ソフトウェアテストのナレッジを蓄積して組織で活用するためのポイントをご紹介

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ソフトウェアテストのナレッジを蓄積して組織で活用するためのポイントをご紹介

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

お役立ち資料

Introduction

今日、私たちの生活の多くの場面で活用されているもののひとつがソフトウェアです。その開発にはさまざまな企業が取り組んでおり、ソフトウェア開発のナレッジは日々蓄積されています。他方で、ソフトウェアの品質を維持・向上させるために行われるソフトウェアテストについては、なかなかナレッジを蓄積するのがむずかしいという声も耳にします。そこで、今回のコラムでは、ソフトウェアテストのナレッジを蓄積し、組織で活用するときに意識するポイントについてご紹介します。

目次

ソフトウェア開発のテスト工程によくある課題

あなたの会社のソフトウェア開発プロジェクトのテスト工程では、下記のような課題に直面することはないでしょうか。
・初心者と熟練者で成果物の品質の差が大きい
・担当者の離任により、プロジェクトの進行が遅れてしまう
・メンバー間で認識の齟齬が生じ、手戻りが発生する

このような課題は、品質に不安を残してしまうことはもちろん、納期に影響を与えてしまうことや、工数の追加による費用の増大といったことにもつながりかねません。そうならないためには、原因を知り対応するためのポイントをおさえることが重要になってきます。

株式会社SHIFTでは、ソフトウェアテストに関して豊富な実績とテストナレッジを保有しており、あらゆるお客様のニーズを満たしたテスト・品質保証を上流~下流(テスト計画・テスト設計・テスト実行・テスト品質管理)まで一気通貫でご依頼いただけます。

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課題が起きる原因と起こりうるリスク

以上のことは、ソフトウェアテストに関するノウハウがまとまっていなかったり、テスト手法に標準ルールが定められていないことなどが原因で生じる課題だといえます。
例えば、熟練者しかもっていないノウハウがあると、初心者は気づかないままにテストを進めてしまい、成果物の品質は熟練者よりも見劣りするものになる可能性があります。
あるいは、テストの手法が属人的になると、担当者が離任してしまった場合に、プロジェクト(プロダクト)への仕様理解やテストの手順などだけではなく、ゼロからのテスト手法を構築することが必要になります。こうした場合、後任者によるキャッチアップに膨大な工数がかかったり、最悪、テストが漏れて不具合のあるプロダクトをリリースしてしまったりする恐れもあります。
また、テスト手法の標準ルールが定められていないことが原因で、「テスト完了」という報告を受けても「何をどこまでやれば完成なのか」についての認識がメンバーによって異なってしまい、必要十分なテストが実施されているかの判断を適切に行うことができなくなるということが起こりえます。結果としてテストの手戻りが発生してしまうことも懸念されます。

ソフトウェアテストに関してはこちらもご覧ください。
>>ソフトウェアテストとは?種類や目的、重要な7原則を紹介のページへ

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テストのナレッジを蓄積するときに意識する4つのポイント

テストナレッジを蓄積し、テスト手法や成果物を統一することにより、担当者による品質のばらつきを防ぐことができます。仮に離任者が出た場合でも、キャッチアップは円滑に進むでしょう。また、テスト手法に標準ルールを定めることにより、ルールや用語、工程がドキュメントなどの形で明文化されるため、組織間、チームごとの認識の齟齬が減り、プロジェクトをまたいでノウハウを活用できるようにもなります。結果として、全社でプロジェクトの状況の可視化や品質のコントロールが可能になります。

それでは具体的にテストナレッジを蓄積し組織全体で活用できるようにする場合に意識するポイントをいくつかご紹介していきましょう。

情報収集の目的を明確にすること

「何のために」ナレッジを蓄積するのかを明確にしましょう。各プロジェクトに散在する情報を収集する場合には、プロジェクトリーダーやメンバーに依頼することになりますが、「テストナレッジを貯めたいので資料をください」と言われても依頼された側は何を提出すればよいかわかりません。こういった依頼の結果、とりあえず共有された資料を見てみると、数百のファイルがあり、すべての中身をチェックしなくてはならなくなるといったことにもつながりかねません。

そのような事態に陥らないようにするには、

「テスト手法を標準化するために、テストケースが必要」
テスト観点を統一するために、テスト観点やテストの粒度を定義した資料が必要」

など、情報として何を求めているのかを明確にして、情報収集の依頼をしましょう。

便利なテストケーステンプレートとテスト観点作成テンプレートはこちらからダウンロードいただけます。
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個別事象と共通事象に切り分けること

テスト環境やテストアカウント、テストケースの成果物に対して、個別のプロジェクトだけでしか使えないのか、あるいは、ほかのプロジェクトでも流用できるのかを切り分けましょう。
特に、テスト環境やテストアカウントについてはさまざまなシステムと連携していたり、時には商用環境のデータを参照(検証)したりする必要があるため、注意点やノウハウは共通事象としてナレッジ化しておきましょう。必要に応じて、図を用いて整理したり、検証時の確認チェックシートなどを作成したりするのもよいでしょう。

図1:検証環境のナレッジ化の例

検証環境のナレッジ化の例

日頃の業務からナレッジ化を意識してアウトプットすること

テスト設計テスト実行の期間中は頻繁にトラブルが起きます。そのようななかで、ナレッジ化を意識して成果物を作成することは非常にむずかしいかもしれませんが、日々の少しの工夫で後の工程が楽になることにもつながりますので、ぜひ意識してみましょう。
図2は、ログイン機能のテストケースの例です。この場合、一番右列に「分類」列を配置し、当該テストケースが「共通」するテストケースなのか、この機能特有の「個別」のテストケースなのかを分類していきます。テストが終了してテストケースをナレッジ化しようとする際に、あらかじめ成果物の作成中にこのような仕分けができる情報を設けておくと、劇的にナレッジ化の作業が効率化します。

図2:ナレッジ化を意識した成果物の例

ナレッジ化を意識した成果物の例

「ナレッジ化」と「組織浸透」の推進役の工数を確保すること

ナレッジを蓄積し、標準ルールを定めても、現場に浸透せずに形骸化しては意味がありません。しかしながら、テスト担当者はテスト期間中以外でも次のプロジェクトのインプットで手が空かないこともしばしばあります。このような場合は、体制や役割を見直し、「ナレッジ化」という業務内容を実施する役割を再定義し、作業にコミットできるようにしましょう。ナレッジをほかのプロジェクトにも適用したり、標準化されたプロセスを定着させ、統一された基準のもとで品質を可視化、コントロールすることは片手間ではできないため、専任のPMOなどの役割も必要になってくると思います。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。このコラムでは、テストナレッジを蓄積し、組織に浸透させるうえでおさえておきたいポイントを紹介してきました。読み進めるなかで「知らなかったこと」、「知っていたがなかなか取り組めていないこと」などが含まれていた場合は、あらためてみなさんの関わるプロジェクトでどのようにしたらテストナレッジが蓄積できるのかを考えていただければと思います。
品質を高めるうえで欠かせないものがテストと、それを支える「ナレッジ」です。適切にナレッジ化や標準化を行い、業務の効率化やプロダクトの品質向上を実現していきましょう。

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