ベクトルデータベースとは?仕組みやメリット、活用事例などを解説

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ベクトルデータベースとは?仕組みやメリット、活用事例などを解説
株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

Introduction

近年、生成AIや高度な検索システムの普及に伴い、「ベクトルデータベース」という技術が注目されています。ベクトルデータベースは、文章や画像などのデータを数値の配列である「ベクトル」に変換し、その類似度をもとに検索を行うデータベースです。従来のキーワード検索とは異なり、意味の近さをもとに情報を見つけることができるため、より自然で高度な検索が可能になります。

この記事では、ベクトルデータベースの基本的な仕組みや特徴、従来のデータベースとの違い、メリット、活用事例についてわかりやすく解説します。

目次

ベクトルデータベースとは

ベクトルデータベースとは

近年、生成AIや高度な検索システムの普及に伴い、「ベクトルデータベース(Vector Database)」という技術が注目されています。従来のデータベースは、数値や文字列などの構造化データを整理・管理することを目的として設計されてきました。しかし現在は、文章・画像・音声・動画などの非構造化データを扱う機会が急速に増えています。

ここではベクトルデータベースの基本的な知識について解説します。

各種データをAIが処理しやすい数値の配列(ベクトル)に変換して保存・検索するデータベース

ベクトルデータベースとは、テキスト・画像・音声などのデータをベクトル(数値の配列)として保存し、類似度をもとに検索できるデータベースです。

まず、文章や画像などのデータは、そのままではAIが意味を理解できません。そのためAIモデルを用いて、データの意味や特徴を数値の並びとして表現します。この数値の配列が「ベクトル」です。たとえば、ある文章の意味や文脈をAIが分析し、その特徴を数百〜数千の数値で表したものが文章ベクトルになります。

ベクトル化されたデータは、数学的に距離や類似度を計算することができます。たとえば、意味が似ている文章はベクトル同士の距離が近くなり、意味が大きく異なる文章は距離が遠くなります。この性質を利用することで、キーワードが完全に一致しなくても、意味が近い情報を検索できるようになります。

ベクトルデータベースは、このベクトルデータを大量に保存し、効率的に検索できるよう設計されています。大規模なベクトルデータのなかから、最も似ているものを高速に見つけ出すことができるため、AI検索やレコメンドシステムなどに適しています。

このように、ベクトルデータベースは「AIが理解できる形でデータを管理するデータベース」ともいえる存在です。

ベクトルデータベースが注目される理由

ベクトルデータベースが注目されている背景には、AI技術の急速な進化とデータ活用ニーズの拡大があります。特に近年は、次のような要因によって導入が進んでいます。

まず大きな要因は、生成AIの普及です。生成AIは膨大な情報をもとに回答を生成しますが、企業独自のデータを活用するには、社内文書や外部データソースから関連情報を検索し、その結果をAIに渡す仕組みが必要です。

その際に使われる代表的な技術が「RAG(Retrieval Augmented Generation)」です。RAGでは、質問に関連する情報をベクトル検索で取得し、その情報をもとにAIが回答を生成します。この仕組みにおける重要な構成要素のひとつがベクトルデータベースです。

次に、非構造化データの増加も重要な背景です。企業には、PDF資料、マニュアル、議事録、メール、チャット履歴など、多くの非構造化データが蓄積されています。しかし従来型データベースでは、こうした情報を扱いづらいという課題がありました。ベクトルデータベースを活用すれば、これらのデータを意味ベースで検索できるようになり、企業のナレッジ活用が大きく進みます。

さらに、AI検索やチャットボットの高度化も需要拡大の要因です。近年はユーザーが自然な文章で質問し、AIが適切な回答を提示する検索システムが増えています。たとえば社内ナレッジ検索、カスタマーサポートの自動化、ECサイトのレコメンドなど、多くの分野でベクトル検索が活用されています。

このように、生成AI・検索技術・データ活用の進展によって、ベクトルデータベースは企業のデジタル基盤として重要な役割を担うようになっています。

生成AI、RAGについてはこちらもご覧ください。
>>生成AIとは?ChatGPTだけじゃない生成AI活用法や注意点などを解説のページへ
>>RAG(検索拡張生成)とは?生成AIとの関連性やメリット、活用事例を解説のページへ

ベクトルデータベースの仕組み

ベクトルデータベースは、文章や画像などのデータを「ベクトル」という数値の配列に変換し、そのベクトル同士の類似度をもとに検索を行う仕組みをもっています。従来のデータベースが「条件に一致するデータ」を探すのに対し、ベクトルデータベースは「意味が近いデータ」を探すことが特徴です。

ここでは、ベクトルデータベースの基本的な処理の流れについて解説します。

1.データをベクトル化する
最初のステップは、文章や画像などのデータをベクトル(数値の配列)に変換することです。

コンピュータは人間のように言葉や画像の意味をそのまま理解することができません。そのため、AIモデルを使ってデータの意味や特徴を数値として表現します。この処理は「埋め込み(Embedding)」と呼ばれます。

文章データの場合、自然言語処理モデルが文章の意味や文脈を分析し、その特徴を数百〜数千の数値の並びとして表現します。この数値の並びが「文章ベクトル」です。ベクトル化することで、「表現は異なるが意味が近い言葉同士」が互いに近い位置に配置されます。この性質によって、単語が完全に一致しなくても関連する情報を見つけられるのです。

同様に、画像・音声・動画などのデータもAIモデルを使って特徴量を抽出し、ベクトルとして表現することが可能です。

2.ベクトルデータを保存・管理する
ベクトル化されたデータは、ベクトルデータベースに保存されます。ここでは単に数値データを保存するだけではなく、効率よく検索できるように整理して管理することが重要になります。

ベクトルデータベースでは、各データに対して次のような情報を保持することが一般的です。

・ベクトル(数値の配列)
・元データ(文章・画像など)
・メタデータ(カテゴリ、作成日、タグなど)

メタデータをもたせることで、たとえば「2024年以降の資料だけ検索する」「特定カテゴリの文書だけ検索する」といった条件を追加することができます。これにより、検索結果の精度や実用性を高めることが可能になります。

また、大量のベクトルを扱う場合、単純な検索では処理時間が非常に長くなってしまいます。そのため、ベクトルデータベースでは専用のインデックス(検索構造)を構築して、検索を高速化します。

このインデックスによって、数百万〜数億件のデータのなかからでも、短時間で類似データを見つけることができるようになります。

3.類似度をもとに検索する
ベクトルデータベースの検索では、キーワード一致ではなくベクトル同士の距離(類似度)を計算して結果を取得します。

ユーザーが検索を行うと、まず検索クエリ(質問文など)がAIによってベクトル化されます。そして、そのベクトルとデータベースに保存されているベクトルの距離を計算し、最も近いベクトルをもつデータが検索結果として返されます。この仕組みによって、ユーザーが自然な文章で検索した場合でも、意味的に関連する情報を見つけることができます。

このような意味ベースの検索が可能になることが、ベクトルデータベースの大きな特徴です。

従来のデータベースとの違い

従来のデータベースとの違い

ベクトルデータベースは、従来のデータベースとは目的や検索方法が大きく異なります。ここでは、従来のデータベースとの違いについて解説します。

キーワード検索との違い

従来のデータベースでは、検索は基本的に条件一致型です。たとえば次のような条件で検索します。

・特定のキーワードを含むデータ
・数値が指定した範囲にあるデータ
・特定のIDに一致するデータ

このように、明確な条件に一致するデータを取得することが中心です。

一方、ベクトルデータベースでは類似検索(Similarity Search)が中心になります。検索クエリをベクトル化し、そのベクトルとデータベース内のベクトルとの距離を計算することで、意味的に近いデータを取得します。そのため、キーワードが完全に一致しなくても関連する情報を見つけることが可能です。

たとえば次のような検索を考えてみます。

・検索クエリ:「AIの導入メリット」
従来の検索では「AI」「導入」「メリット」という単語が含まれる文書が優先されます。

しかしベクトル検索では、
・「人工知能導入の利点」
・「AI活用の効果」

といった意味的に近い文書も検索結果として表示されます。

リレーショナルデータベースとの違い

従来のデータベースは、主に構造化データを扱うことを前提としています。構造化データとは、あらかじめ決められた形式で整理されたデータです。たとえば、以下などを指します。

・顧客情報
・売上データ
・商品情報
・在庫データ

これらのデータは表形式で整理できるため、リレーショナルデータベースで効率的に管理できます。

一方、ベクトルデータベースは非構造化データの検索に強みがあります。たとえば、以下などを指します。

・文章(マニュアル・記事・PDF)
・画像
・音声
・動画
・チャット履歴

これらのデータはそのままでは検索が難しいため、AIモデルを使ってベクトル化し、そのベクトルをデータベースに保存します。

その結果、従来のデータベースでは扱いにくかったデータでも、意味ベースの検索が可能になります。

ベクトルデータベースのメリット

ベクトルデータベースは、従来のデータベースでは実現しにくかった「意味を理解した検索」を可能にする技術です。文章や画像、音声などのデータをベクトルとして扱い、その類似度をもとに検索できるため、AIシステムや高度な検索サービスの基盤として注目されています。

ここでは、ベクトルデータベースの代表的なメリットを紹介します。

意味ベースの検索ができる

ベクトルデータベースの大きなメリットは、意味の近さをもとに検索できることです。

従来のキーワード検索では、入力した単語と一致する文字列が含まれているデータが検索結果として表示されます。そのため、同じ意味であっても表現が異なる場合、検索結果に表示されないことがあります。

ベクトルデータベースでは、文章を数値ベクトルに変換し、ベクトル同士の距離を計算することで意味の近さを判断します。そのため、単語が完全に一致していなくても、意味が近い情報を見つけることができます。

また、言い換え表現や表記ゆれ、自然な文章での検索にも強いという特徴があります。ユーザーが専門的なキーワードを知らなくても、自然な質問文で検索できるため、検索体験の向上にもつながります。

大量データから高速に類似検索できる

ベクトルデータベースは、大量のデータのなかから類似する情報を高速に検索できるよう設計されています。

企業では、日々多くのデータが生成されています。たとえば、次のようなデータです。

・社内マニュアル
・技術資料
・顧客対応履歴
・商品データ
・画像や動画データ

こうしたデータの量が増えるほど、必要な情報を見つけることが難しくなります。人手で探す場合は時間がかかり、重要な情報を見落としてしまう可能性もあるでしょう。

ベクトルデータベースでは、専用のインデックス構造を利用することで、大量のベクトルデータのなかから類似するデータを効率よく検索できます。そのため、数百万件、数千万件といったデータがあっても、短時間で検索結果を取得することが可能です。

この特徴により、リアルタイム性が求められるサービスや、大規模なデータを扱うシステムでも活用しやすくなっています。

AI・機械学習と相性がよい

ベクトルデータベースは、AIや機械学習と非常に相性がよい技術です。

AIシステムでは、文章や画像などのデータを「埋め込み(Embedding)」と呼ばれる方法で数値ベクトルに変換することが一般的です。自然言語処理(NLP)画像認識などの分野では、このベクトル表現が広く利用されています。

ベクトルデータベースは、この埋め込みデータをそのまま保存し、検索できるよう設計されています。AIモデルが生成したベクトルデータをそのまま検索基盤として活用できるため、AIアプリケーションの構築を効率的に進めることが可能です。

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RAGの精度向上に役立つ

近年、ベクトルデータベースの重要な用途として注目されているのが、RAGです。

RAGとは、生成AIが回答をつくる際に外部データを検索し、その情報をもとに回答を生成する仕組みです。企業の社内データや最新情報を活用したAIシステムを構築する際によく利用されています。

RAGでは、次のような流れで処理が行われます。

1.ユーザーの質問をベクトル化する
2.ベクトルデータベースから関連する文書を検索する
3.検索結果の文書をもとにAIが回答を生成する

このとき、ベクトルデータベースを利用することで、質問と意味が近い文書を見つけやすくなります。その結果、AIが参照する情報の質が高まり、回答の精度向上につながります。

このように、ベクトルデータベースはRAGの精度向上に非常に役立っています。

ベクトルデータベースの主な活用事例

ベクトルデータベースは、意味ベースの検索や類似度検索を得意とするため、AIを活用したさまざまなシステムで利用されています。特に、文章や画像、音声などの非構造化データを扱う場面で大きな効果を発揮します。

ここでは、ベクトルデータベースの代表的な活用事例を紹介します。

社内文書検索・ナレッジ検索

企業には、業務マニュアル、社内規程、議事録、技術資料など、多くの文書が蓄積されています。しかし、必要な情報を見つけるまでに時間がかかることや、担当者しか場所を知らないといった「情報の属人化」が課題になることがあります。

ベクトルデータベースを活用すると、文書をベクトル化して保存し、意味ベースで検索することが可能になります。そのため、キーワードが完全に一致しなくても、関連する情報を見つけることができます。

たとえば、「システム障害の対応手順」と検索した場合でも、「トラブル対応フロー」といった文書を見つけることができます。このように、言い換え表現や自然な文章での検索にも対応できるため、情報探索の時間削減や業務効率の向上につながります。

RAGを活用した生成AIチャットボット

RAGは、生成AIが回答を作成する前に関連情報を検索し、その内容をもとに回答を生成する仕組みです。この検索部分でベクトルデータベースが利用されることが多くあります。

たとえば、社内文書やFAQをベクトルデータベースに保存しておくことで、ユーザーの質問に対して関連する情報を検索し、その内容を参考にAIが回答を生成します。これにより、企業独自の情報を活用した回答が可能になります。

また、AIが回答の根拠となる文書を参照できるため、事実と異なる回答(ハルシネーション)を抑える効果も期待できます。社内ヘルプデスクやカスタマーサポートなどの分野で活用が広がっています。

ハルシネーションについてはこちらもご覧ください。
>>ハルシネーションとは?発生する原因や改善方法、トラブル防止のための対策を解説のページへ

レコメンドシステム

ECサイトや動画配信サービスなどでは、ユーザーの興味や行動に応じて商品やコンテンツを推薦するレコメンド機能が重要です。

ベクトルデータベースを利用すると、商品やコンテンツの特徴、ユーザーの行動履歴などをベクトル化し、その類似度をもとにおすすめ情報を提示することができます。

たとえば、ユーザーが閲覧した商品と似た特徴をもつ商品を表示したり、視聴履歴をもとに興味がありそうな動画を推薦したりすることが可能になります。このような仕組みにより、ユーザー体験の向上や購買率の向上につながることが期待されます。

画像・音声・動画検索

ベクトルデータベースは、画像や音声、動画といったデータの検索にも利用されています。

たとえば、画像認識モデルを使って画像の特徴をベクトル化することで、似ている画像を検索する「画像類似検索」が可能になります。ECサイトの商品画像検索や、デザイン素材の検索などで利用されています。

また、音声データや動画データの特徴をベクトル化することで、特定の音声パターンや映像シーンを検索することもできます。メディア管理、監視システム、製造現場の品質管理など、さまざまな分野で応用されています。

文字情報だけでは検索が難しいデータに対しても、特徴の類似性をもとに検索できることが大きな特徴です。

不正検知・異常検知

金融取引やネットワークアクセスなどの分野では、不正行為や異常なパターンを早期に検知することが重要です。

ベクトルデータベースを利用すると、通常パターンをベクトル化して保存し、類似度検索によって既知パターンとの差分を調べることができます。これにより、不正アクセスや異常取引などの兆候を見つけやすくなります。

たとえば、通常とは異なる購買パターンやアクセスパターンを検出することで、不正利用の可能性を早期に発見できる場合があります。金融分野だけでなく、セキュリティ監視や製造品質管理などの分野でも活用されています。

文章の類似度判定・重複チェック

ベクトルデータベースは、文章同士の類似度を判定する用途にも活用できます。文章をベクトル化することで、内容がどれくらい似ているかを数値的に比較できるためです。

この技術は、問い合わせ内容の分類や文書整理などに利用されています。たとえば似た内容の問い合わせを自動的にグループ化することで、サポート業務を効率化することができます。

また、契約書や論文、記事などの重複チェックにも活用可能です。類似度の高い文章を検出することで、重複コンテンツの管理や情報整理に役立てることができます。

ベクトルデータベースの課題・デメリット

ベクトルデータベースは、意味ベースの検索やAIシステムとの連携など多くのメリットをもつ技術ですが、導入や運用にあたってはいくつかの課題や注意点も存在します。導入前には、こうした特徴を理解したうえで活用方法を検討することが重要です。

・導入・運用の難易度がある
ベクトルデータベースを利用するためには、データのベクトル化(埋め込み)処理や検索インデックスの構築など、従来のデータベースとは異なる仕組みを設計する必要があります。そのためAIモデルの選定やデータ処理パイプラインの構築など、一定の技術的知識が求められます。

・精度と速度のトレードオフがある
ベクトル検索では、検索精度と処理速度のバランスを考慮する必要があります。より正確な検索を行う場合は計算量が増えるため、処理時間が長くなる可能性があります。

・高次元データの計算・容量コストがかかる
ベクトルデータは数百~数千次元の数値配列として表現されることが多く、データ量が増えるほど計算コストやストレージ容量が増加します。特に大規模データを扱う場合には、インフラコストや計算資源の確保が課題になることがあります。

・埋め込みモデル次第で結果が左右される
ベクトル検索の結果は、データをベクトル化する埋め込みモデルの性能に大きく依存します。適切なモデルを選択できない場合、意味の近いデータが正しく検索されない可能性があります。扱うデータの種類や用途に応じて、最適なモデルを選定することが重要です。

・すべてのデータに向いているわけではない
ベクトルデータベースは、文章や画像などの意味的な類似性を扱うデータに適しています。一方で、数値データの集計やトランザクション処理など、厳密な条件検索が必要な処理には従来のリレーショナルデータベースの方が適している場合があります。そのため、用途に応じてデータベースを使い分けることが重要です。

ベクトルデータベース導入時のポイント

ベクトルデータベースは、意味検索や類似検索を実現できる技術として、生成AIやAI検索システムでの活用が広がっています。しかし、効果的に活用するためには、導入前の設計や運用方針を十分に検討することが重要です。

ここでは、ベクトルデータベース導入時に押さえておきたい主なポイントを紹介します。

まずは用途を明確にする

ベクトルデータベースを導入する際は、まずどのような用途で利用するのかを明確にすることが重要です。たとえば文書検索、レコメンド、画像検索など、目的によって必要なシステム構成や適した製品は異なります。

また、検索システムを設計する際には、「どのような結果を良い検索結果とするのか」を定義しておく必要があります。検索精度の評価基準を事前に決めておくことで、導入後の改善やチューニングを進めやすくなります。

埋め込みモデルと検索方式を合わせて考える

ベクトル検索の性能は、ベクトルデータベースだけでなく、データをベクトル化する埋め込みモデルの性能にも大きく依存します。そのためデータベース製品の選定だけでなく、どの埋め込みモデルを利用するかを合わせて検討することが重要です。

特に日本語の文章を扱う場合は、日本語に対応したモデルを選択する必要があります。また、専門分野の文書を扱う場合には業界特化型のモデルを検討することも有効です。さらに検索精度を高める方法として、キーワード検索とベクトル検索を組み合わせたハイブリッド検索や、検索結果を再評価する再ランキングなどの手法を取り入れるケースもあります。

メタデータ設計を軽視しない

ベクトルデータベースでは、ベクトルデータだけでなく、メタデータの設計も重要な要素になります。メタデータとは、作成日、カテゴリ、タグ、アクセス権限など、データに付随する情報のことです。

これらの情報を適切に管理することで、検索結果の絞り込みやフィルタリングが可能になります。たとえば、「特定のカテゴリの文書だけ検索する」「最近作成された資料を優先する」といった検索が実現できます。

また、生成AIと組み合わせるRAGシステムでは、回答の根拠となる文書の管理や参照元の追跡にもメタデータが役立ちます。そのためベクトルデータの設計だけでなく、メタデータの設計も重要なポイントとなります。

小さくはじめて評価する

ベクトルデータベースの導入では、最初から大規模なシステムを構築するのではなく、小規模なPoC(概念実証)からはじめることが推奨されます。

PoCでは、実際のデータを使って検索精度や応答速度、システムコストなどを検証します。その結果をもとに、システム構成や検索アルゴリズムを調整していくことで、より実用的なシステムを構築できます。

また、評価の際には技術的な指標だけでなく、実際のユーザーが検索を利用した際の体験も重要な判断基準になります。ユーザーが求める情報をスムーズに見つけられるかどうかを確認しながら、段階的に導入範囲を拡大していくことが効果的です。

PoCについてはこちらもご覧ください。
>>PoCとは?意味や検証内容、実施するメリット・デメリットを解説のページへ

まとめ

ベクトルデータベースは、文章や画像などのデータをベクトル化して保存し、類似度をもとに検索できるデータベースです。従来のキーワード検索とは異なり、意味の近さをもとに情報を取得できることが大きな特徴です。企業内のナレッジ検索、AIチャットボット、レコメンドシステムなど、さまざまな分野で活用が広がっており、今後も重要性が高まると考えられています。

ベクトルデータベースを理解することで、AIを活用したデータ活用基盤の構築に役立つでしょう。

ビジネスに最新のAI技術を活用したい場合は、SHIFT のAIに関する豊富な専門知識をお役立てください。

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林 栄一

監修

株式会社SHIFT
「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト
林 栄一

組織活性化や人材開発において豊富な経験を持つ専門家として、人材と組織開発のリーダーを務め、その後、生成AIを中心にスキルを再構築し、現在新人研修プログラムや生成AI講座開発を担当している。2008年にスクラムマスター資格を取得し、コミュニティーを通じてアジャイルの普及に貢献。勉強会やカンファレンス、最近では生成AI関連のイベントに多数登壇している。チームワークの価値を重んじ、社会にチームでの喜びを広める使命をもつ。

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この記事を書いた人

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

SHIFTは「売れるサービスづくり」を得意とし、お客様の事業成長を全力で支援します。無駄のないスマートな社会の実現に向けて、ITの総合ソリューションを提供する会社です。

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