやユーザビリティ、アクセシビリティなどの言葉も多くみられるようになっています。また、クラウドやスマートフォンの登場でサービス提供の参入障壁は下がる一方で、サービスはコモディティ化されてきています。そのためUI/UXが戦略のひとつとなっています。従って、近年の開発ではUXが必要であるとの声があがっているのです。
さらには、もっとシンプルな声もありました。
「よいものを提供したいから」
「あたりまえのことだから」
サービス提供者としてのシンプルなメッセージとして聞こえます。よいものを提供したいからUI/UXに取り組む、あたりまえのこととしてUI/UXに取り組む、その通りだと思います。みなさまはいかがでしょうか。
それでは、そもそもUI/UXとはなんでしょうか。よくUIとUXはセットで語られ、UI/UXとなっています。「マーケティングや企画のものだと思うが、開発に関係があるのか?」というような声が聞こえてきそうです。少し紐解いてみましょう。
よいUIがよいUXを実現する
UI(ユーザーインターフェース)はその名の通り、ユーザーとのインターフェースです。インターフェースは「異なるもの同士の間をつなぐための手段や機能」です。Interは「間に、相互に」を意味し、faceは「面」を意味しています。ユーザーインターフェースですから、異なるもの同士の片方はサービスで、もう片方はユーザー、利用者となります。その異なるもの同士を相互につないで何かしらの作用を施すわけですから、サービスやシステム、ソフトウェアと利用者が相互作用する場所といってもよさそうです。
では、開発者はサービスやシステムと利用者が相互作用することで何を期待するのでしょうか。やはりよいUX(顧客体験)を期待することでしょう。サービスやシステムを利用することで、利用者が「利用前」とは異なり、よい状況になっていることです。利用者が目的を達成していることです。
これが成し得なければ、どれほど時間やお金をかけて開発しようが、素晴らしいといい張るような企画であろうが、サービスもシステムも無価値です。
UIはサービス提供者と利用者を媒介して相互作用を起こし、利用者によいUXを実現してもらうための重要な役目を負っているのです。
しかし、「UIはその専門性のない開発者がつくっていて、使いづらくなっている」という話をクライアントからかなりの高い確率でよく聞きます。そのバックエンドの開発に長けている開発者がUIまで設計してビジュアルデザインまでを制作しているのです。そのため、わかりにくくて、使いづらいサービスが量産されています。これでは「サービス提供者と利用者を媒介して相互作用を起こす」ことは少しむずかしそうです。ひいてはみなさまが求めているよいUXは期待できなさそうです。
何のために開発をするのか
何のために開発をしているのか、立ち返ってみましょう。その目的は、お客様に利用していただくことです。利用していただき、目的達成をしていただくことです。そして利用しつづけていただくことです。お客様はサービスを通した相互作用から目的達成ができ、よい体験となることを望んでいるのです。開発する前にはみなさま素晴らしいものをイメージしてつくることでしょう。お客様のニーズを調査して、そのニーズに合致して利用していただき、そのニーズが満たされる。そしてお客様が満足されていく。
しかし、その素晴らしいイメージもバックエンドだけに費やされていては、そのイメージはUIとしては実現されることなく、相互作用が起こることなく、「お客様の求めるよいUX」から遠ざかっていくこととなります。そして、そのまま忘れさられてしまい、「利用されない無用の長物」だけが残ることになります。多大な時間も多大なコストも無駄になってしまうのです。これでは、何のために開発したのかわからなくなってしまいます。
繰り返しますが、UIはサービス提供者とお客様を媒介する重要な役目を負っています。そして、そのUIは開発プロセスで生産されます。UIはカジュアルに生産されるべきものではありません。バックエンドに長けている開発者や、デザインを少し携わったことがある開発者が生産すべきものではありません。そのUXを実現するために、利用者のことを考え、利用文脈や利用状況を考えるUI/UXの専門性をもった生産者とともに開発されるべきものです。だからこそ、我々は「開発にこそUI/UXが必要である」と考えているのです。そして、開発に従事する方々も「近年の開発にUI/UXが必要である」と考えているのです。
SHIFTのUXはUI/UXの専門家集団が支援しています。ぜひ、よいUI/UXを実現するためにご連絡をお待ちしています。すべての開発にUX品質を。
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