リグレッションテスト(回帰テスト)とは
リグレッションテストは新機能のリリースや、不具合の改修をするときに実施するテストであり、「回帰テスト」や「退行テスト」と同義語に捉えられることもあります。
また、以下のような場合でも、リグレッションテストと同等の確認が必要です。
・PHPのバージョンアップが必要とされるとき
・スマートフォンの新しいOSがリリースされるとき
・いままで推奨していなかったPCブラウザでも利用可能になるとき
株式会社SHIFTでは、この重要なソフトウェアテストに関して豊富な実績とテストナレッジを保有しており、あらゆるお客様のニーズを満たしたテスト・品質保証を上流~下流(テスト計画・テスト設計・テスト実行・テスト品質管理)まで一気通貫でご依頼いただけます。
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リグレッションテスト(回帰テスト)とデグレードテストの違い
リグレッションテスト(回帰テスト)は、新しい変更を加えたシステムが、既存の機能に影響を与えていないかを確認するテスト手法を指します。
「デグレード」とは、システムやアプリケーションの品質やパフォーマンスが低下することを意味する言葉です。この低下は、さまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。例えば、システムの部品の故障や古さ、負荷の増加、バグなどが考えられます。
デグレードテストは、システムの性能を低下させる状況や要因を模擬して、システムの耐久性をテストすることを目的としています。一方、リグレッションテストは、既存のシステムが変更された場合に、その変更が意図せずに既存の機能を壊してしまわないかをテストすることが目的です。
これらのテストは、それぞれ異なる目的をもっていますが、実際には密接に関連しています。なぜなら、システムの品質やパフォーマンスが低下すると、その結果としてリグレッションも起こる可能性があるからです。そのため、デグレードテストとリグレッションテストは別々のテストとして捉えるよりも、相互に依存する関係にあると考えられるでしょう。これにより、システムの品質やパフォーマンスを最大限に維持できるのです。
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リグレッションテスト(回帰テスト)の目的
リグレッションテストの目的は、プログラム改変後や新機能の追加のあとに、それらの変更によって直接手を加えていない機能などに不具合が発生していないかをテストし、「いままでどおり動くか」を確認することにあります。
たとえばECサイトの場合、以下のようなものが改変前と同じように動作するかどうかを確認するのです。
・新規会員登録の機能
・購入履歴の確認機能
・購入時の各決済機能
改変した機能のみのテストに終始してしまい、それ以外で上記のような機能が停止してしまったことに気づかないままサービスを提供してしまうと、ユーザーに多大な迷惑をかけてしまうばかりか、機会損失や売上減少につながりかねません。
確かに、新しい不具合を見つけることは重要です。しかしながら、リグレッションテストが目的とする「いままでどおりに動く」かどうかということも、テストの観点としては忘れてはならないことといえます。
リグレッションテスト(回帰テスト)を行わないことによるリスク
リグレッションテストを行わない場合、新しい変更が既存機能に影響を与えている可能性があるため、システムの品質に影響を与えるリスクが生じます。たとえば、新しいバージョンのソフトウェアにバグがあった場合、既存の機能が正しく動作しなくなる可能性があるのです。その結果、ユーザーにとって使いづらいアプリケーションになってしまうため、顧客離れや評判悪化といった問題が生じる恐れがあります。
また、システムのセキュリティ面でもリスクが生じることがあります。たとえば、セキュリティパッチを適用せずに新しい機能を追加する場合、既存の機能に新たな脆弱性が生じることもあるのです。
このようなリスクを回避するためには、リグレッションテストを行うことが有効です。リグレッションテストによって新しい変更が既存の機能に与える影響を確認し、システムの品質を維持できます。テストの自動化や目的や対象に合わせて複数のテストケースを集めたテストスイートの作成によって、リグレッションテストの効率化が可能です。
リグレッションテストは、ソフトウェア開発における品質管理に欠かせない手法であり、テストの網羅性を高めることで、より高品質なシステムを提供可能です。
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リグレッションテスト(回帰テスト)実施範囲の決め方と例
リグレッションテストを実施する際には、実施範囲の見極めが大切です。
まず、実施範囲を決める際には、変更内容の影響範囲を考慮する必要があります。変更が影響をおよぼす可能性のある機能やモジュール、コンポーネントを把握し、それらに関連するテストケースの選択が必要です。また、変更が影響をおよぼす可能性のあるプラットフォームやブラウザなど、環境要因も考慮する必要があります。
さらに、変更が行われたタイミングや、変更内容によっては、リグレッションテスト以外の種類のテストも併せて実施することが必要です。たとえば、新機能の追加やUIの変更などがあった場合には、機能テストやUIテストも実施する必要があります。
具体的な実施範囲の例としては、以下のようなものが考えられます。
・変更に関連する機能のテスト
・変更に関連するモジュールやコンポーネントのテスト
・変更に関連するプラットフォームやブラウザのテスト
・変更によって影響をおよぼしそうな機能やモジュールの周辺のテスト
・変更が行われたタイミングに関係なく、全体的なテスト
以上のように、実施範囲は変更内容や影響範囲に応じて柔軟に決める必要があります。リグレッションテストを実施する際には、実施範囲を正確に見極め、網羅的なテストを実施することが重要です。
リグレッションテスト(回帰テスト)を行うタイミング
リグレッションテスト(回帰テスト)の自動化
リグレッションテストは、変更が加えられた後に、既存の機能に影響がないかを確認するために繰り返し実施する必要があるため、手動で実施すると時間と労力がかかります。そのため、自動化することが一般的です。
リグレッションテストの自動化により、時間とコストの削減、繰り返し実施の容易さ、正確性の向上、人員のリソース配分の改善など、多くのメリットがあります。
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リグレッションテスト(回帰テスト)自動化のメリット
リグレッションテストの自動化によるメリットは以下の通りです。
・手動で実施する場合よりも作業を効率化できる
・実施回数を増やすことが容易になり不要な工数の削減と同時に精度の向上が見込まれる
・テストにかかる時間や人員のリソースを削減できコスト削減が可能
自動化によって、テスト作業を迅速かつ正確に実行できるため、手作業に比べて時間とコストを節約できます。また、人間のミスを防止できるので、より正確なテストが実行でき、精度の向上が期待できるでしょう。
さらに、自動化すると継続的なテストが実施可能なので、アプリケーションの変更や修正があった場合でも、早期に問題を発見できます。そのため、アプリケーションの品質を維持しながら、リリースのスピードを上げることも可能です。過去に作成したテストを繰り返し実行できるため、テスト作業の効率を向上させることもできます。
リグレッションテスト(回帰テスト)自動化の留意点
リグレッションテスト(回帰テスト)自動化の留意点とその理由は、以下の通りです。
・初期投資とランニングコストが高い
・完全な自動化は困難
・自動化スクリプトの保守が必要
・不十分なテストカバレッジ
・人手によるテストの代替ではない
自動化するためにはツールやハードウェアの導入、開発コスト、テストケースの更新やメンテナンスのコストなどがかかります。また、そもそも自動化テストは人手によるテストの代替ではなく、あくまでも補完的なものです。そのため、すべてのテストケースを自動化することは困難です。ソフトウェアの変更やアップデートに対応するため、スクリプトの更新や修正が必要となります。自動化テストが人手のテストを完全に置き換えることはできず、カバーしきれない箇所が出てくることは留意しなければなりません。
これらに対する解決策としては、開発の初期段階から自動化テストを考慮することや、ツール選定や設計に時間をかけることがあげられます。そのほか、定期的な自動化テストのレビューを行って改善点を洗い出す、頻繁なコミュニケーションを図ってテストチームと開発チームの間で情報共有を行う、などでカバーすることも可能です。
自動化すべきリグレッションテスト(回帰テスト)
リグレッションテストのなかでも、自動化に向いているのが単体テストです。機能やビルドごとに単体テストを実施することで、多くの不具合を改善できます。
そのほか、複数の種類のデータを入力して結果を見るバリエーションテストや、システムを修正したときに全体の動きを確認する保守テストなど、作成後や修正後に何度も実施するテストも自動化に向いているでしょう。
一般的には、3回から5回以上行うテストは自動化する価値があるとされていますが、本当に自動化すべきテストかどうかを判断し、選定する必要があります。
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まとめ
リグレッションテスト(回帰テスト)は、アプリケーションやシステムの新しい変更を加えた場合に、その変更がほかの部分に悪影響をおよぼしていないかを確認するテスト手法です。具体例としては、ECサイトにおける新規会員登録機能や購入履歴の確認機能などを改変後に正常に動作しているかを確認するためなどがあげられます。
リグレッションテストを実施する際、実施範囲を確認するほか、有効なタイミングを見極めることも必要です。リグレッションテストは自動化することも可能で、中でも保守テストなどの単体テストは、自動化に適したものといえます。
また、リグレッションテストはあくまでもシステムの一部のため、そのほかのテスト手法や品質保証活動と組み合わせることが求められる点は留意しておきましょう。
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