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    テスト計画テスト設計テスト実行

様々な業界の課題解決をPDFにまとめました

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Summary

半導体や電子部品の製造工程に欠かせない「ボンダー装置(電子部品を基板に接合する装置)」。東レエンジニアリング様は、その心臓部である制御ソフトウェアの開発において、独自のテスト手法による属人化や、手戻りの発生によって納期調整の負荷が増大するなどの課題を抱えていました。 品質向上と組織の成長を見据え、同社は製造業のコア領域にIT業界のテスト専門企業であるSHIFTの知見をとり入れる決断をします。「暗黙知」からの脱却とユーザー目線の徹底。テスト改革を通じて開発体制のさらなる高度化を実現していった、その軌跡を伺いました。

複雑化する制御ソフト開発と、浮き彫りになった課題。ボンダー装置における制御ソフトウェアの役割と開発の特徴

みなさまが所属されているメカトロファインテック事業本部の事業内容を教えてください。

東レエンジニアリング株式会社
東レエンジニアリング株式会社 M事本部第一事業部 ソフト技術部ソフト2T 主任技師_玉澤 様(以下、玉澤 様)

私たちが所属している部署では、半導体や電子部品の製造工程に不可欠な「ボンダー装置(実装機)」を取り扱っています。そのなかで私たちソフト技術部は、主に新規の大型基板向け装置を立ち上げる際の、制御ソフトウェア開発全般を担っています。

ボンダー装置における制御ソフトウェアとは、具体的にどのような役割を担っているのでしょうか?

玉澤 様

一言でいえば、「精密なハードウェアを正確に動かすための頭脳」です。 モーターなどを緻密にコントロールする制御ソフトから、稼働データを収集・分析するためのソフトまで、その範囲は多岐にわたります。私たちの主な業務はソフト設計ですが、実際にはお客様の要求仕様の分析から、制御ソフトの作成、そして実機を用いた動作検証まで、開発の全工程を一貫して担当しています。この広範なプロセスのなかで「確認の漏れ」を防ぎ、確実な品質で製品を出荷することが、私たちのミッションとなっています。

機能単体では見えなかった
システム全体品質の歪み

開発過程において特に「テスト」のフェーズでは、どのような壁に直面していたのでしょうか?

東レエンジニアリング株式会社 M事本部第一事業部 ソフト技術部長_福島 様(以下、福島 様)

今回のボンダー装置の開発は、開発要素が非常に多く、制御方式も一新する大規模な取り組みでした。新型機では、標準機で確立されていたテストプロセスや過去の実績がそのまま通用するわけではありません。機能単位の検証にとどまらず、装置全体としての整合性や実運用における最適解を探りながら、品質をつくり込む必要がありました。装置には多種多様で複雑な機能が搭載され、それらが緻密に連携しています。これまでも各機能が単体で正しく動作するかどうかのテストは十分に実施してきました。しかし、装置完成後の現地調整や設備システムテストの段階で複数の機能を組み合わせた際、単体試験では予見できなかった不具合が発生するケースがどうしても生じていたのです。

個別の機能に問題はなくとも、システム全体として動かした際に「歪み」が生じていたのですね。

福島 様

おっしゃる通りです。お客様の実際の運用シナリオに沿ったテストが不足しているという認識がありました。だからこそ、従来のやり方の延長線上ではなく、一度立ちまって手法そのものを見直す必要があると判断しました。我々だけではカバーしきれない「テストの観点」や「プロセスの進め方」について、専門家の知見を借りて抜本的に改革したいと考えたのです。

個人の裁量に依存したテスト手法からの脱却
製造業のコア領域へ外部知見を導入

当時のテスト手法には、具体的にどのような課題を抱えていたのでしょうか?

東レエンジニアリング株式会社
東レエンジニアリング株式会社 M事本部 第二事業部設計部 制御設計2T 主任技師_ 堀 様(以下、堀 様)

当時の検証作業は、担当者の経験や頼る「探索的テスト(事前に詳細な設計を行わず、試行錯誤しながら行うテスト)」が中心した。明確なテストシナリオがないまま確認を進めていたため、テストの網羅性や深さが個人のスキルに大きく依存し、品質にばらつきが生じていました。 

玉澤 様

その都度、現場へ赴いてプログラムを修正し、改めて動作確認を行うという「手戻り」が生じており、現場は非常に苦労していました。こうした客観性や統一性を欠いた状況から脱却し、安定した品質を確保できる仕組みを構築することは、我々にとって不可欠でした。 

製造業、特にものづくりのコア領域である品質保証やテストの工程に
外部の企業を招き入れることに対して、社内調整で苦労された点はありませんでしたか?

福島 様

社内的な抵抗はほとんどありませんでした。我々はこれまで、自分たちで考案した独自のやり方しか知らなかったため、むしろ「世の中の最適なテスト手法」を学ぶ絶好の機会だと、非常に前向きに捉えていました。 

東レエンジニアリング株式会社
玉澤 様

手戻りによって納期対応のプレッシャーが高まるという課題を抱えていた現場には「この状況を劇的に改善しなければならない」という強い危機感がありました。そのため、我々のものづくりにIT業界の洗練されたテストプロセスをり入れることで、品質向上へのブレイクスルーが生まれるのではないかという期待感の方が圧倒的に大きかったですね。 

外部パートナーを検討されるなかで、複数社のなかからSHIFTを選ばれた決め手は何だったのでしょうか?

堀 様

今回は3社ほどで比較検討を行いました。第一の決め手は、我々の実際の仕様書を用いたサンプルテストとインスペクション(仕様書の検証)を実施いただいた際の結果です。SHIFTさんのアウトプットは、我々の求めていた基準を最も高いレベルでクリアしており、テストプロセスをプロデュースしていただくうえで大きな安心感がありました。 

福島 様

加えて、「誰と一緒に仕事をするか」という点も非常に重視しました。他社様がオンライン中心のコミュニケーションだったのに対し、SHIFTさんは営業の方だけでなく、実際にこれから約1年間現場でともに手を動かしていただくエンジニアの方々とも直接お会いする機会を設けてくれました。これから二人三脚で困難なプロジェクトに立ち向かうにあたり、直接顔を合わせて信頼関係を築けたことが、最終的な決断を力強く後押ししました。

「現場・現物」から紐解く共通言語の構築
専門用語とIT手法を融合させる“伴走型”のアプローチ

パートナーとして選ばれたSHIFTのメンバーにお伺いします。
製造業の現場に入るにあたり、どのような点を意識してアプローチされたのでしょうか?

SHIFT_森岡

ご提案の初期段階から意識していたのは「お客様の現場と現物を深く理解する」ことです。製造業特有の技術用語や暗黙のルールを踏まえ、自らの手法を一方的に当てはめるのではなく、実情に即したかたちで支援することを大切にしました。また、外部と比較しづらい環境のなかで自社のやり方を客観視しにくい側面がある点も意識していました。
そのため、実際にメンバーが現場へ足を運び、巨大なボンダー装置の現物を拝見しました。メカ(機械設計)、エレキ(電気設計)、ソフトウェアという3領域がどのように連動して設備を動かしているのかを理解し、機密性の高い情報も共有いただきながら、お客様独自の技術用語と私たちの標準的なテスト用語を一つひとつ丁寧にすり合わせていきました。こうしたプロセスを経てこそ、お客様に寄り添った本質的な伴走支援が可能になると考えていました。

実際のプロジェクトがスタートして、最初に着手されたのはどのようなことだったのでしょうか?

SHIFT_森岡

まずは「言葉の定義と可視化」から始めました。お客様の仕様書を拝見すると、社内では当たり前のように使われている用語や、前提条件が省略された表現が散見されました。これを、誰もが同じ解釈で理解できるよう、SHIFTの標準的なテスト設計手法を用いて整理し、標準化していきました。

福島 様

この取り組みは、我々にとって非常に多くの気づきがありました。たとえば、「ボンディング」という基板への実装行為そのものや、特定のユニットが果たす役割など、社内では説明不要の「暗黙知」となっている事柄が、ドキュメント上で十分な説明がないまま登場していました。SHIFTさんから「これは何のための機能ですか?」「この前提条件が定義されていません」と率直な指摘を受けたことで、いかに自分たちの仕様書が属人的で、外部の方や新しいメンバーにとってわかりにくいものであったかを痛感しました。

ユーザーの“実運用”を徹底再現
「シナリオテスト」の導入

言葉の定義を揃え、仕様書を可視化した後、具体的なテスト設計はどのように進められたのですか?

SHIFT_森岡

各機能の構造を整理したうえで、テスト条件を分解して整理するSHIFT独自の「因子・水準」という考え方を用い、テストパターンを網羅的に洗い出しました。そのうえで今回、特に注力したのが「シナリオテスト」の設計です。単体機能の確認に留まらず、エンドユーザー様が実際の現場で装置を操作する一連の流れを徹底的にシミュレーションしました。

東レエンジニアリング株式会社
堀 様

これまでは個人の頭のなかにしかなかったテストの観点が、明確な設計書として可視化されました。複数の機能がどう組み合わさって動くのか、どんな操作の順序でエラーが起きやすいのか。ユーザー目線を徹底的に取り入れた設計が導入されたことで、テストの網羅性は飛躍的に向上しました。

新たなテスト設計を導入した結果、どのような成果が得られましたか。

堀 様

今回は各機能を繋ぎ合わせる「結合テスト」、そして実運用を想定した「シナリオテスト」を実施しました。驚くべきことに、これまで十分にアプローチできていなかったシナリオテストにおいて、約25%にあたるケースで不具合を早期発見し、下流工程への流出を未然に防止することができました。

玉澤 様

もし今回の取り組みがなければ、これらの不具合は後工程での手戻りとなり、深刻な納期遅延につながるリスクがありました。それらを社内シミュレーションテストの段階で未然に防止できたことは、非常に大きな成果です。目に見える形で品質向上を確認できただけでなく、現場での修正作業にかかる工数も大幅に削減することができました。

プロジェクト完遂と、プロセスの標準化
二つの目標の両立へ

プロジェクトを進めるなかで、苦労された点や葛藤などはありましたか?

福島 様

実は今回のプロジェクトには、「目前に迫る新型機の完成出荷」と、「部内におけるテストプロセスの標準化・定着」という二つの大きな目標がありました。しかし、約1年にわたる長期プロジェクトのなかで、どうしても納期のプレッシャーが強くなる局面があります。私自身、つい目の前の完遂を優先してしまい、標準化の取り組みがおろそかになりそうになった時期もありました。

東レエンジニアリング株式会社
SHIFT 営業_小島

そうした厳しい状況下でも、我々はあえて「忖度なし」に意見をさせていただきました。プロジェクトの成功は大前提ですが、ここで標準化の手を止めてしまっては、属人化という根本的な課題解決には至りません。「ここは実業務のなかで改善すべきポイントです」「このやり方は本来の標準から外れています」と現場目線で率直に指摘させていただき、ともに軌道修正を図りながら伴走しました。

福島 様

あの時、一歩引いた視点から冷静に指摘をいただいたおかげで、再び足並みを揃えることができました。我々と同じ熱量で装置の品質を考え、目標に向かって真摯に向き合ってくれる姿勢には非常に感謝しています。結果として、無事に二つの目標を両立させることができました。

二つ目の目標である「テストプロセスの定着」に向けて、具体的にどのようなアクションを起こされたのですか。

東レエンジニアリング株式会社
堀 様

プロジェクト後半には、SHIFTさんの支援が終了した後も我々が自立できるよう、テストプロセスのノウハウについて社内勉強会を開催していただきました。そこで学んだ知識を確かなものにするため、私自身も外部のテスト技術者資格の取得に挑戦し、無事に合格することができました。 その後は私が講師となり、部内の他メンバーへ教育を展開しています。「テストプロセス」という概念や標準的なフローが少しずつ組織に浸透し、全体のスキル底上げに繋がっていると実感しています。

SHIFT_森岡

我々にとって、お客様が「内製化」し「自走」できるようになることは、ひとつの大きなゴールだと捉えています。特に製造業のお客様は、メーカーとして品質保証の重い責務を担われています。それをすべて外部に任せきりにするのではなく、お客様がマネジメントできる体制を築くことが、本来あるべき組織の姿だと考えています。

短期的な利益ではなく、ともに成長していくパートナーという立ち位置ですね。

SHIFT_森岡

おっしゃる通りです。お客様が事業を拡大されるなかで、いずれ「高度な設計やコア部分は自社で行い、実行フェーズのスケールアップをSHIFTに任せる」といった新たなステージのニーズが生まれるはずです。だからこそ、我々は出し惜しみすることなく手法や知見を提供し、東レエンジニアリング様の成長を全力で後押しさせていただきました。

一過性の成功で終わらせない
ひとつの部署から全社へと広げるミッション

最後に、今回のプロジェクトの成果を踏まえた今後の展望お聞かせください。

堀 様

個人的には、この1年間で自分自身のスキルが目に見えて向上し、テストの専門家として自信をもって取り組めるようになったことに大きな手応えを感じています。今後のミッションは、私たちの部署で定着しつつあるこのテストプロセスを、全社へと横展開していくことです。社内でもソフトウェア品質の重要性はかつてないほど高まっています。今回の成功体験を確かなモデルケースとして、社内のスタンダードへ広げていきたいと考えています。

福島 様

今回は、標準的なテスト手法という「強力なツール」を組織にとり入れるという、正しい第一歩を踏み出せました。しかし、装置の制御ソフトウェアは一度つくって終わりではなく、今後も派生開発や機能追加が絶え間なくつづきます。そのたびに膨大なテストを手動で繰り返すのは非現実的です。そこで現在は、開発からテストまでを自動化・効率化する仕組みであるCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)環境の構築や、テストの自動化という次なるステップに着手しています。開発からビルド、テスト実行までをシームレスに自動化し、さらなる効率化と品質担保を両立させていく。その過程でまた新たな壁に直面するかもしれませんが、その際は再びSHIFTさんにご相談しながら進めていきたいと考えております。

玉澤 様

今回対象となったボンダー装置の開発は、弊社の次世代ビジネスを牽引する極めて重要な案件です。SHIFTさんとつくりあげた標準化の手法をしっかりと組織の血肉とし、今後装置の出荷台数が増加していっても、揺るぎない品質で安定してお客様にお届けできる体制を維持・強化していきます。 私たちはこれからも現状に甘んじることなく、変化を恐れずにさらなる高みを目指して挑戦をつづけていきます。

東レエンジニアリング株式会社

※掲載内容は2026年3月取材時のものです。

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