• 業種製造
  • 企業規模501~1,000名以下
  • 導入サービス
    支援型PMO

様々な業界の課題解決をPDFにまとめました

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Summary

日本の農業を大型機械と先端技術で支えるエム・エス・ケー農業機械様は、既存システムの保守期限が切れる2028年を見据え、基幹システムの全面刷新に取り組んでいます。リーダー不在という困難な状況から始まった本プロジェクトは、業務標準化とDX(デジタル技術を活用した業務変革)を推進する重要な転換点となっています。今回、SHIFTが提供する伴走型PMO支援の意義や、現在進行中の業務変革の最前線についてお話を伺いました。

平均70ヘクタールという圧倒的スケールと
輸入大型機械の必然性

貴社の事業内容についてお聞かせください。
北海道を拠点に全国展開されていますが、具体的にどのようなお客様を支えていらっしゃるのでしょうか?

エム・エス・ケー農業機械株式会社
エム・エス・ケー農業機械株式会社 代表取締役_高畑 様(以下、高畑 様)

当社は、1972年の設立以来、主にヨーロッパから大型の農業機械を輸入・販売し、そのメンテナンスサービスを提供しています。拠点は北海道を中心に、鹿児島まで全国38ヶ所に及びます。

北海道と本州では、農業の規模に大きな違いがあるそうですね。

高畑 様

はい。本州とは規模がまったく異なります。平均耕作面積は、本州では約3ヘクタールなのに対し、北海道では70ヘクタールを耕作する農家さんも珍しくありません。これは、東京ドーム約20個分の広さを一軒で管理している計算になります。このスケールは、同じく大規模農業が主流のフランスやドイツといった欧州の農業大国と、ほぼ同水準です。
一方で、国内メーカーの農機は本州の規模を前提に設計されているものが多く、北海道の広大な土地ではパワーや作業効率が不足してしまいます。そのため、私たちは欧州製の大型機械を導入しています。例えばトラクターの馬力で見ると、国産メーカーはおおよそ130馬力までが主流ですが、私たちが扱うのは90馬力から最大500馬力クラス。こうした大型機械こそが、北海道の農業、ひいては日本の食料生産を支える生命線なのです。

特定のメーカー専属ではない点が御社の大きな特徴ですね。

エム・エス・ケー農業機械株式会社
高畑 様

はい。我々は三菱商事の100%子会社として、特定のメーカーに縛られない「独立系ディストリビューター」であることを強みとしています。50年以上にわたる歴史のなかで、市場競争力や性能をシビアに見極めながら、取り扱うメーカー、ブランド、商品を柔軟に切り替えてきました。だからこそ、今のラインナップが5年後も同じとは限りません。常に「日本の農家様が、今後何を必要とするのか」を基準に、世界中から最適な機械を厳選し、ベストな選択肢を提供し続けることが、我々の存在意義だと考えています。

GPS自動運転や可変施肥など
想像を超えて進化する「農業DX」の現在地

農業というと、「職人技が必要」というイメージがありますが、テクノロジーの進化も著しいのでしょうか?

高畑 様

農業のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、想像以上に進んでいます。SHIFTさんが「常識を変える」とおっしゃっているように、私たちもまた農業の常識を覆してきました。例えば、最新のトラクターはGPSと補正データを活用することで、誤差わずか2.5cm程度という高精度で自動走行が可能です。どこまでも正確に走行できるため、作業の効率化と品質の安定化に大きく貢献しています。

2.5cm!人間が運転するよりも正確ですね。

高畑 様

その通りです。一部機種では折り返し運転すら自動化されており、「トラクターのなかで休めるから疲れない」とおっしゃる農家様もいるほどです。さらに「可変施肥(かへんせひ)」といった、衛星データで畑の肥沃度(栄養分)を測定し、場所によって肥料や種の量を自動調整して撒く技術も普及しています。これにより、経験の浅い人でもベテランと同じ品質で作業ができ、かつ肥料など資材コストも最適化されます。就農人口が減少し、高齢化が進むなかで日本の農業生産量が維持できているのは、こうした機械の大型化とDXによる効率化があるからこそなんです。

基幹システム刷新の必要性と危機感

最先端の機械で農業のDXを支える一方で、貴社自身の社内システムにおいて大きな課題に直面されたそうですね。

エム・エス・ケー農業機械株式会社
高畑 様

現在利用している基幹システムが、2028年にメーカーサポート終了を迎えることになったのです。避けては通れない課題として、ERP(統合基幹業務システム)を刷新しなければならない状況でした。

高畑様が社長に着任された2023年4月の時点では、どのような状態だったのでしょうか?

高畑 様

着任した瞬間、「システムを変えなければならないが、どうすればよいのかわからない」という状態でした。正直にいって危機感を覚えました。私自身、過去に別会社でERP導入に関わった経験があり、それが単なるソフトの入れ替えではなく、会社の業務プロセスそのものをゼロから見直す苦難の道のりであることを知っていたからです。

求めたのはシステム構築だけでなく
業務改革まで踏み込める「伴走者」

社内体制はどのような状況だったのでしょうか?

高畑 様

これが最大の問題でした。現在の基幹システムを熟知しているメンバーが少人数しかおらず、そのメンバーも既存システムの保守運用や現場対応で手一杯で、550名規模の業務を支えながら巨大プロジェクトを並行して進めるのは現実的に不可能な状況でした。システム導入の初期工程であるRFP(提案依頼書)の作成から、ベンダー選定、要件定義までを社内リソースだけで完遂するのは厳しいと判断し、一緒に伴走していただける外部の専門家の力を借りる決断をしました。

多くのコンサルティング会社があるなかで、なぜSHIFTを選ばれたのでしょうか。

エム・エス・ケー農業機械株式会社
エム・エス・ケー農業機械株式会社 管理本部 情報システム部 情報システムチームリーダー_菅谷 様(以下、菅谷 様)

私たちが求めていた条件は大きく3つありました。まず、北海道という現地に常駐しきめ細かく対応してもらえること。次に、機械の修理・販売というディーラー機能を持つ当社特有の業務を深く理解していること。そして最も重要なのが、業務改革(BPR)まで踏み込めることでした。単なるシステムの置き換えではなく、50年間続いてきた業務プロセスをゼロベースで見直し、徹底的に効率化したいと考えていました。そうしなければ、将来的に人員確保がむずかしくなった際、会社そのものが立ち行かなくなるという危機感があったからです。

その条件に合致したのが、SHIFTだったわけですね。

高畑 様

そうです。三菱商事の情報システム部経由で紹介を受けたのがきっかけでしたが、最初は「お試し」のようなかたちでスタートしました。実際に伴走していただくなかで、「この方は単なるITコンサルではない、我々の業務を深く理解し、導いてくれる能力がある」と確信し、正式にお願いすることになりました。

ベンダー出身の知見を活かした
「伝わるRFP」の作成支援

SHIFTがプロジェクトに入ってから、具体的にどのような変化がありましたか?

菅谷 様

まず、RFP(提案依頼書)の作成フェーズでの支援が非常に大きかったと感じています。RFPは、私たちが「どんなシステムを作りたいのか」をベンダーに伝えるための重要な資料です。富田さんはベンダー出身で「RFPを受け取る側」の経験が豊富でした。そのため、「どのようなRFPであればベンダーが正しく理解できるのか」「どうすればプロジェクトをスムーズに進められるのか」といった点を的確にサポートしていただけました。

エム・エス・ケー農業機械株式会社
SHIFT:富田

長年IT業界にいるので、ベンダーがどのような情報を求めているのか、またどこが曖昧だと見積もりがブレやすいのか、といったポイントは把握しています。その点を意識しながらサポートさせていただきました。

菅谷 様

こうした受け手視点のアドバイスによって、結果的に精度の高いRFPに仕上がったと感じています。また、すべてをSHIFTさんが作成するのではなく、「MSK側が主体となって書く」というプロセスを大切にしてくれた点も印象的でした。テンプレートは提供していただきましたが、実際の内容は私たちが埋める形でした。SHIFTさんが書いてしまえば簡単だったと思いますが、それでは社内に知見が残りません。あえて自分たちの手で作ることで、将来的に自走できるための土台を築いてくれたのだと思います。

専門用語を使わず、経営層と現場の通訳となるコミュニケーション力

コンサルタントというと、専門用語を多用してむずかしい話をするイメージもありますが、
SHIFTのスタイルはどうでしょうか。

高畑 様

説明がとにかくクリアでわかりやすいです。むずかしいIT用語を使わずに経営視点の言葉で語ってくれるので、私のような専門外の人間でもスッと頭に入ってきます。

エム・エス・ケー農業機械株式会社
SHIFT:富田

ありがとうございます。私が意識しているのは、プロジェクトの進む方向を整理する“羅針盤”的な役割です。業務の詳細は現場のみなさんが最も理解していますし、最終的な判断をされるのは社長です。私の仕事は、判断に必要な情報を整理し、現場の課題をわかりやすく経営層に伝えることで、プロジェクトをスムーズに進めるお手伝いをすることだと考えています。そのためには、誰にでも伝わる言葉で話すことを何より大切にしています。

北海道に常駐されているという点も、プロジェクトには影響していますか?

エム・エス・ケー農業機械株式会社
エム・エス・ケー農業機械株式会社 取締役執行役員 管理本部担当 兼 情報システム部長_高木 様(以下、高木 様)

私個人としても、富田さんがもう社員の一員となって、各メンバーと個別にコミュニケーションを深くとりながら進めていただいていると感じます。伴走というよりも、一歩踏み込んで一緒にやっていただいています。こういった形で進めていただくことが、当社として自走できるような体制作りがされていくことを期待しております。

SHIFT:富田

会議室の会話だけでは見えない、現場の「本音」を拾い上げることを大切にしています。「さっきの会議、納得しました?」と後でこっそり聞きに行くと、実はモヤモヤしていた…なんてことはよくあります。常駐してみなさまの表情を見ているからこそ、小さな綻びをすぐに修復できるんです。

高畑 様

社員たちも「困ったら富田さんに聞けばいい」と全幅の信頼を寄せています。富田さんも北海道出身ということで、風土的な相性のよさもあったのかもしれません。まさに「ワンチーム」になれていると感じます。

2ヶ月でのRFP作成から、最難関の要件定義へ
短期決戦を乗り越えた「ワンチーム」の結束

プロジェクトのなかで、特に印象に残っているエピソードはありますか?

SHIFT:富田

参画直後のRFP作成は、本当にしびれるスケジュールでしたね(笑)。約2ヶ月で取り組みましたが、本当に間に合うのか不安もありました。

エム・エス・ケー農業機械株式会社
菅谷 様

あの時は本当に大変でした。毎日、富田さんと膝を突き合わせて、ページ単位で役割分担をして…。でも、あの濃密な時間を共有したことで、プロジェクトチームの結束力が一気に高まりました。

SHIFT:富田

必要な資料を揃え、ベンダー選定の土台をつくりあげることができました。濃密で大変ではありましたが、やりきったという、たしかな手応えがあります。事務局メンバーが本気で向き合ってくれた結果、短期間ながらも高品質なRFPを書きあげることができ、チームにとって大きな自信につながったと感じています。

現在はどのようなフェーズにあるのでしょうか?

高畑 様

現在は要件定義のプロセスに入っており、ERP開発において最も重要なフェーズを迎えています。その分、むずかしさも感じている状況です。このプロセスを経験したことがあるメンバーは社内でも一人のみで、チーム全体が手探りの状態です。議論の方向性がずれそうな場面では、富田さんから「こうした視点で考えるべきではないか」といったアドバイスをいただき、その都度軌道修正しながら、検討を重ねています。このプロセスで最も大切なのは、「新しい仕事のやり方を、適切なタイミングでしっかりと決めていくこと」だと捉えています。
現時点では全体の約3分の1が完了しており、課題はありつつも、全体としては概ね順調です。もちろん不安がまったくないわけではありませんが、今後もSHIFTさんと一緒に乗り越えていきたいと思います。

コンサルタントに依存せず
「自走」できる組織への変革

今後のプロジェクトの展望についてお聞かせください。

高木 様

これから大変な時期になりますが、約20名のプロジェクトメンバーの意識を一つに保ち、当初定めた目的に向かって進んでいくことが大切だと思っています。経営陣も含め、メンバー全体が一致団結して知恵を出し合い、このプロジェクトを成功させたいと考えています。

最後に、本プロジェクトにかける意気込みをお願いします。

菅谷 様

新システム本稼働はゴールではなくスタートです。システム刷新を通じて社員が非効率な作業から解放され、コア業務に集中できる環境を作ることが真の目的です。まずは遅延なく、2028年4月のカットオーバー(新システムへの切り替え)を迎えることを目標に、稼働後も混乱をできるだけ抑えながら安定した運用につなげていきたいと考えています。個人的には、富田さんには今後も支援をお願いできればと思っています。そして案件終了後の半年、1年後に「現場がこんなに楽になった」という成果をご報告できるよう、全社一丸となって進めていきます。

エム・エス・ケー農業機械株式会社
SHIFT:小林

本プロジェクトは業務標準化やデータ活用を見据えた「全社的な変革」が本質であると認識しております。今後の要件定義工程では、検討すべき事項も多く、時にはむずかしい判断を迫られる場面もあるかと思いますが、現場のみなさまと築いてきた信頼関係を基盤に、どのような局面でも一丸となって取り組む所存です。単なる導入支援に終わることなく、現場の方々のお困りごとに真摯に向き合い、真のパートナーとして伴走してまいります。

SHIFT:富田

ありがとうございます。これからも経営と現場をつなぐ羅針盤として、泥臭く伴走させていただきます。システムが本稼働した後、私が去ったとしても、MSKの皆さんが自分たちでシステムを使いこなし、進化させていける状態を作ること。それが本当の意味でのコンサルティングの完了だと思っています。必ず成功させましょう。

エム・エス・ケー農業機械株式会社

※掲載内容は2026年2月取材時のものです。

エム・エス・ケー農業機械株式会社

エム・エス・ケー農業機械株式会社

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