Introduction
ChatGPTの開発元であるOpenAI社は、大規模言語モデルのAPIを提供しています。一般の企業や個人がOpenAIのさまざまなモデルを活用することで、高度なAI機能の利用やツール、アプリケーションの開発などが可能です。
しかし、OpenAI APIを使うと何ができるのか、OpenAI APIの使い方や料金体系はどうなっているのかなど、わからないことも多いでしょう。
この記事では、OpenAI APIの基本情報や実現できること、活用するメリットや注意点などについて解説します。
※2024年11月時点での情報に基づいて作成しています。
目次
OpenAI APIとは?
OpenAI社は、大規模言語モデルのAPI機能を提供しています。ここでは、OpenAI APIとは何か、具体的に何ができるものなのかをご説明します。
OpenAI社が提供している生成AIのAPIサービス
OpenAI APIとは、OpenAI社が提供する、大規模言語モデルを利用できるAPIサービスです。APIサービスとは、外部システムと連携させる接続口のことを指します。OpenAI APIを使えば、企業や個人が開発したシステムやサービスに、OpenAI社が提供するモデルを組み込むことが可能です。
OpenAI社公式サイトの『FAQ』によると、以下のように説明されています。
OpenAI API
The OpenAI API is built to flexibly solve a number of tasks that require intelligence, supporting most input and output modalities, from images, to text, to audio,
訳:OpenAI APIは、インテリジェンスを必要とする多くのタスクを柔軟に解決するように構築されており、画像からテキスト、音声に至るまで、ほとんどの入出力モダリティをサポートしています。
大規模言語モデルを一から開発し、大量の学習データを用意して学習させるのは、簡単なことではありません。しかし、OpenAI APIを利用した場合、そのような労力を必要とせず、企業や個人でもOpenAI社が開発したモデルを自由に活用できます。
上記でOpenAI社が説明しているとおり、OpenAI APIはテキスト、画像、音声など幅広いデータに対応しています。OpenAI APIを活用すれば、チャットボット、コンテンツ制作、翻訳などの多種多様な機能を実現可能です。
OpenAIについてはこちらもご覧ください。
>>OpenAIとは?サービスの使い方や料金、ビジネスでの活用場面を解説のページへ
ChatGPTとの違い
ChatGPTとは、OpenAI社が開発した生成AIサービスです。ChatGPTに質問すると、人間と会話しているかのような自然なやりとりができます。それを実現しているのが、GPT-3.5やGPT-4などの言語モデルです。
一方、OpenAI APIとは、GPT-3.5やGPT-4などのモデルを、一般の企業や個人が利用できるAPIサービスです。OpenAI APIを通して、OpenAI API社が提供するさまざまなモデルを開発に組み込んで、利用できます。
どちらもOpenAI社が提供するサービスですが、ChatGPTは言語モデルを活用した生成AIサービスであり、OpenAI APIはOpenAI社が開発したモデルを利用するための連携サービスといえます。
ChatGPTについてはこちらもご覧ください。
>>ChatGPTとは?GPT-4oができること、メリット・注意点をわかりやすく解説のページへ
OpenAI APIでできること
OpenAI APIによって、どのようなことを実現できるのでしょうか?ここでは、OpenAI APIを経由して利用できるモデルをご紹介します。
【OpenAI APIで利用できるモデルとその用途】
モデル |
モデルの概要 |
用途 |
GPT-4o |
複雑なタスクに対応可能な高知能モデル |
高度な自然言語処理、複雑なタスクの実行が求められる処理 |
GPT-4o mini |
高速で軽量なタスクを実現する手ごろな価格の小型モデル |
シンプルな自然言語処理 |
o1-preview and o1-mini |
複雑な推論を実現するためにトレーニングされた言語モデル |
複雑な推論が求められる処理 |
GPT-4 Turbo and GPT-4 |
高速で低コストな高知能モデル |
高度な自然言語処理 |
GPT-3.5 Turbo |
単純作業向けの高速で安価なモデル |
シンプルな自然言語処理 |
DALL・E |
画像を生成・編集できるモデル |
画像生成、デザインの支援など |
TTS |
テキストを音声に変換できるモデル |
テキストデータから音声データへの変換 |
Whisper |
音声をテキストに変換できるモデル |
音声認識システム、文字起こしサービスなど |
Embeddings |
テキストを数値に変換できるモデル |
テキストの分析、文章の分類など |
Moderation |
テキストがセンシティブかを検出できるモデル |
コンテンツのフィルタリングなど |
※2024年11月時点の提供モデル(OpenAI社公式サイトより)
上記のとおり、GPTモデルはさまざまなバージョンが提供されています。また、GPT以外にも、画像変換や音声変換モデルなどが提供されています。OpenAI APIを活用することにより、さまざまなサービスを実現できるでしょう。
OpenAI APIを利用するメリット
OpenAI APIを利用することで、OpenAI社が開発したモデルを活用できます。ここでは、そのメリットについてご説明します。
AI開発に必要なリソースと時間を削減できる
自社内でAIを一から開発するためには、膨大なリソースや時間が必要です。そこで、AI分野で先進的な立場のOpenAI社が提供したモデルを活用できれば、AI開発に必要なリソースや時間を大幅に削減できます。
また、OpenAI社が提供するサービスをそのまま利用できるため、インフラの運用・保守なども必要ありません。そのため、高度なAIサービスを低コストで安定的に利用できます。
多様なタスクに対応できる
上記でご説明したとおり、OpenAI APIで利用できるモデルの種類は多いです。またGPTなどのモデルは拡張性が高く、柔軟性に優れているため、さまざまな場面に汎用的に活用できます。そのため、OpenAI APIをうまく活用すれば、多種多様なタスクに対応できるでしょう。
たとえば、GPT-4を活用して、企業サイトの問い合わせ用のチャットボットを開発するなどが可能です。自社商品やサービスの情報を検索して質問に回答するようなチャットボットを開発すれば、顧客向け問い合わせ対応の充実につながるでしょう。
業務の効率化や顧客満足度の向上につながる
OpenAI社が開発した高知能なモデルを利用して、質の高いAIツールを開発できます。この質の高いAIツールをビジネスに活用できれば、業務の効率化や顧客満足度の向上につながるでしょう。
たとえば、OpenAI APIと社内ツールを連携させることで、翻訳作業やコンテンツ作成作業の質が向上し、社内の業務効率の向上が期待できます。また、顧客からの問い合わせ対応ができるチャットボットを開発することで、24時間365日稼働する問い合わせ窓口を設置できます。これにより、問い合わせ対応時間を拡大できるため、顧客満足度の向上につながるでしょう。
新しい機能を利用できる
OpenAI API を通してOpenAI社のモデルを活用することで、つねにOpenAI社が提供する新しい機能を利用できるというメリットもあります。
自社内でAIを開発する場合、機能追加の開発やメンテナンス作業を行いつづけなければなりません。しかしOpenAI APIを活用すれば、OpenAI社が新しいモデルを提供してくれるため、開発やメンテナンス作業などを行わなくてもつねに新しい機能を利用できます。
OpenAI API の注意点
OpenAI APIを利用する際の注意点について、解説します。
プログラミングの知識が必要になる
OpenAI APIを通してOpenAI社のモデルを利用する際には、ある程度のプログラミングの知識が必要です。また必要に応じて、モデルに連携させるツールやアプリケーションなどを開発する場合もあります。
そのためOpenAI APIを利用するためには、AIやプログラミングの知識と技術をもつ人材が必要です。
料金が高額になる可能性がある
OpenAI APIの利用料金は、使用した分だけ料金が発生する従量課金制です。使用するモデルと実際に利用したトークン数によって料金が異なります。使用する量が多い場合は、料金が高額になる可能性もあるため注意が必要です。
ここでは例として、GPT-4oなどの主なモデルの料金体系をご紹介します。
【GPTの主なモデルの料金体系】
モデル |
入力トークンごとの料金 |
出力トークンごとの料金 |
GPT-4o |
$5.00/100万トークン |
$15.00/100万トークン |
GPT-4 Turbo |
$10.00/100万トークン |
$30.00/100万トークン |
GPT-4 |
$30.00/100万トークン |
$60.00/100万トークン |
GPT-3.5 Turbo |
$0.50/100万トークン |
$1.50/100万トークン |
※2024年11月時点の価格
上記のとおり、モデルによって料金が大きく異なります。そのため、求める性能や機能、料金を検討してモデルを選ぶ必要があるでしょう。
セキュリティ対策を講じる必要がある
OpenAI APIを利用する際は、セキュリティ対策が必要です。
OpenAI API サービスを利用するためにはAPIキーが必要であり、キーが盗まれるとAPIの利用環境が乗っとられて、データが外部に流出するなどの恐れがあります。
たとえば、プログラムのコードにキーを直接書き込むと、コードを閲覧できる担当者がいつでもアクセスできてしまいます。そのため、プログラムにキーを直書きしない、APIキーの使用状況を定期的に監視する、不要なキーは無効化するなど、APIキーの管理は厳重に行わなければなりません。
また、入力時に使用したデータや出力データの扱いにも注意が必要です。機密データや個人情報が流出する、プライバシーの侵害が発生するなどのリスクがあります。
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まとめ
この記事では、OpenAI APIの基本情報や実現できること、活用するメリットや注意点などについて解説しました。
OpenAI APIを通して、OpenAI社が提供するモデルを利用することで、高度なAI技術を自社のツールやサービスに活用できます。しかし、OpenAI APIを利用するためには、プログラミングやAIに関する知識、技術が必要です。
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