システム運用保守とは?違いや業務内容、効率化する方法を解説

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システム運用保守とは?違いや業務内容、効率化する方法を解説
株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

Introduction

企業活動において、ITシステムは欠かせない存在となっています。しかし、システムは導入して終わりではありません。安定稼働を維持し、障害やセキュリティリスクへ対応し続けるためには、「システム運用保守」が重要になります。

近年は、クラウド利用やDX推進の加速によって、システム環境が複雑化しています。その結果、運用負荷の増加や人材不足、属人化など、多くの企業が課題を抱えています。こうした課題に対して、適切な運用保守体制を整えることで、システム停止リスクの低減や業務効率化、セキュリティ強化にもつながるでしょう。

この記事では、システム運用保守の基本的な考え方や、「運用」と「保守」の違い、主な業務内容、よくある課題、効率化の方法をわかりやすく解説します。さらに、内製化と外注それぞれのメリット・注意点もあわせて紹介します。

目次

システム運用保守とは?

システム運用保守とは?

そもそもシステム運用保守とは何なのか、その定義から解説します。

システム運用保守の定義

システム運用保守とは、企業のシステムを安定して利用し続けられるように支える業務全般を指します。単に「システムを動かす」だけではなく、障害を防ぎ、問題が発生した際には迅速に復旧し、安全かつ継続的に利用できる状態を維持する重要な役割を担っています。

企業では、基幹システム販売管理システム、会計システム、Webサービス、クラウド環境など、さまざまなITシステムが日常業務を支えています。これらのシステムが停止すると、業務が止まるだけでなく、顧客対応の遅延、売上機会の損失、信用低下など、経営にも大きな影響を及ぼします。

そのため、システム運用保守は単なるIT部門の作業ではなく、企業の事業継続やサービス品質を支える経営上欠かせない業務といえます。

また、近年はDX推進やクラウド活用の拡大によって、システム構成が複雑化しています。加えて、サイバー攻撃やセキュリティリスクも高度化・多様化しているため、システムを安全に維持する重要性はさらに高まっているのです。

システム運用保守には、大きくわけて「運用」と「保守」の2つの領域があります。

・運用:日々の監視や定常作業を通じて、システムを安定稼働させる業務
・保守:障害修正やアップデートなど、システムの問題改善や品質向上を行う業務

これらを継続的に実施することで、企業は安心してITシステムを利用し続けられるでしょう。

システム運用と保守の違い

システム運用保守という言葉は一括りで使われることが多いですが、実際には「運用」と「保守」は役割が異なります。どちらもシステムを安定して利用するために欠かせない業務ですが、目的や対応内容に違いがあります。

この違いを理解することで、自社に必要な体制や人材、外部委託の範囲などを整理しやすくなるでしょう。

システム運用とは

システム運用とは、システムを日常的に安定稼働させ続けるための業務です。その大きな目的は、「利用者が問題なくシステムを使い続けられる状態を維持すること」にあります。

具体的には、以下のような業務が中心です。

・システム監視
・サーバーやネットワークの状態確認
・ジョブ実行管理
・アカウント発行や権限管理
・バックアップ確認
・定期レポート作成
・ログ確認
・問い合わせ対応

たとえば、サーバーのCPU使用率やメモリ使用量を監視し、異常値を検知した際に早期対応することは、典型的な運用業務です。また、毎日・毎週・毎月実施する定常作業も運用に含まれます。決められた手順に従い、正確に継続実施することがポイントです。

システム運用の特徴は、「予防的・継続的な業務」が多い点です。障害が起きてから対応するのではなく、問題を未然に防ぎ、安定したサービス提供を維持することが求められます。

近年は、クラウド利用の拡大や24時間サービスの増加により、システム運用の重要性はさらに高まっています。わずかな停止でも事業影響が大きくなるため、監視体制や対応品質が企業競争力に直結するケースも増えているのです。

システム保守とは

システム保守とは、システムに発生した問題の修正や、将来的なトラブルを防ぐための改善を行う業務です。システム運用が「安定利用を維持する活動」であるのに対し、システム保守は「問題を修正・改善する活動」といえます。

具体的には、以下のような業務があります。

・システム障害の原因調査
・不具合修正
・セキュリティパッチ適用
・ソフトウェアアップデート
・設定変更
・軽微な機能改善
・老朽化対策
・性能改善

たとえば、システム障害が発生した場合、単に再起動して復旧させるだけでは根本解決になりません。なぜ障害が発生したのかを調査し、プログラム修正や設定変更によって再発を防止する必要があります。これが保守業務です。

また、近年特に重要視されているのがセキュリティ保守です。ソフトウェアの脆弱性は日々発見されるため、適切なタイミングでパッチ適用や更新作業を行わなければ、情報漏えいやサイバー攻撃のリスクが高まります。

システム保守は、技術的な変更を伴うケースが多いため、専門知識や検証体制が必要になります。本番環境へ反映する前には、影響確認やテストを十分に実施し、安全性を確保することが求められます。

このように、運用と保守は役割が異なりますが、どちらも企業システムを安全かつ安定的に利用するために欠かせない存在です。

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システム運用保守の主な業務内容

システム運用保守の主な業務内容

システム運用保守では、企業システムを安全かつ安定的に利用し続けるために、さまざまな業務が行われています。

単に障害対応を行うだけではなく、日常的な監視、定常作業、改善活動、セキュリティ対策まで幅広い業務が含まれます。近年はクラウド利用やシステム連携の増加により、業務範囲はさらに広がっています。

ここでは、システム運用保守の代表的な業務内容を解説します。

システム監視と異常検知

システム監視は、システム運用の基本となる重要な業務です。サーバーやネットワーク、クラウド環境などの状態を継続的に確認し、異常や障害の兆候を早期に発見します。

監視対象には、以下のようなものがあります。

・CPU使用率
・メモリ使用量
・ディスク容量
・ネットワーク通信状況
・システムログ
・エラーログ
・データベース状態

たとえば、サーバー負荷が急激に高まっている場合、そのまま放置するとシステム停止につながる可能性があります。早期に異常を検知できれば、障害発生前に対応できるため、業務影響を最小限に抑えられます。

また、ECサイトや金融システムなど、24時間停止できないサービスでは、24時間365日の監視体制が必要になるケースもあります。

最近では、AIや自動分析を活用した高度な監視ツールも増えており、単純な障害検知だけでなく、異常予兆の検知まで行う企業も増えています。

定常作業・日次月次オペレーション

システム運用では、日常的に発生する定型業務も重要です。

代表的な業務には、以下があります。

・バックアップ取得確認
・ジョブ実行確認
・アカウント発行
・権限設定
・データ更新
・マスタ更新
・ログ確認
・月次レポート作成

これらは「手順書に沿って正確に実施する」ことが求められる業務です。

一見単純に見える作業でも、設定ミスや確認漏れが発生すると、大きな障害や情報漏えいにつながる可能性があります。そのため、チェックリストの整備やダブルチェック、承認フローなど、ヒューマンエラー対策が重要になります。

また、定常作業は自動化を検討しやすい領域です。たとえば、バックアップ取得やジョブ実行、定期レポート作成など、決められた手順で繰り返し行う作業は、自動化によって作業漏れや担当者ごとのばらつきを抑えられます。

障害対応とエスカレーション

障害対応は、システム運用保守のなかでも特に重要な業務です。システム障害が発生した際には、迅速に状況を把握し、業務影響を最小限に抑える必要があります。

一般的な対応の流れは以下の通りです。

1.障害検知
2.一次切りわけ
3.影響範囲確認
4.関係者連携
5.復旧対応
6.原因調査

たとえば、「システムに接続できない」という問い合わせがあった場合でも、原因はネットワーク障害、サーバー障害、アプリケーション不具合などさまざまです。そのため、まずは一次切りわけを行い、適切な担当部署へエスカレーションすることが求められます。

また、障害対応では技術力だけでなく、迅速な報告・連絡・記録も欠かせません。経営層や利用部門への情報共有が遅れると、業務混乱や顧客影響が拡大する可能性があります。

原因分析と再発防止

障害は復旧して終わりではありません。同じ問題を繰り返さないためには、根本原因の分析と再発防止策の実施が求められます。

たとえば、サーバー停止が発生した場合でも、単なる容量不足なのか、設定不備なのか、ソフトウェア不具合なのかによって対応内容は変わります。

原因分析では、以下のような観点で調査を行います。

・ログ分析
・設定確認
・操作履歴確認
・通信状況確認
・システム構成確認

そのうえで、以下のような再発防止策を実施します。

・設定変更
・システム改修
・監視強化
・運用ルール見直し
・手順書修正
・社員教育の実施

また、障害事例をナレッジとして蓄積することで、将来的な対応品質向上にもつながります。

保守作業(改修・アップデート・パッチ適用)

システムを安全かつ安定的に利用するためには、継続的な保守作業が必要です。

代表的な保守作業には以下があります。

・ソフトウェアアップデート
・セキュリティパッチ適用
・設定変更
・軽微な機能改修
・性能改善
・脆弱性対応

特に近年は、サイバー攻撃対策として脆弱性対応の重要性が高まっています。更新を放置すると不正アクセスや情報漏えいにつながるリスクがあるため、継続的なセキュリティ対策が欠かせません。

ただし、保守作業は本番環境へ影響を与える可能性もあるため、事前検証が欠かせません。

通常は、以下の流れで進めます。

1.影響調査
2.検証環境テスト
3.実施計画作成
4.本番適用
5.動作確認

システム停止が許されない業務では、夜間や休日に作業を実施するケースもあります。

バックアップと復旧対策

バックアップは、企業データを守るために欠かせない業務です。システム障害、誤操作、ランサムウェア感染、災害など、さまざまなリスクからデータを保全する役割があります。

しかし、単にバックアップを取得するだけでは十分ではありません。重要なのは、「実際に復元できる状態になっているか」を確認することです。

そのため、多くの企業では以下のような対応を行っています。

・定期バックアップ
・世代管理
・別拠点保管
・クラウドバックアップ
・復元テスト

特に復元テストは重要です。バックアップが正常に取得できていても、復旧時に使えなければ意味がありません。

また、近年はBCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)対策として、システム復旧体制を強化する企業も増えています。

運用改善と自動化

近年のシステム運用保守では、「効率化」が大きなテーマになっています。システムの複雑化や人材不足が進むなか、従来の手作業中心の運用には限界があるためです。

そのため、多くの企業では以下のような改善活動を進めています。

・定型作業の自動化
・監視の高度化
・アラートの最適化
・手順の標準化
・ナレッジ共有
・運用フロー見直し

たとえば、定型作業を自動化したり、監視項目やアラート条件を見直したりすることで、作業負荷の軽減や対応品質の向上につなげられます。また、手順の標準化やナレッジ共有を進めることで、担当者ごとの対応差を減らし、属人化の防止にも効果が期待できます。

運用改善を継続的に行うことで、システム全体の安定性向上やコスト最適化にもつながります。

システム運用保守でよくある課題

システム運用保守は、企業システムを安定稼働させるために欠かせない業務ですが、多くの企業ではさまざまな課題を抱えています。

特に近年は、DX推進やクラウド活用、セキュリティ対策強化などにより、運用保守の負荷が増加しています。また、システムの複雑化やIT人材不足も重なり、従来の運用体制では対応がむずかしくなっている企業も少なくありません。

ここでは、システム運用保守でよく発生する代表的な課題を解説します。

■担当者依存による属人化
システム運用保守で最も多い課題のひとつが、業務の属人化です。長年同じ担当者が運用している場合、「その人しかわからない作業」が増えやすくなります。

たとえば、以下のような状況です。
・特定担当者しか障害対応方法を知らない
・手順書が整備されていない
・設定変更履歴が残っていない
・システム構成がブラックボックス化している

このような状態では、担当者の異動や退職が大きなリスクになります。その結果、緊急時に適切な対応ができず、復旧遅延や業務停止につながる可能性もあります。

また、属人化が進むと教育効率も低下し、新しい担当者の育成に時間がかかるようになります。

そのため、ナレッジ共有や手順標準化、ドキュメント整備を継続的に行うことが求められます。

■障害対応に追われて改善まで手が回らない
日々の障害対応や問い合わせ対応に追われ、運用改善まで進められないケースも多くあります。

特に、人員が限られている企業では、目の前のトラブル対応が優先されやすく、以下のような状態になりがちです。
・同じ障害を繰り返している
・手作業が減らない
・自動化が進まない
・根本原因分析が不十分
・改善施策を検討する時間がない

その結果、運用負荷がさらに増加し、慢性的な負担につながります。

このような悪循環を防ぐには、「障害を減らすための改善活動」に一定の時間とリソースを確保することが重要です。

短期的な対応だけでなく、中長期的な運用最適化の視点が求められます。

■人手不足とスキル不足
IT人材不足は、多くの企業に共通する課題です。

特にシステム運用保守では、以下のような幅広い知識が必要になります。

・サーバー
・ネットワーク
・クラウド
・セキュリティ
・データベース
・アプリケーション
・自動化ツール

しかし、これらを横断的に理解できる人材は限られています。

また、24時間365日対応が必要な現場では、担当者の負荷が高くなりやすく、離職リスクも高まります。さらに、クラウド化やAI活用など技術進化のスピードも速いため、継続的な教育やスキルアップが欠かせません。

そのため、近年は以下のような取り組みを進める企業が増えています。

・外部パートナー活用
・運用自動化
・クラウドサービス利用
・教育体制強化
・ナレッジ共有促進

■システムの複雑化・老朽化
企業システムは、長年の改修や機能追加によって複雑化しやすい傾向があります。

特に以下のような環境では、運用負荷が高まりやすくなります。

・複数システムが連携している
オンプレミスとクラウドが混在している
・古いシステムが残っている
・担当ベンダーが複数存在する

システム構成が複雑になると、障害発生時の原因特定にも時間がかかります。

また、老朽化したシステムでは、以下のような問題も発生しやすくなります。

・メーカーサポート終了
・セキュリティリスク増加
・保守部品不足
・技術者不足
・性能の劣化

特にレガシーシステムは、運用保守コストが年々増加する傾向があります。

そのため、システム刷新やクラウド移行を含めた中長期的なIT戦略が重要になります。

■セキュリティ対応の負荷増大
近年、サイバー攻撃の高度化によって、セキュリティ対応の負荷が大きく増えています。従来は一部の企業だけが対象だった攻撃も、現在では業種や企業規模を問わず発生しています。

システム運用保守では、以下のような対応が求められます。

・脆弱性情報の収集
・セキュリティパッチ適用
・不正アクセス監視
・ログ分析
・アクセス権管理
多要素認証対応

しかし、セキュリティ対応は専門性が高く、通常運用と並行して進める必要があるため、担当者負荷が増えやすい分野です。また、セキュリティ対策を優先しすぎると、業務利便性とのバランスがむずかしくなるケースもあります。

そのため、経営層も含めて「どのリスクをどこまで許容するか」を整理し、全社的な視点で運用体制を整えることが求められます。

システム運用保守を効率化する方法

システム運用保守では、業務負荷の増加や人材不足、システム複雑化など、多くの課題を抱える企業が増えています。そのため近年は、「限られた人員でも安定運用を実現すること」が重要なテーマになっています。効率化を進めることで、単なる工数削減だけでなく、障害削減、対応品質向上、属人化防止、セキュリティ強化などにもつながります。

ここでは、システム運用保守を効率化する代表的な方法を解説します。

運用手順の標準化

運用効率化の基本となるのが、運用手順の標準化です。担当者ごとに作業方法が異なる状態では、ミスが発生しやすくなり、品質も安定しません。

そのため、以下のような内容を統一することが重要です。

・作業フロー
・確認項目
・報告ルール
・障害対応手順
・エスカレーション基準
・承認フロー

たとえば、障害発生時の対応手順が明確であれば、誰が対応しても一定品質を保ちやすくなります。

また、標準化は教育効率向上にも効果があります。新人担当者でも業務を理解しやすくなり、引き継ぎ負荷も軽減できます。

ただし、手順書は「作って終わり」ではありません。システム構成や運用ルールは継続的に変化するため、最新状態へ更新し続けることが求められます。古い手順書が放置されると、かえって障害やミスの原因になる可能性があります。

監視体制の見直し

監視体制の最適化も、運用効率化には欠かせません。監視項目が多すぎたり、アラート設定が適切でなかったりすると、担当者負荷が大きくなります。

たとえば、以下のような課題がよく発生します。

・アラートが大量発生する
・本当に重要な異常を見逃す
・不要な通知が多い
・同じ障害が繰り返し発生する

この状態では、監視担当者が「アラート疲れ」を起こし、重要障害への対応遅れにつながる可能性があります。

そのため、以下のような見直しが必要です。

・閾値調整
・不要監視の削減
・重要度分類
・通知ルールの最適化
・監視対象整理

特に重要なのは、「何を優先的に監視すべきか」を明確にすることです。業務影響の大きいシステムや重要指標を中心に監視設計を最適化することで、対応品質向上につながります。

運用自動化の推進

近年、多くの企業が取り組んでいるのが運用の自動化です。従来は人手で行っていた作業を自動化することで、工数削減と品質向上を同時に実現できます。

自動化対象として代表的なのは以下の業務です。

・定期バックアップ
・ジョブ実行
・ログ収集
・障害通知
・サーバー再起動
・アカウント作成
・定期レポート生成

まず取り組みやすいのは、バックアップ取得やジョブ実行など、手順が明確で繰り返し発生する作業そのものの自動化です。これにより、担当者の作業負荷を軽減できるだけでなく、実行漏れや操作ミスの防止にもつながります。

次の段階では、自動化された処理の結果を確認するルールを整備します。たとえば、ジョブの異常終了や遅延、バックアップ失敗などを自動で検知し、担当者へ通知する仕組みを設けることで、確認漏れを防ぎ、初動対応を早められます。

さらに運用成熟度を高めるには、異常発生時の一次切りわけまで自動化することも有効です。たとえば、アラート発生時に関連ログを自動収集したり、サーバーの稼働状況やネットワーク疎通を自動確認したりすることで、担当者は原因調査に必要な情報をすばやく把握できます。一部の障害では、あらかじめ定めた条件に沿って自動復旧処理を実行することも可能です。

自動化には以下のようなメリットがあります。

・作業時間削減
・ヒューマンエラー防止
・対応品質の均一化
・24時間対応の強化
・属人化防止

ただし、すべてを自動化すればよいわけではありません。自動化対象は、以下の観点で優先順位を決めることが重要です。

・発生頻度
・作業工数
・ミス発生リスク
・業務影響度

特に、定型作業や単純繰り返し作業は、自動化効果が高い領域です。一方で、エラー発生時の対応判断や関係者へのエスカレーションなどは、人による確認・判断が必要な場面もあります。そのため、作業の自動化だけでなく、結果確認のルールや対応体制もあわせて整備することが重要です。

ナレッジ共有と教育体制の整備

システム運用保守では、ナレッジ共有も重要な効率化施策です。障害対応や設定変更の経験が個人に閉じてしまうと、属人化が進み、対応品質にばらつきが発生します。

そのため、以下のような情報を蓄積・共有する仕組みが必要です。

・障害事例
・対応履歴
・原因分析結果
・設定変更履歴
・FAQ
・手順書
・注意事項

これらを整理して共有することで、新任担当者でも一定品質の対応を行いやすくなります。

また、ナレッジ共有は教育コスト削減にもつながります。作業者がゼロから経験を積む必要がなくなり、短期間で業務を習得しやすくなります。さらに、定期的な教育や振り返りを実施することで、チーム全体の対応力向上も期待できます。

近年は、チャットツールやナレッジ管理ツールを活用し、リアルタイムで情報共有する企業も増えています。運用保守は「個人の経験」に依存するのではなく、「組織の知識」として蓄積することが重要です。

システム運用保守を検討する際の内製・外注の比較

システム運用保守を検討する際、多くの企業が悩むのが「内製化するべきか、外注するべきか」という点です。どちらにもメリット・注意点があり、企業規模やシステム特性、IT人材状況によって最適な選択は異なります。

重要なのは、「自社にとって何を優先するのか」を明確にすることです。

近年は、すべてを内製または外注するのではなく、「重要領域は内製」「監視や定常業務は外注」など、役割分担する企業も増えています。

ここでは、内製化と外注それぞれの特徴を解説します。

内製化のメリット

システム運用保守を内製化する最大のメリットは、自社業務への理解を深めやすいことです。社内担当者が直接運用することで、業務内容や現場課題を把握しながら柔軟に対応できます。

たとえば、業務部門から急な要望が発生した場合でも、社内調整を迅速に進めやすくなります。

また、以下のようなメリットもあります。
・ノウハウを社内に蓄積しやすい
・システム改善提案を行いやすい
・意思決定スピードが速い
・業務変化へ柔軟に対応しやすい
・セキュリティ方針を統一しやすい

特に、自社独自業務が多い企業では、内製化による効果が高いケースがあります。

さらに、システムを単なる運用対象ではなく、「経営戦略を支える資産」として活用しやすくなる点も大きな特徴です。

内製化の注意点

一方で、内製化には負担やリスクもあります。

最も大きな課題は、人材確保と育成コストです。

システム運用保守では、サーバー、クラウド、ネットワーク、セキュリティなど幅広い知識が必要になります。しかし、これらを担える人材を継続的に確保することは簡単ではありません。

また、以下のような課題も発生しやすくなります。

・24時間365日対応がむずかしい
・特定担当者へ依存しやすい
・教育コストが高い
・最新技術への対応負荷が大きい
・人員不足時に業務継続リスクが高まる

特に中小企業では、少人数体制になりやすく、属人化リスクが高まる傾向があります。さらに、障害対応やセキュリティ対応が増えると、日常業務だけで担当者負荷が限界に達するケースもあります。

そのため、内製化を進める場合は、ナレッジ共有や標準化、自動化を並行して進めることが重要です。

外注のメリット

システム運用保守を外注するメリットは、専門知識をもつベンダーの知見を活用できることです。運用保守専門会社では、多数のシステム運用経験をもつ技術者が対応するため、安定した運用品質を期待できます。

また、以下のようなメリットもあります。

・24時間365日監視体制を整えやすい
・障害対応を迅速化しやすい
・専門技術を活用できる
・最新技術や運用ノウハウを取り入れやすい
・社内負荷を軽減できる

特に、監視業務や定常作業などは、外部サービスを活用することで効率化しやすい領域です。その結果、自社は戦略立案や業務改善など、コア業務へ集中しやすくなります。また、クラウド運用やセキュリティ対策など、高度専門領域だけを部分的に委託するケースも増えています。

外注の注意点

一方で、外注には注意点もあります。

最も多い課題は、「自社業務への理解不足」です。

外部ベンダーは技術には詳しくても、自社特有の業務内容や優先順位までは十分理解できない場合があります。

その結果、以下のような問題が発生することがあります。

・業務影響を考慮しない対応
・認識違いによるトラブル
・対応スピードへの不満
・責任範囲の曖昧化
・コミュニケーション不足

特に、契約時に対応範囲や責任分界点を明確にしていない場合、障害発生時に混乱しやすくなります。たとえば、「どこまでがベンダー対応なのか」「誰が最終判断するのか」が曖昧だと、復旧遅延につながる可能性があります。

そのため、外注を成功させるには、以下のような設計が重要です。

・役割分担明確化
・SLA(サービス品質基準)整備
・定期的な情報共有
・エスカレーションルール整備
・運用手順共有

外注を活用する際には「丸投げ」するのではなく、パートナーとして協力体制を構築することが重要です。

まとめ

システム運用保守は、企業システムを安定して利用し続けるために欠かせない重要な業務です。日々の監視や定常作業によってシステムを安定稼働させる「運用」と、不具合修正やアップデートによって品質維持・改善を行う「保守」は、それぞれ異なる役割を担っています。

近年は、クラウド活用やDX推進、セキュリティ対策強化によって、システム運用保守の重要性はさらに高まっています。一方で、システムの複雑化、人材不足、属人化など、多くの企業が課題を抱えている現状もあります。

そのため、単に日常業務を継続するだけではなく、以下のような取り組みを行うことが重要です。

・運用手順の標準化
・監視体制の最適化
・自動化推進
・ナレッジ共有
・教育体制整備
・外部パートナー活用

特に、運用改善や自動化を進めることで、障害削減や対応品質向上だけでなく、コスト最適化や事業継続性向上にもつながります。

また、運用保守作業の内製化と外注にはそれぞれメリット・注意点があるため、自社の業務特性やIT戦略に合わせて最適な体制を構築することが求められます。

システム運用保守は、単なる「裏方業務」ではありません。企業活動を支える重要な経営基盤として、継続的に見直し・改善していくことが求められているのです。

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永井 敏隆

監修

株式会社SHIFT
「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト
永井 敏隆

大手IT会社にて、17年間ソフトウェア製品の開発に従事し、ソフトウェアエンジニアリングを深耕。SE支援部門に移り、システム開発の標準化を担当し、IPAのITスペシャリスト委員として活動。また100を超えるお客様の現場の支援を通して、品質向上活動の様々な側面を経験。その後、人材育成に従事し、4年に渡り開発者を技術とマインドの両面から指導。2019年、ヒンシツ大学の講師としてSHIFTに参画。

担当講座

・コンポーネントテスト講座
・テスト自動化実践講座
・DevOpsテスト入門講座
・テスト戦略講座
・設計品質ワークショップ
など多数

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ヒンシツ大学とは、ソフトウェアの品質保証サービスを主力事業とする株式会社SHIFTが展開する教育専門機関です。
SHIFTが事業運営において培ったノウハウを言語化・体系化し、講座として提供しており、品質に対する意識の向上、さらには実践的な方法論の習得など、講座を通して、お客様の品質課題の解決を支援しています。
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https://www.hinshitsu-univ.jp/
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この記事を書いた人

株式会社SHIFT マーケティンググループ
著者 株式会社SHIFT マーケティンググループ

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