自治体で生成AIの活用が進んでいる背景
自治体で生成AIの活用が進んでいる背景には、人口減少による職員不足や住民ニーズの多様化などの要因があります。
「自治体戦略2040構想研究会」によると、2040年ごろまでに自治体職員の数が大幅に減少すると予測されています。また、外国人の増加などにより、多様化した住民のニーズに対応していかなければなりません。
自治体職員が減っていくなかで住民が満足できるサービスを提供しつづけるためには、業務の効率化や自動化のための仕組みが必要です。そこで、各自治体で実用化が進んでいるのが、生成AIです。限られた人員で質の高い行政サービスを維持するために、生成AIが切り札として期待されています。
たとえば、生成AIを活用して文書の作成、報告書や公的記録の管理などを行うことで、事務作業を効率化することが可能です。また、生成AIで膨大な量のデータを迅速に処理・分析し、意思決定に役立てられます。
このように、生成AIを自治体に導入することで、限られた自治体職員で質の高い行政サービスを実現していくことが期待されています。
生成AIについてはこちらもご覧ください。
>>生成AIとは?できることや種類、活用事例、リスクについて解説のページへ
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自治体における生成AIの導入状況
自治体における生成AIの導入状況はどのようになっているか、令和6年7月に総務省が発表した『自治体における生成AI導入状況』のデータを見ていきましょう。
上記資料の「⾃治体における⽣成AIの実証実験・導⼊状況」によると、⽣成AIを導⼊済みの団体は都道府県で51.1%、指定都市で40.0%、その他の市区町村で9.4%でした。
多くの都道府県や指定都市での導入が進む一方で、市区町村では導入が進んでいない状況です。規模の大きい自治体と小さい自治体で、導入状況の二極化が進んでいます。
自治体で生成AIを活用するメリット
自治体に生成AIを導入することで得られるメリットの、具体的な内容について解説します。
行政手続きを効率化できる
生成AIが組み込まれたチャットボットを導入することで、行政手続きや窓口業務などの効率化が期待できます。
各種手続きや窓口業務についてわかりやすく説明してくれるチャットボットを、自治体の公式サイトなどに設置します。住民はチャットボットに質問するだけで手続きや行政サービスについて詳しく知ることができ、職員に問い合わせをする必要がありません。その結果、自治体職員の問い合わせ対応の負担を軽減できます。
また、チャットボットは24時間365日いつでも利用できるので、住民の利便性の向上にもつながります。
住民サービスの質を向上させられる
生成AIの導入は、住民に対するサービスの質の向上にもつながります。
行政手続きや窓口業務において、24時間365日質問に答えてくれるチャットボットがあれば、営業時間外であっても問い合わせが可能です。さらに、音声認識AIが搭載されていれば、文字を入力しなくても音声で簡単に問い合わせができます。
また、マッチングAIを活用して住民の属性にマッチした行政サービスを提案すれば、それぞれの住民に対して最適な情報を提供することも可能です。
コスト削減や財政健全化につながる
生成AIの導入により業務の効率化、生産性の向上が進めば、コスト削減や財政の健全化につながる可能性があります。具体的には、議事録作成を自動化する、デジタル化によりペーパーレス化が進み紙のコストが削減される、生産性が向上し残業時間が減るなどの効果が期待できます。
生成AI導入時の初期コストはかかりますが、業務の効率化を行えるため、トータルで見るとコスト削減効果が高いといえるでしょう。
データの分析・活用により、意思決定が最適化される
生成AIにより自治体がもつ膨大な量のデータをスピーディーに処理・分析でき、有益な分析結果を得られるというメリットがあります。
各自治体は、人口の動態、公共サービスの利用状況、住民の健康状態などの豊富なデータを保有しています。これらのデータをAIで分析することで、どの住民にどのようなサービスが必要なのか、どのような施策が不足しているのかといった重要な情報を得られるでしょう。分析結果を活用すれば、適切な意思決定や行政サービスの提供を行うことが可能です。
職員の働き方改革につながる
各自治体では職員不足が慢性化しているため、職員の業務負担が大きく、働き方改革が求められています。しかし、人員の確保がむずかしく、問題の解決ができていません。
そこで生成AIを導入することで、自治体における事務作業や窓口業務などの効率化、生産性の向上が進みます。その結果、職員の残業時間が減り、テレワークなどの多様な働き方を選択できるようになり、職員の働き方改革につながることが期待されています。
自治体での生成AI活用における課題
自治体で生成AIを活用すると、さまざまなメリットを得られますが、課題も存在します。ここでは、生成AI導入に関する課題について解説します。
AI生成物の正確性に懸念がある
AIの技術は日々進化していますが、ハルシネーションと呼ばれるAIが誤った情報を生成してしまう現象が発生することがあります。AIが事実と異なる結果を生成したり、存在しない法令を引用したりすることもあり、生成AIが出力した結果が必ずしも正しいとは限りません。そのため、生成AIの分析結果や出力した文章などを無条件に活用するのではなく、人間によるチェックを行う体制を整えるなどの対処が必要です。
プライバシーや情報管理リスクがある
生成AIを業務に活用する場合には、プライバシーや情報管理の配慮が欠かせません。
たとえば、個人情報をAIに学習させてしまうと、プライバシーの侵害が起こる可能性があります。また、自治体が保有する住民の情報などの重要な情報を扱う場合には、情報漏えいのリスクへの対処も必要です。
このようなリスクを防ぐためには、情報管理体制の強化やガイドラインの作成などの対処を行う必要があるでしょう。
AI活用に必要なIT人材が不足している
生成AIの技術を自治体の業務に活用するためには、AIに関する知識や技術をもつIT人材が必要です。しかし、人材不足が深刻な自治体では、高度なIT知識をもつ人材を確保するのはむずかしくなっています。
自治体におけるIT人材不足を解消するためには、ベンダーや研究機関と連携するのも有効な方法です。AIツールの導入実績があり、豊富なノウハウをもつベンダーや研究機関と連携することで、それぞれの自治体に適したAIツールを導入できるでしょう。
導入・運用コストの確保がむずかしい
自治体にAIツールやシステムを導入し運用していくためには、開発費用や機材調達、人材の確保などのためのコストがかかります。しかし、財政状態が厳しい自治体が多く、予算の確保がむずかしいです。
住民の理解を得る、国の補助金を活用するなど、予算を確保するために検討を行う必要があるでしょう。
市民の理解を得る必要がある
生成AIを活用したチャットボットなどのサービスを自治体に導入するにあたり、市民の理解を得る必要があります。とくに、窓口で職員のサービスを受けたい、チャットボットなどのツールを使うのがむずかしい、という高齢者やITツールに慣れていない人に理解を得ることが重要です。
自治体における生成AIの活用事例
自治体で実際に生成AIを活用している事例についてご紹介します。
問い合わせ対応
自治体がほかの自治体から問い合わせを受けることが多く、その対応に職員の稼働がとられています。そこで、ChatGPTを活用した他自治体向けの問い合わせ応対ボットを開発し、運用を行っている自治体もあります。
このボットでは、過去の問い合わせ対応の内容をデータベース化していて、自治体からの問い合わせに自動応対することが可能です。ボットの運用を開始すると、自治体同士の情報共有の作業が効率化し、自治体職員の業務負担の軽減につながりました。
文書・書類作成
生成AI議会の答弁の原案作成に活用している自治体もあります。
過去の議会質問と答弁のデータをAIに学習させることで、質問に対する答弁の原案を作成することが可能です。生成された答弁を修正する必要があるため作業にかかる時間は変わらないことも多いですが、今後AIの性能が向上すれば作業効率が上がることが期待できるでしょう。
サービスデザイン
自治体の広報誌を作成する際に、広報誌を読む人の人物像(ペルソナ)、行動や思考を表した図(カスタマージャーニーマップ)をAIで生成します。その結果、広報誌の企画立案や記事の作成の作業効率が向上しただけでなく、広報誌の質の向上にもつながっています。
災害対応・防災
災害や緊急時の防災情報を、生成AIを活用したチャットボットで住民に周知することで、24時間365日、自動で情報提供できます。普段からハザードマップや避難所の情報などを住民に周知しておくことが可能ですし、緊急事態が発生した際にもスムーズに情報共有できるでしょう。
まとめ
各自治体では職員の慢性的な人手不足に悩まされていますが、生成AIを導入することで業務の効率化、生産性の向上につながることが期待されています。
各自治体で生成AIの導入をはじめとしたDX化の取り組みが進んでおり、今後もその動きは広がっていくでしょう。
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「自治体でDXを推進して人手不足を解消したい」「自治体に生成AIを積極的に導入したいが、AIやビッグデータ活用のノウハウがなく、DXに対応できる人材がいない」などの悩みを抱える自治体も多いかもしれません。
現在、各自治体で生成AIが積極的に使われるようになり、業務効率の改善や生産性の向上が実現しています。しかし、生成AIツールやシステムの導入を行うためには、AIやDXの知識をもつ人材やノウハウが必要です。自治体内で人材を育成したり新たに技術者を採用したりするのがむずかしい場合もあるでしょう。
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