アジャイルとは?意味やIT・ビジネスでの使われ方、開発の特徴を解説

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アジャイルとは?意味やIT・ビジネスでの使われ方、開発の特徴を解説

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

お役立ち資料

Introduction

アジャイルとは、従来のプロジェクトの進め方とは異なる先進的な考え方です。状況の変化に強く、小まわりが利くアジャイルの考え方を導入すれば、企業の競争力を高められる可能性もあります。

この記事では、アジャイルの定義、ビジネスシーンでの使われ方、メリット・デメリットなどについて解説します。

目次

アジャイルとは?

アジャイルとは

アジャイル(Agile)とは、「機敏な」「すばやい」という意味の言葉です。ビジネスシーンでは、状況の変化に応じて、すばやく対応するという意味で使われることが多いです。

ここでは、アジャイルの定義、アジャイルという言葉がビジネスシーンに登場した背景について解説します。

探索・適応を繰り返して複雑な問題を解決するアプローチのこと

アジャイルとは、ビジネスシーンにおいて、探索・適応を繰り返して複雑な問題を解決するアプローチのことです。

情報処理推進機構(IPA)の『なぜ、いまアジャイルが必要か?』によると、以下のように定義されています。

アジャイル

アジャイルとは、ビジネス価値の実現にむけて、ITとビジネスにおける複雑・不確実な問題を探索と適応を繰り返して解決するアプローチです。

アジャイルという言葉は、アジャイル開発、アジャイル組織などのように、ほかの言葉と組み合わされて、特定の性質をもつことを示す際に使われます。

たとえば、アジャイル開発は、開発計画から設計、実装、テスト、運用までのスケジュールをがちがちに決める、従来の「ウォーターフォール開発」とはまったく異なります。状況にあわせて、開発の流れを短期間に繰り返す開発手法のことです。まずはやってみて問題を洗い出し、解決しながら徐々に完成に向かう「アジャイル」という性質をもっています。アジャイル開発を行うことで、変化に強く、顧客のニーズにも柔軟に対処できるでしょう。

アジャイル開発についてはこちらもご覧ください。
>>アジャイル開発とは?概要や進め方、ウォーターフォール型開発との違いやスクラムについて解説のページへ

「アジャイル」という言葉が登場した背景

アジャイルという言葉が登場した背景には、ビジネスシーンが変化を遂げており、新しい価値観を創出するために必要とされたためです。

前述の情報処理推進機構(IPA)の『なぜ、いまアジャイルが必要か?』によると、「アジャイル」という言葉が登場した背景について、以下のように記載されています。

「アジャイル」という言葉が登場した背景

アジャイルによる仮説検証型の問題解決方法が、新しい価値を創出するうえで必要不可欠だからです。

新しい価値観とは、具体的に以下のとおりです。アジャイルの考え方をとり入れることで、これらの新しい価値観を実現できます。

・組織やプロセスよりも、個人を重視する価値観

近年は、従来の組織やプロセスを重視するやり方だけではなく、個人を重視する価値観が重視されはじめました。組織から独立し、小規模なチームが従来のやり方を捨て、新しい方法を模索するために、アジャイルの手法は適しています。

・包括的なドキュメントよりも、機能を重視する価値観

従来は開発作業などで、仕様や設計を細かく記したドキュメントをまず作成することが重視されていましたが、いまは機能そのものを重視する価値観が生まれています。そのため、詳細な機能はドキュメントよりも実際の動作で確認する、アジャイルの考え方が適しています。

・契約よりも顧客との協調を重視する価値観

契約の厳密さだけではなく、顧客寄りの価値観が求められています。そのため、顧客の声を聞き、顧客に開発に入ってもらう、コラボレーションを実現できるアジャイルの考え方が役立ちます。

・計画重視よりも、変化への対応を重視する価値観

最初にきっちりと計画をして計画どおりに進めるだけではなく、状況の変化に柔軟に対応する価値観が求められています。試行錯誤を繰り返し、短いサイクルで問題を解決して新しいニーズに対応できる、アジャイルが適しています。

IT・ビジネスにおける「アジャイル」の使われ方

ITの分野やビジネスシーンで、アジャイルという言葉がどのように使われるかをご説明します。

アジャイルマインド

アジャイルマインドとは、組織やプロセス、計画などだけではなく、価値を実現することに主眼をおく考え方です。

アジャイルマインドでは、上記でご説明した以下の4つの価値観を重要視します。

・組織やプロセスよりも、個人を重視する価値観
・包括的なドキュメントよりも、機能を重視する価値観
・契約よりも顧客との協調を重視する価値観
・計画重視よりも、変化への対応を重視する価値観

これらの価値を提供するために、従来のやり方にとらわれず、新しい手法を模索していくマインドがアジャイルマインドです。

アジャイル組織

アジャイル組織とは、状況の変化にすばやく柔軟に対応できる構造になっている組織のことです。

上記でご説明した、アジャイルマインドをとり入れたビジネスを実現するためには、柔軟な対応ができる組織が必要です。アジャイル組織では、事前に厳密に検討した計画を重視するようなやり方はせず、短期間でプロジェクトを実行していきます。実行、レビューを繰り返すことで、顧客のニーズをすばやく吸収する、業務をタイムリーに改善する、新たな価値を創出するなどが可能です。

従来のトップダウンの組織では、そのようなプロジェクトの遂行はむずかしいですが、アジャイル組織ではボトムアップによる意思決定を重視します。

アジャイルな活動

アジャイルな活動とは、上記のような4つの価値観を重視した活動を行うことです。とくに明確な定義があるわけではありませんが、アジャイルの考え方を組織内などで推し進めるために行われることもあります。

具体的には、アジャイル開発を進めるために社内で勉強会を開く、小規模のチームを結成して実践し、振り返りを行うなどです。

アジャイル開発

アジャイル開発とは、従来のウォーターフォール開発とは異なり、短期間のスパンで企画、要件定義、設計、製造、テストの工程を繰り返し進めていく開発手法です。アジャイル開発は、個人重視、ドキュメントだけではなく機能重視、顧客との協調重視、変化への対応重視というアジャイルの考え方に沿っています。主に、IT業界でとり入れられている開発手法です。

最初に計画をすべて立てて、それに忠実にしたがって開発を進めるウォーターフォール開発とは異なり、まずつくって一度プロジェクトを回してみて、問題点を見つけるという手法になります。最初にきっちりと組織づくりやドキュメントづくりをしてから開発を行うのではなく、小さい組織で製造をはじめる場合が多いです。小まわりが利く開発のため、顧客からのニーズをとり入れやすく、機能追加や変更などにも対応がしやすいというメリットがあります。

ウォーターフォール開発との違い

アジャイル開発は、ウォーターフォール開発とどのように違うのかをご説明します。

従来のウォーターフォール開発では、最初のプロジェクト計画の時点でタスクを洗い出し、全体の計画を決めてそのとおりにプロジェクトを進めていきます。しかし、それだと後から不具合発生や顧客から新たなニーズが出されたときなどに、対応しづらいことがデメリットです。

ウォーターフォール開発の手法は、大規模プロジェクトに使われることが多く、納品まできっちりとスケジュールが組まれています。途中で機能変更を入れるためには、要件定義のやり直し、ドキュメントのつくり直し、製造、テストのやり直しなどの大きな手戻りが発生します。そのため、しっかりと計画を立てて遂行する、大規模プロジェクト向けの変化に弱い手法です。

一方、アジャイル開発なら何度も開発を繰り返していくため、不具合や問題が見つかっても、次の開発ですぐに対処できます。顧客からの要望や機能追加、機能変更にもすばやく対応可能です。アジャイル開発はその性質から、大規模プロジェクトに採用するのはむずかしいですが、小規模から中規模のプロジェクトで柔軟に対応したい場合に適しています。

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>>アジャイル開発とは?概要や進め方、ウォーターフォール型開発との違いやスクラムについて解説のページへ

アジャイル開発のメリット・デメリット

アジャイル開発のメリット・デメリット

アジャイル開発をプロジェクトに採用するメリットとデメリットについて、解説します。

メリット ・顧客の要望を反映しやすい
・機能追加や変更に強い
・方針変更などにも柔軟に対応できる
・問題点を早期に見つけることが可能
デメリット ・アジャイル開発についての高度な知識や経験が必要
・柔軟に対応できる人材が必要
・優秀な人材がいないと失敗しやすい
・大規模プロジェクトには向かない

アジャイル開発の代表的なフレームワーク

アジャイル開発はメリットが多い手法ですが、そう簡単にとり入れられるものではありません。そこで、アジャイル開発を進める際に役立つ、アジャイルのフレームワークについてご説明します。

スクラム

小規模チーム、小規模プロジェクト向けの手法です。

スクラムマスターと呼ばれる人がチームをリードし、メンバーが抱える問題を解決していく役目をもっています。小さな単位で計画、実装、テストを繰り返し、この繰り返しの単位をスプリントと呼びます。毎日ミーティングを開き、進捗状況や障害、ほかへの影響などについて議論しながら、プロジェクトを進めるのです。

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>>スクラムマスターへの道のページへ

エクストリームプログラミング(XP)

以下の5つの価値をベースとして進めていく手法です。

・コミュニケーション
・シンプルさ
・フィードバック
・勇気
・尊重

上記の価値を重視しながらコミュニケーションをとってシンプルに進める、フィードバックを欠かさないなどの進め方をしていきます。

‎ユーザー機能駆動開発(FDD)

2週間未満の短いスパンで開発を繰り返す手法です。モデル図と呼ばれる仕様にしたがって、システム開発を行います。

最初の工程の全体モデル開発では、仕様の構成、問題点と解決策などについて議論していきます。その内容を元に、フィーチャーリストと呼ばれる機能のリストアップを行い、開発計画、設計、構築を行う流れです。

また、ベストプラクティスと呼ばれる、ソフトウェア工学に基づく考え方にしたがって開発を行うのも、大きな特徴のひとつです。

かんばん

アジャイルの可視的なアプローチです。チーム内でかんばんツールを共有し、いまプロジェクトがどの段階にあるのか、タスクなどを明確にする方法です。メンバーのタスクの取り組み状況などを見える化し、問題点やリスク、進捗状況を共有しやすくします。

チーム内のあらゆるタスク、課題、進行中の作業、ステータスをカード化することで、プロジェクト全体を見渡して最適な進め方を決めることが可能です。

アジャイル開発においてよくある誤解

アジャイル開発にはメリットが多く、よいことばかりのように思われますが、誤解されていることも多いため注意が必要です。ここでは、アジャイル開発のよくある誤解について解説します。

誤解① スピーディーに製品がつくれる

アジャイル開発では、機能重視、顧客重視でドキュメント作成工程を飛ばしてすぐにつくりはじめるため、スピーディーに製品をつくれると考えられがちです。しかし、そう簡単な話ではありません。

ドキュメントを作成しなくてもよいのではなく、ドキュメントより先に製品をつくりはじめるだけで、最終的には運用のためにドキュメントをつくります。何度も開発工程を繰り返して問題をはやめに抽出するだけで、プロジェクト期間が大幅に短縮されるわけではありません。

誤解② 緻密な計画・資料をつくる必要がない

緻密な計画が不要、資料作成も不要と考えられがちですが、そうではありません。

確かに、最初にプロジェクト全体の計画を緻密に立てるウォーターフォール開発のように、最初の時点で厳密な計画を立てることはないかもしれません。しかし、個々の開発スパンで緻密な計画を行い、最終的には資料作成も行います。

誤解③ 品質確保がむずかしい

最初のつくりは荒いかもしれませんが、最終的には品質の高い製品を目指します。そのため、品質確保がむずかしいわけではありません。

SHIFTのアジャイル開発関連サービス

アジャイル開発には多くのメリットがあるものの、ノウハウがないとアジャイル開発を採用することはむずかしいでしょう。そのため、アジャイル開発を導入する際には、知識やノウハウをもつ専門会社に依頼するのがおすすめです。

SHIFTでは、アジャイル開発関連サービスを提供しています。ここでは、SHIFTのアジャイル開発支援やアジャイルQAについて、ご紹介します。

アジャイル開発支援(SHIFT 1LINE)

アジャイル開発に必要な体制を1チームすべてご提供します。そして、アジャイル開発の内製化や定着支援を行い、社内にアジャイル開発の技術を根づかせる支援も行っています。

自社内でアジャイル開発をはじめたいがノウハウがない、アジャイル開発が可能な人材を育てたいという場合に適しているでしょう。

関連サービスについて

アジャイルQA

SHIFTのアジャイルQAは、アジャイル開発のテスト戦略の観点から支援を行うサービスです。

要件定義、設計の工程と並行して、品質確保のためのアクションを行います。テスト工程では、テスト計画から実行までを支援することが可能です。

アジャイル開発の品質向上を行いたい場合に、適しています。

関連サービスについて

上手くいかないアジャイル開発の考察~何が足を引っ張るのか~

アジャイル開発なのに、なぜ成果が出ない!?
うまくいかない原因に悩んでいる方、必見です。

アジャイル開発にすると、「開発のスピードが大幅にアップした」「環境変化にも柔軟に対応できた」こんな話を耳にします。しかし、アジャイル開発は特別な特効薬でも万能薬でもありません。一方で、アジャイル開発に取り組みたいけど不安、取り組んだものの成果が出ないという話も聞きます。こちらはつねについてまわるお話です。アジャイル開発にあたって、あらかじめうまくいかない原因や、何を知っておけばよいかを理解することで、これらのリスクは軽減されます。
これまで見てきたり、体験してきた失敗談などを踏まえて、経験豊富な講師が語ります。

アジャイル開発なのに、なぜ成果が出ない!?
うまくいかない原因に悩んでいる方、必見です。

アジャイル開発にすると、「開発のスピードが大幅にアップした」「環境変化にも柔軟に対応できた」こんな話を耳にします。しかし、アジャイル開発は特別な特効薬でも万能薬でもありません。一方で、アジャイル開発に取り組みたいけど不安、取り組んだものの成果が出ないという話も聞きます。こちらはつねについてまわるお話です。アジャイル開発にあたって、あらかじめうまくいかない原因や、何を知っておけばよいかを理解することで、これらのリスクは軽減されます。
これまで見てきたり、体験してきた失敗談などを踏まえて、経験豊富な講師が語ります。

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まとめ

この記事では、アジャイルの定義、ビジネスシーンでの使われ方、メリット・デメリットなどについて解説しました。

アジャイル開発は従来の開発プロセスと異なり、顧客寄り、変化に強い、小まわりが利くなど多くのメリットがあります。しかし、一方でそう簡単に実現できるものではなく、アジャイルに関する豊富な知識や経験がないと、プロジェクトを成功させるのは困難です。

そこで、アジャイル開発をはじめて導入する際には、アジャイルに関する専門家が在籍する専門会社に依頼することをおすすめします。アジャイル開発の品質保証などを任せることで、品質の高いアジャイル開発ができる体制を自社に構築できるでしょう。

アジャイル開発を導入する際には、SHIFTのアジャイル開発支援(SHIFT 1LINE)や、アジャイルQAの導入をご検討ください。

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永井 敏隆

 

監修

株式会社SHIFT
「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト 永井 敏隆

大手IT会社にて、17年間ソフトウェア製品の開発に従事し、ソフトウェアエンジニアリングを深耕。SE支援部門に移り、システム開発の標準化を担当し、IPAのITスペシャリスト委員として活動。また100を超えるお客様の現場の支援を通して、品質向上活動の様々な側面を経験。その後、人材育成に従事し、4年に渡り開発者を技術とマインドの両面から指導。2019年、ヒンシツ大学の講師としてSHIFTに参画。

担当講座

・コンポーネントテスト講座
・テスト自動化実践講座
・DevOpsテスト入門講座
・テスト戦略講座
・設計品質ワークショップ
など多数

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ヒンシツ大学とは、ソフトウェアの品質保証サービスを主力事業とする株式会社SHIFTが展開する教育専門機関です。
SHIFTが事業運営において培ったノウハウを言語化・体系化し、講座として提供しており、品質に対する意識の向上、さらには実践的な方法論の習得など、講座を通して、お客様の品質課題の解決を支援しています。
https://service.shiftinc.jp/softwaretest/hinshitsu-univ/
https://www.hinshitsu-univ.jp/
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この記事を書いた人

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

SHIFTは「売れるサービスづくり」を得意とし、お客様の事業成長を全力で支援します。無駄のないスマートな社会の実現に向けて、ITの総合ソリューションを提供する会社です。

サービスサイト:https://service.shiftinc.jp/
コーポレートサイト:https://www.shiftinc.jp/
X(旧Twitter):https://twitter.com/SHIFT_cp

ご支援業種

  • 製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、情報・通信・メディア、流通・EC・運輸、ゲーム・エンターテイメント

など多数

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