ディープラーニングとは?機械学習との違いやできること、活用事例を解説

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ディープラーニングとは?機械学習との違いやできること、活用事例を解説

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

お役立ち資料

Introduction

ディープラーニングとは機械学習のなかのひとつで、大量のデータを学習することにより、データの特徴やルールなどを自動的に学ぶ技術です。ディープラーニングの技術は、多くの業界ですでに活用が進んでおり、今後も進化していくでしょう。

この記事では、ディープラーニングの定義や実現できること、その種類と違い、ディープラーニングにおける学習方法、活用事例について解説します。

目次

ディープラーニングとは?

ディープラーニングとは

ディープラーニングとは、人工知能の技術を用いた機械学習のなかのひとつです。ここでは、ディープラーニングの定義から、実用化が進む背景についてもご説明します。

多数の層からなるニューラルネットワークを用いて行う機械学習のこと

ディープラーニングとは機械学習のなかのひとつで、コンピューターが大量のデータを学習して、データの特徴を抽出する技術です。ニューラルネットワークと呼ばれる、人間の脳神経回路を模して造られたもので学習します。

総務省の『AIに関する基本的な仕組み』によると、以下のように定義されています。

ディープラーニング

深層学習とは、多数の層から成るニューラルネットワークを用いて行う機械学習のことである

ニューラルネットワークとは、入力層、中間層、出力層の3階層から成り立っており、複雑な情報に対応するために中間層を多層化しています。この中間層を多層(ディープ)化していることから、ディープラーニングと呼ばれています。

ディープラーニングを活用することで、画像認識や音声認識、自然言語処理などを実現することが可能です。たとえば、医療の現場でCT画像やMRI画像を解析して異常を見つける、人間の言葉を理解して翻訳を行うなどが可能です。

AI(人工知能)開発において欠かせないディープラーニング

ディープラーニングは、AI(人工知能)の開発に欠かせない技術です。ディープラーニングは人間にかわって、人間が行うようなタスクをコンピューターに学習させます。モデリングや特徴の抽出などは自動で行われるため、一般的な機械学習よりも高度です。

このような高度な技術があれば、AI(人工知能)の開発が急速に進むため、ディープラーニングはAI開発において欠かせない技術といえます。

ディープラーニングが実用化された背景

ディープラーニングが実用化されるようになった背景には、さまざまなことがあります。

まず、上記でご説明したとおり、ディープラーニングは人工知能の開発に欠かせないものであることです。人工知能のニーズは確実に高まっているので、開発を進めるためにディープラーニングの開発も日々進化しています。

また、ディープラーニングの実用化を行うための大量のデータを、入手しやすくなったという背景もあります。ネットワークの普及やIT化が急速に進んだことで、データを入手しやすくなり、ディープラーニングの開発を進めやすくなりました。

さらに、高性能なGPUの普及が進んだことで、データ処理能力が格段に上昇したことも、ディープラーニングの実用化を後押ししています。

ディープラーニングでできること

ディープラーニングでは、さまざまなことを実現できます。ここでは、ディープラーニングで実現できることについて解説します。

画像・映像認識

大量の画像や映像を認識させることで特徴を理解し、何が写っているかを判断する画像認識、映像認識が可能です。たとえば、公共施設などの防犯カメラで犯罪者の顔を認識する、製造ラインで画像認識により検品を行うなどの実用例があります。

音声認識

音声認識とは、人間の音声を認識してテキストデータに変換する、人を識別するなどの技術です。人間の音声を機械で処理しやすいデジタルデータに直す、音を辞書と照らしあわせて単語として認識するなどの処理が行われています。

自然言語処理

自然言語とは人間が話す言語のことで、ディープラーニングの技術によって、自然言語処理を行うことが可能です。たとえば、人が発した言葉の要点をまとめる、文字起こしをする、翻訳するなどの機能がすでに実用化されています。

異常検知

ディープラーニングの技術を活用して、異常を検知することも可能です。正常な状態と異常な状態をデータとして学習させることで、異常とはどういうことかを学習し、異常の検知機能を備えていきます。

たとえば、社内システムなどに配置し、システムへのアクセスログを監視して、不審な挙動を検知します。何度もアクセスを繰り返す、パスワード誤りの回数が多すぎるなどの怪しい挙動を検知してアラームを通知し、サイバー犯罪などからシステムを守ることが可能です。

予測

近年では、顧客の行動傾向や選ぶ商品、サービスなどの情報から、顧客のニーズを探るなどの予測行動がビジネスにおいて重要視されています。顧客や市場動向などを予測することで、余剰在庫の削減、欠品リスクの軽減、生産の最適化などにつながるのです。

たとえば、季節や曜日、気候による顧客のニーズの変化を予測して、その日の商品の生産量を決めるなどの活用方法があります。

ディープラーニングの種類

ディープラーニングの学習方法のアルゴリズムには、いくつかの種類があります。ここでは、ディープラーニングの種類と、その内容や特徴についてご説明します。

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)

畳み込みニューラルネットワークとは、画像認識や映像認識に使われることが多い方法です。ラベルづけされた大量のデータを蓄積して、学習を促します。畳み込み層とプーリング層と呼ばれる層から構成されるため、このような名称がつけられています。

畳み込みニューラルネットワークは、ディープラーニングのなかで、もっとも幅広く利用されているアルゴリズムです。

回帰型ニューラルネットワーク(RNN)

回帰型ニューラルネットワークは、リカレントニューラルネットワークとも呼ばれています。有向閉路という、同じ方向の循環型サイクルをもつアルゴリズムです。

音声や言語などは、入力データの順序によって出力データがかわり、そのようなデータの処理に適しています。回帰型ニューラルネットワークでは、過去の入力データから時系列データの要素、関連性などにより、正しい出力データを導き出すのです。

自然言語処理に適したアルゴリズムで、Googleの翻訳機能や音声認識にも活用されています。

敵対的生成ネットワーク(GAN)

敵対的生成ネットワークとは、教師なし学習モデルで、2つのネットワークが相反した目的のもとに学習するアルゴリズムです。ジェネレータ(生成器)とディスクリミネータ(識別器)からできており、ディスクリミネータが損失関数の役目として識別を行います。

敵対的生成ネットワークは画像生成を得意とし、画質の低い画像データから高画質の画像を生成できます。また、文字列や文章などのテキストデータから、画像を生成することも可能です。

LSTM

LSTMは、回帰型ニューラルネットワークの改良型です。回帰型ニューラルネットワークでは困難である、長期的な依存関係を解決することが可能です。LSTMでは、ゲートと呼ばれるメカニズムによって入出力を制御し、適切な情報だけを長期記憶をとして残します。これにより、高いディープラーニングの性能を発揮します。

自然言語処理が得意なアルゴリズムで、音声合成や音声翻訳なども可能です。また、時系列データによる予測や異常検知なども、得意としています。

ディープラーニングの学習方法

ディープラーニングで人工知能に学習させていく方法には、どのようなものがあるのかをご説明します。

ゼロからの学習

何もない状態から学習させる方法です。大量のラベルづけされたデータとネットワーク設計を必要とし、そこから特徴を学習していきます。大量のデータを用意して学習するのは時間がかかるため、あまり使われることはありません。

使用頻度は低いですが、高い精度の学習が求められるケースや、既存のモデルを活用できない特殊なケースなどで使われることがあります。

転移学習

転移学習とは、ほかの目的や領域で学習した結果を役立てる方法です。すでに学習が終わっているモデルを調整して、活用していきます。ゼロから学習するよりも、効率よく学習を進めることが可能です。場合によっては、数分から数時間程度で学習を終えられるため、効率がよい方法といえます。

特徴抽出

特徴抽出は、ディープラーニングの学習方法のなかでも、より専門的な方法です。学習データから重要な情報を抽出し、その情報を基礎として学習を進めていきます。もとになる画像データや音声データなどの複雑なデータから、識別するために重要な特徴だけを自動で学習できます。これは、一般的な学習方法と比べて非常に洗練されており、効率のよい学習方法です。

この方法は、より複雑な学習が必要なケースや応用分野で活用されます。

マルチモーダル学習

マルチモーダル学習は、複数の種類のデータを学習させる方法です。画像や音声、映像、テキストなどのさまざまなデータを個別に学習した後、その結果を組み合わせて全体で学習させます。

ディープラーニングの活用事例

ディープラーニングの活用事例

ディープラーニングの技術は、さまざまな業界や分野で活躍しています。ここでは、それぞれの業界での活用事例について、ご紹介します。

自動車業界

自動車業界では、自動運転技術への活用が進んでいます。

車載カメラで周囲の様子の画像データを映し出し、人や車両、信号機、壁などの障害物、標識などを検知します。その際に、画像に映し出されたオブジェクトを判断し、何が人なのか、車両なのかなどを判断しなければなりません。その際に、ディープラーニング技術が必要です。

製造業

製造業においては、工場の製造ラインを監視カメラで映し出し、不良品を検出する際などにディープラーニング技術が用いられています。製品の特徴を画像データから学習し、どのような状態が問題のない状態なのか、不良品とはどのような状態なのかを判断します。

医療業界

医療業界では、薬の分子構造を学習することで、新薬の研究などに役立てられています。

また、CT画像やMRI画像などを判断して、がん細胞や異常が発生している細胞などを検出する際にも、ディープラーニング技術が必要です。医師の目で画像診断を行うだけでは、診断の数をこなせません。また、医師の力量によって、診断レベルに差が出てしまいます。そこで、ディープラーニングによる技術を活用すれば、一律な診断を行うことが可能です。

金融業界

金融業界では、ディープラーニング技術を活用したトレーディング業務が行われています。銘柄情報を学習して法則や特徴を見出すことで、株価の予測が可能です。

物流業界

物流業界では、サイト上に存在する商品情報を画像検索するサービスなどが、ディープラーニングで実現されています。画像検索で顧客が求める商品を探し出すことで、顧客のニーズを満たすことが可能です。

航空宇宙業界

航空宇宙業界では、人工衛星から送られてきた画像を分析、解析します。そこで、衛星画像の地上の建物や物体、地形などを正しく認識、検知するために、ディープラーニング技術が必要です。

また、このような技術を活用して、軍事産業にも役立てられています。

サイバーセキュリティ業界

日々、高度化・多様化が進むサイバー攻撃に備えるために、サイバーセキュリティ業界でもディープラーニング技術が活かされています。サイバー攻撃のデータを学習することで、攻撃のパターンを見極めます。これにより、攻撃者による不審な挙動をすばやく検知し、不正アクセスやクレジットカードの不正利用などを防ぐことが可能です。

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まとめ

この記事では、ディープラーニングの定義や実現できること、その種類と違い、ディープラーニングにおける学習方法、活用事例について解説しました。

ディープラーニングは多くの業界で活用されており、現代に必要不可欠な技術といえます。ディープラーニング技術を正しく活用するためには、品質保証をしっかりと行うことが重要です。

SHIFTでは、AI品質保証サービスをご提供しています。AIは、効率や品質の面で優秀な技術ですが、間違えることもあります。AIによって開発されたシステムやサービス、商品などは、人が開発したサービスよりも劣化している、バグが潜んでいる可能性も考えられるでしょう。そのようなことが起きないためにも、SHIFTのAI品質保証サービスの活用をおすすめしています。

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