株式会社ROUTE06 導入事例
SIの負の連鎖を断つ。
AI駆動開発と第三者検証が
導く高品質

Summary
近年、SI(システムインテグレーション)業界では、顧客の「要求」と実際に納品されるシステムや設計書などの「成果物」との間に生じるギャップが大きな課題となっています。この問題をAIで解決すべくROUTE06が開発・提供をはじめたのが、AI要件定義「Acsim(アクシム)」です。「Acsim」は多くのエンタープライズ企業で導入が進む一方、大規模なシステム開発においては、乗り越えるべき「品質の壁」が存在しました。
直面した品質保証の課題と、それを克服するためにパートナーとしてSHIFTを選んだ背景をご紹介します。
創業の原動力:SIerと事業会社間の
コミュニケーションギャップを埋める
AI要件定義「Acsim」とは
事業概要と、主力サービスである「Acsim(アクシム)」について
教えていただけますでしょうか?
ROUTE06は、2020年創業のスタートアップです。システムインテグレーションの変革を目指し、主にSIerや事業会社のIT・DX部門に向けて、AI駆動型の開発プラットフォームを提供しています。創業当初から、エンタープライズ企業を中心にITコンサルティングからサービス設計、開発、リリース後のグロースまでを一気通貫で支援してきました。そうした現場で見えてきた上流工程の属人化や分断を解決するために開発したのが、AI要件定義「Acsim」です。
Acsimは、業務整理や要件の構造化、ドキュメント生成をAIで支援し、上流から開発までのプロセスを滑らかにつなぎます。現在はSIコンサルティング事業と並行し、AcsimのSaaS展開を推進しています。現場で得られた知見をプロダクトに反映し、再び現場へ還元する循環が当社の強みです。
AI駆動開発というアプローチに至った背景を教えてください。
私はSIer側と事業会社側の双方を経験してきました。そこで痛感したのが、「SIの負の連鎖」ともいえる構造的な課題です。SIerは「お客様の真の要求が見えないため、適切なシステム設計ができない」。一方で事業会社側は「期待と異なる成果物が出てくる」と感じる―このギャップを何度も目の当たりにしました。
この負の連鎖を解消したいという強い思いが、「Acsim」開発のきっかけとなりました。
完全自動化ではなく「人を介在させる」
エンタープライズ開発への最適解
「Acsim」の強みや他のAIツールとの違いは何でしょうか?
最大の特徴は、「完全自動化」をあえて目指していない点です。海外製ツールには数行書くだけですべての設計書まで自動生成するものもありますが、エンタープライズ向けの大規模開発では現実的ではありません。人が介在することを前提に設計しています。
その意図を詳しく教えてください。
企業ごとに設計用語の定義やドキュメント形式は異なります。多様な仕様や複雑なプロセスにAIを無理なく適合させ、人が調整しながら進められる柔軟性が不可欠です。例えば、設計書をもとにスケジュールを指示すれば、AIがガントチャートを自動生成します。作業効率を高めるだけでなく、若手エンジニアが全体像を把握しやすくなる効果もあります。AIは単なる自動化ツールではなく、人を支援する存在だと考えています。
エンタープライズ企業が求める客観的な品質
大規模案件における第三者検証の必然性
今回、SHIFTの第三者検証を導入いただいた経緯を教えてください。
今回、エンタープライズ企業をはじめとする、さまざまな企業の大規模な基幹システムの開発案件を担当しました。これほどの規模では、自社だけでテストを網羅するのは現実的ではありません。お客様の立場から見ても、「本当に十分なテストができているのか」という不安は生まれます。
特にエンタープライズ企業様が重視されるのは「第三者の視点による品質保証」です。当事者ではなく、第三者の視点が入っているという事実が安心感につながります。属人的ではなく、客観性と実績を備えたパートナーによる品質担保が必要だと考え、第三者検証を検討しました。
SHIFTを選定いただいた決め手は何でしょうか?
複数社から提案を受けましたが、価格ではなく「品質を再現性高く担保できるか」を重視しました。SHIFTさんは、テスト設計や観点整理のノウハウが体系化されており、品質を属人的ではなくプロセスとして作り込める体制が整っていると感じました。打ち合わせの段階から、仕様の曖昧さや潜在的なリスクにも踏み込んだ指摘をいただき、単なる検証ベンダーではなく、プロジェクト全体を俯瞰できるパートナーだと確信しました。「品質のSHIFT」という業界での実績と信頼も後押しとなり、見積もり段階からお客様に「テストはSHIFTさんにお願いする」と明言して進めました。
SHIFT側はどのような提案を行ったのでしょうか?
「重大な不具合ゼロでのリリース」という目標を受け、ご予算やシステム特性を踏まえた総合テスト計画をご提案しました。IPA(情報処理推進機構:IT分野の基準策定や普及を行う公的機関)の基準など客観的な指標を用い、システム規模に応じたテストケース数や不具合の検出・改修目安を定量的に提示しています。
特に助かったのは、その“客観的な根拠”です。大企業では「なぜ問題ないと言えるのか」という説明責任が求められます。定量的な裏付けを示していただけたことで、お客様の社内稟議もスムーズに進みました。品質を論理的に説明できたことの価値は非常に大きかったと感じています。
徹底伴走が導いた運用後の「安心」
限られた条件下で最大の効果を生むテスト設計
実際のプロジェクトでは、どのようにテストを進められましたか?
プロジェクトマネージャーとして、体制管理とテスト全体の統括を担当しました。特に注力したのは、御社と連携しながら「どこに重点を置くべきか」を見極めることです。仕様書を読み解きながら、「絶対に不具合を出してはいけない領域」を特定したうえで、限られた条件下で最適な優先順位を設定しました。
私たちは開発に強みがある一方で、テスト観点の網羅性という点でノウハウが不足している部分がありました。SHIFTさんが観点を体系的に整理し、リードしてくださったのは大きな支えでした。
プロジェクト中にむずかしい判断を迫られる場面はありましたか?
特に新規で開発された画面や複雑な機能について、想定以上に踏み込まなければ重大リスクになり得ると判断した場面です。品質は妥協できないと考え、率直にご相談し「ここだけは責任をもって実施させてほしい」とお伝えしました。その結果、テストケースを追加し、期間も約2週間延長いただきました。
提案は合理的で、私たちも品質を最優先と判断しました。追加の予算と期間は、システムの安全性を担保するための必要な投資だったと考えています。
現在の運用状況はいかがでしょうか?
テスト期間を延長し、不足している部分まで丁寧にカバーいただいたことで、業務を支える基幹システムでありながら、大きな不具合もなく安定稼働を実現できています。お客様にも好評をいただいており、今後は利用範囲の拡大を予定しています。運用を通じて感じているのは「任せられる品質と成果物の確実性」です。観点整理やケース設計が体系化されているため、品質がつねに一定水準で保たれています。アウトプットの網羅性も高く、プロジェクト全体の品質向上や手戻り削減につながっています。また、レスポンスの速さや状況に応じた柔軟な対応など、サポート体制にも安心感があります。要件や仕様の曖昧さが早い段階で可視化されるようになった点も、導入後の大きな変化です。
安定稼働と伺い、私たちも大変うれしく思います。品質を最優先にご判断いただいたことに感謝しています。
「AI×品質保証」の連携でシフトする人の真の役割
設計からテスト実行を一気通貫に
今後、両社でどのような連携やシステム開発の理想像を描かれていますか?
現在はAIを活用した要件定義や設計など上流工程の支援に注力していますが、将来的には「Acsim」で作成した設計情報を起点に、テスト設計から実行までを高度に自動化する世界を目指しています。設計書データをもとにAIがテストケースを自動生成し、結合テストやリグレッションテストまで実行する。人は結果を確認し、最終判断に集中する――そのような開発・検証プロセスです。SHIFTさんのテスト知見と、当社のAIプラットフォームを掛け合わせることで、新しいサービスの形を実現できると考えています。
要件定義や画面設計書のデータをインプットとして、自動的にテストのシナリオがつくられるイメージですね。当社にも独自のテスト管理ツール「CAT(テスト進捗や品質状況を一元管理するツール)」がありますが、上流工程のデータと接続し、テスト実行までを一気通貫で自動化する構想は現実的なテーマです。AIは24時間365日稼働できます。上流で定義された内容を夜間のうちに解析し、膨大なテスト設計と実行を終えておく―そのような開発・検証環境も決して遠い未来ではないと考えています。
AIが設計からテストまでを自動化していくなかで、
エンジニアの役割はどう変わるとお考えですか?
AIが提示する選択肢のなかから、最終的な判断を下すことが人の重要な役割になると考えています。例えば、「スピードを優先するスタートアップ向けのシステム」なのか、「堅牢性が最優先の金融システム」なのか。こうしたビジネス背景に基づく判断は、依然として人の責任領域です。
また、「どのような体験(UX)をユーザーに提供したいのか」をデザインすることも重要です。データの入力ひとつをとっても、一覧画面から登録ボタンを押して入力させるのか、チャットUI(会話形式の入力画面)で入力させるのかという体験の違いがあります。こうした「ユーザーの感情に寄り添う設計」に、人間の役割はシフトしていくはずです。
上流開発と品質保証の融合へ
両社が描く次世代の共創
最後に、今後の両社のパートナーシップについてお聞かせください。
今後もAI要件定義「Acsim」を中心に上流工程の効率化を推進していきますが、そこにはたしかな品質保証が不可欠です。単なるテストベンダーではなく、サービス全体の価値を高めるパートナーとして、SHIFTさんと連携を深めていきたいと考えています。
品質を最優先にする姿勢を共有できたことを大変嬉しく思っています。今後さらに開発が加速していくなかでも、スピードに負けない品質をご提供できるよう伴走してまいります。
上流工程に強みをもつROUTE06様と、品質保証に強みをもつSHIFT。この両者がAIを軸に連携することで、他社には実現できない次世代の開発体験と品質保証を社会に提供できると確信しています。
営業の立場からも、ROUTE06様の描く未来にワクワクしております。先日の展示会でも御社のブースを拝見し、その勢いを肌で感じました。今後も両社の取り組みがさらに広がるよう、全力で支援してまいります。
※掲載内容は2026年4月取材時のものです。
株式会社ROUTE06









