株式会社セブン・カードサービス 導入事例
事務のミス削減と業務効率化を両立。
現場に寄り添い、運用まで見据え、RPA導入がもたらした現場変革

Summary
セブン銀行グループの一員として、クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス事業を展開するセブン・カードサービス様。事業拡大に伴い、紙やExcelを中心とした手作業による事務ミスのリスクや、システム人材不足といった課題が顕在化していました。 SHIFTはRPA(Robotic Process Automation)導入を通じて、業務理解から運用定着、内製化や次の技術活用までを見据えた取り組みを推進。現場の意識と業務プロセスそのものを見直し、持続的な改善につながる変革を進めてきました。
「システム化」未満の課題に
どう向き合うか。手作業からの脱却
貴社の事業概要と、みなさまが担われている業務内容についてお聞かせください。
当社は、流通小売業を基盤とした決済サービス事業者として、クレジットカード「セブンカード・プラス」や電子マネー「nanaco」などのキャッシュレス事業を中心に展開しています。クレジットカードの会員数は309万人、電子マネーの会員数は8,438万人規模(*)にのぼり、店舗や各種サービスと連携した決済機能の提供に加え、会員向けサービスやキャンペーンの運営、与信・請求・入金管理など、カード事業に関わる一連の業務を社内で担っています。
(*)2026年2月時点
非常に幅広い業務領域ですね。
はい。私が所属するシステム部では、これらを支える基幹・周辺システムの企画・運用を担当しています。業務部門と連携しながら、業務効率化、システム老朽化への対応、セキュリティやガバナンス強化に取り組んでいます。
現在特に力を入れているのは、「業務そのものの見直し」と「それを支える仕組みづくり」です。RPAは単なる省力化ではなく、属人化した業務を標準化し、ミスが起きにくいプロセスへ転換するための重要な手段だと捉えています。
RPA導入以前どのような課題がありましたか?
以前は、システムに精通した人材が十分ではなく、紙やExcelを中心とした手作業の業務が多く残っていました。システムからデータを出力して別のシステムへ転記したり、Excelで加工して帳票を作成したりと、日々の業務のなかに手作業が数多く存在していました。金融業務である以上、こうした作業におけるヒューマンエラーは大きなリスクだと感じていました。
RPA導入を検討されたきっかけを教えてください。
社内RPA推進にあたり、RPAツールのひとつであるUiPathを選定しました。これは、当社のシステム環境を熟知しているSIerからの推薦がきっかけです。
ただ、ローコードツールとはいえ、安定した運用には一定の技術力が必要で、社内だけでの開発運用・保守は難しい状況でした。
SIerに相談すると大規模なシステム改修の話になり、コストも時間もかかります。私たちが求めていたのは、「システム化するほどではないが、現場の手作業としては重すぎる」業務を柔軟に支援してくれるパートナーでした。その“隙間”を埋めてくれるパートナーを探していたなかで、外部パートナーとして紹介を受けました。
比較・検討されたポイントは何だったのでしょうか?
決め手となったのは、「対応人員のスキルとコストのバランス」です。具体的事例を示しながら、スピード感をもってニーズをくみ取り提案してくれました。
約4年前からご支援させていただいていますが、当初から一貫して感じていたのは、「大規模なシステム化ではなく、まずは現場の負荷をどう減らすか」を非常に現実的に考えていらっしゃる点でした。だからこそ、RPAを“つくること”よりも、“現場で無理なく使いつづけられる形”を重視しながら、業務理解からご一緒する支援がフィットしたのだと思っています。
単なる「代行」ではない。
現場に入り込む徹底的な業務理解
現在のRPA推進体制について教えてください。
現在は、SHIFTさんから2名のメンバーに常駐いただき、社内メンバーと一体となってRPA開発を進めています。私たちの業務、特にクレジットや電子マネーの裏側の処理は専門性が高く複雑なため、当初は「どこまで業務を理解してもらえるのか」という不安もありました。しかし実際には、単に依頼された作業をこなすのではなく、現場に入り込みながら「なぜこの作業が必要なのか」「現行フローのどこに課題があるのか」を丁寧にヒアリングしてもらえました。アンケート結果をそのまま自動化するのではなく、「RPAに向いているか」「本当に効果が出るか」を一緒に検討できた点が印象的でした。
開発前の要件定義の段階で、業務部門にしっかりと入り込んでくれたのが大きかったです。問題点を丁寧に聞き取り、私たち自身が気づいていなかった課題まで掘り起こしてもらえました。
SHIFTエンジニアの役割と日常業務
今回SHIFTはどのような立場・役割で本プロジェクトに関わっていらっしゃるのでしょうか。
RPAの設計・開発から運用・保守までを担当しています。特に重視しているのは、業務ヒアリングを通じて「本当に自動化すべき業務か」を見極めることです。
具体的には、以下の一連の工程を一貫して対応しています。
・現場ヒアリング
・業務フローの可視化
・RPA化の可否判断
・設計・開発
・運用開始後の改修・保守対応
私がこの一連のプロセスにおいて重視しているのは、単なる「作業の自動化」そのものではありません。自動化を通じて、組織全体としてより高い付加価値創出に集中できる構造へ転換することで、持続的な競争力を高めること。それこそが、RPA導入の真の目的であると考えています。
若木さんには、「言われたものをつくる」というよりも、「そもそもこの業務は、こう変えた方がいいのでは」と踏み込んだ提案をしてもらえる点をありがたく感じています。
ありがとうございます。RPAは技術的には比較的つくりやすい一方、実運用においては業務プロセスがわずかに変更されるだけで動作が停止してしまうという繊細な側面もあります。そのため、業務自体を可能な限りシンプルに整理し、将来的な運用の変更にも柔軟に対応し、不測の影響を受けにくいように、根本から業務構造を改革するよう心がけています。
実際、アンケートであがってきた要望についても、「RPAに向いていないものは向いていない」とはっきり言っていただけるのがありがたいですね。そのうえで、「こう整理すれば可能になるかもしれない」と代替案を提示してもらえるので、現場としても納得感があります。
業務の単純化がもたらした成果
実際にどのような効果がありましたか。
効果は大きく二つあります。ひとつは作業時間の削減です。数時間かかっていた作業がボタンひとつで完了するようになり、担当者が本来注力すべき確認や判断、調整といった業務に時間を使えるようになりました。もうひとつは品質の安定です。転記ミスや抜け漏れが減り、「正しく処理されていることが前提」という安心感が現場に根づき、業務基盤としても安定してきたと感じています。
RPAを継続的に活用できている理由は何だとお考えですか?
ポイントは、「RPAを単なるツール導入で終わらせなかったこと」だと思っています。現場の業務をよく知り、何が本当に困っているのかを一緒に考え、無理に自動化せず、RPAに向いている業務を見極める。このプロセスを、常駐メンバーと社内担当が並走しながら回しつづけている点が大きいですね。RPAはつくること自体は難しくありませんが、「現場で使われつづける形」にするのは意外と難しい。そこを、業務理解と運用設計まで含めて伴走してもらえていることが、継続につながっていると感じています。
業務自動化の候補を洗い出すため、RPA導入に関する全社アンケートを実施したところ、12部署・35業務が候補としてあがりました。定型度や処理件数、リスクなどを基に独自の評価指標である「導入スコア」を算出し、感覚ではなく明確な基準で優先度を決めています。
属人化していた複雑な債権回収業務の自動化
特に印象に残っている事例はありますか?
「債権回収」に関する業務の自動化です。この部署の業務は非常に特殊かつ複雑で、担当者以外はほとんど中身を理解していないという、強い「属人化」が起きていました。業務が滞りがちで、周囲もなかなか手を出せない、いわばブラックボックスのような状態だったのです。
そのようなブラックボックス化した業務を、どのように紐解いていったのでしょうか?
SHIFTさんが深く掘り下げて業務を理解しようと努めてくれたおかげです。 単にRPA化したい部分だけを見るのではなく、その前後の周辺業務まで視野に入れて全体像を把握し、整理してくれました。その結果、これまで誰も手をつけられなかった部分にメスが入り、担当者自身も驚くほど業務への理解が深まりました。現在では業務内容が可視化され、以前よりもスムーズに回るようになっています。単なるツール導入にとどまらない成果だと感じています。
現場からは、「RPAに向いているかどうかわからないけれど、まずは相談したい」という声が多くあがっています。 アンケートでも、単に書面で回答するだけで終わらせるのではなく、実際に現場へ足を運び、「本当にやりたいことは何か」「それはRPAで解決すべき課題なのか」を一緒に考えてくれる。そうした姿勢が、現場の信頼につながっているのだと思います。
現場との関係性に変化はありましたか?
業務部門の方が、システム部を通さずに直接相談する場面が増えてきました。これは統制が崩れているという意味ではなく、業務理解と信頼が積み重なってきた結果だと感じています。そうした関係性のなかで、ひとつの部署で生まれた成果が他部署へも波及し、「うちの業務もできるかもしれない」という前向きな動きが広がっている点は、常駐支援ならではの価値だと思います。
現場の方が気軽に声をかけてくださるのは、とてもありがたいです。小さな違和感や「これ、毎回面倒なんですよね」という何気ない一言から、次の改善につながるケースも多くあります。
開発後の業務変更にも
迅速に対応する手厚い運用フォロー
RPAは「つくって終わり」ではなく、その後の運用・保守が重要だと
いわれますが、その点はいかがでしょうか。
そこは、SHIFTさんの大きな強みのひとつだと感じています。開発だけでなく、運用や障害発生時のフォローが非常に手厚く、実際に運用を担当しているメンバーからも「何かあるとすぐ相談できて助かる」という声があがっています。
RPAは、接続先のシステム変更や業務フローの見直しが入ると、どうしても修正が必要になります。開発後に手を入れるケースは決して少なくありませんが、状況を理解したうえで、柔軟かつ迅速に対応してもらえています。 業務変更が原因でRPAが長期間止まってしまう、といったことはほぼありません。 仮にスケジュールが後ろ倒しになる場合でも、業務側の確認が遅れてしまったケースがほとんどで、開発側の対応で滞ることはなく、安心して任せられています。
プロジェクトが進むにつれて、現場の方々の意識に変化はありましたか。
徐々にですが、「自分たちにもできるのではないか」という意識が芽生えてきました。 以前は「わからないからお願いする」というスタンスでしたが、最近では簡単な修正や単純な自動化であれば、なるべく自分たちで対応したいと考えるようになっています。
私自身もヒアリングに同席するなかで、「これは自分たちで少し勉強すればできるのでは」と感じる場面が増えてきました。その分、より難易度が高く、効果の大きい開発に優先的にリソースを割いていただきたいと考えています。「優先枠が埋まっていて対応できない」という状況になると、せっかく高まった現場の意欲に水を差してしまいますから。もちろん、まだスキルが十分とはいえませんので、不明点は引き続き教えていただきながら挑戦していきたいです。内製化できる部分と、プロに任せるべき部分の最適な棲みわけができれば、組織全体として、よりスピード感をもって業務効率化を進められると考えています。
生成AIなど新技術の導入も見据えた
次なるフェーズへの期待
今後の展望についてお聞かせください。
現在はRPAを中心にご支援いただいていますが、IT全般についても幅広い知見をおもちだと感じています。私たちも生成AIなど、新しい技術へのチャレンジをはじめようとしており、RPAに限らず、そうした領域でも一番身近なパートナーとして相談に乗っていただければうれしいですね。
単なる『発注側と受注側』を超え、ともに新しい価値を創っていけるパートナーでありたいですね。現場にRPAが「自分たちの道具」として根づき、小さな改善が継続的に生まれる状態を、これからも一緒につくっていければと思います。
RPAで培ってきた業務理解をベースに、生成AIなどの技術を組み合わせることで、さらに高度な自動化や効率化が実現できると考えています。ぜひ引き続きご支援させてください。
これまでRPAを中心にご支援してきましたが、今後は生成AIや銀行システム領域など、より幅広いテーマでお力になれると考えています。これからも、貴社の現場に寄り添いながら、長期的なパートナーとして伴走していきたいです。
※掲載内容は2026年1月取材時のものです。
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