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    アジャイルQA

様々な業界の課題解決をPDFにまとめました

いくつかの導入事例をまとめたファイルをご用意しております。
今じっくり確認する時間が取れない方や後で確認したい方は是非ご利用ください。

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Summary

「瞬時に認証される」と評されるビットキーの顔認証技術。住宅向け「homehub」とオフィス向け「workhub」を展開し、空間とIDをつなぐプラットフォームとして提供しています。同社のプロダクトは、1分間に60人が通過できる高速認証を実現する一方で、外部カレンダーサービスとの連携など複雑なブラックボックス課題も抱えていました。
SHIFTはQAチームとして参画し、外部連携の挙動を徹底的に調査・ドキュメント化することでナレッジを資産化。高速認証の体験品質を担保しつつ、開発・ビジネスチーム双方の負荷軽減に貢献しました。

1分間に60人通過への挑戦
QAチームによる実証実験と「3秒ルール」の厳守

ビットキーさんのプロダクトについて、改めて教えていただけますか?

株式会社ビットキー 様
株式会社ビットキー 執行役員VPoT_白木 様(以下、白木 様)

スマートロックなどのハードウェアとソフトウェアを接続し、シームレスな体験を提供する「homehub」と「workhub」という2つのプロダクトを主軸に展開しています。特に、空間に対して「誰が(認証)」「どの場所に入ってよいか(認可)」を管理できる機能を強みとしています。「homehub」は、入居者やその家族、宅配業者などの出入りを管理し、「workhub」は社員の入退室や会議室予約、来客受付など、より複雑な権限管理に対応しています。

SHIFT営業_加藤

オフィスでビットキーさんのシステムを使わせていただいているのですが、入退室ゲートを通る時の顔認証がとにかく速いです。ゲートに到着するころはすでに認証が完了しているので、待ち時間をほとんど感じません。

株式会社ビットキー 様
株式会社ビットキー 製品検査部 ソフトウェア品質管理 チーフマネージャー_山川 様(以下、山川 様)

この「速さ」は、開発において極めて重要なポイントです。社内では認証スピードに関して「3秒ルール」を設けており、3秒を超えた場合は不具合として調査する基準としています。実際にはほとんどのケースにおいて1秒程度で認証が完了しますが、品質を担保するための指標として運用しています。

明確な目標値があったのでしょうか?

山川 様

実際の運用を考えると、オフィスの始業前など利用が集中する時間帯でも、スムーズに通行できる性能が求められます。そこで私たちが目標に定めたのが、駅の改札と同等の通過性能です。駅の改札など社会インフラでは、1分間に60人が通過できることがひとつのベンチマークとされています。「社会インフラと同じ水準を目指そう」――そう掲げ、QAチームのメンバーが実際にエントランスで実証実験を行い、1分間に60人が滞りなく通過できるかという観点で性能を検証しました。

「中核部分は自社でやる」
既製品活用と自社開発を使いわける技術戦略

株式会社ビットキー 様
SHIFT営業_加藤

ハードウェアは全て自社開発ですか?

白木 様

自社で開発している部分もありますが、世の中にはすでに優れたハードウェアも多く存在します。そのため、顔認証に用いるタブレット端末には市販品を活用したり、住宅用ロックについては鍵メーカーと連携したり、既製品に独自モジュールを組み込む場合もあります。一方で、認証・認可の仕組みやアプリとの通信を担うモジュールなど、体験の質に直結するコア部分は自社で開発しています。

山川 様

中核に近い部分ほど自社開発が強みになります。体験を左右する「頭脳」の部分を自社で設計し、ハードとソフトの最適な構成を追求することで、全体の品質を高めています。

体験価値の最大化
ユーザー心理に配慮したUI/UXデザイン

株式会社ビットキー 様
山川 様

品質へのこだわりはスピードだけでなく、UI/UXにも及びます。例えば、顔認証ゲートの画面に「ぼかし機能」を追加したリリースをご存知でしょうか?

SHIFT営業_加藤

気付きました。以前はカメラ映像がそのまま映っていましたが、最近は少しエフェクトがかかっています。

山川 様

そのとおりです。自分の顔が画面にはっきり映りつづけると、通行者に心理的な抵抗感を与えるのでは、という議論から、この改善が生まれました。顔のぼかしに加え、認証時のアニメーションやエフェクトにもこだわることで、「心地よい通過体験」を実現しています。こうした改善は、2週間ごとのリリースサイクルのなかで次々と実装されています。

開発現場を疲弊させていた
外部カレンダー連携における挙動把握のむずかしさ

SHIFTの導入時期について、当時はどのような課題があったのでしょうか?

株式会社ビットキー 様
山川 様

最も頭を悩ませていたのが外部カレンダーとの連携部分です。当社の「workhub」は会議室予約機能をもっていますが、導入いただいている企業様の80%以上はOutlookやGoogleカレンダーを利用しています。当然、それらと連携して予約を取れるようにしているのですが、カレンダー側の設定や利用環境によって挙動が大きく変わるため、どの条件でどのような動作になるのかを正確に把握するのがむずかしい状況でした。

白木 様

お客様から「workhubで予約が取れない」「挙動がおかしい」といった問い合わせをいただき、調査したところ、特定のカレンダー設定や環境下でのみ不具合のような挙動が発生する場合があることがわかりました。すべてのパターンを事前に把握・整理しきれていなかったのが実情です。そのため、これらの挙動をworkhub側でどのように解釈し、一貫したユーザー体験として吸収・実装するかが、大きな課題となっていました。

山川 様

ここが一番辛いところでした。お客様に「それはカレンダー側の問題なのでわかりません」とお伝えするわけにはいきません。一方で、設定や条件の違いによる挙動差分の切りわけに時間がかかり、原因の特定まで至らないケースも多く、調査負荷が開発・ビジネス双方に重くのしかかっていました。結果として、現場が疲弊する悪循環に陥っていたと思います。

株式会社ビットキー 様
白木 様

こうした状況のなかでも、開発ラインは止められません。2週間ごとのリリースサイクルのなかで、不具合対応を行いながら、新しい顧客要望に応える新機能の実装も行う必要がありました。

山川 様

お客様の「いつ実装されますか?」という期待に応えたい気持ちはあるものの、原因が特定しきれない連携トラブル調査にリソースを割かれてしまう。その結果、やりたいことが増える一方でバックログが積みあがっていく状況でした。このジレンマを解消するため、QAのプロフェッショナルであるSHIFTさんに相談したのが始まりでした。

単なるテストではない
仕様を「資産」に変えたQMOのプロフェッショナリティ

そこでQMO(Quality Management Office)として参画されたわけですね。
具体的にどのようなアプローチをとったのですか?

株式会社ビットキー 様
SHIFT エンジニア_細川

最初は3ヶ月という短期決戦でした。ビットキー様から「外部連携周りの挙動が把握しきれていないので、整理しながらテストしてほしい」という依頼を受けました。単に不具合を見つけるだけでは根本解決にならないと考え、カレンダーの管理画面設定から条件の違い、APIの挙動まで、外部サービスの仕様そのものを徹底的に調査・分析することから始めました。

山川 様

本当に助かりました。細川さんのチームは単にテストケースを消化するだけでなく、「カレンダー側でこの設定を変えるとworkhubにどう影響するか」といった相関関係を明確にし、丁寧にドキュメント化してくれました。
その結果、社内に「外部カレンダー連携のナレッジ」という資産が生まれ、これまで原因が特定できず「わかりません」としか答えられなかった事象についても、「この挙動はGoogle側の設定に起因しています。管理画面でここを変更してください」と、お客様へ具体的かつ明確に案内できるようになりました。

白木 様

これは開発チームだけでなく、お客様と直接対話するビジネスチームにとっても大きな救いでした。ブラックボックスが透明化されたことで、自信をもってサービスを提供できるようになりました。細川さんの仕事はQAの枠を超え、事業運営そのものを支援するものでした。

信頼関係が生むスピード感
「開発とQAの境界線」をなくす未来へ

連携が非常にスムーズに見えますが、秘訣はあるのでしょうか?

山川 様

信頼関係ですね。細川さんには依頼をかなり「ざっくり」とお願いしています。「ここが課題だから何とかして」と(笑)。

株式会社ビットキー 様
SHIFT エンジニア_細川

そうですね(笑)。「仕様書はこれです、テストしてください」という指示ではなく、「困っているから解決策を考えて」というオーダーが来ます。そのため、私からも「山川さん、本当にやるべきことはこれですか?」「本質的な課題はAではなくBでは?」と議論させてもらっています。

山川 様

その「喧々諤々(けんけんがくがく)」の議論ができるのがいいんです。いわれたとおりに動くのではなく、プロとして「何のためにやるのか」を突き詰めて提案してくれる。だからこそ、安心して背中を預けられます。

SHIFT営業_加藤

営業担当として補足させていただくと、現在は「細川さんだからできる」という状態から、「SHIFTとして組織的に品質を担保する」フェーズへ移行しようとしています。

山川 様

おっしゃるとおりです。細川さんのパフォーマンスは素晴らしいですが、属人化してしまうと組織としてリスクになります。現在は、細川さんにリーダーシップを発揮してもらいつつ、他のメンバーでも同じ品質・同じ判断ができる仕組みづくり、再現性の確保を進めています。

アジャイル開発におけるインプロセスQA
開発・QA・デザイナーが一体となる組織づくり

今後の展望について教えてください。

白木 様

今後は開発とQAの距離をさらに縮めていきたいですね。組織のあり方についても、細川さんにはかなり踏み込んで提案してもらっています。

山川 様

キーワードは「インプロセスQA」です。これまでは「開発が終わってからQAに渡すという工程がありましたが、これからはアジャイル開発のプロセスにQAを組み込み、開発・QAの境界線をなくす必要があります。仕様を決める段階からQA視点を入れることで手戻りを減らし、よりスピーディーに高品質なものをつくる。そのためのプロセス構築を、SHIFTさんと一緒に進めています。

SHIFT エンジニア_細川

アジャイルにおけるQAの形に、決まった正解はありません。教科書的なフレームワークは存在しますが、ビットキーさんの文化や現状に合わせてカスタマイズしなければ機能しません。いままさに、その「ビットキー流の新しい開発スタイル」を、ゼロから一緒につくりあげている最中だと感じています。

SHIFT営業_加藤

その道を最初に切り拓く役割を担っているのが細川です。そして、その後につづく「誰もが歩ける舗装された道」を整備し、維持していくことが、SHIFTという組織としての役割だと考えています。細川の取り組みを高く評価していただいていることは大変ありがたい一方で、特定の個人に依存した形になってしまうと、「ブラックボックス化」や「属人化」といった課題につながりかねません。だからこそ、第二、第三の細川が自然と生まれる体制づくりや、細川自身が仕組みを整え、「誰が担当しても同じ品質で対応できる」支援の形を実現していきたいと考えています。今後は、そうした観点からも営業としてご支援していければと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。

山川 様

期待しています。速い認証体験も、複雑な外部連携も、すべてはユーザーに最高の価値を届けるためのものです。そのために、開発とQAがワンチームとなって、これからも走りつづけていきたいですね。

株式会社ビットキー 様

※掲載内容は2026年1月取材時のものです。

株式会社ビットキー

株式会社ビットキー

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