コラム

  • 2021.09.17
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第3回-最終回-「なぜB2BサービスでUXが必要となったのか」

連載一覧
第1回「B2BサービスのUX課題について考える」
第2回「B2BサービスのUX課題の原因について考える」
第3回「なぜB2BサービスでUXが必要となったのか」

B2B企業のUXの取り組み

実は、SHIFTではB2Bサービス提供企業からのお問い合わせ数、支援数ともに著しく増加しています。最近ではB2Cサービス提供企業よりも多くの支援を行っている状況です。

「B2BのUXを考える」の最終回である今回は、なぜ今B2BサービスにおいてUXデザイン(ユーザーエクスペリエンスデザイン)が必要とされているかをみていきます。

下の図表はSHIFTのアンケート調査結果によるものですが、UX向上に取り組んでいるとした回答のうち、実に57%が3年以内に取り組んでおり、B2Bサービス提供企業においてもここ数年でUX向上への取り組みが増加していることがわかります。

3年以内にUXに取り組んだ企業の割合の図

設問:いつからUX向上に取り組んでいるか
※「ソフトウェア開発においてUX向上に取り組んでいる」とした回答者への設問
調査:2020年11月上旬
回答者:B2Bサービス提供者123人
調査方法:インターネット調査
※SHIFT「UX開発の実態調査(UX開発はソフトウェア開発の切り札か)」(2020)において調査をしたうちのB2Bサービス提供企業のみから図表を作成

 

SHIFTでもまさに図表のとおりで、取り組んだばかりの企業、これから取り組もうとしている企業からのUX支援を多くさせていただいています。なぜB2Bサービス提供企業が近年でUXに取り組んでいるのでしょうか。

その理由はいくつかあげられますが、第1回でも述べているとおり、B2B-EC市場が著しく伸長していること、つまりデジタル上での取引が伸長していることで、必然的に顧客接点がデジタル化していきます。

例えば、情報検索や競合比較、購買や利用といったB2B取引の行動自体がデジタル上で完結していくことになります。事実、米調査会社のForrester社によると、企業の購入者の74%が、購買意思決定前の調査の半分以上をオンラインで行っていると答えています。

このことは例えば、従来は営業担当者が対面や電話などで担っていた領域がデジタル上に移行していることを意味します。つまり、デジタル上での顧客接点において、顧客によい体験=UXを提供できなければ、そもそも選択されない、もしくは選択されたとしても継続してもらえない、ということになりえます。

つまり、営業担当やカスタマーサポートの顧客接点で顧客関係性を築くだけはなく、デジタル上の顧客接点でも顧客関係性を築く必要性が出てきていると考えられます。

顧客関係性構築の環境変化

元来、B2Bサービスを提供する企業はB2Cサービスを提供する企業よりも顧客関係性が重視されてきました。

人間関係を通して有益な情報が得られ、その顧客関係性を通して他社よりも優位に立てることが多くありました。一方で、導入する担当者にとっても人間関係や取引による信用の蓄積があれば楽になります。なぜならば、第1回でも述べているとおり、B2Bサービスの導入においては関与者が多く、稟議を通すなどをして意思決定がなされているため、ブランドスイッチをするにはその正当な理由や再度見積を取得し、競合比較を行い、稟議を通すなど膨大なパワーが必要とされるからです。

顧客関係性は双方にとって認知的な負荷を少なくできる大きな利点があったのです。

しかし先ほども述べた通り、もはやそのような人的な関係性だけでは通用しない時代となっています。デジタル上での顧客接点が大きなシェアを占めるようになってきているからです。

さらに、デジタル上でサービス提供ができるということは、参入障壁が劇的に下がることを意味しています。そして、導入する担当者はデジタル上で豊富な情報から簡単に競合比較を行え、簡単にブランドスイッチができるということになるのです。

つまり、顧客関係性の構築はもはや営業担当やカスタマーサポートだけに委ねるだけではなく、デジタル上での顧客接点においてもよいUXを提供していき、アナログとデジタルで統合してよい顧客体験を提供していかなければ、顧客関係性を構築できずに競争優位性を失ってしまうと言えます。

顧客関係性を築くUX

競争環境のウェイトがデジタル上に移行したことにより、B2Bサービスにおいても情報検索や資料請求の段階、そして第2回でも述べている通り、システムやソフトウェアといったサービスの利用を通して便益を伝え、顧客関係性を築いていかなければなりません。

サービス提供前からサービス利用まで、強固な顧客関係性を築くためにもデジタル上でのUXも必要になってきているのです。

そのためにも、「顧客にとっての便益は何か」「その便益をどのように伝えるのか」が必要であり、そして、「業務で利用できる」ではなく、「業務でわかりやすく、使いやすく、便益を経てよい体験ができるか」を実現するためにもUXを磨かなければなりません。

UXはITの発展と共に進化してきました。スマートフォンが普及することで、いち早くB2Cサービス提供企業は顧客の変化に対応するために、そして顧客体験をよいものにするためにUXを磨きつづけてきました。

そして、競争環境が変わりB2B-ECも伸長しています。今B2Bサービスにおいても、UXを磨かなければならないという意識が生まれていると感じています。

昨今話題のDXはまさにデジタルが主戦場であり、DX時代の競争優位の源泉はUXにあると言っても過言ではありません。

SHIFTのDXとは?のコラムでも言及していますが、2018年12月に経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0」でのDXの定義でも顧客について言及しています。

“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”

また、内閣官房の2021年4月「デジタル社会の実現に向けた取組」においてもデジタル庁が目指す姿として一番目に「徹底したUI・UX/国民向けサービスの実現」を掲げています。

DX時代においてUXはもはや品質としての必須要件であり、B2C、B2Bに関わらず取り組まなければならない企業にとっての競争戦略です。

改めて、DX時代の顧客関係性の構築について考えてみてはいかがでしょうか。

全3回にわたってみなさまにおつき合いをいただき、誠にありがとうございました。

 

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