株式会社ミロク情報サービス様 導入事例 株式会社ミロク情報サービス様 導入事例

新製品開発の指針となるデザインガイドライン作成プロジェクト

BtoBサービスのUXを追求した先進的な取り組みを支援

株式会社ミロク情報サービス様 導入事例

  • 業種

    情報/通信/メディア​

  • 企業規模

    1,001名以上~5,000名以下

  • サービス

    UXデザイン(ユーザーエクスペリエンスデザイン)

「BtoBサービスだからUXは後回し…」という考え方はもう古い。
UX追求を実現するデザインガイドラインに着目。

サービス導入前、具体的にどういった課題がありましたか?

高橋様:

弊社は財務・会計・人事・給与といったBtoB向けのERP製品を提供している会社です。そういった特徴から、弊社の業務システムはお客様のご要望や社会背景を汲みとって反映することが多く、多機能なシステムになる傾向があり、結果的にプロフェッショナル向けの設計になっていると感じていました。

 

もちろんカスタマーサポートやマニュアルでお客様には手厚くフォローをさせていただいていますが、ある程度お客様自身によるトレーニングが必要となっている現状があり、機能面ではお客様のニーズに応えつづけているものの、UX観点における「使い勝手や利用者の気持ちへの寄り添い」という面では課題があると感じていました。

 

また、UXを検討するようになった大きな理由として、世の中の環境の変化があげられます。

いまや誰もがBtoC向けのWebサイトやスマホアプリに日常的に触れており、説明がなくても直感的に使えるUIや便利な体験が当たり前となっているなか、企業が置かれている環境もクラウド化やDXの波が急速に押し寄せています。BtoBサービスを提供している我々のUIや操作感は、このDX時代にはあまりモダンとはいえない印象になっているのではないかと考えたのです。

 

そういった背景から、弊社では、

 

1.利用者を限定しないアクセシビリティやユーザビリティへの配慮

2.DXにおけるシームレスな連携・統制の必要性

 

を強く意識するようになり、そのカギを握るUXにも注力していくことを決意しました。

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株式会社ミロク情報サービス 製品開発・サポート本部 製品企画開発部 UI/UXデザイナー 高橋 伸幸 様

UXという観点でどういった問題提起を行い、改善に乗り出すに至ったのでしょうか?

高橋様:

環境の急速な変化はこれまで問題としていなかったことに目を向けることになりました。おそらく一般的に業務システムでは、お客様からのご意見で多いものとして「システムの使い方」があると思います。実際に弊社でもこのご意見が多くあります。

しかし、UXを当たり前のように磨いているBtoCサービスでは「システムの使い方」で質問することはあまりないのではないでしょうか?つまり、BtoCサービスに慣れ親しんでいるユーザーの心理に寄り添った設計になっていないと、徐々に利用を控えられ、最悪の場合、解約につながる可能性があるのではないかと考えたのです。

これらのことから、我々は以下の問題提起を行いました。

 

・これまでのシステム設計は現代の利用者心理に寄り添えていたのか?(サービス提供側の都合が強いシステムになっていないか?)

・これまでの製品でも開発やデザインのルールの明文化はしていたが、十分だったのか?

・DX推進によってシームレスなシステム連携が求められる現代において、ユーザー中心のシステム設計でなければならないのではないか?

 

このような問題を解決することが、我々のサービスが環境の変化に対応するためにも必須条件であると考えたのです。

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SHIFTとのプロジェクトについてと依頼するに至った経緯を教えてください。

高橋様:

先ほど申し上げた問題提起を受けて、新しい取り組みとしてSaaS型のERP製品の企画開発がはじまりました。

 

このプロジェクトでは、新製品としての競争優位性を築くことも大事ではあるものの、何よりお客様への優れたUXを追求する必要性を強く感じていたので、はじめからUX中心の設計を心がけました。

具体的には、先にあげたBtoCに慣れ親しんだ現代人に合ったUXの追求であったり、年齢、立場、身体的属性、利用場所などで利用者を限定せず、多くの方が正しくシステムを利用できるようにすることを強く意識してつくり込みを行いました。

 

弊社では、こういったUXの考え方をこれまで培ってきた特有のノウハウと融合させることで、ユーザー体験の追求だけでなく、お客様の学習負荷軽減、システムの社内浸透促進、業務効率化へ寄与すると考えています。

 

弊社が目指すのは、お客様の生産性向上と一貫した高品質なユーザー体験の提供です。

それを実現するためには、UXデザインによるシステム設計が不可欠。その目的の実現と、達成までのプロセスを定義するために、デザインガイドラインの必要性に着目したのです。しかし、デザインガイドラインをつくるにも、やはり我々だけではノウハウが不足しています。そこで、ソフトウェアの品質保証という領域でUX品質の支援実績のあるSHIFTさんに支援をいただくに至ったわけです。

大事なことは、最初から“使ってもらえるプロダクトの開発”を
目指すこと。開発者全員が同じ目線で開発をするための道しるべ。

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株式会社SHIFT サービス&テクノロジー本部 デジタルサービス統括部 デジタルマーケティンググループ UXシニアコンサルタント 吉井 誠

SHIFTが行った支援内容について具体的に教えてください。

SHIFT吉井:

ミロク情報サービス様への支援内容をより詳細にご理解いただくためにも、まずはSHIFTのUXサービスについて簡単にご説明したいと思います。

 

SHIFTのUXサービスは大きく分けて、2つのサービスで構成されています。

一つは、UX評価(UX品質の現状分析と改善提案)、もう一つはUX開発(開発プロセスに組み込まれたUX支援)です。

ミロク情報サービス様のデザインガイドライン作成のプロジェクトは、開発プロセスにおけるUX設計(UX開発)に含まれるものになります。そこに至るまでの「現状分析」、「ユーザー要求」もデザインガイドライン作成にあたり重要な要素になりますので、そこからご支援をさせていただきました。

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デザインガイドラインとは何なのかご説明いただけますでしょうか?

SHIFT吉井:

開発するプロダクトに対して、デザインを進める際の指針です。対象のプラットフォームにおけるデザイン原則やレイアウトや色、インタラクションなどに関するルールを規定します。

今回作成したデザインガイドラインの目的は、対象プラットフォームをコンセプトに沿った製品として開発するための開発者向けの指針として、デザイン品質向上、使いやすさの追求(使ってもらうため)、生産性の向上(開発効率の向上)を達成することを目的としました。

 

デザイン品質向上:統一性のあるデザインを採用することにより、コンセプトを忠実に具現化し、利用時の品質を向上します。

使いやすさの追求:アクセシビリティとユーザビリティに配慮したルールに従うことで、利用者にとって最適な環境を提供します。

生産性の向上:開発メンバー内でのデザイン検討時間の短縮化と手戻りの抑制、テスト項目の明確化による評価時間の圧縮により開発効率を向上します。

 

次に、デザインガイドラインの作成手順についてご説明します。

流れとしては大きくわけて、現状分析・コンセプト作成、デザインガイドライン作成、デザインガイドライン修正、報告会の4工程です。

 

このとき、もっとも大事なことは、それぞれのプロセスでガイドラインの利用者を巻き込んでの報告会を実施していることです。この時点で、運用を見据えて開発担当者からの意見に配慮することで、最初から“開発現場で使ってもらえるデザインガイドラインの作成”を目指します。

つくったデザインガイドラインは実際にどのように活用していくのでしょうか?

SHIFT吉井:

デザインガイドラインの活用には大きくわけて2つの展開を想定していました。

1つ目は、垂直展開。これは後続の開発フェーズに活用するものになり、デザインガイドラインを基準にした開発、またその評価を行うことが可能になります。垂直展開を行うことで、後工程での手戻りを少なくし、効率的なUX開発ができるだけでなく、できあがった成果物を「こういう理由で、ここに配慮して開発した」といった根拠のある説明もしやすくなり、社内の共通理解も促進します。

 

2つ目は、水平展開です。こちらはまずデザインガイドラインで対象とした1つの製品/プロダクトから実施し、次に複数の製品/プロダクトに展開、最終的には全社的に展開するという形で、対象を横に広げていくことを指します。

その際のポイントとして、開始時に適用する範囲をしっかり定め、その後も確実に進めていける枠づくりを行いました。

SHIFTのUXサービスは、どのようなところに強みがあるのでしょうか?

SHIFT吉井:

オリジナルのUX品質ガイドラインをもっていること、開発プロセスへの統合を得意としていること、この2点が大きな強みになっています。

 

SHIFTには、これまで支援を行うなかで蓄積した100万件以上の不具合データがあり、あらゆる開発の膨大なデータを蓄積しています。それを活用し、人間中心設計の専門家と共に共同開発した独自観点をまとめることでSHIFTオリジナルのUX品質ガイドラインをつくっています。また、創業以来主軸としてきたソフトウェアテスト・品質保証事業の経験から、開発プロセスのどのプロセスからでも参画できることもSHIFTのUXサービスの強みになります。

 

また、SHIFTではデザインを得意とするグループ会社があり、今回もその1社であるナディアとの連携により最適なデザインガイドライン作成を可能にしました。開発に必要なリソースを提供できることがもう一つのSHIFTの強みです。

 

この2点があることで、適切なリソースで最適な体制を構築することが可能になり、今回のデザインガイドライン作成にも意識的に取り組んでいます。

実際につくったデザインガイドラインを見せていただくことはできますか?

高橋様:

実際に納品していただいた資料から、あるログイン情報の入力画面を例として3つほどポイントでご紹介したいと思います。

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高橋様:

まず一つ目は、入力におけるUXです。上の例も悪くはないのですが、入力をする際にカーソルの点滅しか自身の入力位置を知る手がかりがないため、いまどこを入力しているのかが一目でわかりにくいという欠点があります。それに対して、下の例は枠を太くし、色もつけているので、一目でわかりやすいことはもちろん、色弱(色の判別がつきにくい)の方でもわかりやすい設計になっています。

SHIFT吉井:

仰る通りですね。これはアクセシビリティとユーザビリティを融合した観点で、こういった少しの違いでもユーザーの使い勝手は各段に上がるので重要なポイントです。

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高橋様:

つづいて、ログインIDの入力画面です。こちらで配慮したポイントとしては、いわゆる「プレースホルダー」と呼ばれるもので、入力のヒントになる例を薄い文字でガイドとして記載するものです。上の例は具体的な入力例が示されていないのに対し、下の例では入力欄の真上に具体的な入力指示があるとともに、入力欄にプレースホルダーの記載があります。こういった言われてみれば当たり前の配慮がユーザーの使い勝手を向上させます。

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高橋様:

最後に、利用規約への同意をとり、登録いただく画面における例です。当初は上の例で進める想定でおりましたが、SHIFTさんからご指摘をいただき、ディスカッションを重ねた結果、下の例のようになりました。上の例の何が悪いのかというと、「ボタン上に記載している文章を読む前提になってしまっている」ことに問題があります。上の文章を読まずにボタンだけを見た場合、してほしいアクションに対する結果のイメージがつきにくいのに対し、下の例はボタンの文言を動詞にすることで押した結果がイメージしやすくなります。

SHIFT吉井:

そうですね。利用者がどのようなシーンで使用するのかを想像して、その心理に気づいてあげることが大事ではないかと思います。「ボタンだけで判断ができる方がより楽ではないか」という想像を働かせることが大事ということですね。

 

こちらのデザインガイドライン、実際は膨大な量のページで構成されているのですが、それを社内展開し、開発者やデザイナー、その他の部門の方々が参照した際に、実際の利用者に「どのような体験をしてもらう必要があるのか」「どのような観点でつくればよいのか」が誰にでも理解ができるので、一貫した開発ができるようになるのです。

UXを追求することは「お客様に対する愛をもって向き合うこと」。
UXデザインで目指す世界とは…。

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社内の評判はいかがでしょうか?

高橋様:

評判は上々です。開発部門・営業部門の両方から「これでよい製品ができそう」「参照しやすい」といった声もあがっており、非常によい反応をもらっています。

 

先ほど吉井さんからも説明があった通り、各プロセスにおいて利用者を巻き込んでの報告会をしていたことで社内の期待感も高く、またいい意味で成果物のギャップが生まれず、「期待通り」につくれたことがよい結果につながったのだと思います。

今後のUXの取り組みについて教えてください。

高橋様:

今後新しい製品を開発する際にも、新たにデザインガイドラインの作成を引きつづき行っていきたいと考えています。また、このプロジェクトを通して、吉井さんとは非常に仲良くさせていただきまして、UX談義といったものも多くさせていただいたのです。そのなかで吉井さんのUXポリシーを伺うことがありまして、「お客様に対する愛をもって向き合うこと」がUXにおいて大事だと仰られていたことが印象的で、我々が求めているUXデザインもそれとほぼ同義だと感じました。なので、今後も会社としてそういったマインドをもってUX品質を上げていきたいと思っています。

SHIFT吉井:

ありがとうございます!私たちとしても、BtoBシステムで高いシェアをおもちのミロク情報サービス様のお手伝いができたことを誇りに思いますし、我々のご支援がミロク情報サービス様の価値につながり、ひいては日本中、世界中に質の高いユーザー体験が広がることを目指していますので、今回は非常に貴重な機会をいただき大変うれしく思っております。改めまして、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします!

  • インタビューにご協力いただいた企業様
  • 社名

    株式会社ミロク情報サービス様 導入事例

  • URL

    https://www.mjs.co.jp/

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